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Agentforceのイノベーションを活用した「カスタマーゼロ」アプローチにより、自社テクノロジーを運用し実地で試しながら、より広範の普及を可能に

※本記事は2025年1月16日に米国で公開されたThe World’s Largest Agentic AI Deployment? Salesforce Is Running It on Itselfの抄訳です。本記事の正式言語は英語であり、その内容および解釈については英語が優先されます。


ミスティ・フィエロ(Misty Fierro)氏は、答えを探す苦労を知っています。

ITソリューションプロバイダーであるYudrioのコンサルティング業務のリーダーとして、彼女は政府機関の顧客がSalesforceテクノロジーを最大限に活用できるように支援してきました。しかし、Salesforce関連の複数の職務に長年携わる中で、彼女は顧客のためにhelp.salesforce.com(英語)で完全かつ適切なサポート情報を入手することに苦労することがありました。

「必要なものを得るためには、大量のコンテンツやリンクをくまなく調べなければなりません」と、元米軍技術専門家の彼女は語りました。

しかし、昨年末にSalesforceがサポートサイトの強化に独自のテクノロジーであるAgentforceを採用したことで、すべてが一変しました。24時間365日稼働するAIコンシェルジュであるAgentforceは、毎週数千件に上る顧客からの問い合わせに迅速かつ正確で、より実用的な回答を提供し、驚くような結果をもたらしました。

フィエロ氏は次のように述べています。「今では質問を入力すると、ほぼ瞬時に私が本当に必要としているもの、つまり完全かつ実行可能な信頼できる情報を入手できます。Agentforceは私のツールボックスに加わった新しいツールです。とても役に立つので、できる限りあらゆる場面で活用しています」

Agentforceは私のツールボックスに加わった新しいツールです。とても役に立つので、できる限りあらゆる場面で活用しています

Yudrio コンサルティング業務リーダー、ミスティ・フィエロ氏

さらに、フィエロ氏はこのサイトで毎週尋ねる数十もの質問に素早く回答が得られることに非常に満足しており、他の重要な業務に集中できるようになったため、顧客にもぜひ試してみるよう勧めています。また、顧客に提供しているガイダンスが正しいことを示すためにも、このサービスを利用しています。例えば、フィエロ氏は最近、AgentforceにSalesforce上で顧客が利用できる統合パターンのさまざまな種類について詳細を問い合わせました。するとAgentforceは、同社の「Integration Patterns and Practices」ガイドから詳細情報を入手し、彼女の質問に直接回答し、どの製品に関連するかを説明し、特定のパターンについてさらに詳しく調べたいかどうか尋ねてきました。

「私はクライアントにこう伝えています。『もし私の言うことが信じられないのであれば、Agentforceを見てください。本当のことが分かります。Salesforceのツールで、私が言っていることを検証できます』」とフィエロ氏は言います。「情報を検証するのがいかに簡単かを分かってもらえれば、テクノロジーと私自身の両方を信頼してもらえます。信頼を得ること、これが私の仕事で最も難しい部分です」

フィエロ氏の経験は、Salesforceが多くの製品において「カスタマーゼロ」である一例に過ぎません。Salesforceは、自社テクノロジーを試験的に導入することで、Agentforceのようなツールから即座に利益を得るのと同時に、自社製品の改良や、より幅広い導入に向けた潜在能力を示すために、貴重なインサイトを集めています。実際、Agentforceを展開して自社の膨大な顧客基盤をサポートすることで、Salesforceは現在までに世界最大規模のAIエージェントの展開を進めている可能性があります。

デジタル労働力を受け入れること

テクノロジー業界では、「カスタマーゼロ」のようなプログラムを「自社のドッグフードを食べる」と言いますが、Agentforceが企業のデジタル労働力を生み出すプラットフォームとして機能する現在、この「自社のドッグフードを食べる」という考え方はかつてないほど重要になっています。実際、Agentforceは、組織の人員配置や人々の仕事のやり方を完全に変える、革新的なAIエージェントシステムです。

最終的には、あらゆる企業が「AIエージェントファースト」のアプローチを採用し、人間とAIエージェントが連携して顧客のビジネスを成功に導くことができるようになるでしょう。Salesforceは、自社のサービスとサポートから始めることで、この変革をリードしています。さらに、セールスやマーケティング、その他多くの重要な領域にまで拡大することで、デジタル労働力に関するAgentforceの大胆なビジョンがどのようにビジネスを変革できるかを示そうとしています。「私たちはカスタマーゼロにならなければなりません。当社がそれを実行するつもりであることを示せなければ、本当に実現することはないでしょう」と、昨年12月にAgentforce 2.0を発表した際、Salesforceの会長兼CEOであるマーク・ベニオフは語りました。

「現在、何千もの顧客が何千ものAIエージェントと連携し、AIエージェントは何千もの人と連携し、すべてが同時進行しています」とベニオフは続けました。「CEOとして、私は人だけでなくAIエージェントも管理しています。Salesforceのサポートの周りには現在、AIエージェントレイヤーがあるのです」

現在、何千もの顧客が何千ものAIエージェントと連携し、AIエージェントは何千もの人と連携し、すべてが同時進行しています。CEOとして、私は人だけでなくAIエージェントも管理しています。Salesforceのサポートの周りには現在、AIエージェントレイヤーがあるのです

Salesforce CEO、マーク・ベニオフ(Marc Benioff)

すぐに得られる効果

Salesforceは、すでにAgentforceの導入(英語)から大きな価値を得ています。Salesforceでは現在、一週間あたり約32,000件の顧客との会話に対応しており、その解決率は83%に達しています。重要なのは、コストのかかる人間へのエスカレーションが半減し、人間と話す必要がある顧客はわずか1%にとどまっていることです。パスワードのリセットや一般的な製品に関する質問などの定型業務は現在、Agentforceによって自律的に処理されています。

「今後も改善を続け、案件を人間に引き継ぐ必要性をさらに減らしていくことを期待しています」と、グローバルサポートエンジニアチームを率いるSalesforceのカスタマーサクセス担当EVPのサンジェイ・バラクリシュナン(Sanjeev Balakrishnan)は語りました。 

AIエージェントによる業務効率化により、チームメンバーは顧客との密接な関わりに集中し、専門スキルを向上させるための時間をより多く確保できるようになります、と同氏は述べています。例えば、顧客対応能力の高い従業員は、キャリアアップにつながる新規事業や営業開発の役割に就くことができるようになります。

Vivint(英語)やAdecco GroupなどのAgentforceを活用する顧客も同様のことを考えています。スマートホームとセキュリティソリューションの大手プロバイダーであるVivintは、AgentforceのAIエージェントが自律的に24時間365日稼働し、基本的な顧客の問題に対応することで、カスタマーサービスチームを強化しています。その結果、より複雑で重要な顧客の懸念事項に、人の担当者が集中できるようになることが期待できます。人材業界大手のAdecco Group(英語)はAgentforceを活用することで、採用担当者が24時間体制で顧客とやり取りし、履歴書の確認を行い、求職者と理想的なキャリアの機会を効果的にマッチングできるよう支援しています。これにより、採用担当者はより多くの顧客とより強固で個人的な関係を築くための時間を確保できると期待しています。

現場から得られた教訓

Agentforceを使用してAIエージェントの構築と展開は、迅速かつ容易に実行できますが、展開が最も成功するのは、組織内のすべてのデータとメタデータが統一され、安全に管理され、AIエージェントが推論や計画を行う際に使用する大規模言語モデル(LLM(英語))にアクセスできる場合です。AIエージェントが効果的に仕事を行うには、コンテンツとコンテクストが必要です。バラクリシュナンは、チームの仕事から得た重要な教訓の1つは、関連コンテンツを早期段階から、そしてその後も頻繁に検討し、Data Cloudを通じてすべてを1か所に集めることの重要性であると述べています。

Data Cloudは、Salesforceのハイパースケールデータエンジンであり、あらゆるソースから構造化データと非構造化データを収集し、それらを統合して統合された顧客プロファイル(英語)を作成します。これらのプロファイルは、Salesforceプラットフォーム全体で、あらゆるAIエージェントのアクション、自動化、インサイトの基盤となる信頼性の高いデータソースとなります。

もちろん、Salesforceは2024年9月にAgentforceを立ち上げた(英語)時点で、Data Cloudを通じてデータの統合をかなり進めていました。データ移行を始めたばかりの顧客に対して、バラクリシャンは徐々に取り組み始めることを推奨しています。

「すべてを一度に完璧に整えようとしないことです。手元にあるもの、つまりナレッジ記事や製品ドキュメントから始めて、そこから構築していきましょう」と彼は語りました。

同様に、優先順位の高いサービスおよびサポートプロジェクトを特定し、関連するビジネスおよび顧客データを数か月にわたってData Cloudに移行することを提案しています。

Data CloudのZero Copy Partner Networkを利用すれば、顧客はデータを素早く収集することができます。このネットワークにより、企業はSnowflake、Google、Amazon、DataBricksなど200社以上のデータプロバイダーからデータをリアルタイムで統合することができ、複雑でコストのかかるデータパイプラインは不要です。

Salesforceのデジタルカスタマーサクセス担当VPのバーナード・スローイー(Bernard Slowey)は次のように述べています。「Data Cloudを使って構造化データと非構造化データを統合すればするほど、Agentforceはより強力になります。それは間違いありません。質の高い関連性の高いコンテンツは、効果的なAIエージェントを育成するために不可欠です」

Data Cloudを使って構造化データと非構造化データを統合すればするほど、Agentforceはより強力になります。それは間違いありません。質の高い関連性の高いコンテンツは、効果的なAIエージェントを育成するために不可欠です

Salesforce デジタルカスタマーサクセス担当VP、バーナード・スローイー(Bernard Slowey)

Salesforceの「カスタマーゼロ」プログラムから得られた2つ目の教訓は、AIエージェントを展開する際にはユーザー体験を優先させることが重要であるということです。当初、Agentforceのインターフェースは単なるチャットボットのように見え、ユーザーはそれが従来のものとは異なるユニークなものであることに気づいていませんでした。これを解決するために、エンジニアはhelp.salesforce.comを検索エンジンに似たユーザーインターフェースに刷新し、英語のサイトから「サポートに連絡(Contact Support)」ボタンを削除しました。これにより今では、ほとんどの顧客がサービスやサポートに関する質問をする際、まずAgentforceを利用しています。

最後に、SalesforceはAIエージェントは何ができ、従来のAIアシスタントとどのように異なるのかをユーザーに教育することの重要性を学んだ、とスローイーは指摘しています。

「顧客はAgentforceを目にすると、これまでに経験したひどいチャットボット(英語)の体験を思い出すのです」とスローイーは述べました。「そのため、AIエージェントが従来のAIアシスタントとどう違うのか、膨大なコンテンツでどのように訓練されているのか、より人間らしい知性を持っていること、より迅速に的確な回答を提供できることを示さなければなりません」

さらなる進化へ

大きな進歩はあったものの、カスタマーサービスやサポートに革命をもたらすAgentforceの広大な潜在能力は、まだSalesforceによってその一部しか解き放たれていません。

Salesforce PlatformのAIエージェンティックレイヤーは、ビジネスのあらゆる部分で活用できるため、当社は、セールス、マーケティング、人事、その他様々な部門で従業員が日々行う業務を強化するためにAIエージェントを導入する動きを進めています。「これは単なる誇大宣伝ではありません」と、ベニオフは最近語っています。「これは、コスト削減や業務の簡素化を実現し、デジタル労働力のビジョンを企業へ、今すぐにでも提供できる現実のテクノロジーなのです」

詳細情報:

  • Agentforce 2.0発表会でのマーク・ベニオフのコメントは、こちら(英語)。
  • AIがもたらす未来についてのFortune LeadershipNextポッドキャストでのマーク・ベニオフの議論を聞くには、こちら(英語)。
  • Agentforce導入によるROIを試算するには、こちら
  • 新しいAgentblazerコミュニティに参加するには、こちら(英語)。
  • 新しいDatablazerコミュニティに参加するには、こちら(英語)。

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