2026年7月4日、Salesforceは未来教育株式会社(MIRAIE)と共同で、立命館大学 大阪いばらきキャンパスにて高校生18チームが参加する体験型AI教育プログラム「AI Sustainability Camp 2026」を開催しました。本イベントは、立命館大学日本バイオ炭研究センターとの共催で行われ、AIの環境コストへの理解と社会課題解決アイデアの発表を通じて次世代リーダーの育成に取り組むことを目的としてます。AIと気候変動という2つの潮流が交わる最前線を、次世代の担い手である高校生が体感する一日となりました。
AIの急速な進展と、気候変動という地球規模の喫緊の課題が同時に進行する現代において、将来世代がこれらのテーマを深く理解し、自ら解決策を考える力を育むことは社会として不可欠です。ビジネスを通じて社会課題解決に取り組むSalesforceは、未来を創造するリーダーを育む実践的な学びの場を提供し、新たな視点からの課題解決アプローチが生まれることを目指して本キャンプを開催しました。
今回参加した高校生は、2025年度の「SDGs QUESTみらい甲子園」の関西エリア大会で「Salesforce賞」を受賞した滋賀県立虎姫高等学校 新聞部のチームのほか、会場・オンライン合わせて計18チーム(90名)です。
進化するAIと共に社会課題の解決に挑む
イベントの冒頭、セールスフォース・ジャパン 取締役 副社長 公共事業統括 兼 ビジネスオペレーション統括の伊藤孝が挨拶に立ちました。伊藤はAIの進化の速さに触れ、「ここ1年の技術の進化はすさまじく、3年後、5年後には今の私たちが想像できないことが起きている可能性があります」と語りました。「かつてスマートフォンの登場を誰も予想できなかったように、AIはさらに速いスピードで社会を変えていくでしょう」(伊藤)

その上で、Salesforceが、「ビジネスは社会を変えるための最良のプラットフォームである」という信念のもと1999年の創業当初から社会貢献の「1-1-1モデル」を通じて、製品の1%、株式の1%、従業員の就業時間の1%を社会に還元してきた歩みを紹介。こうした社会の進化をテクノロジーのイノベーションで支援してきた歴史を通じ、「これからの未来、AIを使えば『こういうことをやりたい』という思いを形にできるようになります」と、生徒たちにエールを送りました。
続く特別講演では、立命館大学教授の依田祐一氏(経営学部長/日本バイオ炭研究センター長)が脱炭素の新しいエコシステムとして、「カーボンマイナス」の考え方を解説しました。植物由来のバイオマスを炭化して農地等に埋めて炭素を長時間閉じ込める「バイオ炭」を紹介し、その炭素除去量を企業が購入する新たな環境エコシステムについて説明。バイオ炭で育てたお米や山梨のワインなどの取り組みを共有しました。依田氏は「これまでの農作物は『おいしい』という価値でしたが、これからは『環境にも良い』という新しい価値を創っていきます」と、身近な商品を通じて「環境価値」の重要性を語りました。

続いて登壇したフューチャリスト(未来予測士)の友村晋氏は、「未来のビジネススキル」をテーマに講演。米国や中国の自動運転、人型ロボット、垂直農場など、自ら現地で見聞きした変化を紹介しながら、「皆さんが社会に出る頃には、AIと物理的なロボットが人手不足を一気に解消するでしょう」と予測します。そんな時代を生き抜く2つの力として「自分の意見を持つこと」と「レジリエンス(失敗から立ち直る力)」を挙げ、「今のうちにどんどん失敗して、恥をかき、立ち直る力を付けてください」と生徒たちの背中を押しました。

便利なAIの裏側にある「環境コスト」を学ぶ
ワークショップの導入ではSalesforceのサステナビリティプログラム マネージャー磯杏奈が、AIそのものが抱える「隠れた環境コスト」を解説しました。
まず、17あるSDGs目標が「生物圏(自然環境)」を土台に「社会」「経済」が積み上がる構造を示す「SDGsウェディングケーキモデル」を紹介。さらに、産業革命以降に気温が急上昇する「ホッケースティック曲線」を示し、この上昇は自然要因だけでは説明できず、人為的な要因を加えて初めて説明がつくと強調しました。日本の1人当たり温室効果ガス排出量が世界平均の約2倍にあたるといったデータにも触れ、身近な消費を見直す「エシカル(倫理的)」な視点の大切さを伝えました。
主役であるAIについても、意外な事実が投げかけられました。実は平均的なAIモデルで画像を1枚つくるためには、スマートフォンの充電でおよそ50〜80%の電力を要します。参加した高校生は一様に、便利なAIの裏にある電力や水の消費量を知り、驚きを隠せませんでした。
最後に磯は、持続可能なAI活用のコツを2つ紹介。1つは目的や背景を添えて具体的に依頼する「質の高い問いかけ」と、AIが答えに迷い続けているときは停止して依頼し直す「質の悪い応答の中断」をすることを呼びかけました。

18チームが競った、AI×Sustainabilityアイデア発表会と表彰式
ワークショップを経て、会場・オンライン合わせて計18チームが、メインファシリテーターの松谷真弓氏(一般社団法人未来共創イノベーション代表理事)や立命館大学の学生ファシリテーターらのサポートのもと、MIRAIEが開発した探究学習を支援するAIプラットフォーム「FUTURE COMPASS」を活用して練り上げた社会課題の解決アイデアを発表しました。建設廃材をバイオ炭に変えた鉛筆を途上国に届ける案、AI自体の消費電力に着目し用途に応じてLLMを使い分ける案、学校給食の食べ残しを飼料に回す案など、身近な気づきと社会への視点が凝縮された多彩な提案が並びました。

最終盤の表彰式では3つの賞が贈られました。依田氏が選ぶ「サステナビリティ賞」は、平時にも災害時にも使える「事前復興基盤のためのアプリ」を提案したHIY sin’チーム(昌平高等学校)に、友村氏が選ぶ「フューチャリスト賞」は、日本の自然環境に脅威をもたらす外来種の繁殖防止に向け、ペットの安易な遺棄を防ぐことを提案したMedia clashチーム(駒場学園高等学校)に贈られました。
そしてSalesforceが贈る「AIキャンプグランプリ」賞は、地元・滋賀県立虎姫高等学校 新聞部Aチームに。担い手不足に悩む林業にAIロボットを活用するというテーマが、環境問題に取り組み、社会実装への期待とともに高く評価されました。
参加した高校生からは「自分では思い付かないようなアイデアの糸口が見つかった」という手応えや、「難しい社会課題であっても、AIをうまく組み合わせることでスピード感を持って解決策を見出していくプロセスにワクワクした」という声が寄せられました。さらに、単なる作業の効率化やアイデア出しのツールにとどまらず、これからの人間とテクノロジーの関わり方に一歩踏み込んだ頼もしい意見も見られました。
「AIは既存の情報を編集してくれる。これからの社会問題はAIを用いながら、人間が賢く活用して考え、人間が行動を起こすことが大切だと考えた」
「AIに頼り切るのではなく、提示されたヒントをもとに自分たちの手で具体的な行動を起こしていくことこそが、本当の解決に繋がると感じました」

最後にセールスフォース・ジャパンの伊藤孝は、次のように述べました。「テクノロジーとサステナビリティを融合させ、AIでイノベーションを加速し、誰もが公平にAIにアクセスできる社会をこれからも目指していきます。小さな一歩でも、AIを使えば自分の『やりたい』を形にできる。その手ごたえを、次世代の皆さんに持ち帰ってほしいと願っています」
Salesforceは今後もAIとサステナビリティを融合させ、誰もが公平にAIを使える社会を目指して、若者が自らのアイデアを形にできる支援を継続してまいります。
Sustainability Camp 2026 イベントダイジェスト(約3分間の動画)
詳細情報:
- Salesforceのサステナビリティに関する詳細は、こちら。
- 社会貢献の取り組みに関する記事は、こちら。
- Salesforceのこれまでの社会的インパクトに関する記事は、こちら。
- 持続可能な社会の実現に向けた「責任あるAI」戦略とは
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