※本記事は2025年6月20日に米国で公開されたFrom Silos to Synergy: Integration Unlocks Agentic AI’s Potentialの抄訳です。本記事の正式言語は英語であり、その内容および解釈については英語が優先されます。
企業がAIエージェントの導入を進める中で、成功の鍵となる要素が明らかになってきています。それはインテグレーション(統合)です。Salesforceが実施した最近の調査によると、世界の企業の80%、日本では85%がAI導入の主な障壁として、データ統合の難しさを挙げています。
AIエージェントを企業の広範かつ多様なIT環境とシームレスに接続する能力は、単なる技術的課題ではなく、戦略的な必須事項となっています。
AIエージェントを活用して複雑な業務を自動化し、データに基づく意思決定を行い、新たなビジネスモデルの創出を目指す企業にとって、“AIエージェント対応”の基盤を構築することは不可欠です。
この基盤には、AIエージェントが重要なデータへアクセスし、既存のシステムと連携し、アクションを実行するための堅牢なインテグレーション機能と、APIが欠かせません。これにより、業務の効率化や新たな収益機会の創出に向けたアクションが可能になります。
クラウドからAIエージェントへ:企業変革の大きな変換点
破壊的テクノロジーは、ビジネスモデルの変革と密接に結びついています。たとえば、クラウドコンピューティング(英語)は、ITのコスト構造を資本支出から運用支出へと根本的に転換させました。この変化により、企業は新たな市場、製品、サービスを探求および革新することが可能になりました。
AIエージェントはさらに一歩進み、ソフトウェアの基本的なプロセスや問題解決のロジックそのものを変革します。
AIエージェントはさらに一歩先へ進み、ソフトウェアの基本的なプロセスや問題解決のロジックそのものを変革します
クラウドコンピューティングがデジタルトランスフォーメーションを後押ししてきたように、AIエージェントは次なるビジネス進化の波をけん引します。AIエージェントにより、企業は複雑なタスクを自動化し、より迅速かつ正確にデータに基づく意思決定を行い、パーソナライズされた顧客体験を大規模に提供できるようになります。
インテグレーションの重要性
この新たなAIエージェント時代においては、インテグレーションの重要性がこれまで以上に高まっています。
AIエージェントが真に効果的に機能するためには、孤立した環境で動作するのではなく、CRMやERPプラットフォーム、レガシーシステム、最新のクラウドアプリケーションに至るまで、さまざまなシステムに存在するデータへアクセスし、アクションを実行できる必要があります。
1,000人以上の企業ITリーダーを対象とした調査によると、組織で活用されているAIモデル(英語)の数は昨年から倍増した一方で、組織内で接続・連携しているアプリケーションは平均して29%にとどまっていることが明らかになりました。データサイロ(英語)が増加しており、、AIエージェントは必要な情報の取得やプロセスの自動化、そして高い価値を提供することが難しくなり、その力を十分に発揮できなくなっています。
インテグレーションとAPIは、AIエージェントが重要かつ企業特有のデータにアクセスし、企業全体にわたる既存のシステムや自動化プロセスと直接連携することを可能にします
インテグレーションとAPIは、AIエージェントが重要かつ企業特有のデータにアクセスし、企業全体にわたる既存のシステムや自動化プロセスと直接連携することを可能にします。
企業をAIエージェント時代へ導く
クラウドが登場した時と同様に、AI(英語)もまた企業に必要なシステムの在り方を変えようとしています。従来のシステムの一部は廃止され、既存のシステムや投資は新たなAIインフラストラクチャの枠組みに組み込まれる必要があります。そして、新たなシステムも次々と登場してくるでしょう。
AIエージェントの導入は、組織がインフラやモデルをすべて置き換えることを意味するわけではありません。MuleSoftが提供するAPIやインテグレーション機能を活用することで、既存のシステム、ツール、機能を新しいAIの世界に拡張することが可能です。つまり、企業はAIエージェント、AIエージェントアプリケーション、プロセスをゼロから構築する必要はないのです。
AIエージェントを自在に活用する企業を実現するには、堅牢なインテグレーションとAPIが不可欠です。MuleSoftのようなソリューションは、その重要な基盤を提供します。システム、データ、アプリケーションを接続することで、AIエージェントは以下のことが可能になります:
- 情報の取得とアクションの実行:意思決定に必要なデータにアクセスし、効果的なアクションを実行します。
- プロセスの自動化:複数のシステムを横断してタスクを実行し、ワークフローを最適化し、効率性の向上をもたらします。
- リーチの拡大:自らのネイティブ環境を超えてシステムやデータと連携します。たとえば、MuleSoft for Agentforceは、Salesforceのデジタル労働力プラットフォームであるAgentforceの機能を拡張し、AIエージェントが企業全体で安全にアクションを実行できるようにします。
AIエージェントのアクションを支える基盤構築
AAAワシントンやアデコグループのような企業は、インテグレーションがAIエージェントの有効性に与える影響を実証しています。
AAAワシントン(英語)は、米国北西部を拠点に、保険、旅行プランニング、24時間365日対応のロードサービスなどを提供しており、会員とのエンゲージメントと継続率は、収益目標の達成において重要な指標となっています。同社は、Agentforceを導入することで、適切なタイミングで会員に対して関連性の高いオファーを提供し、契約更新率の向上を図っています。この取り組みを支えるのが、SalesforceのMuleSoftおよびData Cloudです。MuleSoftは、組織全体のアプリケーションを連携させることで、業務プロセスの効率化を実現しています。また、Data Cloudは複数のサイロに分散していた会員データを統合し、会員一人ひとりに対する360度の包括的な視点を提供します。その結果、同社の担当者はより迅速かつパーソナライズされたサービスを提供し、より価値の高い顧客対応に集中できるようになります。
この取り組みを支えるのが、SalesforceのMuleSoftおよびData Cloudです。MuleSoftは、組織全体のアプリケーションを連携させることで、業務プロセスの効率化を実現しています。また、Data Cloudは複数のサイロに分散していた会員データを統合し、会員一人ひとりに対する360度の包括的な視点を提供します
アデコグループ(英語)は、世界をリードする人材サービス企業として、Agentforceを活用して採用活動と求職者支援のあり方を再構築しています。同社はMuleSoftとData Cloudを活用し、40を超えるシステムのデータを一元化しました。これにより、採用担当者はAgentforceを通じてより迅速な人材配置を実現し、大規模かつパーソナライズされたサービスを提供するとともに、業務効率と意思決定のスピードを向上させています。
これらの導入事例が示すとおり、インテグレーションは、企業内に散在するデータやシステムを統合し、AIエージェントの活用とアクションを可能にする重要な基盤となっています。
AIエージェントに対応する企業の未来
今後、AIエージェントを取り巻く環境はますます複雑化し、多種多様なエージェントシステム、大規模言語モデル(LLM)、アプリケーションが登場することが予想されます。企業はこれらすべてをつなぎ合わせ、エンタープライズシステム全体にわたる複数のAIエージェントのワークフローを、シームレスかつ安全に連携・制御できる基盤を必要とします。
こうしたマルチAIエージェントの世界へと移行する中で、インテグレーションの重要性はかつてないほど高まっています。自社のシステムとデータをあらかじめ接続し、AIエージェントに対応する基盤を整えている組織こそが、AIエージェントの変革力を最大限に引き出し、持続的なビジネス価値を創出できるのです。
詳細情報:
- AIエージェント変革に向けて組織が準備しメリットを享受する方法については、こちら(英語)。
- 「コネクティビティ・ベンチマークレポート」による、最新のITおよびインテグレーションのトレンドについては、こちら。
- MuleSoftによるModel Context Protocol(MCP)の対応については、こちら(英語)。
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