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コールセンターのBCP対策とは?ポイントや策定4STEPを解説
ここでは、コールセンター業務におけるBCPのポイントについて解説します。
緊急時の備え、BCPとは?簡単に解説
BCPとは「Business Continuity Plan」の頭文字を取った略称で、日本語では「事業継続計画」と呼ばれます。これは、何らかの非常事態が発生した場合に、できるだけ事業を中断せず、仮に中断しなくてはならなくなったとしても、その影響をできるだけ小さくし、早期に復旧を図るための計画を指します。
BCPが必要な災害には各種ある
元々、自然災害が多い日本では、非常時の備えとしてBCPを策定しておく企業もありましたが、2011年の東日本大震災によって製造業のサプライチェーン(製品が消費者に届くまでの製造や流通の流れ)が断たれたことなどから、多くの企業が策定に動くようになったといわれます。
BCPが必要なケースには各種あります。その一例を挙げてみましょう。
<BCPが必要な非常事態の例>
- 自然災害(地震、台風、豪雨、津波、大規模火災など)
- 人災(大規模な情報の消失・漏洩、サイバー攻撃、業務に支障をきたす労働争議など)
- 感染症のパンデミック
最後の「感染症のパンデミック」は、2020年に世界的に蔓延した新型コロナウイルス感染症によって、多くの企業が対応を迫られました。これらいずれの場合にも、BCPは必要になります。
コールセンターにBCPが必要な理由
大規模かつ広範囲にわたって災害被害が起こった場合でも、コールセンターを閉鎖するという選択は、企業としては困難です。これは、業種によるところもありますが、自社サービスを利用している顧客企業にとって、コールセンターは命綱。そのため、非常時には通常時以上に、その重要性が増すこともあります。
ですから、「どのような状況になったら、どのような体制で対応するか」を平時から十分に検討しておき、準備しておくことが業務継続の重要なカギとなります。
コールセンターのBCP策定とは?5つのポイントを紹介
コールセンターのBCPを策定する際に重要となるポイントは以下のとおりです。
<コールセンターのBCP策定に必要なポイント>
- 業務拠点を分散させる
- 情報共有のしくみを用意しておく
- セキュリティには万全を期する
- 有事の際の運用ルールを定めておく
いずれも重要なものではありますが、企業によって「できる」「できない」が出てくるかもしれません。
しかし、BCPで重要なのは、安全確実な業務の継続、それによって顧客の利益を守ることです。その点に留意しながら、BCPを策定していきましょう。
どの業務を継続させるかを事前に決めておく
また、継続すべき業務と継続しない業務の線引きと、それぞれの扱いについては、明確にルール化しておくことも大切です。非常事態の際には、コールセンターも平常時とは異なる対応をとらなくてはなりません。ですが、非常時のルールが明文化されていれば、「これはどうすればいい?」と現場が戸惑うことなく、落ち着いて対応ができます。こうした明確な区分とルール設定が、非常時に役立つのです。
業務拠点を分散させる
このように、ある程度離れた場所に業務拠点を分散させるのは、BCPの手法としては有効です。特定地域の拠点が大きな被害を受け、業務の続行が不可能になったとしても、ほかの拠点が無事であれば、業務を引き継ぐことができるからです。
こうした対応を可能とするには、拠点の数をある程度増やし、遠距離に配置することが望まれます。
情報共有のしくみを用意しておく
そうした意味では、社内サーバーですべての情報を収めるオンプレミス型よりも、クラウド型のほうが信頼性は高いといえます。
オンプレミス型では、サーバーそのものの転倒破損や電源喪失といった事態も想定されます。しかし、強固に守られたデータセンターのクラウドサーバーは、そう簡単に使用不能に陥ることはありません。非常時の情報共有には、まさに最適な存在といえます。
セキュリティには万全を期する
非常時対応として拠点の分散を図るのであれば、各拠点のセキュリティ環境の整備には、十分な配慮が必要です。また、BCP発動後の対応についても、顧客情報をどのように扱うのか明文化されたルールを用意しておくべきでしょう。
大規模な自然災害や深刻な人災の際には、平時のような注意や配慮が欠けてしまいがちです。しかし、顧客情報は、どんなときでも最優先で守るべきもの。その姿勢が揺るがないよう、体制を整えておくことが重要といえます。
有事の際の運用ルールを定めておく
また、このルールには、復旧に関する基準も含めておくようにします。一時的に業務を制限した状態から、何を基準としてどのように復旧を図るか。そのための手順はどうするか。もしも再び、状況が悪化した場合にはどう対応するか。非常時対応への移行だけでなく、平時への復旧のプロセスを規定しておくのも、BCPでは大切です。
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コールセンターのBCP対策の例
対策の具体例 | 詳細 |
ノンボイス化 |
メールやチャットなどを導入して、電話回線がつながらない時にも対応できるようにする |
セルフサービス化 |
自動音声システムやAIチャットを導入して、無人で運用できるようにする |
在宅化 | オペレーターが自宅で顧客対応できるようにする |
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コールセンターのBCPを策定する4STEP
コールセンターのBCPを策定する際に以下の4STEPを踏むと、効果的に策定できます。
<コールセンターのBCPを策定する4つのSTEP>
- STEP1.優先順位を定める
- STEP2.運用体制を定める
- STEP3.勤務環境を整備する
- STEP4.システムを導入する
以下よりそれぞれの項目について解説するので、これからBCPを策定する方は参考にしてみてください。
STEP1.優先順位を定める
STEP2.運用体制を定める
STEP3.勤務環境を整備する
勤務環境を整備することによって、リスクに対して適切に対応できます。
- 自然災害(局地的なリスク対策)の場合:複数拠点化
- 感染症(全国的なリスク対策)の場合:在宅化
複数拠点化する場合は拠点の設置場所や、運用設計などを決める必要があります。
在宅勤務の場合はオンラインツールを活用したり、運動やストレッチに関するルールを導入したりして、環境整備を行いましょう。
STEP4.システムを導入する
緊急事態にコールセンターを適切に運営できるように、自社に合ったシステムの導入を検討しましょう。
たとえば、自動応答システムを導入することによって、オペレーターが電話に対応できない場合でも、問い合わせに対応できます。
クラウド型のコールセンターシステムであれば、在宅勤務でも運営可能です。
コールセンターにおけるBCPの効果を最大限に高めるためには?
実際にBCPを策定する際には、その効果を最大限に高めるため、先に挙げたポイントのほかにも、行っておきたい点がいくつかあります。
<コールセンターにおけるBCPの効果を最大限に高める方法>
- 在宅業務を積極導入する
- スタッフへのケアも大切
- 状況に応じた対応を策定しておく
これらの点にも配慮しておけば、BCPの実効性をより高め、確実な業務継続が望めるでしょう。
在宅業務を積極導入する
こうした事態に備えるには、個々のオペレーターの在宅勤務の可能性を探っておくことが大切です。ある程度のコストはかかるものの、コールセンター業務の一部を在宅に移行することは、不可能なことではありません。
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スタッフへのケアも大切
こうした場合、企業はスタッフに対するメンタルのケアを第一に行いましょう。ショックを受けているスタッフに対しては休養を与えたり、相談窓口を設けたりして、無理をさせない工夫が必要です。
もうひとつは、仕事ができないことによる収入減への配慮です。企業によって対応できる範囲は異なりますが、どのような対応が可能かを明確にし、ひとりひとりのスタッフに伝えておくことが重要になります。先行きの不透明感は、人の不安を増幅させます。スタッフが少しでも安心できるよう、対応してください。
状況に応じた対応を策定しておく
「電気・ガス・水道といったライフラインが保たれているか」「交通機関や道路状況はどうか」「外出あるいは人の移動そのものが難しい状況なのかどうか」など、想像できるあらゆる事態に対して、業務継続のための対応策を策定しておくこと。それは、BCPの本質でもあるのです。
コールセンターのBCPを策定し、平時から非常時に備えておこう
日本は、自然災害が多い国です。さらに、コロナ禍のように、想定外のアクシデントが広範囲に起こる可能性は、今後も否定できません。
非常事態が起きても、可能な限り業務を止めずスムーズに復旧させるため、BCPを策定して、備えを万全にしておきましょう。
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