※本記事は2025年11月17日に米国で公開されたAI Adoption Skyrockets 282% as CIOs Enter the Era of Scale — but Trust Becomes the New Bottleneckの抄訳です。本記事の正式言語は英語であり、その内容および解釈については英語が優先されます。
Salesforceが世界24カ国を対象に実施した第2回のCIO調査によると、企業のAI導入は昨年比で282%増加していることが明らかになりました。2024年、CIOはデータギャップの解消、セキュリティ強化、初期パイロット運用の実施に取り組んでいました。しかし今年に入り、こうした準備段階を終えて、CIOはAIを組織全体に拡大させる段階に入っています。AI利用の実験の時代は終わり、拡大の時代が到来しています。
この変化に伴い、CIOに求められるスキルセットも大きく変化しています。技術的専門性は依然として重要ですが、AI導入を組織に定着させられるかどうかは、リーダーシップ、ストーリーテリング、チェンジマネジメントといったスキルに左右されます。そしてこれは単なる傾向ではありません。94%のCIOが、AI利用を拡大させるためにスキルの拡張が必要だと回答しています。
企業レベルでAI活用が広がる中で、CIOの役割も拡大しています。CIOは従来からCEOのパートナーとして位置づけられていましたが、AI利用が拡大する中で、その役割は「技術基盤の準備」にとどまらず、「組織全体の変革の推進」へと広がっています。CIOは、経営陣の意見をまとめ、導入戦略を策定し、AIを日常業務に組み込む役割を担っています。
技術面での優先事項も変化しています。昨年はデータクリーンアップ、ガバナンス、セキュリティ、レガシーシステム対応が中心でしたが、今年、CIOは自律型ワークフローの構築、基幹プラットフォームへのAI統合、AIの安全な拡大に注力しています。
また、CIOは顧客接点部門、特にサービス部門と連携する時間を増やしています。これは、AIエージェントがすでに測定可能な成果を生み出しているためです。昨年から続くデータとセキュリティの懸念も踏まえ、CIOはAI投資を安全かつ責任ある形で拡大させるために、信頼できるプラットフォームや統合システムへの依存を強めています。
SalesforceのCIO、ダニエル・シュミット(Daniel Shmitt)は次のように述べています。
「CIOはAIに対する期待を行動へと移し、自律型AIを組織の中で現実的かつ測定可能な形で拡大させています。業務の流れにAIを組み込み、あらゆるステップに信頼を築くことが、より速く、より自信をもって前進する力になるのです」
顧客の視点:
調査結果の詳細:
CIOはためらいの段階から実装の段階へと移行
- 昨年、CIOの43%が「自社はAIで競合より先行している」と感じていましたが、今年はその割合が61%に増えています。
- AIの全社的な導入は2024年以降282%(11%から42%)増加しています。
- AI予算はほぼ倍増しており、CIOはそのうち30%を自律型AIに充てていると回答しています。
- また、CIOの96%が、自社では現在すでに自律型AIを利用している、もしくは今後2年以内に利用する予定があると回答しています。
企業全体でAIに対する自信が向上
- CIOの75%が、1年前と比べて現在の自分の役割により自信を持っていると回答しています。
- CIOの97%が、1年前よりAIについて理解が深まったと回答しています。
- CIOは、自社が2024年と比べて、今年はさまざまなAI要素で大きく改善していると評価しており、その内容には以下が含まれます:
- 従業員のスキルセットの向上(+43%)
- AIの成功指標/KPIを特定する能力の向上(+33%)
CIOは単なる技術リーダーではなく、変革のリーダーとして台頭
- CIOは、自律型AIの導入によって自身の役割と重要性が高まった結果、他の経営幹部よりもCEOと最も緊密に連携していると回答しています。
- また、CIOの94%が、AIエージェントの活用により自身のスキルセットを拡張する必要性が高まったと回答しています。
- CIOは職場で、従来想定されていなかったスキルの習得にも取り組んでおり、特にハードスキルよりソフトスキルの強化に注力しています。
- 自律型AIへの備えとしてCIOが向上させた主なスキルは以下のとおりです:
- 61%のCIOが、リーダーシップスキルを向上させています。
- 57%のCIOが、ストーリーテリングおよびナラティブ構築のスキルを向上させています。
- 55%のCIOが、チェンジマネジメントおよびコミュニケーションスキルを向上させています。
- 自律型AIへの備えとしてCIOが向上させた主なスキルは以下のとおりです:
サービス部門がAI実証の場に
- CIOの65%が、自律型AIの導入により顧客サービス部門とこれまで以上に緊密に連携していると回答しており、これは他のどの部門よりも高い割合です。
- CIOは、自律型AIにおいて、最も優れたユースケースを持ち、最も熱意が高く、最も準備が整っており、最も導入が進んでいる部門として、顧客サービスを第1位に挙げています。
- この結果はSalesforceの最新の「エージェンティック エンタープライズ インデックス」と一致しています。Agentforceの利用データによると、2025年上半期においてAIエージェントが主導した顧客サービスでの対応件数は平均で22倍に増加しています。
組織におけるAIの拡大に不可欠な部門横断連携と、依然として残るギャップ
- 81%のCIOが、AIエージェントの導入により、人事、財務、営業などの他部門とこれまで以上に緊密に連携する必要性が高まったと回答していますが、現在それを実行できているのは半数未満です。
- 93%のCIOが、職場におけるAIエージェントの成功には、日々の業務の流れに統合されていることが不可欠だと回答しています。
- 61%のCIOが、既に利用している信頼できるベンダーへの投資を優先すると回答しており、APACのライフサイエンス業界に絞ると、「AI関連技術を広範なテクノロジーエコシステムに適切に統合すること」がAIエージェントの世界で必要とされる重要な進歩だとされています。
「私の役割においては、AIの可能性と限界について事業部門をコーチングし、適切に導くことが重視されるようになりました。AIには大きな期待が寄せられており、それは過去のいくつかの新興テクノロジーを上回るほどですが、私たちのビジネスでは現実的な活用を前提とした理解が不可欠です。AIを導入し、その価値を最大化するためには、十分な教育が必要であり、それが欠ければ付加価値を生まないままコストだけが急速に増大してしまいます。また、データとインサイトの可能性を最大限に引き出すためには、部門横断で戦略的にビジネスを整合させる取り組みがこれまで以上に求められています」
―― 小売業界のCIO調査回答者
最大のボトルネックとして残るデータへの信頼
- 自社におけるAIに関する最大の懸念はデータセキュリティとプライバシーであり、それに次いで信頼できるデータの不足が挙げられています。
- しかし、自律型AIの導入によりチーフデータオフィサーとより緊密に連携していると回答したCIOは35%にとどまり、IT予算のうちデータセキュリティに充てられているのはわずか14%です。
- また、データガバナンスが組み込まれたAIの投資に対して、完全に自信を持っているCIOは、わずか23%に過ぎません。
詳細情報:
- 今年の調査結果のインサイトを昨年の結果と比較するには、こちら(英語)。
調査方法:SalesforceはNewtonXと協力し、AMER、EMEA、APACの24か国にわたるグローバルCIO200名を対象に、二重盲検方式のオンライン調査を実施しました。
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