※本記事は2026年6月23日に米国で公開されたNew Data: Middle Managers Aren’t Obsolete. AI Just Made Them More Important.の抄訳です。本記事の正式言語は英語であり、その内容および解釈については英語が優先されます。
中間管理職の役割は、これまで何度も「終わりを迎える」と言われてきました。AIによって中間管理職のポジションの必要性が低下するという予測を立てる研究もありました。しかし、Salesforceが最近実施したマネージャー(管理職)を対象とした調査では、企業がAI変革を進める上で、マネージャーが極めて重要な存在であることが明らかになりました。
500人以上の管理職を対象としたこの調査によると、全体の3分の2が仕事の未来におけるAIの役割について楽観的な見方をしており、大半がすでにこのテクノロジーの恩恵を実感しています。しかし、今回の調査はある重要なジレンマも浮き彫りにしました。それは、管理職が自らのチーム内でAI導入を成功させ、マネージャーたちは、「自分のチーム内でAIをうまく定着させ、成果を証明すること」に個人的な責任を感じている一方で、「自分自身がその進化のスピードについていけるか」という不安も同時に抱えているのです。
of managers feel responsible for their team’s successful AI adoption
(グラフ動画)78%のマネージャーが、「チームのAI導入を成功させる責任が自分にある」と感じている。
マネージャーはAI移行期における不可欠なレバー(推進力)になりつつあります。つまり、企業が「AIの理想(ビジョン)」を「日々の業務の再設計(リデザイン)」へと具現化する役割を彼らに期待しているのです。調査結果は、AIによって中間管理職の重要性がこれまで以上に増しており、企業が「AI時代に適したマネージャーの能力開発(イネーブルメント)を正しく行うことの重要性を高めていることを示しています。
この結果は、Salesforceが投資している「エージェンティック マネージャー(自律型AIを使いこなすマネージャー)」という概念とも一致しています。人とAIエージェントが協働する「エージェンティック エンタープライズ」において、マネージャーは単に「人を管理する」だけでなく「AIを使って業務がどのように行われるかを再設計する」役割を担います。
「マネージャーは、エージェンティックトランスフォーメーションの最前線にいます」と、SalesforceのAgentic Talent Experience担当シニアバイスプレジデントであるパラヴィ・セバスチャン(Pallavi Sebastian)は述べています。「マネージャーへの投資は、私たちのビジネスだけでなく、私たちの未来への投資でもあるのです。だからこそ私たちは、今日の優れたマネージャーが『エージェンティック マネージャー』となり、自信を持って人とエージェントのチームを率いられるよう環境を整えています」
調査結果の詳細
1. マネージャーはAIを全面的に受け入れ、確かな成果を出している
調査に回答したマネージャーの3分の2が、仕事の未来におけるAIの役割に楽観的です。また、生産性の向上はすでに目に見える形で現れており、77%がAIツールの活用によって週に3時間以上を削減しています。調査からは、マネージャーたちが自信を持ってAIを実践している様子が伺えます。73%が「どのタスクをAIに任せるべきか、評価・判断する能力が自分に備わっている」と答えています。
of managers surveyed are optimistic about AI's role in the future of work
of managers are saving more than three hours per week with AI tools.
(グラフ動画:マネージャーの3分の2が、仕事の未来におけるAIの役割に楽観的。77%がAIツールの活用によって週に3時間以上を削減 )
主な用途としては「データ分析」がトップで、リーダーたちがデータに基づく意思決定を強化するために、いかにAIを深く頼りにしているかを反映しています。「クリエイティブなプロジェクト」と「リサーチ」がそれに僅差で続いており、AIが単なる効率化のツールにとどまらず、より上流の戦略立案やアイデア創出の推進力(レバー)になっていることを示しています。
2. チームのAI導入に責任を感じる一方で、ついていくことに不安も
マネージャーにとって、自分自身がAIを導入するだけでは十分ではありません。78%が「自分のチームがこれらの新技術を確実にうまく導入できるよう、個人として責任がある」という点に同意、または強く同意しています。
しかしその一方で、51%が「自分自身がAIの進化についていくことに不安を感じている」とも回答しています。これは企業側が、マネージャーを「AI導入のリーダー」として指名したものの、彼らがその使命を果たせるだけの十分な基盤やサポートをまだ提供できていない可能性を示唆しています。
Nearly half (48%) of managers feel pressure from leadership to demonstrate AI adoption.
Only 32% work in organizations with formal AI tracking.
(グラフ動画:マネージャーの約半分(48%)が、経営陣からAI というプレッシャーを感じている。自身の組織に「正式なAIの効果測定システム」があると答えたマネージャーは、わずか32%)
さらに、マネージャーの約半分(48%)が、経営陣から(単にAIを導入するだけでなく)「AI導入の成果を示すように」というプレッシャーを感じていると答えています。それにもかかわらず、自身の組織に「正式なAIの効果測定システム」があると答えたマネージャーは、わずか32%にとどまりました。つまり、マネージャーたちは「まだ測定することも証明することもできない成果」に対して責任を追及されている状態にあります。
3. マネージャーには意欲がある。彼らが求めているのは「実践的なサポート」
「何が最も助けになるか」を尋ねたところ、マネージャーたちが優先して挙げたのは以下の3つでした。
1位:ハンズオン(実践型)のトレーニング(37%)
2位:明確な組織のAI戦略(35%)
3位:ITおよび技術的なサポート(34%)
マネージャーたちはすでにAIを活用すること自体には納得しています。彼らが今求めているのは、自分たちのチームをサポートし、その能力を開花させるための具体的な「ツールや環境」なのです。
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1
Hands-on training
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2
A clear organizational AI strategy
-
3
IT/technical support
(動画:マネージャーが求めることTop 3 )
【事例:Salesforce社内での取り組み】
今日のマネージャーたちが「エージェンティック マネージャー(自律型AIを使いこなす管理職)」へと成長できるよう、Salesforceでは日々の業務フローの中でマネージャーを直接支援するツールやトレーニングを再構築しました。これには、Slackを活用したマネージャー向けコーチングや、実践的なAIワークショップ、社内チャレンジなどが含まれます。
また、SalesforceはSlack内で稼働するAIパートナー「Manager Agent」を立ち上げました。これは、部下の問題解決、コーチング支援、意識調査の結果分析、人事評価や昇進のサポートなど、ピープルマネジメントに伴う煩雑な定型業務を処理するためのものです。この「Manager Agent」は、導入初年度だけでマネージャーたちの時間を5万7,000時間以上削減することに成功しました。これにより、管理職は自律型AI時代において最も得意とする業務、すなわち「チームのコーチングや優秀な人材の育成」に集中できるようになりました。
4. マネージャーへの投資こそが、AIの可能性を最大限に引き出す鍵
マネージャーたちは、現在進行中の「AI変革」の重要性を理解し、責任を感じています。実際に、回答者の約半分(48%)が、今後2〜3年の間に「自分自身の役割が大きく、あるいは根本的に変化する」と予想しています。
結局のところ、データが明確に示している事実は一つです。「マネージャーこそが仕事の未来を定義している」ということです。もし経営陣が、必要なトレーニングや明確な方向性を提示しないままAIの成果ばかりを求め続ければ、この変革を文字通り現場で支えているリーダーたちを「燃え尽き症候群(バーンアウト)」にさせてしまうリスクがあります。
企業が今日からマネージャーに対して実践的な能力開発(イネーブルメント)ツールを提供すれば、変化する役割へのプレッシャーを軽減できるだけでなく、組織全体の持つ「真の、そして革新的なAIの可能性」を最大限に解き放つことができるでしょう。
詳細情報:
- Manager Agentと、それが管理職のために削減した5万時間の詳細は、こちら(英語)。
- エージェンティック エンタープライズに向けて従業員の準備を整える方法の詳細は、こちら(英語)。
- 新たな才能がAIに対応した従業員の構築にいかに役立つかの詳細は、こちら(英語)。
調査方法
本レポートのデータは、2026年3月10日から3月18日にかけて実施された、回答者を特定しない形式の調査(ダブルブラインド調査)に基づいています。米国内の管理職にある専門職から538件の有効回答を得ました。回答者には、AIツールの使用状況、AI統合に対する心理的反応、必要とするサポート、そして将来への期待について尋ねました。
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