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Salesforce、「MuleSoft Agent Fabric」を発表 エージェンティック・エンタープライズ全体で複数のAIエージェントのオーケストレーションと運用管理を実現

MuleSoft Agent Fabric
新たなソリューションであるMuleSoft Agent Fabricにより、AIエージェントを構築、稼働する場所を問わず、あらゆるAIエージェントを検出し、オーケストレーション、ガバナンス、監視が可能に
Barco、r.Potential、ラッシュ大学医療システム、Wynn and Encore Las Vegasなどの顧客が、MuleSoft Agent Fabricを活用し、自社のビジネス全体でAIエージェントを安全かつ的確に管理

※本記事は2025年9月25日に米国で公開されたSalesforce Launches MuleSoft Agent Fabric to Orchestrate and Govern Any AI Agent Across the Agentic Enterpriseの抄訳です。本記事の正式言語は英語であり、その内容および解釈については英語が優先されます。


AIの導入が加速するにつれて、企業はチームやプラットフォーム、ベンダーを跨いだAIエージェントの数の急増に直面しています。この急増は大きな可能性を秘める一方で、新たな断片化——AIエージェントの秩序なき拡大——をもたらしかねません。お互いが連携していないワークフロー、自動化の重複、コンプライアンスの死角が発生します。適切な基盤が整わない場合、管理されていないAIエージェントは生産性向上ではなく混乱を招くリスクがあり、データの管理、セキュリティの徹底、大規模な一貫した顧客・従業員体験の提供が困難になります。

この度、Salesforceは「MuleSoft Agent Fabric」を発表しました。これは管理されていないAIエージェントを安全でインテリジェントなネットワークへと変革する新たなソリューションです。MuleSoft Agent Fabricは、構築する場所を問わず、あらゆるAIエージェントをカタログ化し、オーケストレーション、ガバナンス、監視を一元的に実現します。これは、空港で、航空管制官が様々な航空会社の飛行機が安全に離着陸し、空域を共有できるよう管理することと同様です。MuleSoft Agent Fabricは企業の分散したデジタル労働力の連携基盤として機能します。これにより、AIエージェントのスムーズなコラボレーションを実現し、信頼性の高いエージェントネットワークの構築を可能にします。

例えば、あるグローバル小売企業で在庫を追跡するAIエージェント、価格を更新するAIエージェント、不正を検知するAIエージェントが存在しているとします。これまでは、それぞれが連携しないまま動いていましたが、MuleSoft Agent Fabricを通じて、これらのAIエージェントを連携することができるようになります。そのため、在庫が少なくなると自動的に価格が調整され、不正チェックがリアルタイムで実行されます。全体のプロセスを通じてエージェント間の通信には機密情報漏洩を防止する各種ポリシーやガードレールが適用されるのでデータは安全に保護されます。

重要な理由

AIエージェントの導入は、今後2年間で327%増加すると予測されています。また、1年以内に企業アプリケーションの40%(英語)にAIエージェントを組み込まれる見込みです。これら組み込みAIエージェントにより、そのアプリケーション内でのタスク効率化は約束されますが、企業全体を見渡すことはできません。これまでドメインを跨いだアクションのオーケストレーションは不可能で、システム間連携に必要なセキュリティ対策も欠如していました。

MuleSoft Agent Fabricはエージェントの一元管理基盤を提供し、エコシステム全体にわたるAIエージェントの統制、オーケストレーション、監視を実現し、セキュアでインテリジェントかつ大規模に連携できるようにします。組織は確信を持ってエージェンティック・エンタープライズ(英語)への変革を推進できます。人とAIエージェントが明確な可視性とガバナンスのもとで協働することで、セキュリティとコンプライアンスを担保しています。

MuleSoftはこの課題に取り組む上で、他にない強みを有しています。10年以上にわたり、あらゆるシステムを横断してアプリケーション、データ、プロセスをインテグレーションするソリューションとしてMuleSoftはグローバルの企業から信頼を獲得してきました。このAPIを通じてインテグレーションとガバナンスを提供してきた実績を、このAI時代にAIエージェントへと拡大しています。MuleSoftが世界中のAPIやアプリケーションに対して実現してきたのと同じように、AIエージェントもあらゆるエコシステムにおいて安全に相互運用が可能となります。

アーキテクトはMuleSoft Agent VisualizerでAIエージェント間のネットワークを可視化して確認できます。Visualizerにより、AIエージェント間の相互作用、意思決定フロー、依存関係をリアルタイムで把握でき、チームはマルチAIエージェント環境全体におけるボトルネックの迅速な特定、問題のトラブルシューティング、パフォーマンスの最適化を実現可能に

注目ポイント

MuleSoft Agent Fabricは、顧客の多様なAIエージェント環境を統合し管理するための4つの機能を提供し、これらを連携させることでエージェンティック・エンタープライズを実現します。

  • あらゆるAIエージェントやツールを検出:MuleSoft Agent Registryは、MCPやA2Aサーバーを含むあらゆるAIエージェントやツールを登録し、開発者や他のAIエージェントが検出できるようになる中心となるカタログです。これにより、あらゆるAIアセットを容易に検出、再利用し、ワークフローに組み込むことが可能となり、企業は重複の回避と提供を加速することができます。
  • エコシステム全体でのAIエージェントのオーケストレーション:MuleSoft Agent Brokerは、AIエージェントやツールをビジネス中心のドメインに整理し、タスクを動的にルーティングするインテリジェントなルーティングサービスです。顧客が選択したLLM(大規模言語モデル)を基盤とし、A2A(Agent2Agent)やMCP(Model Context Protcol)を通じて接続することで、複雑なマルチステップのプロセスであっても多様なAIエージェントやシステム間でシームレスに実行することが可能となります。
  • あらゆるAIエージェントのやり取りで信頼性とセキュリティを担保:MuleSoft Agent Governanceは、エンタープライズグレードのガードレールを提供し、あらゆるAIエージェントのやり取りに対してセキュリティ、コンプライアンス、ポリシー管理を適用します。これにより、組織は安全にAI導入を拡大でき、あらゆるアクションが一貫性があり安全かつ企業および規制要件に沿ったものであることを担保できるようになります。
  • AIエージェントの意思決定をエンドツーエンドで可視化:MuleSoft Agent Visualizerにより、ITチームにAIエージェント間の関係性を示す動的なマップを提供し、AIエージェントがどのように接続され、相互作用し、動作するかが示されます。ブラックボックス化されたAIを可観測性のあるシステムに変えることで、パフォーマンスの最適化、障害の防止、そしてエージェンティック・ワークフォースへの信頼構築に必要なインサイトを提供します。

SalesforceのAgentforceにより、自律型AIエージェントの構築と展開のための包括的なプラットフォームを導入直後から利用可能です。MuleSoft Agent FabricはAgentforceを拡張し、サードパーティ製AIエージェントとのオーケストレーションを実現します。

詳細情報

MuleSoft Agent Fabricにより、AIエージェント(Agentforceなどのプラットフォーム上で構築されたものを含むが、これに限定されない)のオーケストレーションと運用管理の一元管理が可能となり、多様な業界における複雑な多段階のビジネス課題をAIが解決することができるようになります。

  • 住宅ローン申請の自動化:MuleSoft Agent Fabricは、住宅ローン申請プロセスの様々なコンポーネントを安全に連携させるために利用可能です。

    例えば、「住宅ローンアシスタント」AIエージェント(Agentforceによって駆動され、銀行プラットフォームに組み込まれた)は、MuleSoft Agent Brokerを利用して、顧客問い合わせをサイロ化されたSaaS AIエージェントや自社開発AIエージェントにインテリジェントにルーティングします。Agentforceは顧客情報を取得し、リアルタイムの信用調査を行う外部信用調査AIエージェント、安全な文書署名を行うDocuSign IAM AIエージェント、規制ポリシーを適用する自社開発コンプライアンスAIエージェントと連携します。MuleSoft Agent Registryにより、これらの専門AIエージェントはAgentforceから容易に検出可能となります。一方、MuleSoft Agent Governance(英語)により、データアクセスからポリシーチェックに至る外部AIエージェントとのあらゆるやり取りが安全かつ監査可能であることが担保されます。この連携されたワークフローにより、重要な引き継ぎの失敗を防ぎ、遅延やエラー、重大なコンプライアンスリスクを低減します。

  • リアルタイム・サプライチェーン・ロジスティクス: MuleSoft Agent Fabricは、異なるシステムを接続し、応答性が高くインテリジェントなサプライチェーンを構築するために利用可能です。

    例えば、「オペレーションAIエージェント」が配送遅延の可能性に関する通知を受け取ります。このAIエージェントは、MuleSoft Agent Brokerを利用して、物流パートナーの「フリートAIエージェント」と連携し配送ルートを変更すると同時に、「SAP AIエージェント」が在庫情報をリアルタイムで更新します。別の「品質管理AIエージェント」が倉庫での潜在的な問題を検知します。MuleSoft Agent Visualizerは、この複雑なAIエージェント活動をITチームに明確かつインタラクティブに可視化し、エラーの事前検出とパフォーマンス最適化を支援します。AIエージェントがもたらすあらゆるインサイトやアクションにおける決定が可視化され、、システム全体で適切なフォローアップを確実に実行に移すことができます。

  • パートナーおよび従業員のオンボーディング:MuleSoft Agent Fabricは、パートナー向けの複雑なオンボーディングプロセスを管理するために利用可能です。

    例えば、「パートナーポータルAIエージェント」は、MuleSoft Agent Brokerを活用し、複数のバックエンドシステムとの連携を調整します。リクエストをインテリジェントにルーティングし、新規パートナーIDを割り当てる「セールスAIエージェント」、システムアクセスを管理する自社開発の「IT AIエージェント」、関連記事やトレーニングを表示する「ナレッジAIエージェント」へそれぞれ振り分けます。MuleSoft Agent Governanceを活用すれば、ITチームはAIエージェントの権限やデータアクセスを制御でき、新規パートナーがオンボーディングに必要な情報のみを閲覧できるようにしつつ、企業データの管理を維持することが可能です。 
ITチームはMuleSoft Agent Brokerを活用し、AIエージェントとMCPサーバーをビジネスに焦点を当てたドメインに構造化できます。Brokerはこれらのドメインを横断的に移動し、タスクを最適なAIエージェントやツールへ動的にルーティングすることで、受信プロンプトを迅速かつ正確に解決


Salesforceおよび顧客の視点

  • 「現実には、ほとんどの企業は複数のベンダーが存在する環境で事業を展開しており、AIの登場によってこの状況が変わることはありません。企業が様々なエコシステムにまたがる無数のアプリケーションに依存しているのと同様に、間もなくあらゆる SaaS プロバイダーや主要な LLM から AI エージェントを導入することになるでしょう。戦略上の課題は、単一のAIエージェントを構築することではなく、それらすべてのAIエージェントが連携して機能できるようにすることです。MuleSoft Agent Fabricにより、あらゆる組織がすべてのAIエージェントを一貫性のある信頼性の高い方法で管理およびオーケストレーションできるようになります」ーSalesforce MuleSoft SVP兼GM アンドリュー・コムストック(Andrew Comstock)
  • 「MuleSoft Agent Fabricは、数千ものAIエージェントを大規模に安全かつリアルタイムでオーケストレーションするための基盤を提供します。単なる調整機能を超え、次世代のエンタープライズインテリジェンスを支える統合と言えるでしょう。散在するAIエージェントをセキュアで一元的なファブリックに統合することで、お客様が散在する自動化フローではなく完全にオーケストレーションされた適応型エコシステムへと進化するサポートをしてくれます」 ーr.Potential CEO グレッグ・シューメイカー(Greg Shewmaker)氏「AIエージェントが日々の業務プロセスにおいて不可欠となる中、ガバナンスと透明性は絶対条件です。MuleSoft Agent Fabricは、イノベーションを阻害することなく、責任を持って安全にAIを導入するために必要なセキュリティ対策を提供しています」 ーBarco 統合・AI部門責任者 ヨリス・ディペンデーレ(Joris Diependaele)氏
  • 「MuleSoft Agent Fabricは、当社の厳格な規制対象領域および複数の地理的拠点にまたがる、あらゆるコンプライアンスおよびデータセキュリティ要件を満たすのに最適なソリューションです。インフラストラクチャの管理権限を維持しつつ、既存のエコシステムを活用してAIエージェント主導の未来を構築できます。このハイブリッドアプローチにより、組織全体にわたるソリューション構築において柔軟性が得られます」 ーWynn and Encore Las Vegas エンジニアリング&インテグレーション担当シニアマネージャー カルティク・パラニ(Karthik Palani)氏
  • 「仕事の未来は自律的なAIエージェントが担います。MuleSoft Agent Fabricは、散在するAIエージェントを統合・連携し、ガバナンスを担保したうえで高性能なデジタル労働力へと変革することで、その未来の基盤を築きます」ーラッシュ大学医療システム シニアMuleSoftデベロッパー シヴァニ・マレロ(Shivani Marrero)氏

MuleSoft Agent Fabricは、数千ものAIエージェントを大規模に安全かつリアルタイムでオーケストレーションするための基盤を提供します

r.Potential CEO グレッグ・シューメイカー(Greg Shewmaker)氏

提供時期

  • Agent Registry: 2025年10月より提供開始予定です。
  • Agent Broker: 2025年10月より提供開始予定です。
  • Agent Governance (Flex Gateway for MCP & A2A): 現在、利用可能です。
  • Agent Visualizer: 2025年10月より提供開始予定です。

詳細情報

  • MuleSoft Agent Fabricの詳細は、こちら(英語)。
  • エージェンティックAIにとって統合が不可欠な理由は、こちら
  • 最新のAIと統合のトレンドに関するインサイトは、こちら
  • 組織がエージェンティック・トランスフォーメーションに備える方法については、こちら(英語)。

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