カスタマーサービスとは?意味や活用事例、必要な3つのスキルを解説
カスタマーサービスについて、単なる「問い合わせ窓口」と考えている方も多いかもしれません。しかし、実際の業務内容は、顧客と直接コミュニケーションをとり、顧客の課題を解決する重要なものであり、カスタマーサービスは顧客満足度や売上の向上に貢献する部門です。
ここでは、カスタマーサービスの業務内容やヘルプデスクやコールセンターとの違い、重視される理由のほか、カスタマーサービスに求められるスキル、活用事例について解説します。
カスタマーサービスをビジネスの武器に
カスタマーサービスとは、顧客に対してさまざまな情報提供やサポートをすること
カスタマーサービスとは、自社の顧客あるいは見込み顧客に対して、購入前、購入時、購入後にさまざまな情報提供やサポートを行うことです。カスタマーサービスは顧客と直接コミュニケーションをとる部門であり、消費者に対する「企業の顔」ともいえる重要なセクションです。
カスタマーサービスの対応が不十分だと、顧客満足度は低下してしまいます。また、対応が紋切り型で、消費者側の意をくんでいないものであれば、やはり顧客の心は離れてしまうでしょう。そのため、常に高いクオリティの顧客対応を提供し、ブラッシュアップを重ねてより洗練されたサービスを提供することが求められます。
第5回 カスタマーサービス最新事情
ヘルプデスクやコールセンターなど類似した部門との違いは?
カスタマーサービスと混同されやすい部門に、ヘルプデスクやコールセンターが挙げられます。これらの部門との違いは業務範囲です。明確な定義があるわけではなく、企業によっては業務範囲が重なることもあります。
また、近年では、電話だけでなくチャットやSNSでの問い合わせにも対応するカスタマーサービスとして、コンタクトセンターを設置する企業も増えています。これらの部門とカスタマーサービスの、一般的な業務範囲の違いは以下のとおりです。
■混同されがちな各部署の業務範囲
部門 | 業務内容 |
ヘルプデスク |
製品の不具合について技術的なサポートを行う |
コールセンター |
問い合わせ対応のほか、電話での営業活動も行う |
コンタクトセンター |
チャットやSNSでの問い合わせにも対応する |
カスタマーサービス |
問い合わせやクレームなどを受けて解決を図る |
カスタマーサクセス | 製品やサービスを通じて顧客の成功を支援する |
カスタマーサービスが重視される2つの理由
カスタマーサービスが存在することで、自社の顧客あるいは見込み顧客に対して、さまざまな情報提供やサポートが可能になります。
その中でも、特にカスタマーサービスが重視される理由を2点ご紹介します。
売上の向上に活用できる
カスタマーサービスが重視される理由は、売上の向上に活用できるからです。カスタマーサービスが充実すれば顧客満足度が向上し、顧客がリピーターとなることで売上の向上も期待できます。
企業が安定的な売上を向上させるためには、2つの方法があります。ひとつは、新規顧客を常に開拓し続け、売上を上げていく方法です。もうひとつは、既存の顧客をリピーターに育て、自社商品を何度も購入してもらうことで、LTV(顧客生涯価値)を高めるという方法です。
もちろん、どちらかに極端に偏るのは良くありません。しかし、リピーターの維持と比べると、新規顧客の獲得には数倍のコストがかかるといわれています。そのため、リピーターを育てることが企業の安定成長のために重視されるようになりました。リピーターを育てる方法はさまざまで、営業、マーケティング、それぞれに打つべき施策はあります。
顧客満足度向上に貢献するカスタマーサービス
カスタマーサービスは、顧客満足度向上にも貢献します。顧客に対していかに満足感を与え、自社のリピーターになってもらうかは、多くの企業にとって重要な課題です。価値観の多様化が進んだ現在では「高品質の製品やサービスを適正価格で」というだけでは、消費者はなかなか購入してくれません。そのため、企業にとっては顧客満足度やブランド力の向上が重要となっています。
顧客満足度を高め、ブランド力を向上させるため、企業は顧客とのつながりを強固にし、十分な満足感を感じてもらうことに注力しています。その重要な接点のひとつがカスタマーサービスです。洗練された質の高い対応は、顧客に大きな満足感を与えることができるため、優秀なカスタマーサービス担当者は優秀な営業担当者と同様に、リピーターの育成に貢献してくれます。
カスタマーサービスの2つの目的
リピーターの育成
製品・サービスの品質向上
カスタマーサービスに求められる3つのスキル
顧客視点での対応力や傾聴力
課題発見能力
自社の製品やサービスに関する理解
第5回 カスタマーサービス最新事情
カスタマーサービスにおけるSalesforceの3つの活用事例
カスタマーサービスの業務にツールを活用することで、顧客との関係強化や顧客満足度の向上を促進することが可能です。
ここでは、Salesforceのソリューションを活用してカスタマーサービスの充実を実現した事例を2つ紹介します。
集約したデータをもとに、個客への行き届いたサービスをデザイン
ANAグループでは、世界有数規模のエアラインを支えるITインフラの刷新と、デジタルを活用した新領域の開拓を進めてきました。顧客情報管理の領域でのDXでは、顧客のニーズに合ったサービスを切れ間なく提供するため、部門横断的なプラットフォームの整備を実施しています。
データを集約するデータベースに連動させる形でSalesforceのMarketing Cloudをご導入いただき、顧客へのメッセージ配信や、アプリへのプッシュ通知などが実現されました。
このようなデジタルでの施策を、リアルでの接客とも連携させて、顧客体験の向上を図っています。たとえば、空港の保安検査場を早めに通過した乗客には、クーポンメールがリアルタイムで送信されるしくみです。それに加え、出発ロビーの売店で、店員がクーポンの提示者に「早く来てくださってありがとうございます」などと声かけすることで、デジタルとリアルが融合したサービスを目指しています。部門横断的なMarketing Cloudの活用で、さまざまな施策が柔軟に展開できるようになったため、より効率的な運用を目指して、組織体制も変革されました。これまでグループの各社・各部門が独自に進めてきたコミュニケーション施策は、現在では、データエンジニアリングや分析基盤を担当するANA X株式会社デジタルマーケティング部に集約されています。
Salesforceの導入で作業負荷と待ち時間を大幅に削減
国内のクレジットカード業界を牽引する、三井住友カード株式会社。会員数は2,400万人を超え、年間の取扱高は11兆3,600億円の規模を誇ります(2016年3月現在)。一方で、業界内の競争は激しく、新規顧客の獲得に加え、既存顧客のつなぎ止めが欠かせません。そこで、顧客ロイヤリティの向上を目指して、カスタマーサービスの業務改善を打ち出しました。さまざまなチャネルを通じた顧客からの問い合わせに、よりスムーズにかつ短時間で対応することで、顧客満足度を高めるというものです。
同社ではコンタクトセンターの新たなシステムとして、Salesforceを導入しました。すでに同社の別部署でSalesforceを活用し、コスト削減の実績があった点や、ROI(投資利益率)が大きい点が決め手となりました。
Salesforceの導入によって、顧客からの入電とほぼ同時に、参照するべきマニュアルを画面上に表示できるように改善されました。これにより、オペレーターの作業負荷が大幅に軽減され、顧客の待ち時間の削減にもつながっています。また、金融機関ならではの高度なセキュリティを規定した、FISC(金融情報システムセンター)のガイドラインに準拠していることも、高く評価されています。
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顧客とのつながりの強化、顧客満足度の向上につなげる
株式会社日立ハイテクが提供する製品群は、長期にわたって利用し続ける物が大半です。そのため、購入までのプロセスはもちろん、アフターセールスが重要となります。カスタマーサービスからの一報を受けてからの対応スピードを速める必要がありました。
しかし、それまでの情報管理は部署ごとで完結しており、対応プロセスも部署ごとに異なっていました。そこで、顧客情報とその関連情報を一元管理できる統一プラットフォームを導入し、情報伝達をスムーズにして顧客満足度の向上を図ることとしました。
顧客中心のサービスを実現するためのプラットフォームとして、Salesforceを選択。「顧客360度ビュー」と呼ばれるしくみを構築しました。約半年かけて作り上げたこのシステムは、2019年春から稼働しています。
また、同社では顧客との接点である会員制サイトも強化しました。大規模なリニューアルを行い、登録済みの顧客に対しては個々の興味に合わせてパーソナライズされたコンテンツを提供しています。未登録の潜在的顧客に対しては、それぞれ興味のある事項を引き出し、それに応じた提案を営業担当が行うという連携を実現しています。
ツールを活用してカスタマーサービスの業務を効率化!
カスタマーサービスの業務は顧客満足度や企業の売上向上につながる重要な業務です。しかし、ツールの導入が進まず、多くの企業で非効率なカスタマーサービス業務が残っています。 適切なツールを活用すれば、より効率的に業務を進めることが可能です 。
Salesforceではカスタマーサービスの業務に貢献するソリューションを提供しています。プロセスの自動化やAIによる顧客とのやりとりで業務効率化を実現するService Cloudを、ぜひご検討ください。