※本記事は2026年8月27日に米国で公開されたNew Study of 2,025 Agentic AI Leaders: First To Launch Isn’t Fastest to ROIをもとに、一部内容を日本向けに再編集したものです。
日本の導入企業は平均7ヶ月でROIを実現し、グローバルを上回るデータ整備や業務への組み込みなど「事前の準備」が成果創出の鍵に
株式会社セールスフォース・ジャパン(本社:東京都千代田区、代表取締役会長 兼 社長:小出 伸一、以下、Salesforce)は本日、日本の回答者150名を含むAIエージェント(自律型AI)に関する意思決定者2,025名を対象に実施した「企業におけるエージェント型AI最新事情」の調査結果を公開しました。
本レポートは、5大陸20カ国の自律型AIに関する意思決定者を対象に実施したもので、企業におけるAIエージェントの導入状況や投資対効果(ROI)を得られるまでの期間をはじめ、データ基盤、業務への組み込み、ガバナンスなどの成果創出のための要因を明らかにしています。
主なポイント
- 日本のAIエージェント本番導入率は32%:グローバルの導入率(30%)とほぼ同水準。日本では44%が試験導入段階、24%が評価・検討段階に
- 日本企業におけるROI達成までの平均期間は7ケ月:グローバル平均の8ケ月を上回るスピードで成果を実現
- 日本では顧客満足度が平均33.9%向上:グローバルの29%を上回り、問題解決時間も平均33.8%短縮、運用コストも平均33.9%削減
- AIエージェントの成果創出には、データの整備と適切なアクセス管理が重要:日本におけるAIエージェント本番導入の成功要因として、正確かつ適切に管理されたデータのアクセスや、共通のID・アクセス権限管理が上位に
Salesforceの視点:Salesforceのデータ&AI戦略SVP、シバニ・アフジャ(Shibani Ahuja)は、次のように述べています。「当社は、2,000人を超えるリーダーが現在AIエージェントを実際にどのように活用しているのかを調査しました。そしてこの調査を通じて、現実的にリターンを得ている企業と、コストがかさむパイロット段階で行き詰まっている企業を分ける大きな要因は、スピードではないということが分かりました。 それよりも、導入前に何をするのかが、AI導入が成功するか否かの分かれ目となっていたのです。導入前にできる取り組みとして、例えば、目の前のジョブに必要なデータを信頼できる状態にすること、人間が介入を続けるポイントを定めること、そして必要になってからではなく、先手を打ってガードレールを実装しておくことなどが挙げられます」
詳細な調査結果
AIエージェントの導入で先行する業界が、必ずしもROIを早期に達成しているとは限らない
Salesforceのプラットフォームデータによると、AIエージェントの導入はこの1年で2倍以上に増加しており、実際に成果を生み出しています。AIエージェントを活用する小売企業では、活用していない企業と比べて、オンライン売上の伸び率が4倍に達しています。
こうした中、企業がAIエージェントの導入を進めるうえで重要となるのが、導入スピードと成果の関係です。今回の調査では、早期にAIエージェントを導入した企業が、必ずしも早期にROIを達成しているわけではないことが明らかになりました。
- AIエージェントの導入が進んでいる業界と、ROIを早期に達成している業界は必ずしも一致しておらず、先行導入が早期の成果につながるとは限らない
- 本格導入に至った企業の割合が低いプロフェッショナル・ビジネスサービス業界とサプライチェーン・物流業界では、他の業界と比べて最も早く明確なROIを実現
- 一方、AIエージェントの導入が最も進んでいる業界の一つであるハイテク業界では、ROI達成までに10.1ヶ月を要し、ほかの業界と比べて長い傾向に
AIエージェントの導入にすべてのデータを統合する必要はない
AIエージェントの導入には、社内のすべてのデータが完全に統合されていることは必須ではありません。一方で、導入後に成果を上げるためには、、必要なデータを適切に整備しておくことが重要です。
- グローバルでは、AIエージェントの導入前にデータを完全に統合していた企業は31%にとどまり、残る69%はデータの統合を進めながら、あるいはデータが分散した状態で導入を進めていた
- 日本のAIエージェント導入企業が、自律性の高いエージェントの成功要因として特に重視しているのは、「エージェントが必要なときに信頼性の高いデータへアクセスできること(44%)」と「共通ID・権限モデル(42%)」の2点。いずれも、全社的なデータ統合を前提としない要因に
- グローバル全体では、AIエージェントの導入前に必要なデータを統合していた企業は、導入後にデータ基盤の課題に対処した企業(8.8ヶ月)と比較して早期(7.3ヶ月)に明確なROIを実現
Salesforceの視点:Salesforceのエンタープライズ&AIテクノロジー部門、プレジデント、ジョー・インゼリロ(Joe Inzerillo)は、次のように述べています。「AIエージェントの導入にあたって、まずすべてのデータを一カ所に集約し、完璧な状態に整えなければならないと考えがちです。しかし、今回の調査から、ユースケースごとに必要なデータを整備していけばよいということが見えてきました。データの正確性を確保し、機械が扱える形に整えた上で、データが何を意味し、どのように利用すべきかをAIエージェントが理解できるよう、意味情報を付与することが重要です。このセマンティックレイヤー(データの意味を機械が理解できるように整理する仕組み)こそが価値を引き出す鍵となります」
AIエージェントは既存の業務フローへ組み込むことで活用が進む
AIエージェントの価値を最大化するには、単独のツールとして利用するのではなく、従業員が日常的に使用する業務システムやワークフローに組み込むことが重要です。AIエージェントをどの業務環境で利用するかによって、アクセスできる情報や実行できる業務の範囲が変わります。
- 日本の調査対象企業では平均53個の業務アプリケーションを利用している一方、AIがネイティブに組み込まれているアプリは平均44%と半数未満に
- アジア太平洋地域では、AIがネイティブに組み込まれている環境で従業員がAIを日常的に利用する割合が56%に達し、既存の業務システムに外部からAIを連携している場合の47%を上回る結果に
- 日本のAIエージェント導入企業の98%が、AIを単独のツールとして利用するよりも、主要な業務フローに組み込む方が、より大きな価値を生み出すと回答
AIエージェントの導入スピードとガバナンスの両立が重要に
AIエージェントの導入企業を進める多くの導入企業は、一定のガバナンス体制を整えた段階で本番稼働を開始し、その後、必要な体制を追加で整備しています。今回の調査では、ガバナンス体制を限定して早期に導入した企業ほど、短期間でROIを達成する傾向がみられた一方、AIエージェントの不適切な動作を発見するまでに時間がかかるリスクも明らかになりました。
- 日本のAIエージェント導入企業では、導入前にリアルタイム監視、人間へのエスカレーション、監査ログなど平均2.5個のガバナンス施策を導入前に整備し、導入後には平均3.8個に拡充(グローバルはそれぞれ2.0個から3.4個)
- グローバルでは、ガバナンス体制が比較的限定的な企業のROI達成までの期間が7.2ヶ月だったのに対し、より充実したガバナンス体制を整えていた企業では9.3ヶ月かかったと判明
- 一方、ガバナンス体制が平均を下回る企業では、AIエージェントが想定された範囲を逸脱して動作していたことを重大な問題の発生後に初めて把握した割合がグローバルで32%に達し、平均を上回るガバナンス体制を持つ企業の18%と比べて約2倍に
- グローバル全体では、AI活用の取り組みが遅延、停滞、または失敗した回答者の38%が、改善すべき点として「より強固なガバナンス体制やエスカレーションの仕組みの整備」を回答
- 一方、日本の導入企業は、ガバナンス施策の整備数がグローバル平均を上回る一方、ROI到達はグローバル平均より早く、丁寧な準備と速い成果を両立
Salesforceの視点:Salesforceのエンタープライズ&AIテクノロジー部門、プレジデント、ジョー・インゼリロ(Joe Inzerillo)は、次のように述べています。「最初から完璧を目指す必要はありません。学びを得られるレベルであれば十分です。 ガードレールは合理的に設計すべきですが、イノベーションが潰されるほど過剰な作り込みは避けるべきです」
調査方法
本データは、日本の回答者150名を含む、5大陸20カ国の自律型AIに関する意思決定者2,025名を対象に、2026年5月14日から28日にかけて実施した二重盲検調査に基づいています。すべての回答者が、AIエージェントの購買意思決定に関与しています。
グローバル全体では、回答者はAIエージェントを「導入済み」(30%)、「試験導入中」(47%)、「導入検討中」(23%)の3つに分類されます。日本では、「導入済み」が32%、「試験導入中」が44%、「導入検討中」が24%でした。調査結果の多くは、AIエージェントを本番環境で導入している企業(以下、「導入企業」)の回答に基づいています。
ROI達成までの期間や日本における顧客満足度の平均34%向上を含むすべての成果指標は、回答者の自己申告に基づくものです。特に記載のない限り、数値は全回答者を対象としています。また、割合は四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります。
詳細情報:
- 「企業におけるエージェント型AI最新事情」(第1版)レポート全文はこちら。






