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Appleのプライバシーポリシー変更の激震:マーケティングがまずやるべきことは?

Appleのプライバシーポリシー変更の激震:マーケティングがまずやるべきことは?

Appleのプライバシーポリシー変更に対応したメールマーケティングを実行するための3つのシンプルな戦略をご紹介します。

今年の初夏に発表されたAppleの新しいプライバシー機能は、メールマーケターに衝撃を与えました。ご存じない方のために説明すると、今年の秋に登場するiOS 15とmacOSのアップデートでは、メールプライバシー保護(MPP)に2つの大きな変更が加えられます。

  • Apple Mailで管理されるほぼすべてのメールは、受信者がクリックしなくても自動的に「開封済み」というマークが付くようになります(GmailなどApple以外のメールアドレスも、Apple Mailで使用すればこの変更が適用されます)。
  • ユーザーは、製品やサービスにアカウント登録する際に匿名のメールアドレスを生成できます。 

Litmus(英語)の調査によると、Apple Mailで開封されるメールは全体の49.7%を占めています。この変更はメールマーケティング業界に根本的な変更を迫る可能性があり、波紋を広げています。メールマーケターが購読者に関連性の高いメール体験を提供し続けるためには、開封率に軸足を置いたマーケティング方針からの転換を図り、さらに困難な問題を回避しなければなりません。

Salesforceがもっとも重視している価値は信頼であり、お客様との信頼構築にはプライバシーとセキュリティが大きな役割を果たします。当社では、お客様がプライバシー重視の新たな環境に順応して適切な行動を起こし、成果を上げるために必要なツールの提供に努めています。Salesforceでは、今回の変更を、顧客関係をより深く理解し、いっそう優れたデジタルユーザーエクスペリエンスを実現するための新たなチャンスと捉えています。

こうした変化をくぐり抜けることで、メールマーケティングはますます充実したものになるでしょう。その理由として、まずメールマーケティングはユーザーの承諾が必要なチャネルだという点が挙げられます。購読者はブランドから情報を得ることを望んで登録したのですから、その情報が魅力的であるかぎり購読を続けるでしょう。次に、メールマーケターはこれまでにもCAN-SPAM(英語)やGDPR(英語)、CCPA(英語)などのプライバシー法に対処してきた経験があります。最後に、もっとも重要な点として、今回の動きがマーケティングの新時代を開くきっかけになるはずだからです。

Salesforceはメールマーケティング業界を重視しており、当然ながら今回の変更を重く見ています。お客様が望ましい成果を上げられるよう、対応に全力を注いでいます。EinsteinのAI(人工知能)機能によるビジネスモデルやアルゴリズムのアップデートを行い、新しいプライバシー体験のテストを実施して変更に適応し、お客様がこれまで通りのパフォーマンスを上げられるよう努めています。

結論を言えば、今回のプライバシーポリシー変更は、革新的なメールマーケティングプログラムへの取り組みを進めてきた企業にはさしたる脅威になりません。革新的なメールマーケティングとは、ファーストパーティ&ゼロパーティデータを適切に収集・活用して顧客との関係を深め、適切な指標を使ってマーケティングの成果を確認し、最適化することです。変革の取組を始めたばかりの企業でも、マーケティング戦略を適切に方針転換すれば、来るべき変化にしっかりと対応できます。

以下では、今後念頭に置いておくべき3つの簡単な戦略をご紹介します。

1.本当に意味のある指標に注目する

今後、メール開封率は確認できなくなりますが、正直なところ、多くの業界において、メール開封率は成果を確認するための適切な指標ではありません。開封率ではメールが読者に与えた効果を測定できないのです。

本当に重要なのは、受信者がメールを開封した後で、コンテンツに対してどのような反応を示し、どのような行動を起こしたかです。クリックスルー率(CTR)なら、今回の機能変更の影響を受けることはありません。

今こそ、メールマーケティングを詳細に分析できる指標を検討する時です。購読者がもっとも有益だと感じているのはどのコンテンツでしょうか。それがコンバージョン率にどのような影響を与えているでしょうか。インプレッションより成果に注目しているブランドは、メール開封率を確認できなくなっても困らないはずです。

Salesforce Marketing Cloudを使って指標を確認

エンゲージメントスコアリングやコンテンツ選択などのEinstein AI(人工知能)機能を活用しているマーケターは、CTRを20%増加(英語)させています。すでにSalesforceをご使用中のお客様なら、簡単な設定を行うだけでEinsteinを使い始めることができます。

Google Analytics(英語)も、コンバージョンファネルを詳細に確認し、より直接的なKPIを追跡するために有効です。簡単な設定を行うだけで、読者のクリックからWebサイト上での行動完了までを確認できる便利なソリューションです。

2.メール内でのダイレクトインタラクションを促進する

開封からコンバージョンまでの流れを簡素化することが望ましい成果につながります。メール本文に豊富なインタラクションを組み込み、価値の高いメールを提供しましょう。

それには、パーソナライズされた関連性の高いコンテンツを配信してクリックスルー率を上げる、最新のツールを活用してメール内のインタラクションを充実させるなど、さまざまな方法があります。

たとえば、フォーム、アンケート、カルーセルなどを直接組み込んだインタラクティブなメールを配信すれば、読者は個々のWebサイトを訪れる手間が省けます。

Salesforce Marketing Cloudを使ってインタラクティブなメールを作成

Content Builderのメールフォームブロック(英語)はApple Mailに対応したドラッグ&ドロップ方式のツールです。インタラクティブなフォームをノーコードでメールに組み込む機能を備えています。入力されたフォームはSalesforceの監視下にあるサーバーに送信されるため、Appleのポリシー変更によって内容の確認が妨げられることはありません。

Salesforceの調査では、従来のCTAとランディングページの代わりにインタラクティブなメールを用いることでコンバージョン率が19%向上(英語)しています。

3.魅力的なカスタマージャーニーを構築する

メールマーケティングは、やみくもに実行しても意味がありません。さまざまなチャネルで顧客が自社コンテンツにどのようにアクセスしているかを把握し、それに合わせてメールを最適化することがこれまで以上に重要です。

すぐれた顧客体験を提供すれば、メールのエンゲージメントも改善できます。購読者は匿名のアカウントでメールを受け流すのではなく、コンテンツに対して積極的に反応するようになるでしょう。

Salesforce Marketing Cloudを使ってジャーニーを構築

魅力的なジャーニーを実現するには、顧客体験をエンドツーエンドで把握することが不可欠です。Datoramaなら、メールのデータをWebアナリティクスツールや売上データベースのデータと統合し、フルファネルのROIを確認できます。

Googleアナリティクスでは、購読者のメールクリックとWebサイトでのコンバージョンを関連付けることができます。この2つのツールを連携させると、単なる開封率からは得られない、顧客エンゲージメントにおける重要なモーメントを把握することができます。

それはトリガーや自動化を作動させるのに重要なモーメントでもあります。開封率にもとづいてメールを送信し、意思決定を下すのは賢いやり方ではありません。Journey Builderを使ってジャーニーを管理すれば、開封以外のモーメントにもとづいてアクションを起こし、意思決定を行うことができます。

Journey Builderでは、開封ではなくクリックにもとづいてパスを最適化し、A/Bテストの目標値をアップデートできます。ジャーニーの完了目標は、購入、購読登録、フォーム送信などの重要なポイントにもとづいて設定されます。さらに読者がメールのどのリンクをクリックしたかに応じて特定のパスに誘導できます。

こうした戦略を進めることで、購読者のニーズを満たし、ブランドとの一歩踏み込んだ関係へ導く強力なメールマーケティングキャンペーンを実現できます。そうすれば、企業と顧客の双方に得るところがあるはずです。

Rachel Boyles

Rachelは、Salesforce Marketing Cloudのメールおよびコンテンツを担当するプロダクトマーケティング担当者です。彼女は、データの中からさまざまなストーリーを見つけること、業界トレンドの最新情報をチェックすること、顧客満足度を向上させることに情熱を傾けています。

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