コールセンターシステムとは?機能や導入のメリットなどを解説

 
2023.8.17
企業が自社の売上を向上させるためには、顧客満足度の向上が重要です。顧客満足度を高めるために、コールセンターシステムの導入を検討している企業も多いのではないでしょうか
ここでは、コールセンターが担う役割や、コールセンターシステムが必要とされる理由のほか、活用できる機能、導入のメリット、選定時のポイントなどについて解説します。

コールセンターシステムとは電話対応にデータを活用するためのシステム

コールセンターシステムとは、顧客からの問い合わせなどに電話で対応する際に、顧客情報やこれまでのやりとりの履歴を活用するためのシステムです。コンタクトセンターシステムと呼ばれることもあります。コールセンターシステムはサービスによって機能が異なるため、自社の業務内容に応じて選択することが重要です。

コールセンターが担う役割

コールセンターは、顧客からの問い合わせに対応する窓口です。また、近年では単なる窓口という役割を超えて、顧客満足度を高めることを目的として業務の幅を広げ、コンタクトセンターと呼ばれることもあります。

従来のコールセンターは、問い合わせや意見・感想などを受けつける窓口として機能してきました。しかし、企業が継続的に売上を得るためには顧客の定着やリピートが不可欠で、顧客満足度の向上が欠かせません。そのため、企業と顧客・見込み顧客との接点となるコールセンターが、顧客満足度を向上させる場として注目されるようになりました。このような背景から、問い合わせへの対応業務を担っていたコールセンターを、顧客満足度の向上のために活動するコンタクトセンターとして重要視する企業が増えるようになったのです。

コールセンターシステムが必要とされる理由

コールセンターシステムが必要とされるのは、コールセンターの業務にもDXや業務効率化が求められるようになったことが理由です。顧客が希望する方法でアクセスできる環境を整える必要があるため、コールセンターでは、顧客との対応のために、従来の電話だけでなく、メールやSNS、チャットツールなど複数のチャネルを用意することが一般的となっています。

また、顧客情報を収集して管理するCRMなどのツールと連携して、顧客の過去の問い合わせ履歴を照会したり、自己解決を図りたい顧客に対しては自動応答システムやチャットボットなどを用意したりするなど、体制の充実が必要です。このように、対応する業務が広がり、効率化やDXに対応するためにも、コールセンターシステムの導入が必要となっています。

コールセンターシステムの機能

コールセンターシステムの導入は、企業の業務効率化に大きく貢献します。コールセンターシステムを活用するためには、機能を把握した上で選定することが重要です。ここでは8つの機能を紹介します。

顧客情報を管理する「CRM」

CRM(Customer Relationship Management)は、自社の顧客情報を一元管理するための機能です。顧客の住所や連絡先などの基本情報だけでなく、購買や問い合わせの履歴とその内容、自社とのコミュニケーション履歴など、広範囲な情報を蓄積・管理できます。そのため、顧客からの着信と同時に、CRMから必要な情報を引き出すことで、過去の経緯を踏まえたスムーズなやりとりが可能になります。

コンピューターを電話などと連携させる「CTI」

CTI(Computer Telephony Integration)は、コンピューターと電話、FAXを連携させる機能です。従来は別々だったシステムを連携させることで、効率的に情報を活用できるようになります。たとえば、電話とコンピューターを連携すれば、着信時に自動的にCRMから顧客情報を引き出して、オペレーターのモニターに表示するといった、業務の効率化が可能となります。

自動応答を実現する「IVR」

IVR(Interactive Voice Response)は、オペレーターにつなぐ前に、音声で自動応答する機能です。顧客が問い合わせの内容によってプッシュ信号を送信すると、その内容に合わせて担当部門に問い合わせを振り分ける機能を持ちます。IVRを使うことで、着信後に顧客をいくつものセクションに案内するような事態を回避でき、顧客満足度の向上に役立ちます。また、オペレーターの作業負荷を軽減できるため、オペレーターのストレスを軽減したり、顧客とのコミュニケーションに集中させたりすることで、生産性を高めることが可能です。

着信を効率的に分配する「ACD」

ACD(Automatic Call Distributor)は、外部からの着信を自動的に分配する機能です。コールセンターでは、複数のオペレーターが業務にあたっていますが、その稼働状況をチェックし、手の空いているオペレーターへ優先的に着信を振り分けます。電話をかけてきた顧客の待ち時間を短縮し、一部のオペレーターに業務が集中することも回避できます。IVRと連携して、自動応答音声を流したり、オペレーターのスキルに応じて電話を分配したりすることも可能です。

構内回線インフラ「PBX」

PBX(Private Branch eXchange)は、音声通話の基盤となる交換機の役割を持つ機能です。コールセンターで使われる電話回線をコントロールし、外部からの着信を担当部署の内線につなげたり、あるいは内線同士を接続したりといった、電話回線に関するあらゆる操作を担います。

仮想環境を構築する「VDI」

VDI(Virtual Desktop Infrastructure)は、サーバー上に、仮想デスクトップ環境を構築するしくみです。オペレーターのそれぞれのPCは、すべてこの仮想環境に接続されるため、コールセンター内のPCを一元管理できるようになります。さらに、個々の端末にデータを保存しておく必要がなくなるため、メンテナンスも容易になり、セキュリティ面の堅牢性も高まります。

作業を自動化する「RPA」

RPA(Robotic Process Automation)は、PC上で行われる定型的な作業を、人に代わって行うソフトウェア型のロボットです。各端末上で作動する製品のほか、サーバー上で作動する製品もあり、処理できる業務の範囲・規模はさまざまです。コールセンターでは、オペレーターの操作に合わせて必要な情報をCRMから呼び出したり、さらに整理した上でモニター上に表示したりといった作業が可能となります。

顧客の質問に自動で回答する「チャットボット」

チャットボットは、短文での問い合わせに対応するための自動チャットシステムです。顧客が短いメッセージを入力すると、データベースから適切な回答を探し出し、自動で表示します。電話やメールよりも気軽に使えることや、時間を気にせずに問い合わせができることなどから、顧客側にもメリットが多く、多くの企業で活用されています。

コールセンターシステム導入のメリット

コールセンターシステムを導入すれば、業務効率化やDX化の促進につながるだけでなく、企業にとってさまざまなメリットがあります。ここでは3つのメリットについて解説します。

顧客満足度向上

コールセンターシステム導入のメリットは、顧客満足度の向上に役立つことです。従来のコールセンターでは、顧客からの問い合わせに対応するオペレーターのスキルによって対応に差が出てしまう可能性がありました。しかし、コールセンターシステムを導入すれば、優れたオペレーターの対応を標準化したり、オペレーターの教育に役立てたりすることが可能です。また、顧客情報やこれまでのやり取りを記録することもできるため、顧客に寄り添った対応を実現でき、顧客満足度の向上に貢献します。

業務効率化

業務の効率化が可能な点も、コールセンターシステム導入のメリットです。コールセンターシステムの導入で、顧客情報を探したり、顧客からこれまでの経緯を聞き取ったりといった、オペレーターの負荷を軽減することが可能となります。さらに、導入するシステムの種類によっては、オペレーターのレベルや練度に応じて、問い合わせを割り振ることも可能です。コールセンターシステムの導入で、コールセンターの業務は大きく効率化します。

製品やサービスの改善、マーケティングにデータが活用可能

顧客とのやり取りで得られたデータを、製品やサービスの改善、マーケティングに活用できる点も、コールセンターシステム導入のメリットといえるでしょう。コールセンターシステムを導入すれば、顧客とのやり取りの内容・顧客情報はシステム上に蓄積されていきます。

これらの情報は、コールセンターのみでなく、他部門でも活用可能です。開発部門では、製品やサービスの改善・開発に活かせるでしょうし、マーケティング部門では、顧客の生の声をマーケティング施策に反映できます。このように、コールセンターシステムの導入で、コールセンターで得た情報を、企業全体で活用することが可能になるのです。

コールセンターシステム選定時のポイント

企業はコールセンターシステムを活用することで、多くのメリットを享受できます。一方で、コールセンターシステムは種類が多いため、自社の状況や着信数の規模、配置できるオペレーターの人数などを考慮した上で、選定することが重要です。ここではシステム選定時のポイントについて解説します。

業務がインバウンド型かアウトバウンド型か確認する

自社の業務がインバウンド型かアウトバウンド型なのかを確認し、自社に適したコールセンターシステムを選ぶことが、選定時のポイントです。インバウンド型の業務は、基本的に外部からの着信に対応するもので、サポートセンターやヘルプデスクと同様です。顧客からの問い合わせに対して、適切な対応を行うことが業務の中心で、顧客満足度の向上を目的とします。

一方のアウトバウンド型は、自社から顧客に対してアプローチするもので、自社から外部への架電が業務の中心です。この場合、営業やモニタリングなどを通じた顧客獲得、売上向上がおもな目標です。このような違いに合わせ、インバウンド型とアウトバウンド型のそれぞれに適したシステムが存在します。

必要な機能を見極める

必要な機能を見極めることも、コールセンターシステム選定時のポイントのひとつです。必要な機能を見極めるには、解決したい課題を明確にしなければなりません。

たとえば、多くの着信をさばかなくてはならないという課題があれば、IVRの機能を使うことで顧客のストレスを抑えつつ、オペレーターの生産性を上げられます。また、顧客との関係性の強化が必要であれば、CRMの機能で解決できるでしょう。課題を明確にして、コールセンターシステムの必要な機能を見極めることが大切です。

オンプレミスとクラウドのどちらを採用するか検討する

オンプレミスとクラウドのどちらの形態を採用するか検討することも、コールセンターシステム選定時のポイントのひとつです。コールセンターシステムは、オンプレミスとクラウドの双方でさまざまな商品が販売されています。

一般的にオンプレミスではカスタマイズ性が高い一方で、初期投資が大きくなったり、導入までの時間が長くなったりする点が特徴です。クラウドの場合には、初期投資を抑えられますが、カスタマイズ性は低い傾向があります。これらを踏まえて、自社に適したシステムを選定することが重要です。

既存システムとの連携が可能か検証する

既存システムとの連携が可能かを検証することも、コールセンターシステム選定時に確認が必要なポイントです。すでに、自社に何らかのシステムを導入済みの場合、それらと連携できるかどうかは重要な要素です。たとえば、セールス部門でCRMを使っているなら、CRMに連携できるコールセンターシステムを導入できれば、顧客への営業状況を踏まえ、顧客と対話できます。さらに、対応内容をセールス部門が参照し、履歴を踏まえた上で新たな提案を行うといった、部門を超えた対応も可能です。

システム導入でコールセンターの業務を効率化しよう

コールセンターシステムの導入は業務の効率化につながり、企業の売上向上に貢献します。コールセンターシステムを導入する際に重要なのは、自社に合ったシステムを選ぶことです。

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