AI Energy Scoreは、AIモデルのエネルギー効率に関する明確で信頼できるベンチマークを確立
この取り組みの一環として、一般的に使用されている166のAIモデルの評価が公表され、開発者やAIユーザーはエネルギー消費量の少ないモデルの特定が可能に
※本記事は2025年2月10日に米国で公開されたSalesforce Joins Technology and Academic Leaders to Unveil AI Energy Score Measuring AI Model Efficiencyの抄訳です。本記事の正式言語は英語であり、その内容および解釈については英語が優先されます。
米国Salesforce(以下、Salesforce)は、Hugging Face(英語)、Cohere(英語)、カーネギーメロン大学(英語)と共同で、この分野では初めてとなるベンチマークツール「AI Energy Score(英語)」を発表しました。これにより、AI開発者やユーザーがAIモデルのエネルギー消費量を評価、特定、比較できるようになります。
また、SalesforceはAIモデル開発企業として初めて、新たなフレームワークの下で自社開発モデル(英語)のエネルギー効率データを開示することを発表しました。
重要な理由:AI Energy Scoreは、AIモデルが環境に与える影響に関する(英語)透明性の欠如に対処することを目的としています。ENERGY STAR(英語)が家電や電子機器のエネルギー効率基準を変革したのと同様に、このイニシアチブはAIモデルのサステナビリティに関する明確で信頼できるベンチマークを確立します。
さらに詳しく:AI Energy Scoreは AI Action Summit(英語)で発表されました。このサミットには、100カ国以上の民間企業、市民社会のリーダーが集い、AI(英語)を社会のために活用する方法を議論しました。このスコアの導入により、AIの透明性が向上し、エネルギー効率の高いモデルが市場で優先的に選ばれるよう促すことで、持続可能なAI開発を推進できます。フランス政府(英語)とパリ平和フォーラム(英語)がその変革の可能性を認めたAI Energy Scoreの特長は、以下の通りです。
- 標準化されたエネルギー格付け:AIモデルのエネルギー効率を測定、比較するための標準化された枠組みとなっています。
- 公開リーダーボード:テキスト生成、画像生成、要約など10の一般的なAIタスクを実行する166のモデルのスコアを掲載する包括的なリーダーボード(英語)。SalesforceのSFR-Embedding(英語)、 xLAM(英語) 、SF-TextBaseも含まれます。
- ベンチマークポータル:AI開発者がオープンまたは独自のAIモデルを提出し、評価を受けてリーダーボードに追加できるプラットフォームです。オープンモデルは自動的にテストが実施でき、クローズドモデルは安全なテスト環境(サンドボックス)を通じた評価が可能です。
- 認識可能なエネルギー使用ラベル:AIモデルのエネルギー使用量を1~5つ星で評価する新しいラベルを導入しました。これにより、開発者とユーザーはより持続可能なモデルを簡単に特定、選択できます。評価を受けたのちAI開発者はモデルのエネルギースコアを共有するための標準化されたラベルを生成できます。また、適切なラベル表示のガイドラインが組み込まれており、視認性と影響力を高めることができます。

Agentforceを通じた、Salesforceのサステナビリティの取り組み:昨年秋、Salesforceは Agentforceを発表しました。これは、あらゆるビジネス機能に自律型 エージェントを導入するためのSalesforce PlatformにおけるAIエージェントレイヤーです。Agentforceは、AIエージェントを構築、カスタマイズできるツールのほか、営業、サービス、マーケティング、コマース、Tableau、Slackなどですぐに使えるスキルのライブラリを提供しています。
- Agentforceはサステナビリティを中核として設計されており、環境への影響を最小限に抑えながら高いパフォーマンスを提供します。従来のDIY型AIアプローチでは、顧客ごとにエネルギー集約的なモデルトレーニングが必要ですが、Agentforceは初期設定の段階で即座に最適化されるため、コストが高く、高炭素排出に繋がる大規模なトレーニングは不要です。
- Agentforceの基盤となるアーキテクチャは、単一の大規模言語モデル(LLM)(英語)に依存せず、小規模で効率的な言語モデルとエージェント的推論、その他の高度なAIツールを組み合わせることで、エネルギー消費を大幅に削減します。
- 例えば、SalesforceのSFR-RAG(英語)は、正確で信頼性の高いタスク向けに最適化された小規模言語モデルです。このモデルは情報源を明示し、正確な事実を抽出し、複雑な質問に対応することで、信頼性の高い回答を提供しながらエネルギー使用量を抑えます。
- さらにAgentforceは、Salesforce Data CloudとSalesforce Platformからカスタマイズされたデータとメタデータを活用し、高い精度と応答性を実現しながら、不要な演算リソースの消費を最小限に抑えます。
Agentforceは、サステナビリティを中核に据えて設計されており、環境への影響を最小限に抑えながら高いパフォーマンスを提供します
視点
- 「AI Energy Scoreは、AI Action Summitのミッションを体現するもので、大胆なイノベーションとグローバルな協力を通じて、AIの透明性と持続可能性という喫緊の社会課題に取り組んでいます。この画期的な取り組みを本サミットで発表できることを誇りに思います。これは、世界の学術界と産業界の創意工夫を示す強力な証であり、責任あるAI開発に向けた集団的な行動を呼びかけるものです」
フランスの投資担当事務総長、ブルーノ・ボーネル(Bruno Bonnell)氏 - 「AI Energy Scoreが提供するような透明性は非常に重要です。過去3年間にわたり、CPUやRAMデータといった主要指標の精度を高め、より詳細な要素を取得するために協力してきました。この取り組みは重要なマイルストーンとなり、より多くの独自モデルプロバイダーがこの実践を採用し、業界全体およびサプライチェーンにおいて説明責任とサステナビリティを推進していくことを願っています。エネルギー消費量データを公開することで、当社はエコデザインの実践を導入し、AI技術の環境負荷を最小限に抑えることができます」
L’OREAL Group、サステナビリティ・グローバルテック・ディレクター、アリアンヌ・トーマス(Ariane Thomas)氏 - 「AI Energy Scoreは、持続可能なAIにとって重要なマイルストーンとなります。透明性の高い評価システムを構築することで、AIの環境負荷削減の大きな障壁に対処することができます。このプロジェクトを立ち上げることができ、大変嬉しく思います。今後、より広範な採用が進むことを期待しています」
Hugging Face、AI&気候リード、サーシャ・ルッチョーニ(Sasha Luccioni)博士 - 「AIのエネルギー消費量を削減することは、運用コストの低減、インフラの最適化、そして長期的なサステナビリティと収益性の向上につながります。私たちは、業界のリーダーと協力し、より透明性の高いAIエコシステムを構築できることを誇りに思います」
Salesforce、EVP兼チーフ・インパクト・オフィサー、スザンヌ・ディビアンカ(Suzanne DiBianca)
私たちは、業界のリーダーと協力し、より透明性の高いAIエコシステムを構築できることを誇りに思います
Salesforce EVP兼チーフ・インパクト・オフィサー、スザンヌ・ディビアンカ(Suzanne DiBianca)
詳細情報:
- AI Energy Scoreの資料とFAQはこちら(英語)。
- AI Energy Scoreに関するNatureの記事はこちら(英語)。
- Agentforceの最新情報はこちら。
- Salesforce Accelerator – Agents for Impactの詳細はこちら。
- Salesforceの持続可能なAIへの取り組みについて詳しくはこちら(英語)。
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