リピート率とは?計算方法やリピーター率との違い、上げるための施策を解説

 
2023.12.15

企業の売上を維持し、拡大させていくには、顧客にリピートしてもらうことが重要です。新規顧客の開拓が大きな負担となる中で、顧客のリピート率に注目している企業も多いのではないでしょうか。

ここではリピート率とリピーター率の違い、リピート率が注目される理由や低下する要因、向上のための施策などを解説します。

リピート率はリピーターとなる顧客の割合

リピート率は、新規顧客のうち、どの程度の割合で、顧客がリピーターとなっているかを表す数値です。BtoBでもBtoCでも重要とされる指標ですが、特にBtoCのECサイトなどの分野では、リピート率が売上に直結するため、重要視されています。

リピート率が高い場合、顧客は製品やサービスに満足し、リピートしている状況だと考えられるでしょう。逆に、リピート率が低い場合は、繰り返し利用してくれる顧客が少ないことを意味しています。リピート率は以下の計算式で算出します。

<リピート率の計算式>

リピート率=特定期間内のリピート顧客数÷特定期間内の新規顧客数×100

リピート率の向上は売上の安定や拡大のために重要な役割を果たします。それは、新規顧客に自社の製品やサービスを購入してもらうためには、既存顧客に販売するよりも多くのコストがかかるからです。そのため、リピート率を高め、製品やサービスを購入し続けてもらうことが、企業にとって重要となっています。また、リピート率が安定すれば、毎月の売上も安定するため、企業はキャンペーンやプロモーションなどの施策に、継続的にコストをかけられるようになります。

 
 

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リピート率とリピーター率の違い、計算方法について

リピート率と似た指標に「リピーター率」がありますが、この2つはまったく別の意味を持つ指標です。リピート率は新規顧客のうち、どのくらいの割合がリピートしているかを示します。一方、リピーター率は、特定期間の顧客のうち、リピーターがどのくらいの割合で存在しているかを示す指標です。リピート率とは意味が違う指標なので、数値の違いを把握した上で使い分けることが重要です。リピーター率は以下の計算式で算出します。

<リピーター率の計算式>

リピーター率=特定期間内のリピート顧客数÷特定期間内の総顧客数×100

リピート率は、高ければ高いほど企業にとって良い状態だといえるでしょう。扱う製品やサービスの種類や販売形態などによって、標準的なリピート率は変わりますが、一般的なECサイトでは30~40%といわれています。

一方、リピーター率は数値の高低に関する考え方が異なり、極端にリピーター率が高い場合は注意が必要です。この状況は、新規顧客がごく一部しかいないことを示しており、企業にとって健全な状況ではありません。需要がなくなったり、優れた他社製品が登場したりすることで、リピーターであっても、購入をやめてしまう可能性はあります。そのため、リピーター率は高いほど良いとはいえず、新規顧客とのバランスが重要となります。

リピート率が重視される2つの理由

リピート率を高めることで、企業は安定的に売上を伸ばしていくことが可能となります。ここではリピート率が重視される理由について2点紹介します。

売上の安定につながる

リピート率が重視される理由は、リピート率を分析することで売上の安定につなげられる点です。企業が売上を拡大する上で、新規顧客の開拓は必須の要素ですが、容易ではありません。そのため、既存顧客との関係性を良好に保つことで、リピート率を高め、取引を始めてから終わるまでの利益の総額を示すLTVを向上させる方法が注目されています。

リピート率が高ければ、全体の顧客のうち、どの程度の顧客が次回以降も購買を続けるか予想でき、売上の予測も容易になります。これは一般的に、2回目の購入があった顧客は、3回目以降も購入を続け、リピーターとなる可能性が高いとされるためです。3回目以降も購入してくれるリピーターが増えれば、製品やサービスの消費サイクルに応じて、数年先までの売上を予測することも可能となります。

顧客満足度の把握につながる

顧客層満足度の把握につながる点も、リピート率が重視される理由です。顧客のリピートは、製品やサービスへの満足を前提としています。そのため、リピート率が高ければ、顧客満足度も高い状態にあるととらえることが可能です。一方、リピート率が急に下がるような事態があれば、顧客満足度も低下していることが予想されます。リピート率の変化を通じて、顧客満足度も把握できると良いでしょう。

リピート率を低下させる2つの要因

リピート率が上がれば企業の売上や顧客満足度の向上に貢献しますが、リピート率が下がってしまうこともあるでしょう。そのため、どのような要因がリピート率を低下させるのか知っておくことが重要です。ここではリピート率を低下させる要因を2つ紹介します。

製品・サービスへの不満

リピート率を低下させる要因は、製品やサービスへの不満です。初回の購入で不満を持たれてしまうと、リピートにはつながりません。不満にもさまざまな要因が想定されます。たとえば、製品やサービスの品質が価格に見合わないといった、根本的な問題がある場合もあるでしょう。また、問い合わせに対するレスポンスの遅さといった、サポート面に課題がある可能性もあります。このようなさまざま不満から、リピート率が押し下げられていると考えられます。

他社製品・サービスへの乗り換え

他社製品・サービスへの乗り換えも、リピート率を低下させる要因です。自社と同程度の品質や価格の他社製品・サービスがある場合、サポート体制やキャンペーンなどの差で、他社に乗り換えられてしまう可能性があります。顧客から自社の製品やサービスに対する不満が寄せられていないにもかかわらず、リピート率が低下している場合は、他社へ乗り換えが発生しているかもしれません。他社がキャンペーンなどを実施しているか確認し、対策を実施すると良いでしょう。

リピート率向上のための6つの施策

自社の製品やサービスのリピート率を低下させている要因を把握できたら、向上のための施策を検討しましょう。リピート率の向上にはさまざまな要因が関係するため、複数の施策を組み合わせ、実施する度に反応を分析し、どの施策が自社に適しているか模索する必要があります。ここでは6つの施策を紹介します。

アフターケアとサポート体制の充実

リピート率を向上させるためには、購入後のアフターケアとサポート体制の充実が必要です。顧客からの問い合わせやクレームなどに、できるだけ早く対応できる体制を構築すると良いでしょう。また、自社の製品の特性に応じて、使い切る前のタイミングやメンテナンスの時期に再購入を促すことも有効です。購入後のアフターケアやサポートは、顧客に満足感と好感を与え、リピートへと導く大切な施策です。

リピーターへのメリットの設定

リピーターへのメリットの設定も、リピート率の向上に貢献する施策です。一般的に顧客は多くの場合、特別な存在として扱われることを好む傾向があります。リピーターに向け、「お得意様限定」「特別企画」など、といったメリットを享受できるキャンペーンを用意すると良いでしょう。

どのようなメリットを用意すればいいかは、製品やサービスによって異なります。BtoCの場合は、限定商品の用意や、優先販売の実施などが挙げられます。BtoBであれば、有料サービスや情報を一定の期間、無料で提供することも効果的です。リピーターが現在以上に「欲しい」と感じるようなメリットを提供できれば、その後の継続にもつながります。

紹介制度の整備

紹介制度の整備も、リピート率向上のために役立つといえるでしょう。紹介制度は、既存顧客に友人や知人を紹介してもらい、購入につながれば、紹介した側・された側の双方に、何らかのメリットを提供するしくみです。口コミで顧客が広がる、BtoCの分野でよく使われる手法です。リピート率向上に加え、新規顧客獲得の役割もあり、売上を安定させつつ拡大するのに有効な施策といえるでしょう。

会員制度・特典制度の充実

会員制度・特典制度の充実も、リピート率向上のための施策のひとつです。顧客だけが入会できる会員制度を作り、会員向けの特典を用意します。会員特典が魅力的であればあるほど、購入への動機は強まるでしょう。また、会員制度を作れば、ポイントサービスや会員ランクも導入することができます。

ポイントサービスは、購入金額に応じてポイントを付与し、一定期間に貯まったポイントに応じて特典をプレゼントするしくみです。会員ランクは、購入金額に応じてシルバーやゴールド、プラチナなどのように会員をランク分けし、より大きな特典が得られるようにするシステムです。より多くのメリットを提示し、リピーターのさらなる購入を促します。

「特別な日」のメッセージ・特典のプレゼント

顧客の誕生日など「特別な日」に、メッセージや特典をプレゼントすることも、リピート率の向上につながります。初回購入時に誕生日などの情報を取得しておけば、簡単に実施できる施策で、顧客の購買意欲を高めることが可能です。顧客全員を対象に広く実施すれば、2回目のリピートを促す効果があるでしょう。また、対象を会員限定に絞り、特典の内容を充実させて実施すれば、対象者がリピートする可能性をより高められます。

製品やサービスへの満足度の検証

リピート率向上のためには、製品やサービスへの満足度の検証も必要です。定期的なアンケートなどによって、自社の製品やサービスの現状を把握することが重要です。調査結果にもとづいて、製品やサービスの質を高め、顧客満足度を向上させることができれば、リピート率の向上にもつながります。製品やサービスに応じて、質問内容を十分に検討し、定期的に調査すれば、回答の変化を見ながら改善策を実施することも可能となるでしょう。
 
 

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リピート率向上のための2つのポイント

企業は複数の施策を組み合わせて実施することで、リピート率を向上させることが可能となります。また、リピート率向上を図る際には、注意すべきポイントがあります。ここではリピート率を向上させるために重要なポイントを2つ紹介します。

休眠顧客を作らない

リピート率を向上させるためのポイントは、休眠顧客を作らないことです。休眠顧客は、何度かリピートしてくれたものの、いつの間にか購入をやめてしまった顧客を指します。休眠顧客に再度購入を促すのは難しいため、リピーターが休眠顧客とならないように工夫しましょう。定期的にコミュニケーションを継続していくことが重要です。リピーターの育成同様に、リピーターの維持にも注力する必要があります。

価格競争に巻き込まれない

価格競争に巻き込まれないことも、リピート率を向上させるためのポイントです。他社との競争が激しい環境の場合、値引きは集客に大きな効果のある手法です。しかし、頻繁に値引きを実施していると、自社のブランドに影響を与えてしまいます。いつも値引きをしているというイメージが固定化されてしまうと、通常価格で買ってくれる顧客は少なくなり、継続的なリピートにも影響します。値引きは慎重に検討すべき施策なので、価格競争に巻き込まれないような差別化を優先しましょう。

ツールを活用してリピート率の向上を図ろう

リピート率の向上は、企業の売上向上に大きく貢献します。さまざまな施策を試しながら、自社の製品やサービスに合った施策を見つけることが重要です。

リピート率向上には顧客体験の向上が不可欠です。Salesforceではリピート率の向上に貢献するソリューションを提供しています。Marketing Cloudでは、購買データを集約し、ターゲット層についての理解を深め、ショッピングジャーニーのあらゆる段階を、お客様一人ひとりに最適化することで、適切な商品を適切なタイミングで提案することが可能です。詳細なレポート作成・分析機能の活用でマーケティングキャンペーンの効果を最大限に高め、ROIを伸ばしてビジネスを成長へと導くMarketing Cloud、顧客とのタッチポイントにおいて効率化を実現し、顧客体験の向上を図るService Cloudを、ぜひご検討ください。

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