ビジネス運営の改善 = 顧客満足度の向上T-Mobileから学ぶ5つのヒント

Un-carrierのサービスが顧客に熱狂的に支持される理由をご確認ください。

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2013年、T-Mobile USは、「顧客が本当に求めるものを提供する」という大規模な方針転換を行い、ワイヤレス業界に変革をもたらしました。

当時の競合他社とは異なり、T-Mobileは年間サービス契約、超過料金、ローミング料金を値下げし、カスタマーサービスの改善とさらなる価値の提供に注力しました。そして現在、T-Mobileの5Gネットワークは、米国最大・最速の5Gネットワークとなり、もっとも多くの賞を獲得しています。*

顧客第一主義に急激にシフトした結果、T-Mobileは大幅な前年比成長を果たしました。一方、他の大手キャリアは追随を余儀なくされるか、顧客を失うことになりました。

しかし、この取り組みを始める前のT-Mobileは、大きな課題を抱えていました。2009年ごろ、同社は米国の主要都市以外の地域で十分な通信範囲を確保できず、評判が低下していたのです。

この課題を克服するには、2つのソリューションが必要でした。1つ目として、T-Mobileは、当時目立たなかったワイヤレス業界でのプレゼンスを高める必要がありました。2つ目として、製品とサービスのイノベーションを進めて、この新たな使命を実現する必要がありました。そうした状況の中、T-Mobileは従来のキャリアが行ってきたビジネスとは異なるという意味の「Un-carrier(アンキャリア)」というキャンペーンを立ち上げました。

「私たちは人材ファーストの企業です。だからこそUn-carrierが生まれました」と、製品およびテクノロジー担当シニアマネージャーのPoppy Coutinho氏は語ります。

Un-carrierを前進させる

Un-carrierとして大規模な変化を受け入れるために、まず顧客の需要とニーズを理解することから始めました。これは、柔軟なプラン、透明性の高い価格設定、パーソナライズされたサービスなど、業界が先送りにしてきた取り組みでした。その後、古いビジネス運営を捨て、慣例にとらわれない新たなビジネスモデルを作り上げ、顧客ファーストを追求し、営業とサービスのシンプル化を進めました。

「全力でカスタマーファーストに取り組みました」と、シニアマーケティングマネージャーのMarti Walsh氏は語っています。「T-Mobileのあらゆる行動は、お客様に対する配慮がベースとなっています」

しかし、T-Mobileの取り組みは、顧客にとどまりません。優れたカスタマーサービスを提供するには、従業員の体験を優先する必要があります。そのために、T-Mobileは、統合された単一のCRMプラットフォームであるSalesforce Customer 360で営業、サービス、マーケティング、ITの各部門を連携させ、一元化された顧客情報を共有することから始めました。

Coutinho氏、Walsh氏、その他のT-MobileチームがSalesforce Customer 360を利用して従業員体験と顧客体験のデジタル変革をどのように実施したのか詳しく見ていきましょう。

 
 
 
 
 
 
目次

1.互いに接続したデータからあらゆる顧客を理解する

顧客により効果的に対応するために、T-MobileはB2B顧客とB2C顧客の全体像を作り上げる必要がありました。IBMとのパートナーシップにより、すでにSalesforceをサービスとカスタマーケアに導入していました。しかし、Un-carrierミッションを実現するには、新たなCRM機能群を導入しなければなりませんでした。

特に、T-Mobile for Businessでは必須でした。数百万人の購入希望者が店舗で商談を始めた場合、T-Mobileには、そうした商談の情報を取得し、デジタルチャネル内で共有するテクノロジーがありませんでした。また、商談後の営業担当者によるフォローアップの機会も限られていました。

米国内の5,000店舗以上での営業およびサービスプロセスを合理化するために、T-Mobileは店舗スタッフに対し、顧客への速やかな対応に必要な営業ツールを支給しました。カスタムアプリにより、営業担当者は店舗内の商談データを集約し、それぞれの見込み客について独自のプロファイルを作成できます。この信頼できる唯一の情報源を他のT-Mobileチームも参照し、見込み客の営業ファネルでの進行に合わせてデータを更新できます。

さらに顧客は、T-MobileのWebサイトやカスタムウェルカムアプリを通じて、来店予約も設定できます。顧客がT-Mobile店舗に到着した時点で、営業担当者はアカウント履歴の全体像を把握し、その顧客を迎えることができます。

「Salesforce最大の利点は、すべての顧客データを1か所に集約できることです」と、Coutinho氏は語ります。「顧客を単一画面で確認できるため、顧客のニーズを満たし、あらゆる場所でつながることができます」

店舗やオンラインタッチポイントの見込み客のデータを接続することで、営業担当者は、カスタマージャーニーの出発点にかかわらず、よりパーソナライズされた店舗体験の提供に集中できます。

2.営業担当者が合理的でパーソナライズされたカスタマーサービスを提供できるようにサポートする

T-Mobileの顧客体験を変革するには、社内でも同様の変革を進める必要があります。営業担当者とサービスエージェントの効率を高めるために、T-Mobileは、Communications CloudSalesforce Platformを利用して従業員体験を改善し、最終的に顧客体験も改善できる統合されたアプリを構築しました。

Communications Cloudは、営業チームが見積りと契約をすばやく正確に作成するために必要な業界固有のCPQおよび契約ライフサイクル管理機能を提供します。たとえば、店舗の営業担当者は、Salesforce Platformを利用したカスタムアプリにより、顧客のクレジットをタブレットからスピーディに処理できます。現時点で、T-Mobileは営業プロセスでのクリック回数を93%削減し、更新プロセスを85%高速化し、週単位の労働時間も7時間短縮しています。

 
 

7hours

週単位の労働時間を
短縮

 

93%

営業プロセスでの
クリック回数を削減

 

85%

更新プロセスを
高速化

Communications Cloudの効果は、Salesforce Platformに組み込まれた柔軟性と統合機能により、T-Mobileのビジネス全体に広がっています。顧客を単一画面で把握しながらサービスを最適化することで、チームは重複するデータ入力や雑務を減らし、パーソナライズされた顧客サポートにより多くの時間を割くことができます。
 
 
 

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3.ローコードアプリでスピーディかつ優れた顧客対応を実現する

顧客の情報を集約したら、このデータを活用する必要があります。T-Mobileは、従業員がさらに効率的に顧客に対応できるように、Salesforce Platformのカスタムアプリ構築機能を利用しました。たとえば、営業担当者はリードを集約することで、店舗の内外でよりパーソナライズされたカスタマーケアを提供できます。

「​​ローコード機能を利用して安全でパワフルな製品を構築し、アジリティを高めることができました」とCoutinho氏は語ります。「たとえば、設定済みの承認プロセスによって自動承認を有効にしています。製品のUIもSalesforce App Builderで構築することで、開発時間を大幅に短縮できました。さらに、Screen Flowを利用して、主要なビジネスプロセスのローコードとノーコードのワークフローを作成しています」

ローコード/ノーコードワークフローの作成機能により、営業チームとサービスチームの社内業務が一変しました。たとえば、カスタマーサービス担当者は、SlackのWorkflow Builder機能を利用して共有ドキュメントに簡単にアクセスでき、マネージャーは、カスタマーサポート業務に対して優れた可視性を得ることができます。さらに、チームは、ステータス更新のリクエストやピアレコグニション(同僚からの実績評価)の共有など、自動化されたワークフローを作成できます。

 
 
 
 
 
 
ローコード/ノーコードアプリは、顧客体験の強化にもつながります。Herokuアプリ構築統合により、顧客は予約や待ち時間の調整など、店舗体験を自己管理できます。T-MobileはHeroku Connectも活用し、組織全体の1億8,000万行以上のデータを同期しており、必要に応じて新しいアプリを作成できます。さらに、Heroku Customer Experienceを店舗に導入することで、店舗の訪問者を処理して顧客の待ち時間を管理できます。
 
 

180million

同期したデータ行

営業およびオンボーディングプロセスで、T-MobileはCRM Analyticsを利用して営業担当者をより収益性の高い商談へと導き、リスクの高いアカウントにフラグを立てて注意を喚起します。さらに、カスタマーケアチームは、コールセンターの需要をすばやく予測し、エージェントが顧客を速やかにサポートできるように支援します。

T-Mobileは、Experience Cloudを利用して、Metro-by-T-Mobile部門内でパートナーと従業員の体験を管理します。また、T-Mobileでは、単一のデジタル体験プラットフォームからすべての代理店販売の追跡、ワークフロー、承認の調整を行うことができます。T-Mobileは、Experience Cloudですべての販売代理店管理を実施しています。

4.リード分類とマーケティング戦略を最適化することで、ビジネス規模を拡大する

T-Mobileのネットワーク拡大に合わせて、マーケティング戦略を最適化するツールが必要になりました。急速な成長に対応しながら、カスタマーサービスの質を保つために、T-Mobileはカスタムマーケティング自動化機能とリード育成機能を2020年8月に導入しました。新型コロナへの対応に追われ、Sprintとの合併が最終段階に入っていた時期でした。

ビジネス課題に上乗せするのではなく、マーケティング機能を拡大することが、合併の進展に役立ちました。たとえば、T-MobileはSprintからT-Mobileに移行する膨大なデータ量を緩和するとともに、Sprintのマーケティング自動化統合のユースケースを合理化できました。

さらに、リード管理プロセスを自動化することで、営業担当者は手作業の時間を減らし、見込み客との質の高い関係構築により多くの時間を割くことができました。その結果、営業チームはより多くのパイプラインを生み出し、速やかに商談を成立させられるようになりました。

T-Mobileは、Marketing Cloudを利用して、社内のホームインターネット部門の新たなサービスを拡大して管理し、ジャーニービルダーやAPIコーリングなど、営業プロセスを最適化するためのツールを導入しました。

5.在宅勤務でもチームのつながりとエンゲージメントを保つ

パンデミックは、T-Mobileのあらゆる部門に大きな変化をもたらしました。Sprintとの合併成立を除き、同社はわずか2週間で従業員を完全にリモートに移行する必要がありました。しかし、Communications Cloudをすでに導入していたT-Mobileは、この状況に速やかに対応し、カスタマーサービスを途切れなく継続できました。

たとえば、営業担当者はプラットフォームを利用して顧客との関係を築くことができます。単一のダッシュボードで、日々のタスクを優先順位付けし、次に話す相手を判断し、現在の顧客との会話をどこからでも把握できます。これは、こうした困難な時期に顧客をサポートする際に不可欠な要素です。

柔軟性を保ちながら、従業員がチームとのつながりを自宅から維持できるように、T-Mobile Careチームは12,000人以上のコールセンターエージェントをバーチャルワークに移行しました。T-Mobileは、Slackをデジタルの職場として導入することで、社内の数千人に上るユーザーのコミュニケーションを強化しました。

さらに、Slackを利用して、重要な新型コロナ関連の情報を従業員とリアルタイムで共有しました。店舗マネージャーは、店舗や地域固有の質問の回答を平均2分で得られるようになり、適切なガイドラインを速やかに適用できました。 

Slackは、73,000人以上のSprint従業員のオンボーディングにも利用され、合併を完了させることに役立ちました。T-Mobileはスムーズな移行を実現できるように、Slackにバーチャルコマンドセンターを作成し、縦割り構造を解体して、約200人のT-MobileとSprintの従業員間のコミュニケーションをサポートしました。

 
 

12k

バーシャルワークスペースに移動した
コールセンターエージェントの数

 

73k

1日にオンボーディングを受講した
従業員数

 

2

マネージャーが回答を
得るまでの分数

新型コロナへの対応の一環として、T-Mobileは、AppExchangeパートナーのGlance(英語)を通じてローコード共同ブランドパイロットを立ち上げました。この機能により、顧客とサービスエージェント間でリアルタイムでの画面共有が可能になり、非接触でケースを速やかに解決できるようになりました。この機能を追加したことで、新型コロナ関連のケース数の急増に伴うコールセンターの負担も軽減できました。

営業およびサービス体験の優先順位を見極めながら、合併とパンデミック対策を同時に進め、T-Mobileは適応力と回復力を維持できました。Customer 360により、顧客だけでなく、従業員のニーズも集約して、イノベーションを引き続き推進することができました。

 
*5G:対応デバイスが必要です。一部地域ではご利用いただけない場合があります。使用状況によっては特定のプランや機能が必要になる場合があります。T-Mobile.comでご確認ください。最速:Ookla®による「Speedtest Intelligence® 5Gダウンロード速度データ、2022年第1四半期」の分析から得た、中央値にもとづく統合された5G全体の速度。T-Mobile.comで、5Gデバイス、対応範囲、アクセス詳細をご覧ください。ベストエフォート:www.speedtest.net/global-index/united-states#market-analysis(英語)で報告された2022年第1四半期のOokla®によるSpeedtest Intelligence®データの分析にもとづきます。Ooklaの商標はライセンスに従い、許可を得て転載しています。もっとも多くの賞を受賞:独立した業界エキスパートが公開したレポートの国内5G指標でもっとも多くの賞を受賞。
 

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