本記事は、米国で公開された「Selling From Home: 10 Sales Questions from Our Community, Answered」の翻訳版です。著者のTiffani Bovaは、米国セールスフォース・ドットコムのGlobal Customer Growth and Innovation のエバンジェリストです。

 

Leading Through Change  - いま、私たちができること。- 

新型コロナウイルス(COVID-19)は、営業のあり方を永遠に変えてしまいました。ほとんどがバーチャル(仮想的)なオンライン販売へと移行し、たとえオフィスに戻れる安全な日が来ても、このオンライン営業・オンライン商談のカタチはほぼ確実に残るでしょう。これは大きな変化であり、私たちの元にも自宅からのセールスについてアドバイスを求める声が多く寄せられています。そこで今回は皆さんのご要望にお応えできればと思います。

私は長年、営業畑で業績拡大とイノベーションについて多くの方と意見を交わしてきた経験から書籍の執筆ポッドキャストの配信をしています。営業は私の生きがいと言ってもいいでしょう。今は非常に難しい時期ですが、私の知識や経験を皆さんに共有できればと思います。

この数週間に、世界中の営業担当者やマネージャーからたくさんの質問をいただきました。そのなかから、特に多かった10件を選んで回答します。さらに、この期間にSalesforceのお客様や営業リーダーから寄せられた、示唆に富んだ事例も併せてご紹介します。

 

1. ノルマを達成できるか心配です。こんな時でも商品を買ってもらえますか?

もちろんです。ただし、何がどうやって買われるかは、業種によって異なります。あなたが取り扱う商品は何ですか?買うのはどんな人で、その人は商品をどんな目的に使いますか?飛ぶように売れる商品もあれば、今は必要ないといわれる商品もあります。

あなたの商品が、人の生死や成長にかかわる喫緊の問題を解決するものであれば、黙っていても商品は売れます。たとえば、このところのマスク不足を解消するために、3Mはマスクを月に1億枚生産しており、出荷ペースはこれまでの2倍、年間11億枚を超えるほどになっています。(詳しくはこちら(英語))しかし、こうした特需があるのは一部の業界だけで、たとえば旅行会社やホスピタリティ企業は苦難に直面しています。

結局のところ、世界は変わり続け、売買は成立しています。以前と違うのは、全員ではないにしろ、ほとんどの消費者が自宅にいることです。判断の基準となるのは、あなたが売る商品が消費者にとって私的にまたは専門的で今このタイミングで役立つものかどうかです。

 

2. 相手の顔が見えない、話もできない、容易につながれない状況で、どう商談を進めればいいのでしょうか?

私は過去に、対面販売しかありえないと主張する営業担当者や営業幹部に数多く会ってきました。彼らは、「このビジネスや業界では直接会うことでしか得られない結び付きが絶対に必要だ」と言うのですが、その見方には賛同できません。彼らは、今までの販売方法を続けることにしか関心がなく、現代のデジタルネットワーク社会でお客様が求めるものに考えが及ばないのです。彼らにとって、今のこの状況は非常に厳しいものに見えているはずです。

一方で、動画やSNSを利用してバーチャルにつながるソーシャルセリングや、マーケティングや営業の自動化に抵抗のない人にとっては、もう少しうまい切り抜け方が見えているのではないでしょうか。

いずれの場合も、営業担当者の仕事は、各タッチポイントでお客様に付加価値を提供することです。必要なときにすぐ連絡がつくとお客様に知ってもらうだけで、取引関係を維持できます。もしかすると、これからはプレゼンもオンラインのビデオチャットですることになるかもしれません。意思決定者たちが自宅で仕事をしていて、意思決定に必要なものにアクセスできない状況の中、彼らにバーチャルな会議室でのプレゼンをするかもしれません。

1つの案としては、お客様にアドバイスを提供するためのビデオコンサルティングを毎日実施することです。たとえば、PepTalkHer社の創業者で、現CEOのMeggie Palmer氏は、この予期せぬ空白期間を能力開発やスキルアップに活用しようと呼びかけ、その活動を後押しする#PowerPepTalksを連日配信しています。すべてのイベント登録者はSalesforce Essentialsで管理され、パーソナライズされたコンテンツとフォローアップを通じて、見込み客のトラッキングとナーチャリングが行われています。

ほとんどの営業は、新規見込み客の獲得やお客様とのコミュニケーションという話になると方向を見失いがちです。私から言える一番のアドバイスは、「お客様のペースに任せよう」ということ。何が急ぎで何がそうではないか、判断するのはお客様です。ノルマに追われていても、決して強引に売り込まないでください。そんなことをすれば、事態が収まったときにはお客様を失っているでしょう。残念ですが、それは自業自得なのです。

 

 

3. お客様と直接会えないのに、真のつながりを築けますか?

まずは深呼吸をして、落ち着きましょう。直接会えなくても、信頼関係を築くことは可能です。人柄は、対面であろうと電話越しであろうと、必ず伝わります。あなたが今までずっとお客様への気配りを欠かさないでいたならば、今後も心配はないでしょう。長い目で取り組むことです。目先のことに惑わされてはいけません。

確かに、途中まで進んだ商談や、課されたノルマ、日々変動する売上予測など、不安に思う要素はいくつもあることでしょう。どれも動かぬ事実ですが、お客様にとっては関係のないことです。お客様が今気にしているのは、自分たちのビジネスをどう維持するか、テレワーク中の従業員をどう管理するか、事業規模のすばやい拡大や縮小をどう実現するかといったことなのです。

オンライン決済プラットフォームPayPalでは、お客様が今、何を必要としているかをカスタマーサービスへの電話から知ったといいます。加盟店が、キャッシュフロー拡充と資金確保への支援を求めたのです。そこで同社は、一部の手数料を免除し、支払いを猶予すると決定しました。これはお客様の救済を最優先とするお手本のような措置で、このような取り組みこそ、お客との長いつながりを築くのに役立つでしょう。Trailblazer(トレイルブレイザー:先駆者)であるPayPalが実施している措置の詳細は、ブログ記事「いま、必要な支援策を - PayPalの取り組み 」でご紹介しています。

お客様に連絡していない場合は、今連絡することで逆効果になる可能性があります。厳しい指摘かもしれませんが、今のタイミングで関係を構築しようとすると、よほど相手の気持ちを汲み取る能力に秀でていない限り、こういうときだけ連絡してくる信用できない人間と思われるリスクがあります。現実を見ましょう。今はお客様との関係を過信するときではありません。

 

4. お客様と話すときのトーンや伝える内容はどうしたらいいですか?どんな話をするのが適切ですか?

それは相手の気持ちを汲み取る能力の問題です。これまで使っていた売り込み文句やプレイブックを慎重に見直し、今の状況にふさわしいか吟味してください。不安がある場合は、友人や知人の意見を聞きましょう。石橋を叩いて渡ることです。

私は先日、ある会社から生命保険への勧誘メールを受け取りました。そう、生命保険です。世界中で多くの人がウイルスに感染して亡くなっているときに、この会社は死後に備えろというのです。無神経としか言いようがありません。生命保険に関心がないわけではありませんが、このご時世に、平常時と何も変わらない調子のメールに心が動かされる人がいるでしょうか?

この時期に強くオススメするのが難しい商材を扱っているのなら、あからさまに売り込むのは控えましょう。安否を気づかうメッセージを伝えることに集中するのです。お元気ですか?何かできることはありませんか?必要なものはありますか?

あるいは、連絡全般を控えるという選択肢もあります。今、お客様のもとには、何年も音沙汰がない企業から再び関係をつなごうとするメールが山ほど届いているところです。あなたのメッセージは唐突なものではないでしょうか?またはお客様の役に立たないメッセージではないですか?もしそうなら、出すのは止めておきましょう。

また、自動で送信されるフォローアップのメールや、このパンデミックの前に準備されたマーケティングや営業のキャンペーンがあれば、忘れずに解除してください。この時期にあなたが取った行動は、お客様の記憶に残ります。今年、エイプリルフールのジョークを取り消し忘れた会社の二の舞にならないようにしましょう。

 

5. 新規の商談獲得を優先するか、未決の商談成立を優先するか、どちらがよいですか?

あなたが営業畑にいるのには理由があります。売ることが大好きなはずです。そのため、どちらか1つを選ぶことはお勧めしません。ただし、2番目の質問の回答と重なりますが、お客様や見込み客がこの状況であなたに語ること(もしくは語らないこと)にしっかり耳を傾けましょう。お客様の意向に任せるのです。お客様から反応があり、商談の続行に脈があると感じたら、そこに注力しましょう。

お勧めしないのは、データベースにあるすべての連絡先に宛てて、パーソナライゼーションも理念も分析もなしに、同じ文面のメールを一斉送信することです。それよりも、お客様に寄り添うことをお勧めします。過去に取引のあったお客様に、すでに売ったことのあるものを、もっと売るのです。創意工夫をこらして、つながる方法を探しましょう。たとえばAmazon Web Services Educateは、学校閉鎖中で授業ができない教育者のために、遠隔教育のスキルを向上させる無料のWebセミナーとオフィスアワーの提供を始めました。(詳しくはこちら(英語))過去に取引のあったお客様は、あなたと取引する意思を明確に示してくださった方たちです。その関係を大切に育てることに力を使いましょう。

このやり方を選べない事情があり、どうしても新規開拓をしなければならない場合は、雑音に埋没しないための工夫が必要です。思いやりの言葉と価値を押し出す売り文句を程よく折り込み、危機に乗じた売り込みと感じさせないようなメッセージを作る必要があります。

 

6. フィールドセールス担当です。現場に出向いて契約を取るのが仕事です。これからどうすればいいでしょうか?

自動車のディーラーを想像してみてください。彼らのビジネスは販売店を訪れるお客様ありきで、試乗から契約まで、通常はすべて対面で行われます。ソーシャルディスタンスが求められる今、こんな営業はできません。では、現場に出られないフィールドセールス担当者は、何ができるでしょうか?簡単です。インサイドセールスに取り組めばいいのです。

フィールドセールス担当者なら、商品知識は豊富でしょう。その知識は、見込み客のナーチャリングや分類をするうえで大いに役立ちます。たとえば自動車販売なら、お客様と商談する代わりに、コールセンターへの電話に対応したり、見込み客からのお問い合わせメールに対応したりできるでしょう。懇意のお客様に連絡して、ビジネスが元の状態に戻ったときに買い替えの商談ができそうか、確かめてみることもできます。過去の販売歴を調べて見込み客を探してみましょう。

もしあなたがセールスリーダーならば、インサイドセールスとフィールドセールスの間でナレッジを共有させることを忘れないでください。あるメーカーでは、インサイドセールスチームがフィールドセールスチームに研修を行っています。組織内でナレッジが共有されれば、すべての人が得をするのです。

 

7. セールスイネーブルメントやセールスオペレーションについて、どんな調整が必要ですか?

フィールドセールス担当者もテレワークを余儀なくされ、実質的に内勤となっているのですから、今の業務に必要なものを与えるようにしましょう。ビデオ会議のツールはありますか?別のタイプのメールや連絡手段は必要ありませんか?別のタイプのコンテンツは?今の状況で成果を上げるのに必要なものを担当者に聞き、手配しましょう。

これらをしてもまだ仕事に余裕がある場合は、この機会に現行プロセスの棚卸しを行い、関係する人全員のために整理するとよいでしょう。

Salesforce Researchの調査によると、営業担当者は活動時間の3分の1しか営業に使っていません。セールスイネーブルメント(営業人材開発)やセールスオペレーションのどの部分の非効率を解消すれば、この数字を改善できるでしょうか?新型コロナウイルスの感染拡大が峠を越えたとき(その日は必ず来ます)、この課題にじっくり向き合った人が、大きな優位を得ることになるでしょう。

 

8. オンライン営業・オンライン商談に使えるツールには、どんなものがありますか?

営業のあらゆる局面で、動画が果たす役割は飛躍的に大きくなっています。これには手間暇をかけて制作された動画だけでなく、もっと簡易的な動画、たとえば子どもやネコ、庭師に邪魔されながらのビデオチャットや略式的なライブWebセミナー、画面の粗い低画質動画なども含まれます。これからの働き方においては、画面越しに会話する機会が大きく増え、テレワークに対する視線がもう少し寛容になるでしょう。

Salesforceではさまざまな動画ツールを共同作業に活用しており、たとえばGoogleハングアウトはその1つです(動画を使わないその他の共同作業ツールについては、同僚のSarah Franklinが別のブログ記事で紹介しています)。私はLinkedIn Liveでも動画を使ってフォロワーとつながり、インサイトを共有しています。

率直に言って、優れたCRM(顧客関係管理)はこうした事態の中で大きな力を発揮します(私はSalesforceの社員なので、この意見にはバイアスがかかっています)。お客様の情報を把握する、最近の商談の成立と不成立をダッシュボードで確認する、リードをソース別にトラッキングするなど、CRM内のすべての営業データが、今まで以上に重要な意味を持ちます。

 

9. 動画を営業に活用する方法とは?オンライン営業の課題を乗り越えるためのヒントはありますか?

まずはパーソナライズすることです。私は多くの人から近況を尋ねるメッセージを受け取りましたが、そのなかで、ひときわ印象に残るメッセージがありました。自撮りの短い動画で、「Tiffani、元気?どうしてる?元気だといいけど」というメッセージの後に、二言、三言が添えられていました。この人物は同じメッセージをメールで送ることもできたかもしれません。でも顔が見えることで、大いに元気づけられました。

この難局において、動画は人と人との距離を縮めるのに役立ちます。たとえば、Salesforce向けの双方向ビデオ通話ソリューションであるSightCallは、医療関係者と患者の不要不急の接触を減らすのに効果があります。このパンデミックを機に、営業担当者が動画を日々の連絡手段に利用する動きが一気に進むでしょう。すでにオンライン飲み会が流行り、食事のテイクアウトも生活の一部になりました。

動画に抵抗がある場合は、この機会に慣れましょう。自分の殻を破り、新しい何かに挑戦することは、私がいつも強く勧めることです。最初は、ごく親しい相手に動画メッセージを送信することから試してみましょう。言葉に詰まることがあっても、大目に見てくれるはずです。慣れてきたら、私がいつも推奨するセールスピッチ上達へのヒントを実践してみてください。(詳しくはこちら(英語))

 

10. 自宅にいても営業のスキルを向上できますか?

苦手な分野を克服しましょう。リード評価(見込み客の購買意欲をスコア化すること)が苦手?それとも、ソーシャルセリングでしょうか?文章をうまく書けない?悩みがあれば、マネージャーに相談してアイデアを出し合いましょう。参考にできるリソースは山ほどあり、探しているものがきっと見つかるはずです。

手始めに、CourseraLyndaUdemyのオンライン講座をチェックしてみてください。Salesforceが無料で提供しているTrailheadにも、営業のキャリア作りに役立つ具体的なヒントがたくさんあります。

私はよく、営業のソートリーダーになるにはどうしたらいいかと聞かれるのですが、最初の一歩は、アドバイスを与えることです。そして、アドバイスが実際役立っているかを確認します。私も常にそうしています。

 

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