営業DXとは?最初にやるべき3つのことと2つの成功事例を解説

 
2023.12.26
営業現場でのDX(デジタルトランスフォーメーション)とは、顧客管理のデジタル化・効率化に加えて、マーケティング活動の自動化、営業活動のオンライン化など多くの対応があります。その中でも、導入時期にまずやるべき3つのことをベースに解説していきます。

営業のDX化のメリット

これまでの営業活動は展示会やセミナー、客先訪問など対面を中心としたものでした。しかし、新型コロナウイルス感染症(COVID‑19)の影響により、ビジネスをとりまく環境は一変し、営業の全てのプロセスで非対面の活動が求められるようになりました。

営業のデジタル化は、オンライン上でのリード(見込み客)獲得や顧客情報の一元管理、契約にかかる時間の省略なども可能になります。販路拡大や業務のスピードアップをマンパワーに頼らずに実現できる可能性もあり、感染症対策以外のメリットも数多く存在します。

これからの時代、労働人口の減少が進むことで人材と時間の確保はさらに重要度を増すと考えられます。限られた人材で最大の効率を上げるためにも、営業DXは重要と言えるでしょう。

営業DXで最初にやるべき3つのこと

営業DXを始めるにあたり、まずやるべきことは営業活動で管理している情報をデジタル上に移すことです。デジタルの得意分野は、顧客データの管理や共有、場所・時間に縛られない営業活動などにあります。これらのプロセスは互いに連携しているため、営業プロセス全体をデジタル化することで、初めてそのメリットを最大化できます。

ここからは、営業のメインフィールドをデジタル上に移すにあたり、必要となる3つの要素を解説します。

1)営業支援システム(SFA)の導入

営業支援システム(SFA)とは、「Sales Force Automation」の和訳および略語で、営業メンバーの行動や商談の進み具合、その後の結果などを情報として管理・蓄積するシステムのことです。顧客情報の一元管理、リアルタイムでの更新が可能になることで、常に最新の顧客情報に基づいたアクションができます。

そして何より大きな特徴が営業のしくみ化です。属人化しやすい営業業務ですがSFAを導入すれば、優秀なプレイヤーの営業プロセスを可視化し、それらを組織全体の営業スタイルとして取り入れる、または他部門と連携できるところを見つけて、より営業を効率化するといったことも可能になります。以下はSFAでできることの一例です。

  • 顧客の過去の提案や問い合わせ履歴などを一元管理
  • 案件の進捗をリアルタイムで可視化
  • 営業成果、営業課題の原因分析
  • データに基づいた売上予測
 
 

5分で学ぶシリーズ SFA・CRM編

 
顧客情報を会社の資産として一元管理し、部署の垣根を越えて連携することで、全社で同じ方向を見て、各顧客に合わせた最高の購買体験を提供することができます。

2)オンラインでのリード獲得

コロナ禍により展示会やイベントなどもオンライン化が進んでいます。Zoomに代表されるビデオ通話ツールを使ったオンラインセミナー(ウェビナー)やWebページ、ホワイトペーパーなどからのリード獲得はすでに一般化しており、もはや営業活動の基礎となりつつあります。

オンラインのリード獲得の特徴は、見込み客のアクションを定量化できるため、その後の施策に反映しやすいことにあります。具体的にはWebサイトの訪問履歴やSNSの反響、動画コンテンツの視聴データなどです。

その際、忘れてはいけないのがMA(マーケティングオートメーション)です。リードの獲得・管理だけでなく、データ分析といった営業サポートを自動化できるシステムです。MAは上記のようなデータを集計・分析するのに役立ち、営業活動の時短だけでなく顧客一人一人に合わせたセールスをやりやすくしてくれます。

3)営業活動・契約のオンライン化

従来のように、営業担当者が顧客(見込み客)のもとに訪問して商談を進めていく「フィールドセールス」に対して、メールやSNS、Zoomなどを活用して、顧客と対面せずに行う営業手法を「インサイドセールス」と言います。

インサイドセールスの導入によって、見込み客の管理と適切なタイミングでのアプローチが可能になります。従来であれば分からなかった見込み客の「温度感」をデジタルデータで可視化することで、効率的に成約まで持っていくことができます。

さらに、成約時には、クラウドサインをはじめとするオンライン契約ツールを使えば、契約書の締結もオンライン上で完結できます。CRM(顧客管理システム)と連携すれば、契約書の管理も簡単になります。

以上、SFAの導入、オンラインでのリード獲得、営業活動・契約のオンライン化は、営業DXの基幹を担う重要なファクターとなります。営業DXを始めるにあたり、まずこの3点から取り組むのが良いでしょう。

営業DXの2つの成功事例

ここからは、営業のDX推進で成功した企業の事例を2つご紹介します。

どちらもSalesforce社のCRMツール「Salesforce」を使用した例で、1つは抱えていた課題に、もう1つは検討していたチャレンジに対し「解決策」として活用しています。営業DXの強みである、営業活動の時短やオンラインへの販路拡大、データ分析によるOne to Oneマーケティングなどを実現しており、営業DXの効果がよく分かる事例となっています。

Salesforce+The Modelで営業・ マーケの「ムリ・ムラ・ムダ」を排除するミスミ新規事業のDX

 
会社名:ミスミグループ本社
事業内容:精密機械部品の製造販売

ものづくり関連に特化したカタログ販売を行っているミスミグループ本社の例です。同社では、新設した営業・マーケティング組織において、顧客フォローに偏りや抜け・漏れなどが発生する状況があり、いわゆる「ムリ・ムラ・ムダ」が課題となっていました。

この状況を改善するために選んだのが、営業プロセスモデルの1つである「The Model(ザ・モデル)」の導入です。The Modelには、「営業プロセスを切り分け、各段階での情報を数値化・可視化する」、「各段階を担当する部門間が連携することで、顧客満足の向上を図る」という2つの特徴があります。

The Modelの導入によって、分業体制の構築と業務の標準化に成功した同社は、さらにSalesforceのクラウド版「Sales Cloud」によって情報の一元化を、MAツール「Pardot」によってOne to Oneマーケティングを実現。最終的には、営業DX化前に比べて、顧客獲得数は4倍に、さらに必要な情報を適切なタイミングで顧客に配信することで、リピート化にも成功しています。

CRMを基盤にDXを進め、継続的な顧客価値創造の基盤を整備

 
会社名:パナソニック株式会社
事業内容:照明器具や電気設備商材とサービスの提供

パナソニック株式会社 ライフソリューションズ社では、顧客それぞれが抱える課題に寄り添うソリューション型ビジネスに舵を取るため体制作りに取り組んでいました。具体的には、販売代理店や電気工事事業者、ゼネコンなど、ステークホルダーをまたいだ人たちのニーズの把握および継続的ケアを行う仕組みです。

しかし、対応可能なシステムの多くは、「部分最適」で、さらに顧客情報が社内外で分散管理されていたことで、大規模な情報共有が難しくなっていました。

この課題を解決するために選んだのが、CRMを基盤とした営業DXの推進です。Salesforce社の提供するデザイン仕様を活用した、イノベーションプログラム「Salesforce Ignite」によるワークショップを開催。フラットなスタンスで課題を精査した結果、Salesforceが最適解となり、導入する運びとなりました。

Salesforceの導入により、ビジネス上のKPI(重要業績評価指標)改善を支える情報基盤の確立に成功。継続的な顧客価値創造に向けたビジネス体制の整備に繋がりました。さらに1対nのコミュニケーションによる、担当者への社内の相互支援も実現。新たなチャレンジを実現するための基礎作りに繋がりました。

 
 

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