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Salesforce、Slackのプラットフォーム拡張を発表 会話データを活用したセキュアでコンテキスト認識型のAIアプリケーションとAIエージェントに対応

View of Slack Application with Context-Aware AI Apps and Agents
新しいリアルタイム検索APIとModel Context Protocolサーバーによる、
Slackの会話データへの柔軟かつ安全なアクセス
非構造化会話データを活用したAIアプリとAIエージェントを構築し、
企業のガバナンスを遵守しながら生産性を向上
Anthropic、Google、Perplexity、Writer、Dropbox、Notion、Cognition Labs、Vercel、Cursorが、Slack Marketplaceで新たなAIアプリとAIエージェントを提供

※本記事は2025年10月1日に米国で公開されたSlack Expands Platform to Power Secure, Context-Aware AI Apps and Agents Built on Conversational Dataの抄訳です。本記事の正式言語は英語であり、その内容および解釈については英語が優先されます。


世界中の企業がAIエージェントの開発にしのぎを削っていますが、その多くが直面する課題は「日々の業務の中で実際に役立つものにできるか」という点です。AIエージェントはデータを基盤に動作しますが、その力を最大限に引き出すのはコンテキスト(文脈)であり、コンテキストの多くは会話から生まれます。ゆえに会話データはAIエージェント時代の最重要資産とも言える存在ですが、これまでは整理されていないメッセージやチャットとして存在しており、社員だけでなくアプリケーションからも十分に活用できるものではありませんでした。そこで登場するのが、エージェンティック エンタープライズのためのWork OSたるSlackです。

本日、SalesforceはSlackプラットフォームの次なる進化を発表します。今回の拡張により、パートナーや開発者は顧客がSlack上で所有・管理する豊富な会話データとAIを、安全に接続するためのツールを活用できるようになります。新しいリアルタイム検索(RTS)API、Model Context Protocol(MCP)サーバー、そして事前作成済みのBlock Kit Tablesなどの強化された開発者ツールを通じて、Slackは安全で柔軟性が高く、AIエージェントに対応した会話データへのアクセスを提供します。これにより、AIエージェントは画一的な応答を超えて、社内メッセージやチャットのコンテキストを利用した、利用者ごとに最適化された会話を実現できます。その結果、AIはより関連性が高く、正確で、生産性を飛躍的に高める強力な存在となります。


Anthropic、Google、Perplexity、Writer、Dropbox、Notion、Cognition Labs、Vercel、Cursorをはじめとする世界有数の革新的な企業が、すでにSlack上で魅力的なAIアプリケーションやAIエージェントの開発に取り組んでいます。Slackの会話データに安全にアクセスすることで、これらの企業、そして数千社にのぼるパートナーが、知能を業務フローに直接組み込み、成長を加速させています。これは単なる連携ではなく、新しい構築方法であり、新しい働き方そのものです。

Slack:現代のAIアプリとAIエージェントのための最適なプラットフォーム

SlackにAIエージェントを直接組み込むことで、企業はこれまで課題となっていたアプリの分断による利用率の低さを克服できます。世界には20万社以上のSaaS企業が存在し(英語)、平均的な企業では1,000以上のアプリケーション(英語)を利用しています。その結果、従業員はアプリを切り替え、延々とコピー&ペーストを繰り返すことによって生産性が最大40%(英語)も低下し、膨大な時間が失われている現状があります。SaaSライセンスのほぼ半数が未使用の資産となるのも当然です。

この課題に対して、より優れた解決策があります。それはチームメイトと話すのと同じくらい自然な方法です。営業担当者がAIエージェントにCRMレコードの更新を依頼したり、従業員がチケットを発行せずにIT問題を解決したり、マーケティングリーダーがレポートを1枚も作成せずにキャンペーンのパフォーマンスを分析したりする姿を想像してみてください。

これは対話型でAIエージェントベース、そして対話データに基づいて構築されたプラットフォームでしか実現できません。Slack内に直接AI駆動型のアプリケーションを構築することで、開発者やパートナーは組織の技術スタック統合を支援します。Slackに投資するIT予算のわずか2%で、残り98%の投資対効果を最大化する存在となるのです。

開発者とパートナーは、Slackプラットフォームの広範な機能を活用し、業務フロー内で直接AIアプリやAIエージェントを作成しています。これにより企業は以下を実現できます:

  • 非構造化データの活用:Slackは、組織がSlackの会話に蓄積された膨大な集合知を安全かつ確実に活用し、AIエージェントの強化を可能にします。これにより顧客は平均週97分の時間を節約できます。
  • 意思決定の加速:Agentforce SalesやWorkdayなどのアプリデータをSlackの会話と連携させることで、プラットフォームとして完全な文脈を提供することができます。検索とAIを強化し、より迅速なインサイトとアクションを実現することで、チーム全体の意思決定が37%高速化し、顧客対応にかかる時間を36%短縮することができます。
  • 生産性の向上:AIを最大限活用できる企業は、従業員1人あたりの収益が3倍高い成長(英語)を遂げています。アプリとAIエージェントを人間のワークフローに直接統合することで、作業の切り替えによるロスをなくし、チームは膨大なリサーチ作業に費やす時間を削減し、すぐに行動へ移せるようになります。
  • 導入ギャップの解消:Slackは、パートナーや開発者がアプリをワークフローに直接組み込めるようにします。これにより、従業員がすでに作業している場所でアプリを利用できるようになり、開発者にとって最大の流通課題の一つである「実際に従業員に使ってもらうこと」を克服できます。 Slackでは毎週170万以上のアプリが積極的に利用されており、そのユーザーの95%が「Slackでアプリを使用することでツールの価値が高まる」と回答しています。
  • セキュリティとコンプライアンスの確保:Slackのエンタープライズグレードのセキュリティ、プライバシー機能、詳細な権限設定により、企業はデータを保護しながらAIエージェント型コラボレーションの安全な基盤を提供できます。

Salesforceの視点:

Salesforce Slack CEO、デニース・ドレッサー(Denise Dresser)は以下のように述べています。

「仕事の未来は間違いなくAIエージェント型であり、AIの成功は人間の業務フローへのシームレスな統合にかかっています。当社の最新のSlackプラットフォームの革新は、AIエージェントが信頼できるパートナーとなるために必要な、安全でデータ豊富な環境を創出します。お客様やパートナーが、自社のAIソリューションを直接Slackに構築できるようにすることで、仕事をこれまで以上に連携し、知能的で、生産的なものにします」

仕事の未来は間違いなくAIエージェント型であり、AIの成功は人間の業務フローへのシームレスな統合にかかっています

Salesforce Slack CEO、デニース・ドレッサー(Denise Dresser)

より深い考察:Slackで実現する信頼性の高いコンテキスト認識型AI

SlackはAIエージェントを信頼できるパートナーとして位置付けることで、ユーザーとのインタラクションを根本から再定義します。拡張された開発者向けプラットフォームはAIエージェントのために設計されており、あらゆる企業が強力でカスタマイズ可能なAIエージェントを容易に構築することができます。その結果、コンテキストに基づいた豊富な会話データに安全にアクセスし、より多くの業務を遂行できるようになります。

リアルタイム検索(RTS)APIとモデルコンテキストプロトコル(MCP)サーバーは、開発者やサードパーティ向けに、安全なデータアクセスを提供します:

  • RTS APIは、企業にとって最も価値ある資産の一つであるSlack内の豊富なコンテキストの裏付けがある会話データに、アプリがリアルタイムでアクセスできるようにします。最新の議論やファイル、チャンネルを可視化するこのAPIは、Slackプラットフォームの柔軟性を高め、AIエージェントが状況に応じた情報をもとに行動することを可能にします。さらに、組織の集合知を引き出し、従来はサイロ化されていた会話や意思決定にAIエージェントを安全に接続します。RTS APIは企業が求めるセキュリティを中核に設計されており、顧客の会話データを一括ダウンロードしたり外部に保存したりすることなく、必要なやり取りを実現します。既存のアクセス権限を常に尊重し、ユースケースに絞ってデータを取得するため、クエリに関連する特定のメッセージやファイルのみを返します。その結果、AIエージェントやアプリは必要で正確なコンテキスト情報だけを過不足なく取得できます。
  • MCPサーバーは、大規模言語モデル(LLM)、AIアプリ、AIエージェントがコンテキストを発見し、Slackユーザーに代わってタスクを実行する方法を簡素化・標準化し、開発者の負担を軽減します。LLMとSlack間で統合された通信レイヤーにより、AIシステムがデータソースやツールに接続する普遍的な方法を確立します。これまで断片的だった統合は、ユーザーごとの権限に準拠した単一で一貫性のあるプロトコルに置き換わります。その結果、開発者はAIエージェントが実行可能なあらゆるタスクを一つひとつ手作業で定義したり、LLMごとに複雑でサービス固有の統合を実装したりする必要がなくなります。

AI搭載アプリケーションがリアルタイムの会話データに安全にアクセスできるようになるため、RTS APIとMCPサーバーは、パートナー企業がSlack上でアプリを構築する方法を革新します。これにより、開発者は基本的な連携を超え、複雑なワークフローを自動化するコンテキストに応じたインテリジェントな体験を創出できます。AIエージェントはSlackデータを検索・分析・活用し、より正確で関連性の高いパーソナライズされた結果を提供できるようになりました。これによりハルシネーションが減少し、信頼性が向上します。その結果、ユーザーが信頼し大規模に採用できる、より賢く安定したAIエージェントが実現します。

こうした革新の基盤となるのが、Slackのエンタープライズグレードのプライバシーとセキュリティへの取り組みです。これにより、チームは信頼性や相互運用性を損なうことなく、インテリジェントでコンテキストに沿ったAI体験を構築できます。これはSlack Marketplaceのパートナーアプリだけではありません。社内利用向けにカスタムアプリケーションを構築する顧客も、これらの強力な機能を活用でき、これまで通りSlackデータへの完全なアクセス権を維持し、自由に任意の方法で利用できます。

さらに、管理者や開発者が利用できる基盤機能も進化を続けています:

  • Slack Work Objects:開発者は、ファイルの説明から埋め込み画像まであらゆる要素を含むリッチなアプリプレビューを通じて、アプリデータをSlackの会話に直接接続することで、動的な体験を提供するアプリを構築できるようになりました。Slack Work Objectsは、詳細情報・画像・ドキュメントなどのサードパーティデータをSlack内で表示する方法を標準化し、アプリと会話の連携を大幅に強化します。チームはAsanaタスクの完了処理など、Slackのワークスペースを離れることなくアクションを実行することが可能になります。これによりユーザーはアプリを切り替えずに、Slack内で直接コミュニケーション・情報共有・業務処理を行えます。
  • Agentic Developer Tools: 開発者はビジネス向けにSlackを構築・カスタマイズするために必要なすべてを手に入れます。アプリやAIエージェントから自動化されたワークフローまで、新たな機能にはAIのベストプラクティス、事前作成済みのBlock Kitテーブル、Boltアプリ用CLIなどの更新リソースが含まれます。これらのアップグレードにより、最初のコード行から完成したエンドユーザー体験まで、開発ライフサイクル全体が合理化され、AIエージェント時代に向けた構築がこれまで以上に容易になります。

当社のサードパーティ製ソリューションはすべてSlack Marketplaceで利用可能です。このマーケットプレイスは、アプリやAIエージェントの管理、セキュリティ、配布を一元的に行うアプローチを採用しています。Slackの機能に加え、マーケットプレイスのアプリやサードパーティとの統合は、人間とAIが協働するエコシステムの構築において重要な役割を果たします。マーケットプレイスにより、顧客はチームのニーズに合わせてSlackの機能をカスタマイズし、安全に拡張するツールをこれまで以上に簡単に見つけられるようになりました。

これらの新たな機能とツールは、Anthropic、Google、Perplexity、Writer、Dropbox、NotionといったAIイノベーターによるダイナミックなエコシステムを促進しています。彼らは強力なAIエージェントやアプリケーションを直接Slackプラットフォーム上で構築・統合しています。

AIイノベーションの強力なエコシステム

Anthropic、Google、Perplexityといった主要なAIイノベーターが、Slackプラットフォーム上に直接強力なAIエージェントを構築し、新たな機能を活用して複雑な顧客課題を解決しています。

  • AnthropicのClaude:この連携により、Claudeの機能がSlackワークスペースに直接統合されます。チームはダイレクトメッセージ、AIアシスタントパネル、スレッド内での@メンションを通じてClaudeと協働可能となり、Claudeアカウント経由でウェブ検索、データソース接続、文書分析などの機能を利用できます。SlackデータをClaudeアプリに連携させることで、ユーザーはさらに深いインサイトを引き出すことができます。Claudeがワークスペース内のチャンネル、メッセージ、ファイルを横断して検索し、チームが必要とするあらゆる場でシームレスに機能するAI体験を実現します。
  • Google Agentspace:Google Agentspaceは、AIエージェントを大規模に構築・管理・導入するための単一で安全なプラットフォームです。生産性ツール全体からデータとコンテキストを集約し、組織の知識をインサイトとアクションに変換します。Slack RTS APIとの統合により情報の流れがシームレスになり、ユーザーはSlack内のAgentspaceエージェント経由、またはSlackのライブデータで駆動されるAgentspaceを通じて、これらの深いインサイトにアクセスできます。
  • Dropbox Dash:DropboxはRTS APIを活用し、SlackとDropbox Dash全体でリアルタイムのインサイトを提供します。顧客がコンテンツに即時アクセスできるようにすると同時に、権限とセキュリティも確実に維持します。
  • Perplexity Enterprise:Perplexityはウェブとチームの会話を統合し、インテリジェントでコンテキストを理解した回答を提供します。SlackでもPerplexityでも、コンテキストを損なうことなく質問を投げかけ、議論を参照し、リアルタイムのリサーチにアクセスできます。
  • Notion AI:Notion AI Slackアプリにより、共有ユーザーは見逃した可能性のあるスレッド、会話、更新情報について質問できます。RTS APIなどの新しいプラットフォーム機能により、Notionユーザーは公開チャンネル、非公開チャンネル、さらに適切な権限があればDMのコンテンツまで検索でき、Notionでの作業がSlack上での会話を反映できるようにします。

お客様とパートナーの皆様の声

  • Anthropic: 「今日、多くの企業はSlack上の複数のチャンネルで最も重要な会話を行っており、そこにはこれまでClaudeのようなAIアシスタントが活用できなかった膨大なナレッジが蓄積されています。Slackのリアルタイム検索APIはそれを可能にし、Claudeは実際のチームの議論からコンテキストを引き出して、実務に根ざした回答を提示し、そのインサイトをワークフローに直接届けます。これによりClaudeは、チームの実際の働き方に即した、信頼できるインテリジェンスを提供できるようになります」 – Cloude プロダクト責任者、スコット・ホワイト(Scott White)氏
  • Google: 「組織は生産性とコラボレーションのためにGoogle AgentspaceとSlackに依存しています。今や顧客はAgentspaceのインサイトをSlackに直接埋め込み、Slackの会話を利用してAgentspace内のワークフローを強化できます。これにより日常業務をさらにスムーズにする、よりシームレスな情報の流れが生まれます」 – Google Cloud プロダクトマネジメント シニアディレクター、マリアム・ゴラミ( Maryam Gholami)氏
  • Perplexity: 「Perplexityは、検索を会話型で透明性の高い探索体験へと再定義しています。MCPサーバーを通じてSlackと接続することで、チーム内の会話のコンテキストに基づいてクエリを処理できるようになりました。その結果、ユーザーは正確であるだけでなく、自分たちの業務に直接関連する回答を得られるようになります。これにより、Perplexityで対応できるユースケースが広がり、結果に対する信頼性も高まります。Slackはこの実現に向けて、セキュリティ、コンプライアンス、ユーザーの信頼という共通の価値を重視する素晴らしいパートナーです」 Perplexity エンタープライズプロダクト責任者、フランク・テ・パス(Frank te Pas)氏
  • Writer: 「SlackとWriterをつなぐことで、議論とアクションの間にある距離を一気に縮めることができます。Slackは組織のリアルタイムな鼓動であるブレインストーミング、意思決定、顧客からのフィードバックを映し出し、Writerはその鼓動を成果へと変えるAIエージェント型インテリジェンスを提供します。これにより、チームはプロジェクト計画の即時生成やブランドに沿ったコミュニケーション文案の作成、次のステップの自動化を、業務のコンテキストに基づいて実現できるようになります。私たちはこうして、人々が信頼できるパートナーと共に仕事を前進させられる環境を提供しています」 – Writer パートナーシップ&エコシステム担当SVP、モーリーン・リトル(Maureen Little)氏
  • Notion AI: 「最高の仕事は、コンテキストと実行が分離されていないときに生まれます。Notion AIとSlackを組み合わせることで、チームはあらゆる会話をアクションに変えることができるのです」- Notion 最高収益責任者、エリカ・アンダーソン(Erica Anderson)氏
  • Dropbox: 「顧客には、パワフルで安全、そしてワークフローにシームレスに統合できる実用的な AI ツールが必要です。リアルタイム検索APIに関するSlackとのコラボレーションにより、SlackとDropbox Dash全体でリアルタイムのインサイトを提供し、権限とセキュリティを損なうことなく、顧客がコンテンツに即座にアクセスできるようにしています。アプリ間の切り替えという煩わしさに対処する必要がなくなり、顧客は最も重要なこと、つまり最高の仕事に専念することができます」- Dropbox エンジニアリング担当VP、ジョシュ・クレム(Josh Clemm)氏

提供時期:

  • Slack Work Objectsは10月下旬に全開発者向けに日本での一般提供が開始されます。新しいエージェント開発ツールは現在利用可能です。
  • RTS APIとSlack MCPサーバーは、現在クローズドベータ版としてアプリパートナーのみへ限定的に提供されており、2026年初頭に一般提供が開始される予定です。これらの機能を利用したサードパーティ製のAIエージェントは、すでにSlackマーケットプレイスで利用可能です。

詳細情報

  • Slackプラットフォームの詳細は、こちら(英語)。
  • Slackの開発者ページは、こちら(英語)。
  • Slack.Developersは、こちら(英語)。
  • AIエージェント時代に向けて再構築されたSlack Platformは、こちら(英語)。
  • Slackアプリのためのデータとセキュリティのベストプラクティスは、こちら(英語)。

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