コールセンター業務にAI導入する方法と活用事例、3つのメリットを解説

 
最終更新日:2024.2.22

コールセンター業務とAI(人工知能)は、実はとても相性の良い組み合わせです。AIの導入によって、これまでコールセンターが抱えていた難しい問題が解決され、さらに業務の効率化や顧客満足度の向上までも期待できるからです。

ここでは、コールセンターにおけるAIの活用法について解説します。

AIは人間のように学習する機能を持ち、何度も経験を重ねる中でその結果を蓄積し、正解へと近づく働きがある

AIは現在、盛んに研究開発が続けられている分野であり、また日進月歩の勢いで進化し続けているものでもあります。
従来のコンピューターはあらかじめ設定したとおりの動作しかできませんが、AIは人間のように学習する機能を持ちます。何度も経験を重ねる中でその結果を蓄積し、正解へと近づく働きを持っているのです。
 
 

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コールセンターが抱えている3つの問題

ほかの多くの分野と同じように、コールセンター業務もAIの導入によって大きな変革が可能になります。どのような変革ができるか解説する前に、まず現在のコールセンターが抱えているおもな問題についてご紹介しましょう。

<コールセンターが抱える問題>

  • 属人化による対応品質のばらつき
  • 高い離職率
  • 人員配置の難しさ

属人化による対応品質のばらつき

コールセンター業務は、基本的に声だけで顧客とコミュニケーションをとる仕事です。そのため、ちょっとした言葉の選び方や声の高低、発声の調子の微妙な違いで、顧客に与える印象が大きく変わります。その微妙なさじ加減がオペレーターの腕の見せどころなのですが、それは裏を返せば「属人性が高く、人によって対応品質のばらつきが大きい」ということにもなってしまいます。 こうした属人性の高さは、コールセンターが避けて通れない課題であり、「全員が80点以上の対応ができる」という状態を保つのは簡単ではないというのが実状です。

高い離職率

一般的にコールセンターのオペレーターは、離職率が高い傾向があります。その要因はいくつか考えられますが、やはり業務上のストレスが大きいというのが大きな理由でしょう。
また、個々のオペレーターに対する評価が明確でないといった、組織運営上のあいまいさもありがちな課題です。そのため、優れたオペレーターに育つ前に離職してしまうという、悪循環に陥ってしまうのです。

人員配置の難しさ

曜日や時間帯、あるいは時期的な違いによって、コールセンター業務には繁閑の差が生まれます。これはある程度、予測することはできますが、企業側でコントロールできるものではありません。そのため、場合によってはオペレーターの人数が足りず、電話を取りきれなかったり、長時間待たせてしまったりということが起こります。反対に、オペレーターの人数が多すぎてしまい、運営コストが割高になってしまうということも起こります。
こうした人員配置の難しさはコールセンター特有のものであり、解決が難しい問題でもあります。

コールセンターにAI導入でできる3つの事例

このように、コールセンター業務には多くの課題があります。しかし、AIの導入によって、それらの課題を解決することが可能です。それは、AIシステムが備えている、さまざまな機能によるものです。その具体的な例を、いくつか見ていきましょう。

<AI導入でできる3つの事例>

  • FAQツールとの連携でマニュアルを検索する
  • 単純な質問に強いチャットボット
  • リアルタイムで会話を解析し、最適な回答をサジェストする

FAQツールとの連携でマニュアルを検索する

コールセンターでは、顧客からの問い合わせに対して、マニュアルに沿った対応を行っています。従来は問い合わせの内容ごとに、紙ベースのマニュアルが使われてきましたが、近年ではAIを搭載したFAQツールの開発が進んできました。
これは、さまざまな分野のよくある質問とその回答を収録したFAQにAIを組み合わせ、問い合わせ内容に対して最適な回答を画面表示してくれるというシステムです。これを使えば、分厚いマニュアルと格闘することもありませんし、顧客が知りたいことを瞬時に調べて、対応できるようになります。

単純な質問に強いチャットボット

企業サイトでは採用する数が増えているチャットボット。最近では、AIを活用したチャットボットも登場しています。これをサイト内の目立つ位置に置いておくだけで、コールセンターへの問い合わせ数を削減し、オペレーターの業務負荷を大きく軽減することが可能です。

チャットボットは、複雑な問題やレアケース的な問い合わせに応えるには力不足かもしれませんが、十分な回答データを登録しておけば、比較的単純な質問のほとんどに回答することができます。しかも、24時間休みなく稼働してくれますから、オペレーターの人員配置の悩みを軽くすることにもつながるでしょう。チャットボットは、コールセンターの課題を解決してくれる有効策になりうるのです。

リアルタイムで会話を解析し、最適な回答をサジェストする

ベテランオペレーターと新人との対応力の差を埋めるのも、AIを活用すれば可能になります。顧客からの問い合わせに対して、どの資料を参照し、どの情報を使って顧客に回答するのか。この一連のプロセスをAIが学習し、音声認識や自然言語処理といった機能を活用することで、リアルタイムで最適な資料を提示し、適切な回答を提案することができるのです。
これは、コールセンター業務の属人性を排除するだけでなく、パフォーマンスの底上げをも同時に実現できる方法です。

AI導入の5ステップのプロセス

コールセンターに限らず、業務にAIを導入する際には、一定のプロセスに沿って作業を進めたほうがスムーズです。きちんとしたスケジュールや手順を決めずに導入しても、うまくいきません。スケジュールも含めて事前の準備をしっかり行い、その上で導入するようにしましょう。

<AI導入の5ステップのプロセス>

  1. 課題を整理し、業務範囲を決める
  2. 製品を選定する
  3. AIに登録するデータを集める
  4. データを学習させ、サービスに組み込む
  5. 試験運用の後、稼働する

1. 課題を整理し、業務範囲を決める

まずは課題と目的の整理です。現状のコールセンター業務にどんな課題があるのかを整理し、AIに何をやらせるかを明確にしておきます。
課題の内容によっては、AIを使うまでもない、あるいはAI以外の方法で解決したほうが良いものもあります。ですから、AIを導入する必要性があるのかどうか、入念に検討することが大切です。

2. 製品を選定する

解決すべき業務課題、AIに担当させる業務範囲の目処がついたら、製品を選定しましょう。
コールセンター向けのAIシステムは複数あり、それぞれ特徴が異なります。自社のニーズや予算などと見比べながら、適切な製品を選びましょう。

3. AIに登録するデータを集める

AIが参照し対応を決めるための、ベースとなるデータを集めます。AIのポテンシャルを引き出すためには、できるだけ多くのデータを登録する必要がありますから、AIに担当させる業務の内容に合わせ、多くのデータを集めておきましょう。
たとえば、ヘルプデスク業務であれば、さまざまなトラブルや顧客の疑問に対するQ&Aのデータを作成しておきます。

4. データを学習させ、サービスに組み込む

続いて、収集したデータをAIに登録し、学習させます。AIは最初から完璧な対応ができるわけではなく、初期育成が必要です。
なお、このプロセスでは、AIについての知識を備えたスタッフが必要になりますが、AIシステムのベンダーのサポートを受けられるため、自社に人材がいなくても対応は可能となります。

5. 試験運用の後、稼働する

社内で試験的に運用してみて、実際の使い勝手はどうか、おかしな挙動がないか、正しい回答を提示できるかを検証します。その上で、正式に稼働させましょう。
その後は定期的なメンテナンスを行い、正答率の向上のためにシナリオの修正を行うなど、稼働開始後もチューニング作業を行っていきます。
 
 

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コールセンターへのAI導入の3つのメリット

コールセンターにAIを導入すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここからは、いくつかのメリットをご紹介します。

<AI導入の3つのメリット>

  • コールセンター特有の問題を解決できる
  • 顧客の音声から感情を読み取り、満足度を数値化できる
  • オペレーターとAIで役割分担ができる

コールセンター特有の問題を解決できる

「離職率の高さによる人員不足」「属人性の高さゆえの対応のばらつき」「人員配置の難しさ」といったコールセンター特有の問題は、単独に存在するものではなく、それぞれが深く関係し合っています。しかし、AIを導入すれば、対応品質を高めつつ均質化を図ることができますし、同時に未熟なオペレーターにAIによる教育を施すこともできます。問い合わせに対して最適な回答をAIが提案してくれれば、業務負荷の軽減と顧客満足の向上を同時に果たすこともできるでしょう。
このように、AIを導入することで、コールセンターにある問題を一気に解決することもできるのです。

顧客の音声から感情を読み取り、満足度を数値化できる

AIが持つ音声認識技術を使うと、電話先の顧客の言葉や話しぶりから、感情の変化をとらえることができます。そこから最適な対応の仕方を割り出し、オペレーターに提示することで、苛立った顧客の「火に油を注ぐ」という事態を回避することもできるでしょう。
また、この技術によって、顧客が「どれほど満足できたか」を測定・数値化することもできます。それを分析することで、さらなる顧客満足度の向上を目指し、サービスの向上を図ることも可能です。

オペレーターとAIで役割分担ができる

先程もご説明したチャットボットは、曜日や時間を気にせず、テキストを打ち込むことで質問に答えてくれるしくみです。しかし、顧客の中には、「担当者と直接話したい」というニーズも、やはりあります。
AIとオペレーター、双方の長所を活かしつつ、ケースごとに役割分担することにより、オペレーターの負荷の軽減や応答率の改善、対応時間の短縮などを図れるでしょう。

コールセンターへのAI導入にあたっての2つの注意点

AIをコールセンターに導入する際には、注意するべきポイントがいくつかあります。それは、AIに何をやらせるかによっても変わってきますが、共通するポイントとしては下記の2つがあります。

<AI導入にあたっての2つの注意点>

  • システムの選定を慎重に行う
  • AIを扱う人材をどうするか

システムの選定を慎重に行う

AIシステムはいくつかの種類があり、それぞれに備えている機能や特徴が異なります。オーバースペックの製品を選んでも持て余してしまいますし、必要な機能が備わっていなければ、本来の目的を達成することができません。
だからこそ、初期の段階でコールセンター業務の課題を明確にし、AIをどう活用して解決を図るかをプランニングしておいて、そのために必要なAIシステムを選定することが重要です。

AIを扱う人材をどうするか

AIシステムは、定期的なメンテナンスとチューニングが不可欠です。また、導入段階でも専門知識を備えたスタッフが必要になります。そうした人材が社内にいれば、すべてを社内で完結できますが、実際のところは現実的ではないでしょう。むしろ、そうした運用面で必要になる作業も含めて、外部に委ねるのもひとつの手です。
AIシステムを提供するベンダーは、システムの運用維持のほか、ログの分析とその結果を反映した調整といったサポートメニューを用意しています。こうしたサービスを使えば、業務負荷を抑えつつ、AIのパフォーマンスを、さらに引き出すことができるでしょう。

AIと人との分業体制で、質の高いコールセンターを構築しよう

人間同士のコミュニケーションの最前線であるコールセンターにも、AI導入の波は押し寄せています。便利なシステムはその長所を活かして使い、人は人にしかできない仕事をするというのが、今の時代の分業体制ともいえます。
AIによるコールセンターシステムは、上手に活用すればコールセンターの業務効率化を進め、顧客満足度を大きく高める可能性を秘めているのです。
 
 

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