Salesforce Platformの信頼性の高い基盤が拡張されることで、企業は確信を持って正確性、コンテキスト、制御を確保した上でAIを拡大することが可能に
企業全体の新しいメタデータレイヤーにより、複雑な非構造化データが構造化され、AI出力の一貫性と説明可能性を担保することが可能に
オープンなガバナンスと業界セマンティクスにより、あらゆるAIエージェント、ワークフロー、システム間で共通のビジネス言語を確立することが可能に
※本記事は2025年10月2日に米国で公開されたSalesforce Unveils the Foundation for Building Trusted AI の抄訳です。本記事の正式言語は英語であり、その内容および解釈については英語が優先されます。
企業にとって正確かつ信頼性の高いAIの提供は不可欠です。しかし、分断されたデータと不透明なガバナンスがその妨げとなっています。RANDの調査によると(英語)、AIプロジェクトの80%以上が期待通りの成果を出せていません。その主な原因はデータ品質の低さ、ガバナンスの脆弱性、そして分断されたシステム連携です。
この課題に対応するため、SalesforceはSalesforce Platform全体でデータやガバナンス、セキュリティ、セマンティクスの機能を拡張しました。これにより、全てのAIエージェントが同じ正確性とコンテキスト、そして統制の下で動作することが可能となります。こうしたイノベーションを通じ、企業はAIへの慎重な実験段階から、全社的な変革へと踏み出し、すべてのワークフローに確実にAIを拡張することで、エージェンティック・エンタープライズ(英語)への変革を推進できるようになります。
Salesforce Platformは、人間とAIエージェントがすべてのワークフロー、意思決定、およびインタラクションにおいてシームレスに協働する新しい働き方のモデルであるエージェンティック・エンタープライズのプラットフォームです。このモデルを正確かつ説明可能で安全なものとするため、プラットフォームは3つのコア機能を提供します。
- 正確なコンテキストと確実性:統合されたビジネスデータとナレッジに基づいて出力がグラウンディングされることが保証されます。
- 信頼性・セキュリティ・コンプライアンスの組み込み:あらゆるワークフローに、可視性、制御、コンプライアンスを組み込みます。
- オープンかつ統一された環境: エコシステム全体でAIエージェントと、データ、セマンティクスを連携させ、ベンダーロックインを避けながら一貫性を保ちます。
新機能
Salesforceはコンテキスト、信頼性、およびオープン性へのコミットをしており、本日、企業が信頼性の高いエージェンティックAIをあらゆるワークフローで拡大するための新しいイノベーションを発表しました。
- Data Cloud Context Indexing:Data Cloudの新しいインデックス作成パイプラインにより、AIエージェントが契約書や図表、テーブルなどの非構造化コンテンツをビジネス視点で解釈することが可能となります。これにより、膨大で分断された情報から正確な詳細が抽出され、迅速に正しい回答を取得することが容易になります。例えば、現場のエンジニアは図面をアップロードし、AIエージェントがトラブルシューティングの意思決定ツリーを段階的に案内することで、数時間を要することなく、わずか数分で適切な解決策にたどり着くことができます。
- Data Cloudのクリーンルーム: 提供を開始したData Cloudのクリーンルームにより、企業は機密性の高いローデータを移動または公開せずに、安全にデータを共有、連携、分析し、インテリジェントなインサイトを引き出すことができます。この機能はゼロコピー接続を活用することで、機密データセットの複製を不要にし、セキュリティやコンプライアンスのリスクを軽減し、ストレージコストを削減します。例えば、グローバルな銀行で構成されるあるグループは、クリーンルームを活用して、取引パターンを比較し、顧客の機密情報を相互に公開したり、数週間かかっていた不正行為のグループの検出を数時間で実行しています。また、AWS Clean Roomsとのプライバシー保護が強化されたネイティブな統合を通じて、パートナーとの安全な連携も可能になります。
- Tableau セマンティック:Data Cloudにネイティブ統合されたAI駆動型のセマンティックレイヤーであるTableau セマンティックは、ローデータをビジネスの共通言語に変換します。価値創出までの時間を短縮するため、Tableauは、Customer 360 セマンティックデータモデル(SDM)をすぐに利用できる形で提供します。これは、クロスプラットフォームのデータとメタデータを統合し、モデリングを簡素化し、一貫したメトリックガバナンスを強制し、AIおよびBIが正確で信頼性の高いインサイトを得るために必要なビジネスコンテキストを提供します。これを促進するため、Tableauは業界初のオープンなオープン・セマンティック・インターチェンジ(英語)の共同構想を進めています。また、Databricks、dbt Labs、Snowflakeなどの業界リーダーと提携し、プラットフォーム間で標準化されたセマンティックを可能にすることで、分析とAIが共通のビジネス定義に基づいて一貫性を保ち、説明可能であることを保証します。例えば、部門ごとに「ACV(年間契約額)」の定義が異なる企業は、そのロジックを統合し、すべてのAIエージェントとすべてのダッシュボードが同じ収益定義を使用できるようになります。
- MuleSoft Agent Fabric:企業のAI導入が加速するにつれて、チーム、プラットフォーム、ベンダーを横断してAIエージェントが爆発的に増加しています。この急増は、ワークフローの断片化、冗長な自動化、コンプライアンスの死角が生じる新しい形の分断化、AIエージェントスプロールを引き起こします。MuleSoft Agent Fabricは、構築する場所を問わず、あらゆるAIエージェントを一元的に登録、オーケストレーション、およびガバナンスするための単一の場所を提供します。例えば、在庫追跡用のAIエージェント、価格更新用のAIエージェント、不正検出用のAIエージェントを持つグローバル小売業者が、サイロ化することなく連携し、価格調整を自動的に行い、不正チェックをリアルタイムで実行できるようになります。
- 組み込みのAIセキュリティとコンプライアンス:新しいAI駆動型セキュリティ機能がSalesforce Platformに統合され、セキュリティとコンプライアンスの維持管理を効率化します。CrowdStrikeやOktaなど、業界をリードするパートナーとの新しい連携により、セキュリティ脅威の特定やコンプライアンス管理がプロアクティブに行われます。これにより、人、AI、データが密に連携するエージェンティック・エンタープライズの新しい働き方を支えます。
- Informatica買収によるエンタープライズ・メタデータの解放:現在、計画中のInformaticaの買収(2027年度第1四半期に完了予定)は、Informaticaのデータカタログ、統合、ガバナンス、品質、プライバシー、およびマスターデータ管理(MDM)機能をSalesforce Platformと統合し、エージェンティックAIのための統合データアーキテクチャを構築します。これにより、AIエージェントが安全かつ責任を持って大規模に動作するために必要なメタデータインテリジェンスをエージェンティック・エンタープライズ全体で得ることが可能となります。
Salesforceの視点
ユニファイドデータサービス担当EVP兼GMのラウール・アウラドカー(Rahul Auradkar)は次のように述べています。「Salesforceは、今日、AIが最も強力なビジネス変革のためのイネーブラーであると確信しています。しかし、その可能性を最大限に引き出すためには、真の生産性向上の要素であるインテリジェントな自動化と実行可能なインサイトを推進するため、深いビジネスコンテキストをグラウンディングする必要があります。だからこそ、Salesforceは企業のあらゆる構造化データと非構造化データを調和させ、これらのインサイトを抽出し、自動化を促進するための統合された基盤を構築しています。これらすべては自信を持って業務を遂行するために必要なガバナンスとセキュリティをグラウンディングしています。これらのイノベーションにより、お客様はより迅速にアクションを起こし、責任を持って拡大し、エージェンティック・エンタープライズの可能性を最大限に引き出すことができます」
顧客の視点
「AAA Washingtonは最近、セールスとサービス組織をサポートするためにSalesforceを導入しました。Data CloudとMuleSoftを搭載した統合データ基盤により、AAA Washingtonは会員の360度ビューの実現に向けたロードマップを推進しています。サイロ化したシステムの代わりに、最終的には最も重要な瞬間により速くより正確でより関連性の高い回答を提供できるようになります。Salesforceとのパートナーシップにより、ロードサイドや保険、旅行の各会員の体験の変革に役立ち、『helpful tech, human touch(役立つテクノロジーと人の温かみ)』というAAA Washingtonの理念を実現することができます」ー AAA Washington 最高情報責任者 ジム・ライアン(Jim Ryan)氏
データのための統一された基盤を確立することで、患者様とのやり取りが信頼性、正確性、有意義なものであることが確保されます
シカゴ大学病院 最高マーケティング責任者 アンドリュー・チャン(Andrew Chang)氏
「ヘルスケアにおけるAIは、信頼の上に構築されなければなりません。データのための統一された基盤を確立することで、患者様とのやり取りが信頼性、正確性、有意義なものであることが確保されます。同時に、スタッフが当院の患者様へのコミットメントの根幹をなす、複雑で人間中心のケアにより多くの時間を割くことができるようになります」ー シカゴ大学病院 最高マーケティング責任者 アンドリュー・チャン(Andrew Chang)氏
提供状況
- Data Cloud Context Indexing:Winter ’25で提供予定です。
- Data Cloudのクリーンルーム: 現在ベータ版提供中です。2025年11月に提供予定です。
- MuleSoft Agent Fabric:Governanceは現在、利用可能です。Agent Registry、Broker、Visualizerは、2025年10月に提供開始予定です。
- Tableau セマンティック:現在、利用可能です。パートナー統合は、2026年度を通じて順次展開です。
- Informaticaの統合: 承認を条件とした取引完了後の予定です。
詳細情報:
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