株式会社パートナーズ

Salesforce運用の内製化で一気に活用を加速し売上141.2%へ、不動産業界のDXを牽引する存在を目指す

Sales Cloudを様々な外部システムと連携させ、不動産業界ならではの各種業務を自動化。データの可視化も推進し、将来はAIの活用も検討。

不動産の売買・賃貸・仲介、インシュアランス、クラウドファンディングなどの資産運用全般コンサルティングを手掛ける株式会社パートナーズは、2011年に創業した不動産を主力事業とした資産運用総合アドバイジングカンパニー。事業拡大に対応するため2018年にSalesforce(Sales Cloud)を導入しましたが、当初は構築を主に外注していたため小規模な作業もその都度見積もりや発注が必要となり、変化し続けるユーザー要件へのスピーディな対応が困難でした。そこで、2021年6月株式会社GA technologiesとの経営統合を機に、Salesforceの構築・運用を内製化しています。

この内製化では、Salesforceの運用を社内で行う体制の確立だけにとどまらず、様々な外部システムとの連携によって、不動産業界ならではの各種業務を自動化しています。さらにSlackやCRM Analyticsも導入し、コミュニケーション基盤の確立や、より自由度の高いデータの可視化も実現。これらの取り組みによって、削減できた作業時間は年間2万時間近くに上っています。今後も不動産業界におけるDXのスタンダードとなることを目指し、さらなるSalesforce活用を推進していく計画です。

 
 

1. スピードを重視したSalesforce活用、経営統合を機に一気に内製化へ

株式会社パートナーズは、不動産の売買・賃貸・仲介を主力事業とし資産運用全般のコンサルティングなどを手掛ける企業です。その社名には、「資産運用を通じ、お客様のお一人おひとりが“いい生き方”を手にして頂くためのパートナーであり続けたい」という想いが込められています。創業は2011年。その頃の状況を、創立者である代表取締役 CEOの吉村 拓 氏は、次のように振り返ります。

「最初は私1人で会社を立ち上げたので、業務はすべて紙で行っていました。その後、社員が増えていったため、友人がMicrosoft Accessを使った簡易な管理ツールを作ってくれましたが、使い勝手や機能のカスタマイズに限界があり、2013年には外部の4~5社に見積を取った上で、CRMシステムを自社で開発することになりました」。

このシステムは、オンプレミスサーバー上で動くパッケージをベースに、必要な機能を追加したもの。データセンターにもサーバーを設置し、すでに2社あったグループ会社とも接続するという、かなり本格的なものでした。しかし運用開始から数年が経過した2018年、「さらなる事業規模拡大を見越すなら拡張性が必要」だと判断。その後、様々な検討を経た結果、Salesforce(Sales Cloud)の導入を決意します。

「最初にSalesforceを導入したのは2020年1月ですが、その最大の理由は世界で最も使われているCRMだからという理由でした。また以前自社で開発したCRMは蓄積したデータを分析する機能がなく、経営状況をデータで把握することが困難でした。これもSalesforceなら解決できるという期待がありました」(吉村氏)。

その後、同社はシステム会社をパートナーに、Salesforceの導入に着手。Salesforceのポテンシャルを最大限に引き出すには、ビジネス状況や現場社員のニーズに変化に合わせ、機能の追加やカスタマイズを随時行っていくことが求められます。しかし当時のパートナーズにはIT部門がなく、Salesforceの導入・運用が行える技術者もいませんでした。そこで吉村氏は、とある問題に直面することになります。

「機能の追加や変更を行うには、毎回要件を決めて見積をもらう必要があり、必要な機能が実現されるまでにタイムラグが生じていました。機能が納品される頃には状況がさらに変化し、さらなる機能追加や変更が必要になっており、弊社が求めるスピード感とはずれが生じてしまっていたのです。」(吉村氏)。

この状況を変えるきっかけになったのが、2021年6月に行われた株式会社GA technologiesとの経営統合です。同社は不動産テック領域を中心に、人工知能やデータを活用した多岐にわたるサービスを提供している企業。そこで培われた知見が、パートナーズのCRM構築・運用でも活かせるのではないかと期待し、一気に内製化へと舵を切ることになったのです。

 
 
 
 

2. 外部システムとも連携し業務を自動化、削減できた作業時間は年間2万時間に

経営統合後、GA technologiesでパートナーズのMarketing Managerを務めている山田 幸佑 氏。その時の思いを次のように語ります。

「私たちはこの業界で国内トップを目指すというビジョンを持っており、社内の状況を俯瞰したときに、このビジョンを実現するためには、他のシステムとの連携を含めてSalesforceを徹底的に使いこなすことが鍵になると判断しました。会社の状況に合わせてスピード感を持って、Salesforceを使いこなしていくためには、開発を内製にしていくべきだと考えたのですが、GA technologiesのリソースを見ても、適正な人はいませんでした。そこで自分がやるしかないと腹をくくり、自らこのプロジェクトを担当することに決めました」。

山田氏自身もSalesforceの経験がなかったため、まずはTrailheadを活用していちから学習を開始。約3か月間、スキルの習得と準備を行いながら、セールスフォース・ジャパンの担当者とも定期的に打ち合わせを行い、どのような取り組みを行うかを検討していきました。そして2022年1月にはSalesforceの開発を開始。2022年3月にそのリリースを実施します。

ここで注目したいのが、不動産業界ならではの業務ニーズに対応するため、オンライン商談システムであるベルフェイスや、電子署名ソリューションであるDocuSign、RPAのUiPath、Google Driveなど、多岐にわたる外部システムとSalesforceを連携させていることです。

まず顧客とのオンライン面談はベルフェイスを活用し、その面談ログが自動的にSales Cloudに記録されるようになっています。顧客情報を表示するとそこに過去の面談URLが記載されるため、営業担当者による面談記録の入力負荷を大幅に削減できるようになりました。

不動産仕入れのリード生成では物件の謄本取得が必要になるのですが、これに関しては登記情報サービスの検索や謄本購入をRPAで自動化し、テキスト解析技術を使って文字認識した上でSales Cloudに登録。リード生成までを自動化しています。

物件の購入者や買取業者に提供する物件情報は、「マイソク」と呼ばれるシートに集約することが不動産業界の慣行になっていますが、これもSales Cloudで自動生成されています。掲載物件の図面や写真をGoogle Cloudで保管し、そのデータをSales Cloudに取り込み、ボタン1つでマイソクのExcelシートを出力できるようにしているのです。

契約書もSales Cloudで自動生成。これをDocuSignと連携させることで、捺印・契約完了までをオンライン化しています。さらに現在は、不動産仕入れ業界ならではのアナログなやりとりをデータとして蓄積していく機能も開発していると山田氏は語ります。

「謄本の自動取得とSales Cloudへの自動転記、リード生成で、年間1,000時間以上の業務効率化が可能。またマイソクの自動生成の効率化効果は年間13,000時間になると想定されており、アナログなやりとりのデータ蓄積自動化でも年間5,000時間以上の効率化が見込まれています。これらを合わせると、年間で削減できた作業時間は、2万時間近くに上ることになります。さらに、直近3か月の売上も、昨年に比べて141.2%となりました。」(山田氏)。

 
直近3か月の売上も、昨年対比141.2%に伸長
 
 
 
 

3. CRM Analyticsでデータ可視化の幅を拡大、今後はAIの活用も

このような取り組みと並行して、経営統合直後の2021年7月には、Slackも導入。これはGA technologiesでも活用していたため、経営統合後のコミュニケーション基盤にするために導入したのだと山田氏は説明します。また現在はWebサイトとも連携させており、フォームでの問い合わせが来たときに、自動的にSlackに通知する機能も実装。今後はSales Cloudとも連携させ、さらなる営業活動の効率化につなげていく計画だと言います。2022年7月にはCRM Analyticsも導入しています。

「CRM Analyticsを導入したことで、蓄積したデータの可視化をより自由に行えるようになり、データの見せ方の幅が広がりました。データを活用して仕事をしている今の環境では、Salesforceを使う前の状況に戻ることは考えられないです」と話すのは、パートナーズでConsulting Div Sales support special teamのChiefを務める寺嶋 日向子 氏。現在は営業の契約率や、プル型(反響型)営業の反応、その費用対効果などを可視化し、経営層向けに提供していると言います。「今後はさらに見える化の対象データを拡大し、新たな施策につなげていきたいと考えています」。

これに加えて山田氏は、今後の取り組みとして契約が決まりそうな顧客をEinsteinのAI機能で自動的に判断させることや、Sales Enablementを営業担当者に活用してもらい、Salesforceによる営業改善をさらに推進していくことも検討していると言います。

「以前の私たちにとっては、Salesforceはなかなか乗りこなせないスーパーカーのようなものでした」と吉村氏。しかしこれを自らの手で、自分たちに合う形で使いこなすことができなければ、本当に強い会社にはなれないと指摘します。

「不動産業界はまだ大手財閥系でも紙による業務処理がメインですが、デジタル化すれば印紙税がかからなくなるなど、お客様にとっても大きなメリットをもたらします。私たちはこの業界のデジタル化に先手を打つ形となりましたが、いずれは時代が追いついてくるでしょう。そのときには当社のやり方が、不動産業界のスタンダードになる。これを目指してさらなるDXを進めていきたいと考えています」。

 
 
 
 
 
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※ 本事例は2022年11月時点の情報です
 

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