ゼロコピーの必要性：エージェンティックAIを実現するデータの役割についてIBM、Salesforce、Snowflakeの専門家が語る

※本記事は2025年8月6日に米国で公開されたThe Zero Copy Imperative: IBM, Salesforce, and Snowflake Experts on Data’s Role Enabling Agentic AIの抄訳です。本記事の正式言語は英語であり、その内容および解釈については英語が優先されます。

最近開催されたメディアラウンドテーブルで、IBM、Salesforce、Snowflakeの各社のリーダーが、ゼロコピーテクノロジーによりデータサイロが解消され、AIやリアルタイムビジネスアプリケーションを推進できることを強調しました。

重要な理由：AIの導入を急ぐ企業は、データの断片化や統合の遅れなどの大きな障壁に直面しています。Salesforce Researchの調査によると、セキュリティの課題と相互運用性の問題は、オープンエコシステムの導入における最大の懸念事項となっています。

ニュースの要約：パネルディスカッションでは、3社の業界リーダーがゼロコピーアーキテクチャとオープンスタンダードにどのように取り組んでいるかを紹介し、AIのユースケースへ即座にコンテキストに応じた管理されたデータを提供することで新たなレベルのビジネス価値と責任を実現する方法について議論しました。

各社のコメント：

データガバナンスを決して後回しにしない：IBMのwatsonx Platform製品管理担当バイスプレジデント、エド・カルベスバート（Ed Calvesbert）氏は、データ管理とガバナンスは「これらのイニシアチブの設計において最優先事項でなければなりません」と強調しました。同氏は、構造化データと非構造化データという異なるガバナンスモデルを統合する難しさを指摘し、クエリの時点での柔軟な施行と、相互運用可能なソリューションに関するベンダー間の強力な連携の必要性を強調しました。
リアルタイムのコンテキストとアプリケーション間の相互運用性は必須：Snowflakeの製品管理担当シニアディレクター、サップ・ムカルジー（Sap Mukherjee）氏は、AIソリューションには、生データだけでなく、AIエージェントが迅速に行動するために、深いビジネスコンテキストと企業イベントへのリアルタイムアクセスが必要であると強調しました。彼は、エージェンティックAI はアプリケーションの境界を越えて広がるため、一貫したコンテキストを実現するためのデータプレーン（ゼロコピー）に加え、意図をルーティングするための Apache Iceberg™ などのオープンスタンダードとコントロールプレーン（MCP など）が必要になると強調しました。
統合されたリアルタイムのデータ有効化が企業の変革の鍵：Salesforceの製品管理担当バイスプレジデント、ナリンダー・シン（Narinder Singh）は、データサイロを打破し、「データの流動性」を実現して、閉じ込められたデータを業務ユーザーやプロセスに直接提供することが、中核的な課題であると指摘しました。同氏は、Salesforce Data Cloudのメタデータ駆動型のゼロコピー基盤と、AgentforceおよびCustomer 360アプリケーションを組み合わせることで、レイテンシーの問題を解決し、直接的な有効化を実現し、ビジネスコンテキストに応じたガバナンスを組み込むことができると強調しました。

Headshots of the roundtable panelists Narinder Singh, Edward Calvesbert, and Saptarshi Mukherjee. — パネリスト

行間を読む：AIの未来は、高度なモデルだけでなく信頼性の高い統合データレイヤーにかかっています。

ゼロコピーアーキテクチャにより、企業は新しいサイロを作成したり、セキュリティを危険にさらしたりすることなく、現在のデータを利用できます。
IBM、Salesforce、Snowflake、その他の業界リーダーが、オープンスタンダードと相互運用性を推進するために協力しています。これにより、企業はデータを統合したまま、最適なツールを選択し、AIプロジェクトを迅速に進めることができます。
焦点は変化しています。もはや、データを保有することだけが重要ではなく、自律型AIが即座に利用できる実用的な倫理的に管理されたデータを持つことが重要になっています。

次のステップ：業界では、データプラットフォームがオープン性、相互運用性、統合ガバナンスを基本原則とする未来に向かって進んでいます。シンのような Salesforceの専門家は、AIエージェント間の通信や真に自律的なビジネスプロセスの需要の高まりに対応するため、オープンデータ形式（Apache Iceberg など）、共有メタデータカタログ（Apache Polaris™ など）、およびクロスプラットフォームのポリシーの実施が引き続き進歩すると予想しています。パートナーのネットワークと組み合わせることで、ゼロコピーアーキテクチャは、IBM Zシステム、メインフレーム、および IBM Db2などの構造化データベース間の直接データフローにより、ミッションクリティカルなエンタープライズデータに移動やコピーを行うことなく、これまでにないアクセスを実現します。