カスタマーサクセスにおけるKPI設定のポイント

投稿日:2020.4.6
どんな業務においても重要なポイントであるKPI(重要業績評価指標)。どの数値を指標にするかを間違えてしまうと、実績を正しく評価することができません。

カスタマーサクセスにおいては、KPIをどこに設定するかが悩みどころ。きちんと行わないと状況を読み間違え、正しい判断を下せなくなる危険もあります。

ここでは、カスタマーサクセスにおけるKPI設定について解説します。

カスタマーサクセスとは?

まずは、カスタマーサクセスの概念についてご説明します。

カスタマーサクセスとは、自社の顧客を成功へと導くために、能動的に働きかけていくあらゆる活動を意味します。また、そうした活動を専門的に手掛ける部署を指す場合もあります。

この言葉自体は、2000年頃から使われ始めたといわれますが、SaaSの普及とともに一気に広がりました。

さまざまなサービスをネット上で提供するSaaSは、利用期間に応じて料金を支払うサブスクリプション型が一般的です。ですからLTV(顧客生涯価値)を高めるには、長く使ってもらわなければなりません。

そのためにはサービスのブラッシュアップとともに、顧客が自社の商品やサービスに満足してもらうことが不可欠です。そうでないとすぐに解約され、競合他社に流れていってしまうでしょう。そこで必要になるのがカスタマーサクセスの考え方となります。

KPI設定の際の注意点

前項でご説明したように、カスタマーサクセスの業務目標は顧客の成功であり満足です。

ですから、KPIの設定も、顧客の満足が得られているかどうかが軸になりますが、設定の際にはいくつかの注意点もあります。設定したKPIを有効活用するためにも、以下の点には注意しておいてください。

自社に合った指標を選ぶ

どの指標をKPIに設定するかは非常に重要です。ただ1つの正解というものはなく、企業によって違ってきます。たとえば、複数の商品を扱っているなら、全体的な底上げをしたいのか、特定の商品に注力したいのか。成約間もない顧客を手厚くケアして優良顧客に育てたいのか、それとも優良顧客向けのアップセルを強化するのか。会社の方針や業務状況、扱う商品によって、適切なKPIは変わってくるのです。

ですから、KPI設定を行う前に、「どの要素を伸ばしたいのか」を決めておくことです。それに沿った指標をKPIに設定すれば、目的に合った業務実績を正しく評価できるでしょう。

短期的に対応できるKPIを設定する

KPIを設定する理由は、業務実績を評価するためです。その評価は分析し、改善しなければ意味がありません。単に「実績がふるわないなぁ」で終わってしまいます。分析と改善には、いずれもある程度の時間がかかりますから、それが結果となって表れるまでには、さらに時間がかかります。これではタイムラグが長くなるばかりで、その間に顧客離れが進む危険もあります。

ですからKPIには、短期的に対応できるものを選ぶことがポイントです。測定にある程度の期間が必要な指標を使う場合は、それを補う短期指標を併用するといいでしょう。KPIの動きを見ながら、短期間でPDCAを回していける指標を設定することです。

そのKPIが適切か、常に検証する

KPIは「一度決めたら、それで固定」というものではありません。定期的に見直し、変更していくものです。

当初設定したKPIが、実際に回してみたらあまり実状を反映していなかったということは、少なくありません。むしろ、最初から完璧なKPI設定ができるケースのほうが少ないでしょう。適切でないKPIをそのまま使い続けていると、KPIを設定した意味が薄れてしまいますし、その結果を基に改善を施しても、期待した効果が得られません。

ですから、一般に広く使われている数値をKPIに設定したとしても、そのKPIが妥当かどうか、常に検証することです。もしも妥当でないと判断したら、ほかの数値に差し換えたり追加したりしながら、修正していきましょう。

代表的なKPI

それでは、カスタマーサクセスでよく使われるKPIを紹介しましょう。どの数値も「顧客に価値を提供できているか、満足いただけているか」を表す数値として有効なものです。

ただし、先にもふれたとおり、最適なKPI設定というのは企業ごとに異なります。また、詳細な分析をしたい場合には、より多くの指標をKPIとして設定する必要があるかもしれません。

継続率(リピート率)

継続率(リピート率)は、新規顧客のうちのどれくらいがリピートしたかを示す数値です。

どんなビジネスモデルでもリピーターは重要で、売上を底支えしてくれる存在です。同時に、リピーターが多いということは、自社の商品やサービスが顧客の成功や満足につながっていることの証でもあります。ですから、カスタマーサクセスの観点からいえば、重要なKPIといえるでしょう。

解約率

継続率と対を成すのが解約率で、すべての顧客のうち、解約を選んだ顧客の割合を指します。

利用期間に応じて、料金の支払いが発生するサブスクリプション型のビジネスモデルで常用される指標で、「チャーンレート」とも呼ばれます。

サブスクリプション型は売り切り型と異なり、一定期間ごとに契約を更新するか解約するかの選択が顧客側で行われます。そのときに顧客満足度が低いと解約される可能性が高くなりますから、カスタマーサクセスの指標としては重要です。

なお、解約時には、その理由をフィードバックしてもらうことも大切です。サービスの内容に不満がある、コストパフォーマンスが悪い、より優秀な他社製品がある…。こうした声をすくい上げて今後に活かすことができれば、今以上に顧客に寄り添ったサービスを提供できます。そうしたしくみも、きちんと整備しておくべきでしょう。

顧客単価・アップセル率・クロスセル率

カスタマーサクセスは、顧客が成功を実感し、満足することによって、自社商品やサービスの継続利用を促し、LTVを最大化するのが目的です。ですから、アップセルやクロスセルによる顧客単価の増加は、「カスタマーサクセスが有効に機能している」と見ることができ、アップセル率、クロスセル率はともに、指標としては有用なものでしょう。

ただ、期間限定のキャンペーン施策によって、アップセルやクロスセルを狙うケースは多いものです。その場合、顧客側が「キャンペーンで安かったから、上位バージョンに乗り換えてみたが、あまりメリットを感じない」と、解約してしまうケースもあります。ですから、アップセル率・クロスセル率をKPIに含めるのであれば、その後の顧客の動向までフォローできれば、より精密な分析が可能になるでしょう。

NPS

NPSとは、Net Promoter Scoreの略称で、特定の企業やブランド、製品・サービスに対して利用者がどれほどの愛着や信頼を置いているかを数値化したものです。「顧客ロイヤルティの指標」と言い換えることもできます。

一般的に、NPSの計測には顧客アンケートを使い、「この商品を周囲にすすめたいと思うか」という質問に0から10までの11段階で回答してもらいます。この回答のうち0から6まではあまり人には紹介したくないと考えている「批判者」で、7から8はどちらともいえない「中立者」です。9から10をつけた顧客は、周囲に積極的にすすめたいと考えている「推奨者」に分類します。この推奨者の割合から批判者の割合を差し引いた数値がNPSです。

推奨者は、すでに自社あるいは自社商品のファンであり、満足度とともにLTVも高いと考えられます。また、NPSが高いということは「批判者が少なく、推奨者が多い」ということになりますから、収益に直接関わる指標になりうるといえます。

KPIを達成するためのしくみを作る

本文LTVを高めるための適切なKPIが設定できたら、達成するための行動に落とし込みます。たとえば、アップセル・クロスセルのタイミングを測るためには、顧客ごとにどのような機能がよく使われているのかをチェックし、具体的な行動に移します。

KPIは設定するだけでは意味がなく、達成するために行動することが不可欠です。そのためには、KPIの下に、施策レベルにまで落とし込んだサブKPIを設けておき、その数値を追いかけることでKPI達成に近づけるというしくみを作っておくと、達成するべきKPIのためにやるべきことが明確になります。

たとえば、解約率をKPIとした場合は、初回ログイン率やアクティブ率がサブKPIとなります。

最適なKPIを見つけて業務改善に役立てよう

KPIにどの数値を設定するかは企業によって異なります。しかし、大切なのは、その数値の上下に一喜一憂することなく、冷静に分析して速やかに改善策を立て、現場の業務に活かすことです。そうでないと、せっかくのKPIも効果を発揮してくれません。

自社に合った適切なKPIを見つけ出し、有効に活用して、業務の改善に役立ててください。

 

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