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IBMとSalesforceがゼロコピーを活用し、エンタープライズAIを再構築する方法

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※本記事は2025年8月14日に米国で公開されたHow IBM and Salesforce are Using Zero Copy to Reshape Enterprise AIの抄訳です。本記事の正式言語は英語であり、その内容および解釈については英語が優先されます。


顧客理解を追求する中で、企業は膨大な量のデータを集積しています。しかしながら、この貴重な資源が断片化されたまま、異なるシステムに閉じ込められ、本来得られるべきインサイトが妨げられるケースがあまりにも多く見受けられます。AIの時代ではより水準の高いデータ統合が求められています。あらゆるやり取り、あらゆる意思決定、そしてあらゆる顧客体験を強化するシームレスでインテリジェントな情報の流れが求められているのです。この度、Salesforceはそのジャーニーにおける重要な節目を迎えました。

Salesforceは、IBMとのパートナーシップを大幅に拡大し、ゼロコピーの力をエンタープライズデータの核心にもたらすことを発表しました。この協業により、組織が最も重要なアセットを活用する方法を再定義し、既存の投資から前例のない価値を引き出し、次世代のAI駆動型カスタマーエンゲージメントを推進することになります。

長きにわたり、顧客情報の統合という目標は、データの移動という困難な作業によって阻まれてきました。企業では、顧客レコードや金融取引、複雑な文書、重要な業務データ、大量な過去のアーカイブなど、膨大な量のデータをIBMメインフレーム、IBM Db2、IBM watsonxといった堅牢なプラットフォームに保存しています。従来のデータ移動手法では、煩雑でコストと時間を要するETL(抽出、変換、ロード)プロセスが用いられ、冗長なコピーが生成され、リアルタイム対応を阻害する遅延が発生していました。この課題はAI時代においてさらに深刻化しています。大規模言語モデル(LLM)やインテリジェントなAIエージェントの有効性は、最新で包括的なデータへのアクセスに依存しているのです。

IBMとのパートナーシップは、この課題に対する直接的な解決策となります。ゼロコピーフェデレーションを通じて、Salesforce Data Cloudは、IBM watsonx.dataとシームレスに連携し、IBM Zメインフレームデータ(IBM Data Gate for watsonxを通じて収集)への双方向アクセスを提供します。また、このデータは世界をリードする産業を支える基盤となります。Salesforce Data CloudとIBM watsonx.dataの両プラットフォームはApache Icebergに対応しています。これにより、通常はアクセスが困難な大規模データセットも、物理的に移動・複製することなく、Data Cloudが仮想的にアクセスし操作することが可能となります。これは、データが存在する場所にかかわらず、インテリジェンスを直接データにもたらすことを意味しています。

この統合により、変革をもたらす可能性が広がります。企業は初めて、Salesforceの豊富な顧客インタラクションデータと、IBMシステム内に保持される膨大かつ詳細な過去のトランザクションメインフレームデータなどを組み合わせることで、IBMエコシステム内でニアリアルタイムに細分化されたデータを用いた統合されたCustomer 360ビューを実現できます。この統一されたリアルタイムの顧客プロファイルは、高度にパーソナライズされた体験と能動的なエンゲージメントの基盤となります。

エージェンティックAIへの影響は、まさに変革的なものと言えます。Einsteinによって強化されたSalesforceのAgentforceが、顧客に関するあらゆる関連情報(過去の購入データや製品使用量パターンから、通話記録から導き出された取引データに至るまで)を、すべてIBMに安全に保管された状態で、即時かつオンデマンドでアクセスできることを想像してみてください。AIエージェントは飛躍的に賢くなり、より能動的かつ効果的になります。完全かつリアルタイムな理解を備えることで、問題をより迅速に解決し、ニーズを予測し、より有意義な営業トークを促進できるようになるのです。

IBM watsonxプラットフォーム製品担当バイスプレジデントのエドワード・カルヴェスバート(Edward Calvesbert)氏は次のように述べています。
「Salesforceとのこのパートナーシップとゼロコピーの力は、両社共通のお客様にとって非常に大きな恩恵をもたらします。これにより、複雑なデータ移行の負担なしに、企業がデータのサイロ化を解消し、AIのためのデータの潜在能力を最大限に発揮できるようになります。新たな洞察がシームレスに解き放たれ、重要なビジネスプロセスが自動化される未来を実現していきます」

Salesforce Data Cloudプロダクトマネジメント担当バイスプレジデントのナリンダー・シン(Narinder Singh)は次のように述べています。
「このパートナーシップにより、主要なデータプラットフォーム間でリアルタイムにデータを連携させるという『ゼロコピー・パートナーネットワーク』のビジョンに対するSalesforceの取り組みがさらに強化されました。IBM watsonx Platformとのゼロコピー統合により、両社共同のお客様はデータのコピーや移動を一切行わずに統合データを一元化し、豊富な統合顧客プロファイルを作成できます。さらに、SalesforceのAgentforceおよびCustomer 360アプリでそれをシームレスに活用することが可能となります」

この協業は、既存のインフラを置き換えるものではなく、その価値を高めるものです。顧客はIBMプラットフォームへの投資を最大限に活用しながら、Salesforce Data Cloudの比類のないアクティベーションの機能を活用できます。これは、データの流動性がイノベーションを推進する中で、オープンで接続されたエコシステムという両社の共通のビジョンを体現するものです。

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