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AIエージェントが新たなUIとなり、アプリは脇役へ

Why AI agents are the new user interface

※本記事は2025年2月27日に米国で公開された AI Agents Will Become the New UI, and Apps Take a Backseat の抄訳です。本記事の正式言語は英語であり、その内容および解釈については英語が優先されます。


何十年にもわたって、スクリーン、キーボード、そして構造化されたアプリケーションが、私たち人間とテクノロジーの関係を形作ってきました。人々はソフトウェアによって定義されたユーザーインターフェースを通じてコンピューターやモバイル機器とやり取りする方法を学び、それが生活や働き方、遊び方に影響を与えてきました。

しかし、今、大きな変革が始まろうとしています。

私たちは今、自律型AIエージェントが新たなユーザーインターフェースとなる大変革の入り口に立っています

Salesforce AI Platform製品担当EVP、アダム・エヴァンス(Adam Evans)

私たちは今、自律型AIエージェントが新たなユーザーインターフェースとなる大きな変革の入り口に立っています。これは、ビジネスユーザーと消費者の両方の体験を向上させるものです。実際のところ、近い将来、ユーザーはAIエージェントとやり取りしながらタスクを実行し、エージェントが裏側で適切なデータやアプリケーションを活用してくれるようになります。こうした進化は生産性や効率性、そしてエンタープライズソフトウェアの在り方にとって非常に大きな影響を与えるものです。この変革に対して、CEO、CIO、開発者、そしてパートナー企業は細心の注意を払う必要があります。

アプリからエージェントへ:ユーザー体験の変化

これまで、企業の業務は営業、マーケティング、カスタマーサービス、オペレーションなど、それぞれの専用アプリに依存してきました。しかし、もし複数のアプリを開かなくても仕事を遂行できるようになったらどうでしょうか?代わりに、AIエージェントに指示を出すだけで、あとはすべて自動で処理されるようになる将来も遠くありません。

例えば、営業担当者が会議の準備をする場合、現在ではCRMをチェックし、過去のメールのやり取りを検索し、分析ダッシュボードからデータを取得し、それらを手作業でまとめてインサイトを得る必要があります。しかし、SlackにAIエージェントが組み込まれていれば、関連するデータを自動で取得し、ブリーフィング資料を作成し、さらにはパーソナライズされた会話のポイントまで提案してくれるようになります。営業担当者は本来の作業環境を離れることなく、必要な準備を全て整えることができるようになります。同じことがカスタマーサービスにも当てはまります。担当者が複数のシステムを行き来しながらデータを取得し、詳細を確認し問い合わせに対応する「スイベルチェア問題(複数画面の切り替えによる時間の浪費)」もAIエージェントで解消されます。担当者は単一のインターフェースでプロンプトを入力するだけで、AIエージェントがバックグラウンドで必要なデータを収集し、適切な対応を進めることで、問題解決のスピードを格段に上げてくれます。

この変化は、アプリケーションやSoftware-as-a-Service(SaaS)モデルが不要になるという意味ではありません。AIエージェントがフロントエンドのインターフェースとして機能し、必要なデータやロジック、ワークフローの自動化を提供することで、ユーザーとアプリケーションをつなぐ架け橋となります。ユーザーはシステムを操作する必要がなくなり、AIエージェントがその複雑な作業を処理するようになります。また、LLM(大規模言語モデル)により、単一のアーキテクチャ上に統合されたプラットフォームからデータ、メタデータ、ワークフロー、アプリを活用して、さらなる効率化を実現することもできます。

オーケストレーションによるマルチエージェントアプローチ

技術的な観点から見ると、エンタープライズシステムとのシームレスな統合を実現するために、プライマリーエージェント、オーケストレーションエージェント、スペシャライズドエージェントという3種類のAIエージェントが連携する多層システムが機能しています。

  • プライマリーエージェント(またはユーザー対応エージェント):Slackのようなプラットフォームに組み込まれ、ユーザーと直接対話するインターフェースとして機能し、対話型で直感的なユーザー体験を提供します。
  • オーケストレーションエージェント:プライマリーエージェントとしても機能しながら、バックグラウンドでタスクの割り当てやワークフローの調整を管理します。適切なリクエストを適切なシステムにルーティングし、ユーザーの意図やコンテキスト、ビジネス上のロジックに基づいて、インテリジェントにコマンドの優先順位を決定し、最適な順序でアクションを実行します。
  • スペシャライズドエージェント:CRM、ERP、コマースプラットフォームなどのAPIと連携して、構造化データや非構造化データを取得・分析し、必要に応じてアクションを実行します。

このマルチエージェントアーキテクチャは、モジュール化されたAPI駆動のエコシステムを基盤としており、企業はコアアプリケーションを書き換えることなく、既存のシステムにAI主導のワークフローを組み混むことができます。この変化により、エンタープライズソフトウェアの開発と運用の在り方も大きく変わります。従来のように静的なユーザーインターフェースを設計するのではなく、AIの力を最大限に引き出すためには、システムやAIエージェントがAPI、データ、メタデータをどのように活用するかを検討する必要があります。進化し続ける企業環境の中で、AIエージェントがシステム内の情報にアクセスし、適切に解釈し、迅速にアクションを起こせるように設計することが求められます。

私たちは今、企業、従業員、業務プロセス、サブエージェント、部門がすべて、複数のAIエージェントとオーケストレーターによってシームレスにつながる世界を創り出しています。これにより、どのようなユースケースやユーザーであっても、その場に応じた最適なインターフェースを利用できるようになります。このビジョンを実現するためには、組織全体のデータとワークフローにアクセスできる、単一のアーキテクチャ上に統合されたプラットフォーム(英語)が不可欠です。

単一のアーキテクチャ上に統合されたプラットフォームがAIの可能性を解放

AIエージェントがビジネスプロセスに効率的にアクセスし、オーケストレーションするためには、それを支える基盤が必要です。AIエージェントは、リアルタイムで企業データを取得し、複数のアプリケーションを横断してワークフローを理解し、企業ポリシーやセキュリティ、コンプライアンスを遵守しながら、意思決定の透明性と監査可能性を確保しなければなりません。

AI機能、統合されたデータ基盤、シームレスなアプリケーションの相互運用性を組み合わせた統合プラットフォーム(英語)により、AIエージェントは高い信頼性と効率性を持って業務を行うことができます。そのためSalesforceは、AgentforceData Cloud、Customer 360 を組み合わせ、単一のアーキテクチャ上に統合されたプラットフォームの提供に注力しています。さらに、MuleSoftを活用して、そのプラットフォームをサードパーティシステムとも連携することが可能になり、Salesforceの外でも自律型AIエージェントが業務を遂行できるようになります。こうしたコアテクノロジーを組み合わせることで、AIエージェントが複雑なビジネス機能を実行し、自動化による生産性向上を実現しながら、エンタープライズレベルの管理とセキュリティを確保することができます。

例えば、カスタマーサポート担当者が複雑な問い合わせを受けた場合、従来であれば、注文状況の確認、契約内容の参照、解決策の実行のために複数のシステムを切り替えながら対応する必要がありました。しかし、統合プラットフォーム上では、プライマリーエージェント が問い合わせを受け取り、オーケストレーションエージェントが適切なタスクをスペシャライズドエージェントに割り当てることで、作業を自動化できます。 

このような信頼性の高いAIエージェントは、コマース、CRM、サービスアプリ から情報を取得し、関連するデータやメタデータを分析し、リアルタイムで最適なレコメンデーションを提供します。さらに、企業ブランドのトーンや経営ガイドライン、担当者の個人的なコミュニケーションスタイルに適応しながら、顧客対応のアプローチを提案することが可能です。

例えば、世界最大の求人サイトIndeed(英語)は、自律型AIエージェントを導入し、求職者を支援しています。その結果、採用までの期間を50%短縮し、2030年度までに雇用の壁に直面している3,000万人の雇用確保を支援するという目標の達成に貢献しています。

また、会計サービス企業1-800Accountant(英語)では、Agentforceを活用することで、最大90%の問い合わせを自動処理しています。例えば、確定申告の進捗に関する質問にAIエージェントが自動対応することで、社員はより複雑な業務に専念できる環境を整えています。

1-800Accountant(英語)では、Agentforceを活用することで、最大90%の問い合わせを自動処理しています。例えば、確定申告の進捗に関する質問にAIエージェントが自動対応することで、社員はより複雑な業務に専念できる環境を整えています

Salesforce AI Platform製品担当EVP、アダム・エヴァンス(Adam Evans)

Salesforce自身もAgentforceを活用し、世界最大規模のエージェント型AIの導入(英語)を進めています。その代表的な例が、help.salesforce.comです。このサポートページでは、Agentforceが毎週約32,000件の顧客対応を行い、そのうち83%が自動解決されています。特に注目すべき点は、コストのかかる人的対応へのエスカレーションが半減したことです。人間の担当者によるサポートが必要な顧客はわずか1%にとどまり、大半の問い合わせがAIによって処理されています。例えば、パスワードのリセットや一般的な製品に関する質問 など、反復業務は完全にAgentforceが自動対応しています。

考慮すべきポイント

AIエージェントが主要なユーザーインターフェースとなる時代が到来しています。これに備えるにあたり、先進的なビジネスリーダーは次の問いを検討する必要があります。

  1. AIエージェントは、私たちの働き方をどう変えるのか?カスタマーサービス、営業、オペレーションなど、AIによる自動化が最も大きな影響をもたらす領域を特定する。
  2. 適切なデータとプラットフォーム戦略を持っているか?AIエージェントが効果的に機能するには、構造化され、統合された、アクセスしやすいデータが不可欠です。深く統合されたデータ基盤の上に構築されたソリューションを優先することが重要です。
  3. この変化は、企業のソフトウェア投資にどのような影響を与えるのか?SaaSモデルが進化する中で、企業は価格体系がエージェント主導のインタラクションや全体的な価値との整合性を評価する必要があります。

未来はすでに始まっている

AIは単にソフトウェアを強化するだけでなく、私たちのテクノロジーとの関わり方そのものを再定義しています。インテリジェントなAIエージェントは、新たなインターフェースとなり、あらゆるレベルで企業の効率化と最適化を促進しています。

この変革を受け入れ、大きな競争優位性を手にするか、それとも自動化とインテリジェンスが主導する世界で後れを取るか、CEOやCIOにとって、その選択肢は明確と言えるでしょう。

詳細情報:

  • AI活用に統合プラットフォーム求められる理由はこちら(英語)
  • SalesforceによるAgentforce導入の自社事例はこちら(英語)。
  • デジタル労働力が企業を変革する理由はこちら(英語)。

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