オムニチャネルとは?メリット、実現させるための手順を解説

投稿日:2021.11.26
近年、小売やECサイト周辺で聞かれる「オムニチャネル」。さまざまなタッチポイントを統合し、販売機会を逃さず、顧客満足度を高めるマーケティング手法です。
ここでは、オムニチャネルとはどのようなものなのか、メリット、実現するための手順について解説します。

オムニチャネルとは、自社と顧客との接点を統合・連携させるマーケティングの手法

オムニチャネルは、「すべての、あらゆる経路」という意味を持ちます。つまり、自社と顧客との接点となるあらゆる経路を統合・連携させ、販売促進につなげようというマーケティング手法を表すものです。
オムニチャネルを最初に実践したのは、アメリカの百貨店Macy'sだといわれています。それまで実店舗とECサイトで別々に稼働していた情報管理システムを統合することで、あらゆる経路をカバーし、販売機会の逸失を防ごうという取り組みを始めたのです。やがてこの手法が、個々の顧客に最適化された体験を提供することで、顧客満足度を高めるという認識が広がり、世界中へと普及していきました。

O2Oやマルチチャネル、OMOとの違いは?

オムニチャネルと似た言葉として「O2O」や「マルチチャネル」、さらに「OMO」というものがあります。オムニチャネルについて詳しく解説する前に、これらの言葉についてご説明しましょう。

  • O2O
    O2Oは、「オーツーオー」と読み、Online to Offlineを意味します。オンラインでのコミュニケーションからオフライン、つまり実店舗へ誘導するというマーケティング手法です。メールやアプリで割引クーポンを発行し、実店舗への来店を促すという手法がO2Oにあたります。
    オムニチャネルは必ずしも実店舗への誘導を伴わず、むしろ実店舗とECショップとの境界を取り去った戦略ですから、その点がO2Oとは異なります。
  • マルチチャネル
    マルチチャネルは、顧客の好みに合わせて販路を使い分けられるよう、複数の販路を用意しておく手法です。顧客は実店舗でもネットショップでも、都合の良い販路で情報を集め、商品を購入できます。
    ただし、マルチチャネルの場合、オムニチャネルのような「複数のチャネル同士の連携」は考慮されません。つまり、オムニチャネルは、マルチチャネルの進化版ということができます。
  • OMO
    OMOとは、Online Merges with Offlineの略語です。オンラインとオフラインを区別せず、すべてを統合したサービスを顧客に提供しようというマーケティング手法というわけです。
    顧客の購買行動だけではなく、あらゆるタッチポイントで上質な顧客体験を設計していくことが、OMOの際立った特徴といえます。

オムニチャネルが注目されるようになった背景

オムニチャネルが必要とされるようになった背景には、スマートフォンの普及と高速通信インフラの整備があります。この2つが実現したことで、誰でもどこからでもインターネットに接続し、膨大な情報をやりとりできるようになりました。自宅や会社のPCを使わなくても、通勤電車の中でスマートフォンを使い、気になっていた商品の情報を引き出し、SNSで口コミをチェックし、複数の店舗で価格を調べ、そのまま購入…という購買行動が可能になったのです。
そのため、企業側で顧客接点となるすべての経路を統合して、マーケティング活動を展開する必要性が高まり、オムニチャネルが注目されるようになりました。

オムニチャネルのメリット

オムニチャネルは、企業にとっていくつものメリットをもたらします。ここでは、代表的なオムニチャネルのメリットをご紹介します。

顧客満足度の向上

マルチチャネルの場合、企業と顧客の接点が複数用意されていても、それぞれの連携は考慮されていませんでした。そのため、「実店舗で売り切れだったので、ネットショップで購入した」というように、顧客側の行動を必要とする場面が少なからずありました。
しかし、オムニチャネルであれば、顧客が来店したその場で他店やネットショップの在庫をチェックし、後日自宅に配送するというアクションが可能になります。これは、顧客満足度を高め、エンゲージメントを高めてくれる大きな要素となります。

一貫したサービスを提供できる

オムニチャネルは、単に「実店舗とネットショップとの連携」というだけにとどまりません。実店舗とネットショップ、SNSでの反応やコメントなど、複数のチャネルにおける顧客行動を分析し、最適化された顧客体験を創出します。
たとえば、ある顧客がPCでチェックしていた商品が、数日後にSNS広告で表示され、さらにメルマガのセール告知にも掲載されるという具合です。個々の顧客に最適化されたマーケティング施策が、すべてのタッチポイントで展開されます。それが、顧客に強い印象を与えるとともに、タッチポイントの違いを意識させずに購入へと導くことができるのです。

販売機会を逃さない

BtoCはBtoBと異なり、購入を決めるまでのプロセスが極端に短い上、購入者自身が決裁者となることが多いです。ですから、顧客が「欲しい!買いたい!」と感じたその瞬間を逃してしまうと、他店で購入されてしまうことにもなりかねません。
しかし、オムニチャネルを展開していれば、そうした不安は解消できます。実店舗とECショップとの在庫管理を統合し、あらゆるタッチポイントが販路になるため、どんな瞬間でも、販売機会を逃さない環境を作り上げることが可能です。

オムニチャネルを実現するための手順

多くのメリットを持つオムニチャネルですが、その環境を整えるには、いくつかの段階を踏み、手順に従って進めていく必要があります。ここからは、オムニチャネルを実現するための手順をご紹介します。

現状を分析し、ロードマップを作る

オムニチャネル化の第一歩は、現状分析です。自社の組織構成、人員配置だけでなく、業界内の状況や競合の動向など、外部環境も調査しておきます。特に、競合がオムニチャネルを実施している場合には、顧客として接してみて、その手法をチェックしておくといいでしょう。
これら、内外の状況を調査・分析したら、課題解決や環境構築を進めるロードマップを作成します。

どこで、どのような体験を提供するかを決める

顧客は、オンラインとオフラインの区別なく、多種多様な行動をとります。その中で顧客との接点となるタッチポイントを洗い出し、どのポイントでどのような顧客体験を提供するかを検討していきます。
ここで役立つのが、カスタマージャーニーマップです。自社の顧客モデルをペルソナとして、購入までにどのような行動をとるのかを可視化したものです。
このマップを、文字どおり「地図」として、どこでどのような体験を提供していくかを検討します。その場合、まず現在の状況を洗い出し、その内容を修整・変更していく作業と、新たな価値提供のポイントを追加していく作業を、両輪で進めていきます。

社内の体制を整える

オムニチャネルでは、顧客に関するあらゆるデータ、たとえば、基本情報に加えて、接客履歴や購入履歴、ECショップでの商品閲覧履歴など、詳細なデータが必要です。これら、多くの情報を一元管理する、顧客管理システムの導入を検討すべきでしょう。
また、社内の体制整備の一環として、人材の配置やスタッフの意識変革も必要になるかもしれません。特に、自社内に販売チャネルごとの「囲い込み意識」があると、顧客の奪い合いに発展してしまう可能性があります。そうした状況を避けるには、時間をかけて軌道修正していかなければなりません。

実店舗とECショップそれぞれの担当者間で競争心が膨らむのは、無理のないことかもしれません。しかしそれは、社内の事情であって、顧客には関係のないことです。重要なのは、「どのチャネルで売るか」ではなく、どのように買ってもらうのかという点です。そうした考えを、時間をかけて社内に浸透させる努力が求められます。

データ連携できるよう、システムを見直す

オムニチャネルでは、情報の一元管理が不可欠です。そのためには、商品の在庫状況、個々の顧客の行動履歴、実店舗とECショップの売上など、あらゆるデータを連携させ管理できる、統合されたシステムが必要となります。情報が統合された環境を実現できて初めて、どのタッチポイントでも一貫したサービスを顧客に提供できるようになるからです。
そこで有用なのが、MAの活用です。MAを自社のSFAやCRMといったシステムと連携させると、そこに蓄積された顧客の属性情報や購買履歴を一元管理することができ、各タッチポイントで個々の顧客に最適化された対応がとれます。

効果検証と改善を施す

これまでご紹介した準備が整い、実際にオムニチャネル化できても終わりではありません。当初の想定どおりに稼働しているか、分析・検証することが大切です。そして、必要であれば改善を施し、さらなる効果を目指します。
検証と改善は、施策の内容のみではありません。もしも、想定どおりに事が運んでいないとすれば、施策の内容でなく、そもそもの仮説に誤りがあったのかもしれません。その場合は、カスタマージャーニーの見直しや修正が必要になるでしょう。
オムニチャネルは、あらゆる接点をとらえて販売機会を逃さない戦略ではありますが、同時に、快適な顧客体験を提供するものでもあります。決して、顧客にとってわかりにくいもの、困惑させるものであってはなりません。顧客の立場で検証し、ブラッシュアップを重ねていくことが大切です。

改善の繰り返しで、理想のオムニチャネルを実現しよう

オムニチャネルは、単に形を整えるだけでは不十分です。本来の目的に沿って各チャネルが有効に機能しているか、顧客に満足していただけているか、検証を繰り返し、改善していくことが重要です。
長期的な視点に立って試行錯誤を繰り返しつつ、理想的なオムニチャネルの実現を目指してください。
 

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