6兆ドル規模のデジタル労働力を生み出す鍵：単一のアーキテクチャ上に統合された、アプリ、データ、AIエージェントのためのプラットフォーム

2025年6月9日 10分 (読み終わるまで)

※本記事は2025年3月5日に米国で公開されたThe Key to Tapping a $6T Digital Labor Opportunity: A Deeply Unified Platform for Apps, Data, and AI Agents の抄訳です。本記事の正式言語は英語であり、その内容および解釈については英語が優先されます。

時折、テクノロジーは根本的な変革をもたらし、それに伴ってビジネスやITにおける働き方やイノベーションの在り方も大きく変わります。自律型AI（英語）は、まさにそのような転換点の一つです。

たとえば、携帯電話が1億人のユーザーに達するまでに16年かかりました。インターネットは7年で1億人のユーザーを達成しました。さらに、ChatGPTはわずか2か月でこのマイルストーンを突破しました。そして今、AIエージェントの時代が幕を開け、専門家たちはこれが6兆ドル規模のデジタル労働市場（英語）になると予測しています。

その根拠は明らかです。CIOの84%（英語）が「AIはインターネットと同等の変革をもたらす」と答えており、すでに数千の企業がSalesforceのデジタル労働力（英語）のプラットフォームであるAgentforceに投資し、24時間365日、人の関与なしに推論し、意思決定し、アクションを実行し、成果を生み出すAIエージェントの構築・導入を進めています。

Agentforceが他と一線を画す理由は、Salesforce Platformにあります。多くの組織が最新の大規模言語モデル（LLM）の導入に注力する中、AIエージェントの導入を成功させるためには、モデルだけでは不十分です。企業に求められているのは、アプリケーション、データ、AIモデル、AIエージェントが一体化した、統合されたプラットフォームです。そして、それを実現しているのが、Salesforce Platformなのです。

Salesforce Platformは、バラバラな部品の寄せ集めではなく、企業が自力で組み立てる必要もなく、セキュリティ上のリスクやコストの増大も避けられます。これは、あらゆるビジネスでAIエージェントを構築・展開するための、単一のアーキテクチャ上に統合されたプラットフォームです。

Salesforce Platformは、あらゆるビジネスでAIエージェントを構築・展開するための、単一のアーキテクチャ上に統合されたプラットフォームです

Salesforce Platformは、統合されたデータおよびメタデータモデル（英語）に基づいて構築されており、すべての部署にまたがる顧客データを、SalesforceのハイパースケールデータエンジンであるData Cloudを通じてシームレスに統合し、利用することができます。これにより、従来課題となっていたデータのサイロ化や、不完全または矛盾した情報に悩まされることもなくなります。Data Cloudは、組織全体にとって、唯一の信頼できる情報源となります。また、内蔵されたベクトルデータベースにより、PDF、テキスト、通話、ボイスメールなど、顧客データの90%を占める非構造化データを変換し、構造化データと統合して包括的な顧客プロファイルを構築し、メタデータとして保存します。

AI（英語）およびAIエージェントの機能は、Customer 360アプリケーションに直接組み込まれており、顧客や従業員に対してインサイト、オートメーション、アクションをシームレスに提供します。AIは単なる追加機能ではなく、プラットフォームの根幹に組み込まれているのです。

このプラットフォームは、信頼・セキュリティ・コンプライアンスを中核に構築されており、強固なセキュリティ、倫理的なAIの実践、規制への準拠により、企業が安心してAIエージェントを採用できるよう支援します。

さらに企業は、複雑なワークフローの自動化や、強力な分析による深いインサイトの取得に加え、アプリやAPI、アクションなどの豊富なエコシステムを活用することで、プラットフォームの機能を柔軟に拡張することができます。

この統合プラットフォームというアプローチこそが、Salesforceの比類なき強みです。統合性、スピード、精度のいずれをとっても、Salesforceが提供するレベルに匹敵するものは他にありません。さらに、コストのかかるDIY（自社開発）型アプローチに比べても優れています。実際、Futurum Researchの調査（英語）では、AgentforceはDIYアプローチに比べて5倍速くROIを実現し、コストを20％削減していると報告されています。また、アナリスト企業 Valoir（英語）による独自調査では、AgentforceはDIYソリューションよりも16倍速く自律型AIエージェントを展開し、精度は75%向上しています。

統合プラットフォームというアプローチこそが、Salesforceの比類なき強みです。統合性、スピード、精度のいずれをとっても、Salesforceが提供するレベルに匹敵するものは他にありません

このようなプラットフォームの利点こそが、多くの企業がカスタマーサクセスの実現に向けて、人間とシームレスに連携するAIエージェントの導入を進めている理由のひとつなのです。

導入事例：

Lennar：全米有数の住宅メーカーであるLennarは、住宅購入から所有に至るまでの全プロセスにAgentforceを統合することで、住宅購入体験のさらなる向上を図っています。29州91の市場で事業を展開する同社は、主にデジタルチャネルを通じて顧客からの問い合わせを受けています。Agentforceの活用により、Lennarはあらゆる接点で卓越した顧客体験を提供し、やり取りの簡素化と業務効率の向上を実現しています。最終的には、市場シェアの拡大と住宅販売の促進につなげています。
OpenTable：レストランテクノロジーのリーダー企業であるOpenTableは、Agentforceをいち早く導入した企業のひとつです。導入からわずか3週間で、Agentforceは全レストラン向けのWeb問い合わせの73％を処理し、従来のツールに比べて対応率が50％向上しました。今後数ヶ月で、この数値はさらに伸びると見込まれています。
Pfizer：世界的な製薬・バイオテクノロジー企業であるPfizerは、Agentforceを活用し、Salesforce Platform上にエージェント型のエンドツーエンドエクスペリエンスエンジンを導入しました。これにより、世界で最もインパクトのある商業エンジンの構築を支援するとともに、患者、医療従事者、そして医療エコシステム全体との関わりに革新をもたらしています。
Precina：2型糖尿病患者の医療を革新しているPrecinaは、Agentforceを活用することで、サポートする患者5,000人につき年間約8万ドルの管理コストを削減しています。

米国サンフランシスコで開催されたTDX 2025において、Salesforceは自社プラットフォームの優位性をさらに高める、以下のイノベーションを発表しました。

AgentExchange：Salesforceに組み込まれた信頼性の高いAgentforceマーケットプレイスで、顧客はパートナーやコミュニティによって作成されたAgentforceのテンプレート、スキル、アクションを迅速に発見し導入することができます。200社を超えるパートナーと数百にのぼる事前作成済みのアセットを活用することで、さまざまな業界やユースケースにおけるAIエージェントの導入を加速します。
Agentforce 2dx：これによりAgentforceは、プロアクティブなエンゲージメントが可能になり、データの変化をトリガーとして起動し、あらゆるビジネスプロセスのバックグラウンドで自律的に動作し、豊富なコンテンツやメディアを活用して、あらゆるユーザーインターフェース上でユーザーと対話することができます。さらに、Agentforce 2dxでは新たにローコードおよびプロコードツールが提供され、管理者や開発者はAIによる支援を受けながら、Agentforceの構成・テスト・導入をより迅速かつ効率的に行えるようになりました。これらのツールを試すために、Salesforceは、Agentforce Developer Editionの提供を開始しました。これは、開発者がAgentforceを使ってAIエージェントのプロトタイプを作成し、Data Cloudの機能を自由に試せる、完全無料の開発環境です。

さらにSalesforceは、デジタル労働革命においてビジネスの運営方法を根本から再構築するために必要なスキルを持つAgentblazerを100万人育成するという目標を掲げました。この目標の実現に向けて、Salesforceの学習プラットフォームであるTrailheadにおいて、新たなAgentblazerステータスやAgentforce スペシャリスト認定など、複数の学習機会を提供しています。

TDX直前には、SalesforceとGoogleが提携を拡大し、GoogleのGemini AIをAgentforceに統合することを発表しました。これにより、AIエージェントはマルチモーダル入力（テキスト・画像・音声など）を処理し、より複雑なタスクをこなせるようになります。また、Service CloudはGoogleのCustomer Engagement Suiteと統合され、AI駆動のコンタクトセンター機能がさらに強化されます。加えて、Agentforce、Data Cloud、Customer 360アプリケーションはGoogle Cloud上で稼働することになり、より広範な地域でのアクセスが可能になり、Google Cloud Marketplaceを通じた調達も容易になります。

自律型テクノロジーはすでに現実のものとなりました。Salesforceは、単一のアーキテクチャ上に統合されたプラットフォームとAgentforceを通じて、急速に成長するAIエージェントのエコシステムにおいて、顧客とパートナーがチャンスをつかむための製品とイノベーションを提供し続けます。