社会課題の解決——それは、一部の人だけでなく、私たち一人ひとりが関わるべきテーマです。Salesforceでは、NPOや企業、社員が垣根を越えて学び合うことで、テクノロジーの力を社会に還元する取り組みを続けています。今回開催された「NPO Salesforce活用共有会」もそのひとつ。SalesforceとAIの活用を通じて、現場の工夫との共創が生み出す新たな可能性を探りました。
2025年10月、Salesforceは、第2回「NPO Salesforce活用共有会」を開催しました。
このイベントは、社員のボランティアによる「社会貢献委員会」の「Salesforce活用支援チーム」が初開催の昨年に引き続き企画したもので、Salesforceを活用するNPOが集い、事例共有とネットワーキングを目的としています。今回は、その模様とNPOによるSalesforceおよびAI活用の最前線をご紹介します。
NPO同士がつながることで生まれる“学びと広がり”
社会貢献委員会 Salesforce活用支援チームで今回リーダーを務めた新関 忠は、イベントの狙いをこう語ります。
「これまでの支援は『Salesforceでこんなことができますか?』という個別相談が中心でした。そこで、NPO同士が直接交流し、事例を共有し合える場を設けることで、より広がりのある学びを生み出したいと考えました」
NPOはそれぞれが特定の社会課題に取り組みながらも、ITに詳しい人材が限られるケースも多く、それぞれの現場の創意工夫によって活動を支えているという現状があります。今回の共有会では、Salesforceを軸にAIやAgentforceを活用し、業務効率化や支援者とのつながり強化に取り組む事例が紹介されました。
Salesforceで活動を拡張する4つのNPO事例
1. PLAS(アフリカの子ども支援)
ウガンダやケニアで取り残された子どもたちを支援するPLASは、2011年にSalesforceを導入。複数のExcelに分散していた支援者情報を一元化し、寄付履歴の可視化・分析を実現しました。寄付金の約2割を占める「チャリティーオークション」の管理もSalesforce上で行い、案件ごとの収益や協力者情報を整理。さらにAIを活用し、活動内容に共感しやすい協力者をリストアップする仕組みも導入しています。
「オンラインマニュアルを整備し、インターン生でも営業活動を担えるようにしています。AIは新しい寄付先開拓にも大きく貢献しています」(代表理事 門田瑠衣子氏)
2. ポケットサポート(慢性疾病のある子ども支援)
岡山県を拠点とするポケットサポートは、2018年にSalesforceを導入。寄付者や入金情報、メール通知を一元管理し、作業時間を半減させました。少人数体制ながらSalesforceのプロボノ社員の支援を得て運用を確立し、過去データに基づくDM送付などで支援者との関係性を深めています。
「Salesforce導入で、当事者の子どもたちやご家族との絆がより強まりました」(代表理事 三好祐也氏)
3. むすびえ(全国こども食堂支援センター)
全国約1万箇所に広がるこども食堂の支援を行うむすびえは、寄付者管理をSalesforceで統合。法人寄付者との関係構築を強化した結果、導入初年度の上半期だけで担当プロジェクトの寄付額が前年同時期比約130%、物資支援額は約200%に伸長しました。
「データを一元管理することで、支援の質もスピードも大きく向上しました」(小山秀幸氏)
4. デジタルものづくり協議会(教育DX推進)
Minecraftを活用したデジタル教育を推進するデジタルものづくり協議会は、イベント管理や機材管理の効率化を目的にSalesforceを導入。「イベント」「機材」を軸にカスタムオブジェクトを設計し、準備時間を約50%短縮、紛失もゼロに。さらにAgentforceを導入し、少人数でも2,300名の支援者とのコミュニケーションを最適化しています。
「NPO設立と同時にAgentforceを導入し、少ない人員でも支援の輪を広げています」(代表理事 土井 隆氏)
AIを駆使するNPOに、ビジネスも学ぶ
発表後には表彰が行われ、2位にPLAS、1位にデジタルものづくり協議会が選出されました。審査員を代表して講評を行ったセールスフォース・ジャパンの取締役 副社長 兼 ビジネスオペレーション統括の伊藤孝は、両団体を次のように評価しました。
「PLASは長年にわたるSalesforce活用と、AIを取り入れた寄付拡大が印象的でした。
デジタルものづくり協議会は、Agentforceを実運用レベルで活かしており、その先進性が際立っています」
審査員として参加したNTTテクノクロスの鈴木貞弘氏も、「NPOの創意工夫やデジタル活用は、ビジネスサイドにも多くの示唆を与えてくれる」とコメントしました。
共有が広げる“社会課題解決”の力
Salesforceはこれからも、NPOのテクノロジー活用を通じて社会インパクトの最大化を目指していきます。ご関心のある団体は、ぜひお気軽にSalesforce社員によるプロボノ支援プログラムもご活用ください。
詳細情報:
- 従業員主導のコミュニティ、イクオリティ(平等)グループの紹介。
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