AI起点の商品検索が前年比200%増、購買プロセスの変化と日本企業のAI活用の実態が明らかに
※本記事は2026年7月28日に米国で公開されたShopping’s New First Step: Agentic Search Grows 200% as Purchase Journeys Start in AI Chatsをもとに、一部内容を日本向けに編集したものです。
株式会社セールスフォース・ジャパン(本社:東京都千代田区、代表取締役会長 兼 社長:小出 伸一、以下、Salesforce)は本日、Eコマースの最新トレンドをまとめた年次レポート「Eコマース最新事情」(第4版)の日本語版を公開しました。本レポートは、日本の回答者200名を含む3,450名のコマース担当者および4,690名の消費者を対象とした調査に加え、世界15億人超の買い物客の行動データを分析したものです。
本レポートでは、AIの普及に伴う消費者の購買行動の変化をはじめ、エージェント型AIの導入・活用状況、その基盤となるデータやシステムの統合、企業のコマース戦略における課題や取り組みなど、業界を取り巻く最新動向を明らかにしています。
調査結果からは、大規模言語モデル(LLM)との対話やAIアシスタントを通じて商品を探す「エージェント型AI検索」が、購買行動の新たな入口として急速に広がっていることが明らかになりました。世界の購買行動データによると、買い物を始める際に、最初にAIアシスタントを利用する消費者の割合は、2025年5月から2026年5月までの1年間で3倍(200%増)になりました。
こうした変化を背景に、コマース企業には、高まる顧客の期待への対応と、AIを活用した業務変革の両立が求められています。日本では、コマース担当者の86%が「AIによって顧客の期待水準が高まっている」、61%が「顧客の期待に応えることがかつてないほど難しくなっている」と回答しました。さらに、79%が「AIなしではチャネル全体への拡張は困難」と回答しており、変化する購買行動への対応と事業の拡大に向けて、AIの活用が重要な課題となっていることがうかがえます。
主なポイント
- エージェント型AI検索の急拡大
グローバルでは、購入プロセスの最初のステップとしてエージェント型AI検索を利用する割合が前年比200%増 - 顧客の期待の高まり
日本のコマース担当者の84%が「AIによって顧客の期待が高まっている」、72%が「顧客の期待に応えることがかつてないほど難しい」と回答 - 日本企業のAI活用の進展
エージェント型AIを利用する日本企業のうち、実証実験(PoC)段階にとどまる企業はわずか4%。44%が部門・チーム全体への利用拡大を進めている - データ統合の遅れとAIの必要性
日本企業で顧客データが完全に統合されている割合は30%にとどまる一方、79%が「AIなしではチャネル全体への拡張は困難」と回答
詳細な調査結果
AIによる商品検索が拡大、変化する購買プロセス
世界37か国、15億人超の買い物客の購買行動データによると、AIチャットからコマースサイトへの流入トラフィックは、調査対象となったすべての四半期で前年同期比150%~428%増となり、AIを起点とした商品探索が急速に拡大しています。
また、2025年8月から2026年5月にかけて、ブランドが所有するチャネルを通じて商品を見つけた買い物客の割合は7%減少し、従来型の検索を利用した割合も15%減少しました。一方で、AIアシスタントやソーシャルメディアAI、配送アプリなどの新しいチャネルを利用する消費者の割合は38%増加しており、購買プロセスの入口が大きくシフトしていることが分かります。
こうした変化を受け、日本のコマース担当者の83%が「今後1年以内にLLMが商品検索に不可欠になる」と回答しており、AI検索の本格的な普及を見据えた準備が進んでいます。
企業側でもAI検索を前提としたコンテンツ・データ整備が進んでいます。日本ではコマース企業の43%が商品コンテンツの品質改善、46%が会話型・質問型のクエリに合わせたコンテンツの最適化、40%がAI検索プラットフォームへのデータフィードの送信、40%が自然言語検索に対応した商品説明の最適化に取り組んでいます。
日本企業のエージェント型AI利用は24%、導入企業では本格展開へ
日本のコマース組織のうち、エージェント型AIを現在利用していると回答した割合は24%でした。一方、40%が今後6か月以内に導入する予定と回答しています。
すでにエージェント型AIを利用している企業では、試験的な導入から本格的な展開へと移行しつつあります。「ユースケースの試験導入を主に行っている」と回答した割合は4%にとどまる一方、44%が「部門やチーム全体にAIの利用を拡張すること」を主な取り組みとして挙げています。サービスやITからマーチャンダイジングまで、AIの活用が一部のユースケースにとどまらず、幅広い業務へと広がりつつあることが分かりました。
AI活用が進む一方で、成果測定の課題も明らかになりました。グローバルでは、AIの成功指標やKPIを完全に定義していると回答した組織は32%にとどまり、AI投資の効果を適切に把握するための指標整備が課題となっています。
AI活用の拡大に伴い、データやシステムの分断が課題に
AI活用が広がる中、既存のIT環境の複雑化も課題となっています。日本のコマース担当者の78%が、過去2年間で利用するベンダー数が増加したと回答しました。また、営業、サービス、マーケティング、コマース全体で顧客データが完全に統合されていると回答した日本企業は30%にとどまっています。
顧客データが断片化している日本企業では、43%が「顧客の問題への対応の遅れや効果の低下」、34%が「コマースやマーケティングへの投資効果の測定が困難」、38%が「分断されたシステムの維持コストの高さ」と回答しています。
さらに、複数のチャネルを展開する日本企業のうち、「大きな障壁はない」と回答した割合はわずか1%でした。主な課題として、44%が「チャネル間で価格やプロモーションが一致していない」、42%が「在庫情報がリアルタイムで同期されていない」と回答しています。
B2C企業においても、オンラインと実店舗の境界は薄れています。日本のB2C企業のコマース担当者の91%が「顧客は実店舗でもオンラインと同じ水準のパーソナライズを期待している」と回答しました。
データ統合がAI活用の成果を左右
データ統合に取り組む日本企業では、その効果が着実に表れています。36%が営業、マーケティング、コマースの各チーム間の連携体制の向上、37%がAIおよびオートメーションによる成果の改善、38%が顧客維持率とロイヤルティの向上を挙げています。
AIを活用した購買行動が急速に広がる中、企業にはAIの導入そのものだけでなく、顧客データやシステムを統合し、あらゆるチャネルで一貫した顧客体験を提供できる基盤を整備することが求められています。
Salesforceの視点:Salesforce エージェンティックコマース・ショッパーインサイト部門責任者のCaila Schwartsは次のように述べています。「AIはコマースのあり方を両方向から再形成しています。顧客は、AIアシスタントやSNSのフィード、ブランドが管理できない場所で商品を見つけるようになっており、どこであっても一貫性のあるパーソナライズされた体験が提供されることを期待しています。同時に、コマースチーム自体の業務のあり方もAIによる影響を受けており、商品展開の方法や受注・配送業務の進め方、ビジネスの拡大方法にも変化が生じています。顧客と企業の差は『スピード』にあります。しかし企業で同じことを適切に行うには、信頼できるデータや連携されたシステム、そしてそれらを活用する準備が整ったチームが必要になります。今、こうした基盤を適切に構築できている企業こそが、この変化についていくことができます」
調査方法
本レポートのデータは、2026年4月10日から6月4日にかけて、二重匿名法により実施した調査結果にもとづきます。この調査では、20か国、13の業種にわたるコマースの担当者から3,450件の回答が寄せられました。
本レポートでは、今回の調査結果に加えて、Salesforceが2024年第1四半期から2026年第1四半期にかけて37か国、15億名超の世界中の買い物客を対象に実施した、プラットフォーム上の購買行動に関する分析、および2026年5月12日から18日にかけて8か国、4,689名の消費者・買い物客を対象に実施した消費者調査で得たデータも使用しています。より詳細な人口統計情報については、レポートをご参照ください。
詳細情報:
- 「Eコマース最新事情」(第4版)日本語版レポートのダウンロードはこちら。
- 『Eコマース最新事情』レポートの全文を読む。
- ホリデー商戦で成功するための、Salesforce コマース予測の活用法。
- Agentforce Commerceの最新のイノベーションをご紹介。
- LLMを搭載した検索機能を実装するためのサイト準備方法。
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