カスタマーサクセスが手掛けるSaaSビジネスにおけるオンボーディング

投稿日:2021.4.16
アプリやツールを提供して月額課金を得るモデルであるSaaSビジネスでは、新規顧客を継続顧客に育てることで、安定した収益を上げることができます。そのためには、優れたプロダクトであることはもちろん、利用し続けてもらうための活動、つまりオンボーディングが大きなカギを握っています。
ここでは、おもにカスタマーサクセス部門が担う、SaaSビジネスにおけるオンボーディングの内容と活動の方法について解説します。

オンボーディングとは?

オンボーディング(on-boarding)とは、元々は「船や飛行機に搭乗している状態」を表しますが、ビジネス用語としては「新人研修」を指します。
飛行機に乗ると、離陸前に必ず飛行中の注意事項や万が一の際の避難方法などについて、乗務員が旅客にレクチャーします。これと同様に、入社したばかりの新人が社内環境や業務に早く慣れるように行う研修のことをオンボーディングと呼ぶのです。
さらに、SaaSなどのサービスについて、顧客であるユーザーが使い方に早く慣れ、日々の業務に活用できるよう、ベンダーやメーカーが行う指導やレクチャーも、同じようにオンボーディングと呼ばれます。

SaaSビジネスにおけるオンボーディングの意味

SaaSビジネスにおけるオンボーディングは、自社にも顧客にも利益を与えてくれます。
そもそもSaaSは、アプリやサービスを継続利用することで、月額あるいは年額課金を得るビジネスモデルです。つまり、顧客が長く使ってくれるほど、LTV(顧客生涯価値)が増していきます。
しかし導入後、その使い方がよくわからず、業務への活用もうまくできないとなると、遠からず「あまり使えないから、もういいや」と、解約されてしまう可能性が高くなります。
そこで役立つのが、ユーザーへのオンボーディングです。導入直後から順を追って、基礎的な使用方法や実践的な活用法、作業を効率化するための工夫などをレクチャーすることで、ユーザーの理解が進み、継続的な利用を促すことができます。

オンボーディングによって左右されるカスタマーサクセス

初対面の人間同士では、最初の印象が後々まで大きな影響を与えます。アプリとユーザーの関係にも近いものがあり、使い始めの段階で「使いにくそう」「なんだか難しい」という印象を持たれてしまうと、その不安や不満を払拭するのは容易ではありません。

しかし、カスタマーサクセスの概念から見れば、最初の段階で良い印象を持ってもらい、その後も自社のサービスを継続利用してもらうことで、顧客は成功をつかみ、利益を得ることができるはずです。
また、オンボーディングのプロセス自体は、カスタマーサクセス(CS)部門が担当することになります。SaaSビジネスにおいては、概念としてだけではなく、実際の活動の上でもカスタマーサクセスの存在が大きな意味を持つのです。

なぜオンボーディングが重要なのか?

SaaSビジネスにおいて、顧客に対するオンボーディングの重要性は、どのような点にあるのでしょうか。いくつかご紹介していきます。

解約を防ぎ、LTVを最大化する

不要と判断したらすぐに契約を打ち切り、コストをカットできるのがSaaSのモデルです。ですから、サービスを提供する側としては、できる限り解約を防ぎ、LTVの最大化を図ることになります。
そのためには、サービスを常にブラッシュアップする努力はもちろんですが、自社サービスを顧客にしっかり使ってもらい、その効果を実感してもらうことも重要です。そのための施策として、オンボーディングが重視されるのです。

サービスの継続利用を狙う

SaaSとして提供するサービスやアプリの内容にもよりますが、多機能・高機能なものは使いこなすにも時間がかかりますし、機能に対する知識も必要です。ユーザー側の知識がそのレベルに達しないと、限られた機能だけを使い続けることになり、「使いこなす」レベルにはなかなか到達できません。

そこで、オンボーディングで基礎的な知識を身につけた後は、利用状況に応じたレクチャーを行うことで、顧客自身のビジネスにSaaSをより活用してもらうことができます。「こんな使い方ができるのか」という新たな発見が続き、それが自社にとって有益だとわかれば、顧客は継続的にサービスを利用してくれますし、それによってLTVの向上を図れます。

アップセル、クロスセルによる顧客単価の引き上げ

オンボーディングとその後のレクチャーによって、顧客がサービスを「使いこなす」レベルに達したら、アップセルやクロスセルのチャンスです。より多機能・高機能なモデルや大規模なプランを提案することで、顧客単価の拡大を図ります。
顧客はすでに、提供されたサービスに十分満足しており、信頼しています。そしてその効果をさらに高め、拡大したいと考えているでしょう。そうした状況でアップセル・クロスセルを行うことは、自社にも顧客にも大きなメリットが生まれます。

オンボーディングを成功させるには?

オンボーディングの効果やその重要性を認めながらも、実践となるとうまくいかない…ということは、往々にしてあることです。その原因はさまざまですが、オンボーディングをひとつのしくみと見なして、理論的に構築しておくことが大事です。
新規採用の新人教育については、各企業それぞれに練り上げた研修プログラムを実施しているはず。顧客に対するオンボーディングも、同じような綿密さで構築すべきでしょう。

優れた体験を提供する

先にふれたように、最初にサービスやアプリを使い始める際の経験が、その後の印象を大きく左右します。ですから、オンボーディングを成功させるためには、最初の段階でユニークな体験、すばらしい体験を、顧客に味わってもらうことが重要です。

たとえば、これまで長い時間と手間がかかっていた作業が、瞬時に片づいてしまう。精度の高い分析が、誰にでもできてしまう。そうした、「これはすごい!」と思わせるような経験を味わってもらうことです。
オンボーディングでは、このような良さやすごさを、一瞬で体感してもらうことが効果的です。その経験が「このサービスはすごい、便利だ」という意識を植えつけ、日々の業務に活用するシーンを顧客にイメージさせることができ、「このツールを使いたい」と思わせることができるからです。

サービスの優秀さを理解してもらう

前項で解説した「優れた体験」は、インパクトという面でとても有効な方法ですが、それとともにサービスやアプリの機能性や優秀さを理論的に理解してもらうことも、大切なことです。
ただし、それが単なる機能紹介、機能説明になってしまわないよう、注意してください。大切なのは、その機能や特徴によって、顧客がどのような成果を得られるかという点です。

特に、顧客がある程度の規模を持つ組織や企業である場合には、SaaSサービスの評価に関してはマネージャー以上のクラスが関わります。導入を決めたのも、解約を判断するのも、そのクラスです。
ですから、オンボーディングにおいても、彼らを納得させられるベネフィットを提示することが大切です。

顧客に合わせたアプローチを行う

自社が提供するサービスを顧客に提供し、続けてもらうためには、オンボーディングがとても有効ですし、また重要でもあります。そして、オンボーディングは、顧客の習熟度やサービスに対する知識レベル、慣れなどに合わせて、段階的に進めていくことが大切です。
とはいえ、サービスを提供する側からすれば、オンボーディングに過剰なリソースを割くわけにもいきません。
そのため、自社にもたらされる収益の大小に応じて、「ハイタッチ」「テックタッチ」「ロータッチ」と、段階的なアプローチをとるのが一般的です。

  • ハイタッチでのアプローチ
    ハイタッチでのアプローチとは、大きな利益を見込める大口顧客に対するアプローチのスタイルです。営業あるいはカスタマーサクセスが専任担当となり、必要なコストを割り当ててサポートにあたります。 定期的な訪問でフォローを行い、現場での導入支援や現場スタッフへの勉強会で講師を務めるなど、手厚いケアを施します。
  • テックタッチでのアプローチ
    テックタッチのアプローチは、一般ユーザーに対するフォローとして利用されるスタイルで、一度に多くのユーザーにアプローチできることがメリットです。
    自社サイト内にサービスページを設け、チュートリアルやリファレンス、利用方法の解説動画などを提供して、ユーザーをフォローします。また、定期的なウェビナーの開催といった活動も行われます。
  • ロータッチでのアプローチ
    ロータッチは、ハイタッチとテックタッチの中間に位置するスタイルと考えるといいでしょう。通常はテックタッチでのフォローを行いますが、それだけでは十分でないと判断される場合に、担当者が訪問するなどして個別対応し、問題解決を図ります。
    ハイタッチほどのリソースは不要ですが、「もしものときは駆けつけます」という安心感を顧客に与えることが可能です。

オンボーディングそのものの効率化を図る

オンボーディングでは、質の高いフォローを多くの顧客に届けることが重要になります。その意味では、オンボーディングの効率化、システム化も視野に入れておくべきでしょう。
まずはテックタッチの内容を高め、いかに少ないリソースで効果的なフォローができるかを検討していくことです。そして、蓄積されたノウハウをパッケージとしてマニュアル化しておけば、より高品質で効率的なオンボーディングを確立できるはずです。

自社と顧客双方の利益のために充実したオンボーディングを行おう

SaaSビジネスにおける、導入初期段階でのオンボーディングは、その後の継続利用を左右する大きな要素であり、カスタマーサクセスにおいても重要なミッションです。
せっかくつかんだ顧客を逃すことのないよう、入念なオンボーディングプランを構築しておきましょう。
 

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