生産性の向上で何が変わる?生産性を高める方法について

更新日:2021.07.27

生産性の向上は、現在の多くの企業にとって、まさに至上命題といえるほどに大きな課題です。生産性の向上を果たせば、同じ労力、同じ時間で、より多くの成果を得ることが可能になります。今以上の競争力を獲得するためには必須となる改善ですが、いったいどうすれば実現できるのでしょうか。
ここでは、生産性の基礎知識と、生産性を向上させるための方法について解説していきます。

生産性とは何か?

第二次大戦後、世界経済を復興させる目的から、各国で生産性向上運動が展開されました。その拠点のひとつとして設置された「ヨーロッパ生産性本部」によれば、生産性とは「生産諸要素の有効利用の度合いである」と定義されています。

製品やサービスを生み出すためには、原材料や加工・生産設備、それを設置・運転するための土地、建物、エネルギー、労力、時間と、有形無形の多くのものが必要になります。それらの生産要素を投入して、どれほどの製品やサービスを得られたか。その比率が生産性です。
生産性を最も単純な数式で表せば、次のようになります。

<生産性の計算式>
生産性=産出物÷投入物

つまり、インプットに対してどれだけのアウトプットを得られたかを示すのが生産性であるというわけです。この数値が小さければ「生産性が低い」ということであり、効率が良くないということになります。
そのため、「多くのアウトプットを、より少ないインプットで得る」という方法論に沿って、多くの企業で生産性を高める努力が続けられています。

生産性には複数の種類が存在する

生産性はさまざまな場面、さまざまな要素を用いて表すことができます。100個の製品を作るために3日かかっていたものが1日でできるようになれば、生産性は3倍になったと見ることができますし、同じく100個の製品を作るのに10万円かかっていたものが5万円でできるようになれば、生産性が2倍になったといえます。
このように、生産性にはいくつもの指標があるのですが、大別すると「物的生産性」と「付加価値生産性」の2種類に分けることができます。それぞれについて、解説していきましょう。

物的生産性

物的生産性は、製造業でおもに使われます。「製品の生産量」というアウトプットと、それを生産するために必要とされる「労働力」や「時間」「コスト」「原材料の数量」といったインプットとの比で表されます。
アウトプットには生産量ではなく、売価を使う場合もありますが、製品やサービスの売価は物価の変動や市場動向などで変わるため、生産現場での純粋な生産性を測定する際には、生産数量を単位とするのが基本です。

物的生産性には、労働者1人あたり、あるいは単位時間あたりの生産性を示す「労働生産性」、企業が保有する生産設備と生産量の比を表す「資本生産性」、より広範なインプットに対する生産量の割合である「全要素生産性」などの種類があります。

付加価値生産性

付加価値生産性は製品の数量ではなく、アウトプットの金額的価値を単位とした数値です。原材料を仕入れて加工するまでのコストが1個あたり1,000円の製品が1万円で売れたとすれば、9,000円の付加価値を生み出したことになります。この「付加価値額」と、「労働力」や「時間」「コスト」などとの比で表した数値が付加価値生産性です。

付加価値生産性は価格をベースとした数値ですので、製造業だけでなく、実体のない商材を扱うサービス業でも用いられる数値です。
物的生産性と同じく、こちらも労働生産性、資本生産性、全要素生産性などの種類があります。

生産性の変化を測る指標「労働生産性」

私たちが会話や文章の中で「生産性」という言葉を使う場合、詳細な数値指標やその算出方法まで意識することは少ないでしょう。多くの人々は単純に「かけたコスト、時間、労力に対するアウトプットの量」、あるいは逆に「一定の成果を生み出すために必要としたコスト、時間、労力などのインプットの量」という認識で、この言葉を使っています。
そして、近年よく話題にされる生産性とは、「1人の人間が一定時間にこなすことのできる仕事量」、つまり多くの種類が存在する生産性の数値の中でも「労働生産性」が問題にされているということになります。
では、その労働生産性を測る指標は、どのように算出すればいいのでしょうか。

労働生産性の算出方法は?

前項で解説したように、労働生産性は「物的生産性」と「付加価値生産性」、それぞれで使われています。これは、アウトプットとして「生産量」を使うか「付加価値額」を使うかの違いで、基本的な算出方法は変わりません。

<労働生産性の算出方法>
・物的労働生産性=生産量÷労働量
・付加価値労働生産性=付加価値額÷労働量

ここでいう労働量とは、「成果を得るために要した労働者数×所要時間」があてはまります。
労働生産性を指標とすることで、自社の生産性がどの程度なのか、さらに生産性向上のための施策の効果がどの程度の変化をもたらしたのかを知ることができます。

生産性向上と業務効率化の違い

生産性とともによく話題にされる「業務効率化」。ともに似たような意味合いで使われていますが、この2つは別物と考えたほうがいいかもしれません。

まず生産性ですが、これは「インプットとアウトプットの比」を表すものです。費用対効果と同様の概念で、「どれだけ投入して、どれだけ得られたか」を示しています。ですから、生産性向上とは、その数値を高めることが目的であり、施策としては成果に直接つながりやすい行動や対策が中心となります。
一方の効率化は、現状の非効率的な部分を改める活動を指します。そのため、「現状のマイナスをゼロに近づける」という行動が中心で、少しでも無駄をなくすことが目的となります。

それぞれ関連がありますし、効率化は生産性向上の一環ということもできます。しかし、具体的な施策を立案する際には、それぞれの目的を見据えて構築することが大切です。

数値化できない生産性もある

生産性は、数式によって算出できる反面、現実の仕事の場面では数値化できない要素もあります。たとえば、業務成果が数値として表れるセールス部門であっても、数値化できない仕事をしているスタッフはどの企業でも見られます。

新人の育成とケアが得意なメンバー。誰かがミスを起こしたとき巧みに立ち回り、サポートやリカバーをこなすメンバー。部内のムードメーカーとして、常に好ましい雰囲気を醸し出すことに長けたメンバー。
こうした人々の仕事は、決して数値化することができません。それぞれの営業成績だけを見れば、あまりパッとしない数字にとどまっているかもしれません。しかし、こうしたメンバーの仕事が、部門全体の生産性向上に貢献していることは、まず間違いありません。

生産性の向上、さらにそのための施策を考えるときには、こうした数値化できない、しかし明らかに生産性に寄与している要素についても忘れてはならないでしょう。

生産性を高めて得られるメリット

生産性を高めると、現在の企業の多くが抱えている経営課題を、多方面にわたって軽減あるいは解決することができます。そのメリットの一端をご紹介しましょう。

人手不足に対応できる

現在の日本では、実に多くの分野で人手不足が深刻化しています。帝国データバンクの2020年4月の調査では、正社員が不足している企業は31.0%。農林水産業と建設業ではともに48.2%と高く、2019年度に人手不足によって倒産した企業は194件と、前年度と比べて14.8%の増加となりました。
しかし、こうした状況にあっても、生産性を向上させれば、より少ない人数、少ない労力で従来と同様の成果を上げることができます。
生産性の向上は、人手不足に対応するための大きな力となるのです。

国際的にも競争力が高まる

生産性が高いということは、より少ないインプットで多くのアウトプットを得られるということです。これは、企業の競争力につながります。
残念ながら、日本の就業者1人あたりの労働生産性は、国際的に見ると高くはありません。2018年の時点で、OECD(経済協力開発機構)加盟国36か国中、21位。先進主要7か国(G7)の中では、1994年以降、最下位が続いています。
ですが、個々の企業が生産性の向上を実現し、日本全体で成果を高めることができれば、この状況をくつがえして、国際競争力を高めることが可能となります。安価な海外製品の攻勢に対抗するには、生産性の向上は乗り越えなくてはならない大きな課題なのです。

コア業務に集中でき、就労環境を改善できる

生産性が高まれば、これまでと同量の成果を、より少ない労働量、より短い時間で得ることができます。これにより、各部門のスタッフがそれぞれのコア業務に集中することができ、さらに生産性が高まるという好循環を生みます。
また、残業を大きく減らすことで心身へのストレスをやわらげるなど、職場環境の改善にも貢献します。生産性の向上は数字に表れないところまで、その効果を発揮してくれるのです。

生産性をさらに高める方法は?

では、生産性を今以上に高めるためには、どのような方策があるのでしょうか。その具体的な施策や手法は個々の企業によって、さらに部署によって異なるでしょう。しかし、基本的な考え方は共通です。
まず業務を可視化すること、見えている無駄を取り除くこと、そして適したITツールを活r用すること。この3点です。

業務内容を可視化する

まずは日常の業務を洗い出し、可視化します。「日常業務をマニュアル化する」という意識で行うといいでしょう。こうすると、同じ部署内でもスタッフによってやり方が違ったり、作業のプロセスが一定でなかったりといった、ばらつきが見えてきます。また、抜け落ちてはいけない重要な手順がおろそかにされたり、作業の重複を発見できたりもするでしょう。
この「業務の可視化」が、生産性向上の第一歩です。

業務上の無駄を取り除く

業務の全体を可視化できたら、その中から無駄な部分を見つけ、取り除いていきます。複数の手順で行われている作業があれば、最も効率的で確実な方法に統一しておきましょう。
仕事の手順や情報の保存の仕方など、人それぞれにやり方が違っているのは好ましくありません。部署内で共通のルールを作り、それに沿って業務が流れるように整理していきましょう。
また、作業の無駄を排除すると、空いた時間で本来のコア業務に時間とエネルギーを振り分けることができます。より少ない労力と時間で最大の成果を得られるよう、コア業務にリソースを集中させる業務プロセスを構築してください。

各種のITツールを活用する

生産性の向上のためには、各種ITツールの活用は不可欠です。
たとえば、メンバーそれぞれが管理していた情報をCRMSFAなどのツールで一元管理しておけば、誰もが最新情報にアクセスできます。定型的なデータ処理は自動化しておけば、処理にかけていた時間と労力を、別の作業に使うことができます。
市場には生産性を高める各種ツールが、多数流通しています。自社のニーズや規模に合ったものを選び、積極的に活用していきましょう。

生産性を向上する際の注意点

生産性の向上を図るにあたっては、下記のように注意しておきたいことがいくつかあります。気をつけていないと、生産性を上げるつもりが、反対に下げることにもなりかねません。

現場と経営陣とのコンセンサスを十分に行う

会社組織の改革や基幹システムの導入など、組織に大きな変化をもたらす活動には、経営陣の関与が必要です。しかし、経営陣のトップダウンだけで、組織を変えられるものではありません。経営陣と現場との意識のすり合わせ、コンセンサスが不可欠です。
生産性の向上がなぜ必要なのか、個々の現場にどのようなメリットが生まれるのか。経営側は現場に対して、時間をかけて説明して理解を得る必要がありますし、現場の状況を理解した上で実行に踏み切ることが重要です。

長時間労働に陥らないようにする

生産性の向上を実現すると、より少ない労力と時間で一定の成果を得ることができます。これを拡大していくと、「この状態で労働時間を増やせば、もっと成果が上がるじゃないか」ということになり、結果的に長時間労働を招くことになります。
しかし、生産性向上の本来の趣旨からすれば、労働時間をこれまで以上に延長することは避けるべきです。もし、無理を承知で強行すると、現場には「やっぱりこうなるのか…」というあきらめが広がり、モチベーションが低下してしまいます。そうなればケアレスミスが増え、トラブルの原因にもなりますし、かえって生産性が下落することにもなりかねません。
かつての日本で美徳とされていた長時間労働は、生産性の向上には役立たない。そうした認識を持っておくべきでしょう。

マルチタスクの実践は慎重に行う

1人のスタッフが複数の業務をこなすマルチタスク。それぞれの業務の小さな空き時間をうまく使いながら、同時進行で業務を回していければ効率が良く、生産性も上がりそうに思えます。
しかし、人間の脳はコンピューターとは違いますから、そううまく切り替えられるものではありません。むしろ、複数の業務のことを考えなければならないことから脳にストレスを与え、疲れさせ、生産性の下落を招いてしまいます。
あれもこれもと欲張らず、ひとつの仕事を集中して仕上げる。それが、生産性向上の基本です。

大幅な生産性向上を果たした事例

生産性を改善・向上させることで、どのような変化が組織に起こるのか。その事例を最後にご紹介しましょう。

事例1 情報の95%を電子化、月間2,500時間の工数削減

会社名:株式会社サンゲツ

1849年創業という、長い歴史を持つインテリア商品の専門商社である株式会社サンゲツ。業界最大手として順調に発展してきた一方で、長く経営してきたゆえの課題も山積していました。営業担当者は施主やゼネコン、設計事務所など、多くの営業先を抱えつつ、社内でのノンコア業務もこなさなければならない、自己完結型のスタイル。しかも、あらゆる情報伝達と保存が紙ベースであり、業務の効率化とセールス体制の変革が急がれる状況にありました。

現状打破の思い切った方策として、同社は全社に「Sales Cloud」を導入。業務状況を可視化するとともに、それまで紙ベースだったあらゆる情報を電子化。さらに、デジタルデータをベースにした営業活動と、ワークフローを構築しました。この、デジタルへの移行によって、営業部門の情報のうち95%をデジタル化。月間で2,500時間もの工数の削減を果たすとともに、膨大だった印刷用紙の使用量を大幅に減らすことができました。

また、デジタル化によって営業スタイルも大きく転換。あらゆる情報をリアルタイムで共有できるメリットを活かし、「繋がるサンゲツ」という指針を設定。代理店や仕入れ先向けのポータルサイトを立ち上げ、情報共有から在庫確認・出荷証明書の発行などの作業まで、ウェブで完結できるしくみを作り上げ、業務の効率化と生産性の向上に大きく役立てています。

事例2 顧客対応の質を高めつつ、業務負担を大きく低減

会社名:ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社

インターネット接続サービスを手掛ける、ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社。市場の拡大が頭打ちになりつつある状況で、「いかに顧客満足度を高めるか」が大きな課題となっていました。その中で、顧客からのニーズが高まっていたのが、チャットやSNSによるノンボイスのカスタマーサポート。しかし、従来のシステム構成では機能の追加がしにくく、また複数のシステムを併用していたため、操作性も高いものではありませんでした。

この課題を解決するために同社が導入したのが「Service Cloud」です。高機能を低コストで、しかも安定的に使うことができ、拡張機能を追加する際にも、社内のIT部門の手をわずらわせることがありません。
また、運用時のオペレーションを考慮して、あらゆる問い合わせに対応できるようカスタマイズ。問い合わせ内容に関連するナレッジをデータベースから呼び出し、一画面に表示させるよう変更したことで、オペレーターの作業負荷が軽減され、サポート完了後の作業量も15%削減することができました。
こうした実績を踏まえて、同社ではチャットサービス「Live Agent」、フォーム作成ツール「Web to Case」の活用を始め、現場の生産性を高めつつ、より優れたカスタマーコミュニケーションの実現を目指しています。

生産性向上は実現できる事業課題

少子化や競争の激化によって、多くの業界で生産性の向上が急務となっています。これは企業にとって、競争力を高めるためには不可欠の課題です。実現に向けて大小の課題や問題はあるかもしれませんが、それは決して越えられない壁ではありません。
全社を挙げて取り組み、生産性の向上とともに、自社のさらなる発展を目指してください。
 

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