ビッグローブ株式会社

顧客体験の高度化を目的に、
Salesforceを全面採用。
顧客にかかわる業務の自動化を加速

Marketing CloudとService Cloudを中心に据え、
Data Cloud for Marketingで顧客情報を包括的に統合しました。
さらに各種ツールを組み合わせて個別プロセスの改善も進めています。

ビッグローブ株式会社(以下、BIGLOBE)は、老舗のインターネット・サービス・プロバイダー。ビッグローブ光に代表される固定回線サービス、モバイル回線サービスの運営がビジネスの柱です。近年では通信料金の一部を寄付できるdonedone(ドネドネ)を展開するなど、広く社会にユニークな提案をしていることも同社の特色で、温泉地でのワーケーションやビルのCO2削減に取り組むなど、社会をより良くするための事業展開も行っています。その同社は、顧客サービスの強化にSalesforceを活用しています。Customer 360のコンセプトをビジネスに実装し、顧客により良い体験を届けるために、Salesforceの複数のソリューションを連携させた仕組みを構想。着実に成功を積み重ねながら、顧客にかかわるビジネスのさまざまな場面でSalesforceを役立てています。
 
 
 
 
 

1. Marketing Cloudでメール配信業務を最適化

BIGLOBEは、長期にわたってSalesforceを利用してきました。グループ会社のコンタクトセンターで活用を開始したのは2013年のこと。以来、本社のコンタクトセンターや販売店との取次支援など、適用範囲を拡大しながら運用を続けています。10年弱のSalesforce活用の中で、もっとも大きな転換点になったのは、2018年に開始したMarketing Cloudの適用です。

導入のきっかけは、自社開発したメール配信システムに限界を感じたためでした。提供するサービスが増えるに伴ってシステムが複雑化し、データベースも乱立する結果になりました。当時のシステムは、高度なターゲティングや自動化には対応しておらず、最適な顧客セグメントに対して、最適なタイミングでメールを配信することができませんでした。以降もサービスは拡充する方向にあり、このまま運用を続けることはシステムの維持工数が増大するだけでなく、顧客に対して最善ではないと判断しました。

そこで同社はMarketing Cloudを選定。最大の理由は他のシステムを含めて顧客最適のソリューションとして期待できたこと。そして、同社の課題を解決するのに十分な機能を備えていたためでもあります。

営業統括本部 副本部長 結城 良哉氏は、「システム維持の工数削減に加え、配信対象者や配信タイミングを柔軟に設定できるようにするなど、お客様に対するメール配信プロセスの最適化が目的でした」と話します。メール配信にかかわるスタッフは、マーケティング部内だけではありません。他の事業部門でも必要に応じて配信するケースがあります。そうしたスタッフを適切にサポートするために、同社では、Marketing Cloud部分についてはマーケティング部がオーナーシップを持って運用する方針を立てました。

「新しいツールになりますから、社内のユーザー全員が扱い慣れるまで、私たちがバックアップしました。セールスフォース・ジャパンの皆様にも全面的なサポートをいただき、スムーズに移行を進めることができました」(同氏)

稼働から約4年を経た現在、同社が運用するシナリオは100を超えます。顧客行動をリアルタイムにとらえてアプローチするシナリオに加え、入会直後のフォローアップやバースデーメールなど、全自動/半自動で実行できるものも多く、担当者の工数を大きく削減することができました。顧客の行動ログと連携させることで、サイト訪問者やサイト離脱者の把握も可能になり、そのデータとシナリオが連動することで、より最適な顧客に最適な案内を出せるようになりました。

 
 

2. 光回線の開通プロセスを最適化

Marketing Cloudと同時進行させたプロジェクトに、光回線開通プロセスの最適化があります。このプロセスに適用したSalesforceも、メール配信業務と同様に大きな価値を提供することになりました。

BIGLOBEの回線契約の1つの販路では、まず代理店が顧客の申し込みを受け付けるところからスタートします。その後は、同社と顧客との間で工事日連絡などのやり取りが発生し、同時にキャリアとの工事日調整が走ります。その後、無事に工事が完了し、開通を確認すれば、このプロセスは完了することになります。最短では1か月以内、最長でも3か月程度のプロセスですが、このプロセスがスムーズに流れれば流れるほど、顧客の満足度は高まります。また、すべての関係者にとっても、迅速な情報共有の価値は大きなものになります。

コンシューマ営業部 副部長 長内 陽知氏は、「お客様の期待が高まっているタイミングで、工事日を決められる仕組みを望んでいました。営業部門としてもそうですし、申し込みを獲得した代理店様も、お客様から伺った工事希望日の中から一発で回答できる割合を少しでも高めたいのです」と話します。

 
 
 
 

そのために同社は、適切な権限設定のもとで情報をリアルタイムに共有する仕組みを作り上げました。具体的には、以下のような流れです。代理店には、Partner Communityを提供し、顧客の申し込み情報を入力してもらいます。顧客情報はSalesforceでリアルタイムに管理できるようになり、Marketing Cloudで顧客専用ランディングページが立ち上がります。以降、顧客にステータス確認をしてもらう役割を、Marketing Cloudが受け持ちます。一方、内部的なプロセスは、Service Cloudで運用します。キャリアとの工事日調整プロセスを走らせ、BIGLOBEによるサポートが必要であれば顧客に電話やSMSで連絡を取り、工事の完了をSalesforce上で確認します。

この仕組みは、Salesforceで顧客データを一元管理できているために可能になります。活用するツールは違っても、サービスは滞りなく流れます。たとえば、顧客にSMSで連絡を取るケースにおいて、「SMSを送る」という行為はService Cloudのプロセス管理下ではありますが、Marketing Cloudで実行しています。

「私たちは、お客様満足度・パートナー様満足度を高めることが自社の利益拡大につながると考えておりますので、開通率日本一を目指し続けます。申し込んだ後に新たなニーズが出てくるお客様は一定数いらっしゃいますし、オプションサービスを最適に組み合わせたいというコンサルティング依頼や、電話番号に愛着を持っておられる方からの相談など、弊社には多様な要望が寄せられます。お客様に最適なご案内をするためのノウハウは、Salesforceに蓄積し続けています。プロセスの最適化/自動化でスピードを高めると共に、お客様対応レベルの高度化という面でも、Salesforceには大きな役割を果たしてもらえそうです」(長内氏)

 
 

3. 適用業務を拡大し、Data Cloudの活用も近く開始

BIGLOBEは、複数のSalesforceプロジェクトを実行しながら定着化を進め、着々と成果を重ねてきました。そして、その成果の多くは「これまでならできなかったこと」で、数値化しにくいものです。さらに、できなかったことを可能にする複数のプロジェクトが進んでいます。

たとえば、Marketing Cloud Personalizationの活用。これは、会員アプリを通じて、特定の顧客だけにアンケートを配信したり、ニーズのある顧客だけにサービス案内のバナーを出し分けたりするために利用しています。Marketing Cloudを使えばアプリへのプッシュ配信をできるのですが、過度なコミュニケーションは顧客体験を損ねてしまいます。顧客が自発的にアプリを開いたタイミングで案内を出し分けできるため、施策によっては想定していた反応以上の効果が見られました。

コンシューママーケティング部 グループリーダー 小原 政紀氏は、「ある一定セグメントの顧客に対して、バナーの出し分けや表示条件、フリクエンシーを細かくカスタマイズできることがPersonalizationの魅力です。よりお客様の体験に適した案内を提供できるシナリオを開発しています」と話してくれました。

 
 
 
 

Einstein ボットの活用も開始しました。これはdonedoneの問い合わせプロセスを自動化するもので、Service Cloudと連携しています。顧客データを一元化できるだけでなく、ボットからオペレーターへシームレスに応対履歴を連携することができました。その結果、ボットによる工数削減という効果とともに、顧客応対の品質向上にも役立てることができています。

さらに、Data Cloud for Marketing(以下Data Cloud)の活用も2022年春より段階的に開始する予定です。現在は全社の顧客データを整え、Data Cloudに投入している最中で、その一部データを活用していく予定です。

Data Cloudの導入目的は、主に2つあります。1つ目は、まだ一元化されていないデータを含め、Data Cloudに取り込み、顧客データの中心として機能させること。もう1つは、Data Cloudに格納されたデータ使って、各マーケティング担当者が施策の立案から実行、検証、改善までを一気通貫で自走できるようにすることです。これらが実現すれば、顧客主体のワン・ツー・ワン・マーケティングを加速させることができ、結果として顧客体験のさらなる向上を期待できます。

結城氏は、「ワン・ツー・ワンを高度化させ、適切なお客様に、適切な案内を、適切なタイミングで届けることを目指します。通信回線そのものは、コモディティ化したサービスと言われています。だからこそ、こうした取り組みで顧客体験を向上させ、BIGLOBEを好きになって使っていただけるお客様を増やしていきたいのです」と話します。

 
 
 
 
Data Cloudも、当面は既存顧客の体験をより良くするという目的のみに使用し、潜在顧客のナーチャリングなどの施策は、次のステップになります。ただ、もちろんその部分も将来的な構想には入っています。今後もBIGLOBEは、Salesforceのさまざまなソリューションを組み合わせて適切なプロセスに当てはめ、成果を重ねながらプロジェクトを加速していきます。
※ 本事例は2022年1月時点の情報です
 

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