※本記事は2026年5月20日に米国で公開されたNew Research: AI Service Agents Are Scaling and Delivering CSATをもとに、一部内容を日本向けに再編集したものです。
主なポイント
- 日本の回答者のエージェントAI活用率は49%、グローバルの66%を17ポイント下回る
- 日本の回答者の生成AI活用率は83%(vs グローバル:78%)
- 日本の回答者の81%がAI出力の確認に多くの時間を費やしていると回答
- 日本の回答者の36%が、導入後30日以内に成果を実感
株式会社セールスフォース・ジャパン(代表取締役会長 兼 社長 小出 伸一、以下Salesforce)は本日、カスタマーサービス部門においてAIエージェントが顧客満足度をどのように向上させているかを検証するレポート「カスタマーサービス最新事情: AIエージェントエディション」の日本語版を公開しました。
本レポートは、日本の回答者300人を含む、世界13か国でカスタマーサービス職に従事する3,075人を対象に実施されたもので、カスタマーサービス部門におけるAIエージェントの導入状況や活用実態、期待される効果などを明らかにしています。
詳細な調査結果
日本のAIエージェント活用率はグローバルを下回る一方、生成AI・予測AI活用率は上回る
本調査結果によると、ステップごとの人間の指示なしにワークフロー全体にわたって自律的に行動するAIエージェントの活用においては、日本の約半数(49%)にとどまり、グローバルの66%を17ポイント下回っています。
このギャップは、AI全般への消極的な姿勢を示すものではありません。日本における生成AIの活用率は83%とグローバル平均の78%を5ポイント上回り、予測AIの活用率は77%と、グローバルの71%を6ポイント上回っています。日本のカスタマーサービス部門は、AI活用そのものには積極的である一方、完全自律型のAIエージェントの導入には慎重な姿勢が見られます。
このデータが示すのは、意図的な段階的導入へのこだわりです。日本の組織はAI補助ツールの展開を迅速に進めてきた一方で、「いつ、どのワークフローにおいて人間による承認ステップを完全に取り除くべきか」という具体的な問いに対しても、同様に慎重な評価を行っています。データプライバシーや規制上のリスクといったセキュリティ・コンプライアンス上の懸念も、一因となっている可能性があります。調査では、日本の回答者がAIエージェントの活用拡大に向けた障壁として、これらの懸念を挙げていることが示されています。
日本企業はAIの品質管理を重視
この慎重な姿勢は、AIの監視に関する回答にも明確に表れており、その傾向は本調査の中で日本が最も顕著です。
日本では、AIを活用するカスタマーサービス部門の担当者の81%が、「現在、定型的な顧客対応よりもAIの出力結果の確認に多くの時間を費やしている」と回答しました。この割合はグローバル平均(68%)を13ポイント上回り、米国(72%)、インド(64%)、ブラジル(55%)を超えています。
今後6ヵ月についても、日本では75%の回答者が同様の傾向が続くと予測しており、グローバル平均(64%)を11ポイント上回りました。これは、AIの出力確認業務が一時的な過渡期の対応ではなく、継続的な業務プロセスとして定着しつつある可能性を示唆しています。
これらのデータを総合すると、日本のカスタマーサービス部門はAIを大規模に活用しながらも、品質管理に相当程度の人的リソースを振り向けていることがわかります。処理量が増加してもなお、人間が意思決定プロセスに深く関与し続けるモデルを採用しています。これは日本全体のより広い傾向を反映しており、慎重に前進し、出力品質への確信と引き換えに短期的なオーバーヘッド(手間やコスト)を受け入れるというアプローチです。
導入企業では高い自律性と成果を実現
このような慎重な運用体制のなかで際立つのは、明確に定義された特定のワークフローにおいて、日本企業がAIに高い自律性を付与し、導入後のパフォーマンスにも強い信頼を寄せている点です。
AIエージェントを特定業務で活用している日本のカスタマーサービス担当者において、人間による確認の有無にかかわらずAIが自律的に業務を実行している割合は、担当者向けナレッジ検索およびワークフォース管理で74%、担当者のコーチングおよびトレーニングで72%、アフターコール業務、ナレッジ作成、パーソナライズされた商品レコメンデーションではそれぞれ71%に達しています。
また、日本の回答者の65%がAIの精度を「非常に正確」と評価しており、グローバル平均(57%)を8ポイント上回りました。
さらに、AIエージェント導入後の成果創出も早く、日本のカスタマーサービス部門のリーダーおよびオペレーション担当者の36%が「30日以内に価値を実感した」と回答しており、グローバル平均(25%)を11ポイント上回っています。
こうした結果から、日本のカスタマーサービス部門は、AIエージェントの導入に際して十分な準備を行い、対象業務を慎重に見極めたうえで規律ある運用を進めていることがうかがえます。浮かび上がるのは消極的な姿勢ではなく、選択的かつ戦略的な導入アプローチです。
日本のカスタマーサービス部門は、AIエージェントを限定されたユースケースに意図的に展開しながら、いったん導入すれば、高い自律性と成果への確信をもって運用しており、その水準は世界の多くの市場を上回っています。
株式会社セールスフォース・ジャパン 専務執行役員 製品事業統括本部 事業統括本部長の三戸 篤は次のように述べています。「日本のサービス業界は、大きな変革を受け入れる際に高い品質基準と確実性を重視することで知られています。今回のデータから浮かび上がるのは、まさにその慎重さが成果につながっている姿です。AIエージェントを導入している組織は、限定的な実証実験にとどまるのではなく、コアとなる業務プロセスにおいて自律的にAIを活用し、高い成果を実感しています。今後、ガバナンスの整備が進み、先行企業による再現性の高い成功事例が蓄積されることで、導入の広がりはさらに加速していくと考えられます。日本市場は決して導入に消極的なのではなく、リスクと成果を見極めながら、着実かつ計画的に前進しているのです」
詳細情報:
- 「カスタマーサービス最新事情: AIエージェントエディション」日本語版レポートのダウンロードは、こちら。
調査方法
本レポートのデータは、2026年3月9日から4月4日にかけて実施された、カスタマーサービス職など3,075人を対象とした二重盲検法による調査に基づいています。データは、オーストラリア、インド、日本、ニュージーランド、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、スペイン、英国、ブラジル、米国、カナダの回答者から収集しました。
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