カスタマーサクセスと営業の連携が、自社ビジネスを成長させる

投稿日:2021.4.14
営業とカスタマーサクセスは、契約の時点を境に、その前後をそれぞれが担当します。しかし、両部門はまったく別のものではなく、むしろ同じゴールを目指す、協働関係にあります。
営業とカスタマーサクセスが連携して動くことで顧客満足度を高め、自社のビジネスをさらに成長させることができるのです。ここでは、その理由と効果的な連携の方法について解説します。

カスタマーサクセスと営業は、何がどう違うのか?

売上を作り出す営業と、顧客満足を高めるカスタマーサクセス(CS)。この両者をうまく連携させるには、まず営業とカスタマーサクセスそれぞれの特性や、違いを知っておく必要があります。

見込み顧客を育て、成約へと導く営業

営利組織である企業にとって、売上を上げて利益を出すことは最優先課題です。そして営業は、売上を生み出す最前線です。営業は常に数値目標を意識しながら、既存顧客をケアし、同時に新規顧客の獲得に励みます。
近年では、インサイドセールスとフィールドセールスに分け、役割分担を図る企業も増えているようですが、根本的な機能と目的は変わりません。自社商品・サービスをまだ知らない人々に知ってもらい、興味を引き、使ってもらう。そして満足してもらって、さらに使い続けてもらう。この繰り返しで利益を積み上げていきます。

顧客が課題を解決できるようサポートするカスタマーサクセス

営業の一連の業務プロセスの中にある、「お客様に満足してもらう」という部分を引き受けるのがカスタマーサクセスです。
「CS」という略語は、従来「カスタマーサポート」の意味で使われてきましたが、カスタマーサクセスはさらに一歩踏み込んだ概念です。カスタマーサポートが、顧客からの問い合わせやクレームに対応してアクションを起こす、いわば受動的な役割が中心だったのに対して、カスタマーサクセスはより能動的に顧客の成功に関わっていきます。
顧客が感じる不安や不満などのマイナス要素を解決することが中心であったのがカスタマーサポートならば、顧客の問題解決はもちろん、顧客が気づいていない課題や要望を先回りして処理し、プラスを提供していくのがカスタマーサクセスということになります。

カスタマーサクセスと営業は仲が悪い?

企業の現場では、営業とカスタマーサクセスがしばしば対立したり、反目したりということが起こります。これは、双方の思惑がバッティングしてしまうことで起こることでしょう。

営業からすれば、毎期ごとの数値をクリアすることは重要課題であり、会社にとっても一番大切だという認識があります。しかし、カスタマーサクセスの顧客満足度ばかりを優先し、自社商品の特性や顧客ニーズとのフィッティングに関して、時に「正直すぎる」情報を顧客やリードに与えてしまうという動きを、苦々しく感じることもあるでしょう。そのために、せっかくつかみかけた見込み顧客を逃したり、既存顧客が契約更新をためらったりということも起こります。

反対に、カスタマーサクセスから見ると、営業が数値ばかりを重視して自社商品にフィットしない層までも顧客にしてしまうため、成約後の手数が増えたり、返品率・解約率が増えたりしてしまうという不満を抱いています。
よくある話ではありますが、こうした食い違いを解決できれば、両者が連携することは難しくありません。

カスタマーサクセスと営業が連携することによるメリット

続いて、営業とカスタマーサクセスの両部門が連携することによるメリットについて解説します。

顧客満足度の向上、解約率の低減

顧客満足度が低い、または解約率が高くなる理由のひとつに、契約前の顧客が感じていた商品に対する期待値が、実際以上に大きかったことが挙げられます。言い換えれば、商品の実力以上の期待を、顧客に持たせてしまったということになります。数値を追求する営業では、時に少々の無理を承知で契約に持っていくということもあるでしょう。そのため、こうしたことが起こりえます。

ですが、契約前の段階で、必要な情報をカスタマーサクセスから営業に提供することで、顧客の期待値は適正に設定できます。できることはできる、できないことはできないと明らかにしておくことで、過度な期待を抱かせずに済みますし、予想されるトラブル事例なども開示しておけば、それに対する準備もできるでしょう。
顧客の期待値が適正であれば、満足度が下がったり解約に至ったりということを減らせるはずです。

継続利用やアップセル・クロスセルによるLTVの増大

契約後のクレームや問い合わせ、解約などに関わるカスタマーサクセスは、「どのような顧客に自社商品が合っているか」をよく知っています。また、顧客のタイプによって、契約後に起こりうるトラブルを予見することもできるでしょう。こうした情報を営業に渡し、また商談中の顧客情報やリード情報を共有しておけば、個々の顧客にどのような情報を提供し、商談を進めていくべきかの指針を、営業サイドに与えることもできます。
その結果、自社商品にフィットする顧客が増え、継続利用も見込めます。さらに、アップセル・クロスセルによってLTV(顧客生涯価値)の増大を図り、効率良く収益拡大につなげることができます。

営業とカスタマーサクセスが連携する際に意識すべきこと

それでは、営業とカスタマーサクセスが連携する場合、何を意識すればいいのでしょうか。重要なのは、両部門がそれぞれ「顧客の利益」という共通の目的を軸とすることと、営業側がカスタマーサクセスの視点を持って行動することです。

顧客の利益を軸に考える

カスタマーサクセスにとっては、顧客が成功し、利益を得ることがミッションです。また、営業は顧客あるいは見込み顧客に自社商品をすすめ、提供することで代価を得ることが業務です。しかし、営業が積み上げる売上という数値は、顧客が納得して購入し、満足した代価として得られるもの。その本質を考えれば、「顧客に商品やサービスを提供し、利益を得て、満足してもらう」という点で、営業とカスタマーサクセスは、同じ目的に向かっているはずです。
こうして、顧客の利益を軸にすることで、営業とカスタマーサクセスは共通のミッションのため、お互いにどんなサポートをし合えるかを考えることができます。両部門の連携は、そこからのスタートになるでしょう。

営業がカスタマーサクセスの視点を持ち、行動する

営業がカスタマーサクセスの視点を持ち、どのような点で顧客がトラブルに遭いやすいのか、そしてそれをどのように解決するのかを知っておけば、契約前にそのことを顧客に伝え、理解してもらうことができます。そうすれば、営業担当者自身も、契約後のトラブルやその結果である解約といった事態を心配せず、自信を持って自社商品を顧客に提供することができます。

営業とカスタマーサクセスが連携する上でのポイントは?

最後に、営業とカスタマーサポートが連携するために、具体的にどこから始めて何をすればいいのか、ポイントを解説していきましょう。

両部門の責任者の協力

企業内の各部門は、それぞれの持ち場においての事業推進に責任を負っています。ですから、部門長にとっては、それが自社全体のためになるといっても、他部門への協力のために、自部門にしわ寄せが及ぶことを嫌うのが常です。

しかし、営業とカスタマーサクセスの連携は、顧客の存在を抜きに考えても、双方にとって利益のあるものです。営業はカスタマーサクセスからの情報を基に、自社商品がフィットする見込み顧客を選別することができ、起こりうるトラブルなどを契約前に説明することで、成約率を高められます。こうした営業を行うことで、カスタマーサクセスは解約率を抑えることができますし、営業から引き継いだ顧客情報によって、顧客の成功に積極的に関わることができます。
こうしたことを両部門の責任者が理解し、協力することが、両部門の連携の第一歩です。

両部門の共通目標設定と相互理解

営業、カスタマーサクセス、両部門長が納得できたら、それを各部門の現場に説明し、理解と協力を得ます。その上で、それぞれの現場レベルで、どんなサポートができるか、あるいは求めているのかをディスカッションし、行動レベルにまで落とし込みます。解約率の抑制や成約率の向上など、具体的な指針を立て、数値目標を設定しておくといいでしょう。
こうして相互理解を深めつつ、協力体制を構築していきます。両部門の現場メンバーが交流できるような場を設ければ、より効果的です。

顧客の独り立ちが当面のゴール

「顧客の成功と利益の獲得」という、営業とカスタマーサクセスがともに目指す当面のゴールは、「顧客の独り立ち」も意味します。自社の商品やサービスを使って、顧客がみずから成功と利益へのルートを最短距離で進むことができれば、営業もカスタマーサクセスもサポートの必要がなくなります。トラブル解決の個別プランを用意したり、訪問対応したりということも激減するでしょう。
こうなれば、自社の作業負荷が軽くなるだけでなく、顧客にとっても作業効率の向上というメリットを得ることができます。

営業とカスタマーサクセスは、車両の両輪と考えよう

カスタマーサクセスと営業が「成約」という境界線を乗り越え、シームレスに連携することで顧客が成功を得られれば、自社の成果にもつながります。
カスタマーサクセスと営業は別部門として切り分けるのではなく、ともに顧客にアプローチする車両の両輪ととらえれば、さらなる発展の可能性が見えてくるのではないでしょうか。
 

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