リードナーチャリングとは?実践的な手法とメリット・デメリットを紹介!

 
最終更新日:2024.4.8

商談成立・成約は営業にとってひとつのゴールです。自社と自社製品に「興味がある」程度であった人々とコミュニケーションをとり、情報のやりとりをしてリードに育て、最終的に顧客として成約する。このようなプロセスは、営業業務においてとても重要なものです。

ここでは、自社製品に興味を持ったリードを顧客に育て上げる、リードナーチャリングについて解説します。

リードナーチャリングとは?

リードナーチャリングは、おもにBtoBの場面で使われ、「顧客育成」という意味を持つ言葉です。

製品・サービスを販売する企業にとって、リードの数は「多ければ多いほど良い」と考えるのは当然です。そのうちの数%が「顧客」となるのですから、最初の分母は大きいに越したことはありません。

しかし、リードの数を増やすことも大切ですが、さらに重要なのは、そこから先の育成です。自社製品に「これも良さそうだな」程度の興味しか持っていないリードに対して、さまざまな方法でコミュニケーションをとって情報を提供し、購買意欲を高め、最終的に「これがあれば、自社の課題を解決できる。ぜひ欲しい」という状態にまで誘導する。そのプロセスがリードナーチャリングです。

実効性の高いリードナーチャリングを実現できれば、たとえ分母の数が少なくても、それを効率良く商談・成約へとつなげることができます。つまり、「量より質」の営業活動が可能になり、効率を高めることができるのです。

なぜリードナーチャリングが必要なのか?

ナーチャリングを強化できれば、リードをより効率良く顧客へと育てることが可能になります。しかし、そもそもなぜこうした手法が必要になるのでしょうか。そこにはいくつかの理由があります。それら一つひとつを解説します。

ネットの普及による顧客の行動の変化

リードナーチャリングの重要性が増してきた要因のひとつは、インターネットの普及です。

一昔前であったら、市場や製品の情報の多くはベンダーが握っており、顧客側はいわば情報弱者でした。何らかの製品やサービスを導入するにしろ、ベンダーから教えてもらわなければ、その製品やサービスの機能、市場での評価などを知る手段がなかったのです。顧客とベンダーに情報格差があったため、まずは、「ベンダーに自社の要望を伝えた上で営業担当者を呼び、説明を受ける」というのが、一般的な流れでした。営業担当者は顧客と交渉することができるので、説明を受けてその場で発注ということも、頻繁にありました。

しかし、インターネットが普及したことで、この流れが大きく変わります。企業はベンダーに頼らずとも、欲しい情報の多くを収集することができますし、市場における評価や口コミも知ることができます。競合製品との比較・検討も容易です。

ですから、ベンダーの営業担当者に声がかかるのは、すでに自社内で十分な比較・検討がなされた後になります。これは、ベンダー側から見れば、「最終決定に至るまで営業活動や交渉ができない」ということでもあります。

ならば、リード段階にある顧客が情報収集から決定に至るまでのあいだで、いかにして自社製品をアピールするか。そうした発想から、リードナーチャリングの重要性が語られるようになりました。

成約までの期間の長期化

これは前項とも関連しますが、Webでの情報収集が容易になったことで、顧客は競合各社を含め、従来とは比べものにならないほど、多くの情報を得ることができるようになりました。その多くの情報を詳細に分析し、その中から1つに絞るためには、やはり時間も手間もかかります。
また、情報を集めて購入候補を絞り、見本市や展示会で実物に触れ、資料やデモ版をダウンロードし、営業担当者から話を聞き…というように、製品やサービスに関心を持ってから成約に至るまでのプロセスが多く、そのために商談成立までの期間が長期化している事情もあります。そのため、営業がフォローしきれず、案件化に至らないケースも多いのではないでしょうか。

しかし、リードが購入製品を絞り込むまでの期間が長いということは、その間に適切なコミュニケーションをとれれば、選定のプロセスに介入し、自社製品へと誘導するチャンスが大きいということでもあります。また、リードの持っている情報や認識を知り、不足している情報を補ったり、誤解を解いたりすることができれば、「そんな機能があるのか。だったらそれも選択肢になるな」という具合に、商談・成約へと続くチャンスにつなげることもできます。そうした点でも、リードナーチャリングの重要性が増しているのです。

過去の休眠リード・休眠顧客を再発掘できる

新規開拓を熱心に行っている企業であれば、リードとしてキャッチしたけれども商談に至らなかったケースも多々あるかと思います。そうしたリードのほとんどは、日報や営業記録の中に埋もれてしまい、時間とともに忘れ去られてしまうものです。しかし、そうしたリードの中には、「もう少し検討してみる」という段階に至りながら、営業チームのリソースを割くことができず、放置してしまった…という案件もあるはずです。
休眠リードや休眠顧客は、一度は自社製品に興味を持ってくれた層です。まったく未知の新規開拓を行うよりも、遥かに効率良く案件化に誘導することができるはずです。つまり、見込み顧客を開拓するリードジェネレーションと並行してリードナーチャリングを行うことで、案件へとつながるルートがさらに増えるというわけです。
 
 
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リードナーチャリングのメリットは?

続いて、リードナーチャリングにどのようなメリットがあるのかを見ていきましょう。そのポイントはおもに次の2つです。

ブランドイメージや信頼感を構築できる

企業が導入・購買する製品やサービスは、BtoCと違って、個人的な満足や遊びのためのものではありません。その製品やサービスによって、業務課題を解決あるいは改善し、売上の増大や業務効率の向上に役立てるためのものです。つまり、思っていたほどの効果がなかったからといって、簡単に「次は別のものにしよう」というわけにはいかないのです。購買担当者にとっては、進退を左右するほどの責任問題になってしまう場合もあります。

だからこそ、購買担当者や決裁者は、できるだけ失敗しないよう、間違いのない選択をしたいと考えます。そのためには、Webなどで得られる情報に加えて、より詳細で有益な多くの情報を得ようとします。
そのようなときに、知りたいと思っていた情報を、顧客にタイミング良く届けることができればどうでしょうか。それは、自社製品の購買を大きく後押しするだけにとどまらず、自社製品やサービス、ひいては自社に対する信頼感を醸成し、ブランドイメージとして固定化することもできます。 もちろん、一度や二度のコミュニケーションでは不十分です。リードの状況を正しく読み取った上で、さまざまな媒体を駆使しながら、タイミング良くコミュニケーションをとり続けることで、それが可能になるのです。

見込み顧客の増加で継続的な売上が期待できる

テレアポやDMで新規開拓していても、商談化するのはそのうちの数%にすぎません。常に、一定数の商談を保持し続けるためには、新規開拓の数を増やすのがシンプルな対策となりますが、それとて営業リソースを割かれるばかりの消耗戦になってしまいます。
しかし、ナーチャリングを強化すれば、新規開拓数を増やすのではなく、商談化の件数を増やすことで、営業効率を高めることができます。たとえそれが「他の製品とも比較したいから、少し検討してみよう」というリードであったとしても、そうしたリードにリードナーチャリングをかけていったほうが、新規開拓から案件化するよりも、継続的な売上へとつなげることができるのです。

リードナーチャリングを実践するには?

企業が購買を検討する期間は、決して短期間ではありません。数年単位で検討し、購買に至るケースもあります。ですので、フォローを止めてしまうことは、大きな機会損失となります。
そこをフォローするには、たとえ案件化・成約に至らなくても、継続的なコミュニケーションをとり続けることが重要です。

インサイドセールスの採用

リードの発掘から案件化までを、インサイドセールスが担当するようにすれば、営業部門は案件のクロージングに集中することができます。インサイドセールスを社内でまかなうか外注するかは判断が分かれるところですが、この作業分担によって、それぞれのチームが自分の業務に集中できれば、案件化から成約への成果も伸びていくでしょう。

ツールの活用

MA、SFA、CRMなどのツールは、リードの発掘から成約後のケアに至るまで、それぞれの場所で業務のサポートをしてくれますので、積極的に導入し、活用したいものです。
ただし、これらのツールは、「導入しただけで結果が出る」わけではありません。正確かつ十分なデータの入力と目的に沿った活用が必須ですから、その点には注意が必要となります。

コミュニケーションの媒体を選ぶ

掘り起こしたばかりのリードが商談化に至るまでには、いくつもの段階を踏むことになります。そして、有効なコミュニケーションを図るには、段階ごとに、適切なチャネルを選ぶ必要があります。それには、まずそれぞれのチャネルの特性を知っておくことです。
初期の段階では、SNSが有効かもしれません。接触のハードルが低く、拡散も期待できます。メールマガジンはより多くの情報を届けることができますから、リードナーチャリングの手段としては一般的でしょう。しかし、タイミングや配信頻度に注意しないと、煙たがられてしまう危険性もあります。 セミナーの開催は、リードの関心をより高める方法として効果的です。わざわざ時間と労力を割いてまで話を聞きに来るのですから、その時点でかなり有望なリードといえます。

リードナーチャリングの手法

最後に、具体的なリードナーチャリングの手法について、例を挙げながら解説します。リードナーチャリングの対象となるリードの興味とその度合いは、それぞれに異なります。どのような手法を選ぶか考える際には、リードに届くようなアプローチを心掛けましょう。

  • メールマガジン
    メールマガジンは最も普及している、BtoBでも有効なリードナーチャリング手段です。大量のリードに一般的な情報を発信する場合に向いています。
  • ステップメール
    ステップメールは階段を昇るように、内容を変えて段階的に送信するメールを指します。たとえば、デモ版をダウンロードしたユーザーを定期的にフォローするという使い方が有効です。
  • セグメントメール
    セグメントメールは、特定の属性を持つグループに、その属性に合わせた内容のメールを送信する手法です。通常のメールマガジンよりも、その属性にフィットした訴求内容を盛り込むことで、より大きな反応を狙えます。

SNSによるリードナーチャリング

SNSによるリードナーチャリングはBtoCに向いた手法ですが、近年ではBtoBでも注目されています。 自社と自社製品・サービスのブランディング、認知度の向上、ロイヤリティの向上が期待できますが、複数のSNSからどれを選ぶか、自社ブランドの属性やコストなどを総合的に検討することがポイントでしょう。

オウンドメディアによるリードナーチャリング

オウンドメディアは、自社で運営する情報発信サイトです。役立つ知識や情報を提供し、自社の認知度や製品・サービスへの興味を高める役割を持ちます。
オウンドメディアの運営は、SEOをはじめとするWebマーケティングの知識が必要で、すぐに効果が出るものではありません。しかし、検索結果からの自然流入が増えれば、低いコストで多くのリードを呼び込むことが可能になります。

セミナー開催によるリードナーチャリング

リードの興味のあるテーマで、講師を招いて開催するセミナーも、リードナーチャリングのひとつの手段です。近年では、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、Web上で行われる「ウェビナー」が増えています。
セミナーは、リードと対面できるという特性上、他とは異なる強力なリードナーチャリングの手法だといえます。また、メールやSNS、オウンドメディアと組み合わせて使うことで、多角的なリードナーチャリングが可能です。

リードナーチャリングは売上の分母を増やす

リードの段階から顧客を育成し、その上で自社顧客になってもらう。こうしたプロセスの中で、リードナーチャリングは「売上の分母を増やす」役割を持ちます。
営業業務の効率化という点でも有効な手法ですから、有効に活用することでアウトプットの数字にも大きく影響するはずです。自社に合ったリードナーチャリングのプロセスを探り、営業業務の効率化と実績の拡大に役立ててください。
 
 
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