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(参考資料)セールスフォース・ドットコム、米Forbes誌の「The World’s Most Innovative Companies(世界で最も革新的な企業)」の第1位に

米国セールスフォース・ドットコムは、このたび、米Forbes誌の「The World’s Most Innovative Companies(世界で最も革新的な企業)」の第1位にランクされました。トップ10企業には、Amazon.com、Apple、Googleなどの企業が選出されており、セールスフォース・ドットコムは、2位の企業に16.2ポイントの大差で第1位に選出されました。

「The World’s Most Innovative Companies」のランキングは以下からご覧いただけます。
http://www.forbes.com/special-features/innovative-companies-list.html

Forbes誌の特集を担当したライターのVictoria Barret氏は、同誌のブログで、選出の理由やマーク・ベニオフの革新性について記しています。
http://blogs.forbes.com/victoriabarret/2011/07/20/marc-benioff-mister-disrupter/

【参考抄訳】
*以下は参考資料です。記事の内容はForbes社に帰属します。

マーク・ベニオフ - Mr. Disrupter(破壊的力を持つ革新者)

Forbes誌最新号の特集記事のため、私たちは破壊的技術(disruptive technology)のエキスパートであるハーバード大学のクレイトン・クリステンセン教授の協力を仰ぎました。同教授は将来に向けて大胆に前進している企業を明らかにする新たな方法を考え出し、その発見の詳細を先頃『The Innovator’s DNA』(Harvard Press刊、邦題 『イノベーターのDNA』)として出版しました。同教授は、世界中の優れたイノベーター(革新者)のリストをまとめていますが、そのトップに置かれているのがセールスフォース・ドットコムのマーク・ベニオフ氏です。以下は、ベニオフ氏の人となりを知るとともに、常に先見の明を持って敢然と前に進み続けるリーダーの頭の中を垣間見ることを目的にまとめた記事です。(文中敬称略)

マーク・ベニオフはハワイで休日を過ごしている。彼にとって休日は、講演会や顧客の訪問などから離れて家族と過ごすとともに、新しい“おもちゃ”やアイデアをいじくり回す時間でもある。Google+で遊び、愛車のChevy Volt(「今までに乗ってきた車の中で一番楽しい車」 - ベニオフ談)を駆ってドライブに繰り出す。そして、4つのタブレットコンピュータを試し、新しいWebパブリッシングソフトウェアに没頭する。

ベニオフは、“クラウド”環境を通じてビジネスソフトウェアを販売する企業セールスフォース・ドットコムを設立したが、同社の共同創業者によれば、ベニオフは「非常に積極的に」若い起業家たちと時間を過ごすようにしていると言う。これが、誰も行く先を知らないイノベーション(革新技術)の流れを常に把握しておくための彼のやり方だ。昨秋、ベニオフはファイル共有Webサイト「Dropbox」を共同で立ち上げたドリュー・ヒューストン(28)をパール・ジャムに紹介した。その数カ月後、ヒューストンがサンフランシスコのベニオフの自宅を訪れた際には、政治資金パーティに出席していたオバマ大統領がひょっこり立ち寄り、また別の機会にはカリフォルニア州知事ジェリー・ブラウンと技術系のエグゼクティブグループとの食事会にも同席した。

46歳にして億万長者であるベニオフ。なぜ彼はこの若者を気にかけているのだろうか。ベニオフは次のように説明する。「彼はインターネットの世界で成長してきたが、私は違う。彼こそがイノベーションの次の世代だ」。セールスフォース・ドットコムは、より楽しいソフトウェアを共有するためのアイデアを、どうすればヒューストンから借りることができるのかを思案しているところだ(例: Dropboxは2,500万のメンバーに、非メンバーとのファイル共有用の追加ストレージを提供している)。ベニオフは、「私の仕事はセールスフォース・ドットコムをガイドすることだ。ただ本社でデスクに座ってすべてを把握しているフリをすることなどできない。今日私たちが使っているものも、数年後には時代遅れになっているだろう。過去と未来は決して同じものではないが、その流れについていくことは簡単だ」

ハーバード大学クレイトン・クリステンセン教授の慧眼から見たベニオフは、“Disrupter”すなわち破壊的力を持つ変革者だ。ビジネスソフトウェアをウェブの世界に移行させるという10年前には笑われたアイデアを実現することで、ベニオフはSiebel Systems(後にOracle Systemsが買収)を打ち負かし、彼が設立したセールスフォース・ドットコムは年商20億ドル(2012年1月31日終了の会計年度)への道に向かって進んでいる。73%に上る“Innovation Premium”によって、セールスフォース・ドットコムは世界で最も革新的な企業のトップに輝き、今や業界全体が企業内に異機種が混在しているサーバ環境からクラウドへとソフトウェアを移行させるベニオフの導きにしたがっている。

しかし、それもすでに過去のことであり、ベニオフは次の“変革”へと歩を進めようとしている。この変革を彼は「ソーシャルエンタープライズ」と呼んでいる。セールスフォース・ドットコムは、企業内のソーシャルネットワークとして機能するソフトウェア「Chatter」を昨年6月にリリースした。これによりビジネスユーザは、プロジェクトや商談に関する情報をグループ単位でアップデートし、コメントを寄せ、同僚間でのコミュニケーションを促進することが可能になった。

5年前、個人的なマーケティングマシンとしてFacebookを使い始めたときから、ベニオフにとってソーシャルネットワークは気にかかる存在だった。2008年も終わりに近いころ、セールスフォース・ドットコムのトップエンジニアの1人が、ベニオフにFacebookからのニュースフィードの簡単なメールを、Salesforceソフトウェア環境内で送った。これを受けベニオフは、社内の開発者の半分にその時行っていた仕事を中止して、たとえば商談をグループ単位で追跡管理したりコメントを寄せたりできるようなソーシャルネットワークと同じ環境をセールスフォース・ドットコム社内に作り上げることを指示した。

しかし、それまで進めていたプロジェクトを中止することは決して簡単ではない。コーディングの担当者は躊躇した。ベニオフのアイデアは現実離れした危険な気の迷いのように思えた。2009年6月、遅れているChatterプロジェクトについて彼は休暇中のハワイ島から電話を入れ、1時間にわたって語気荒く話した。セールスフォース・ドットコムの共同創業者でベニオフの良き友人でもあるパーカー・ハリスはプロジェクトを中止するように勧めたが、ベニオフはこれを断固として拒否した。

ベニオフの叱咤激励によって、Chatterはセールスフォース・ドットコム社内に定着した。昨年8月に行われた300名の役員と管理職による年次マネジメントミーティングにベニオフは複数のビデオカメラを設置し、世界中のスタッフが、このミーティングの様子をChatterを通じて見ることができるようにした。カメラが回り始めてから最初の数分間、重い沈黙がその場を覆っていたが、やがてシンガポールの誰かが口を開き、続けてサンフランシスコのスタッフ、さらにオーストラリアのシドニーのスタッフなど、次々と会話に参加するようになった。「ここに至り、セールスフォース・ドットコムの社風は変革を遂げた」とベニオフは振り返る。現在、世界10万社がChatterを試用しているが、その大部分は顧客層の拡張をねらいとした目玉として無償で提供されている。

ベニオフが目指しているのは“ソーシャル化”に止まらない。「今私は、お客様が自社の製品をソーシャルネットワークに載せることを提案している」とベニオフは説明する。トヨタの豊田章男社長がベニオフを訪ねた際、ベニオフはトヨタ車をソーシャルネットワークにリンクさせるべきであると提案した。来年からのトヨタの電気自動車とハイブリッドカーに注目だ。