本記事は、米国で公開された記事「Weathering Uncertainty: How Retailers Can Connect With Digital-Only Customers」の翻訳です。著者のAdriana Bourgoinは、米国セールスフォース・ドットコムで、eコマースソリューションCommerce Cloudを担当するChief Customer Officer(チーフカスタマーオフィサー)です。

 

Leading Through Change  - いま、私たちができること。- 

いま、この難しい状況下において、従来のやり方でビジネスを進めてもうまくいくとは限りません。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)が確認されて1か月以上が経過し、小売業界にも影響が出始めています。統計データサービスのStatista社が発表した最新のアンケート調査(英語)では、新型コロナウイルスの影響で収益の悪化が予想されると回答した米国企業は全体の47%にのぼり、さらに33%が、現時点ではまだ予測がつかないと回答しています。

消費者が自主隔離を継続し、あらゆる活動がデジタルチャネルで行われようとしている今の状況は、企業が顧客と新しいつながり方、ビジネスモデルを見直す機会でもあります。この難しい局面においては、組織の規模や場所、業界に関わらず、誰もが変革を起こす機会を与えられているのです。

そこで今回は、小売における体験をデジタル化するためにどうすれば良いのかのベストプラクティスと、さまざまなブランドがこの困難にどう対応しているかをご紹介します。

 

1. 支払い方法、ロイヤリティプログラム、配送方法に柔軟性を持たせる

社会的距離(ソーシャルディスタンス)戦略という新たな感染防止策が講じられるなかで、今回のパンデミックによる経済への影響も出始めています。専門家の予測(英語)では、世界の実質グローバルGDPは1%程度縮小すると言われており、すべての業種が困難に直面すると考えられます。そこで消費者をサポートするために、これまでにない革新的な支払い方法が必要になってきます。

ロイヤリティプログラムの充実や、ギフトカードの有効期限の延長、支払期限の延長などの方法で、消費者を支援できます。たとえば、今回のパンデミックを乗り切るためのローン救済策をさまざまな自動車メーカーが打ち出しています。(詳しくはこちら(英語)。)Ford社は、現在同社が保有しているテレビ広告枠を使って、柔軟な支払い方法が用意されていることを国内の顧客に向けてアナウンスしています。(詳しくはこちら(英語)

柔軟な支払い方法を実現することが難しい場合は、次のような方法を検討してみましょう。

  • 追加の配送オプションを提示しましょう。たとえば荷物を受け取る際、サインや直接の受け渡しを不要にするなどの方法を消費者が選べるようにします。こうした「非接触デリバリー」に対する各社の取り組みについて、詳しくはこちら(英語)の記事をご覧ください。

  • ペット用品通販サイトを運営する企業、Chewy社の手法を採り入れて、コマースとサービスを連携させて、電話注文とオンライン注文を受け付けるようにしましょう。(詳しくはこちら(英語))この方法は、購入前に聞きたいことがあるけれども店舗には行けないという消費者のニーズに応えるものです。

  • 米国の自動車メーカー、GM社のような緊急時サービスを提供してみてはいかがでしょうか。GM社は現在、同社の自動車を保有する利用者に向けて、緊急時に役立つ独自の情報提供サービス「OnStar」を無償提供しています。(詳しくはこちら(英語)

 

2. 新たなデジタルエクスペリエンスとソーシャルメディアエクスペリエンスを創出する

メディアなどでも取り上げられている通り(詳しくはこちら(英語記事))、購買活動におけるデジタル化が進むなか、今まで通りの店頭販売だけを続けていても、小売企業は生き残れません。今こそ総力を挙げて、顧客とつながる新たな方法を考える必要があります。

たとえば米国のパーティー関連グッズメーカーのParty City社は、隔離環境や物理的制限がある環境に置かれている人に気晴らしを提供する「退屈退治」キャンペーン(英語)を展開しています。
このキャンペーンでは、DIY活動や、家の中でできるゲーム、リビングルームで小さなパーティを開く方法などが紹介されています。

ここでは、店舗以外の場所で顧客とつながる3つの方法をご紹介します。

  1. 小売スタッフの専門知識をソーシャルメディアで紹介する – これを実践して数百万人のフォロワーから大きな反響を得ているのが、米国の化粧品ブランドGlossier社です。同社は店舗営業を停止していますが、代わりにインスタグラムで従業員のメークアップテクニックを紹介しています。

  2. 独自のサービスを提供する – ギターメーカーのFender社は、店舗でのジャムセッションをさまざまな場所で楽しめるようにするために、自社のWebサイトで先着10万人に3か月間無料のギターレッスンを提供するキャンペーンを展開しています。王道のやり方で新たな顧客にリーチしながら、他の小売企業には真似できない特別なサービスを提供しています。(同社のページはこちら(英語))

  3. ビデオ通話で顧客への個別対応を行う – 私が特に気に入っているのが、家具メーカーEthan Allen社が現在提供しているサービスです。大半の顧客が自宅から出られないなか、同社はFaceTimeやSkype、Googleハングアウトなどのビデオ通話ツールを使ってデザインのアドバイスを行っています。詳しくはこちら(英語)

     

 

3. 自社の強みを活かして社会に貢献する

Forbes社の調査(英語)によると、消費者の88%は、企業には社会をより良い方向に変えていく力があると考えています。そして今こそが、社会をより良くするために行動すべき時です。慈善活動への寄付や、従業員への支援(ファッションブランドMixology Clothing Companyの対応はこちら(英語))、助けを必要とする顧客への対応、サステナビリティ(持続可能性)への取り組みなど、消費者はこのような状況で各企業がどんな正しい振る舞いをするか、見守っています。

金銭の寄付だけでなく、新型コロナウイルスの感染拡大以前から、所有していた資産を使ってパンデミック対策を支援している企業もあります。ここで、金銭以外の支援を行っている3つの企業をご紹介します。

  1. 専門技術で貢献する – 高級ブランド ルイ・ヴィトンは、現在香水や化粧品の製造ラインを手指消毒ジェルの製造に回すための改装を進めています。本件に関して「LVMHは今の状況が続く限り、この活動を続けてまいります」との声明を出しています。詳しくはこちら(英語)

  2.  インフルエンサーネットワークを活用する – 世界的なスポーツブランドのナイキは、自社と契約している有名スポーツ選手や著名人を通じて、社会的距離をとることの重要性を発信しています。ソーシャルメディア上では、外出自粛を呼びかけるブランドパートナーからのメッセージに加えて、インフルエンサーたちが独自に作成したメッセージも投稿されています。詳しくはこちら(英語)

  3.  工場や倉庫、流通センターを転用する – たとえば、スペイン発のファストファッションブランドZaraは、自社のアパレル工場で、スペインの医療機関で働く最前線の医療スタッフのための医療用白衣を製造しています。詳しくはこちら(英語)

過去に例を見ないこの状況においては、わからないことが多くあり、事態も刻一刻と変化しています。しかし世界中の小売企業は、この困難に立ち向かうべく、すでに行動を起こしています。総じて言えるのは、この難局を乗り超えるためには消費者に寄り添うことが必要だということです。

Salesforceがお届けしている連載、「Leading Through Change - いま、私たちができること。」では、いまを乗り越えるためのヒントや情報をお届けしています。ぜひ、最新の記事もお読みいただければ幸いです。