Salesforceは「ビジネスは社会を変える最良のプラットフォームである」という信念のもと、ビジネスの力で社会や環境にポジティブなインパクトを与え、全てのステークホルダーに還元する取り組みを創業当初から継続してきました。
本記事は、ビジネスと社会的インパクトの創出を両立するために活動するSalesforceの環境と社会貢献の専門チーム「ソーシャルインパクトチーム(旧:ESGインパクトチーム)」がその具体的な内容をシリーズで紹介します(全4回)。
私たちは、持続可能な社会の実現に向けて、大きく「社会貢献」と「環境サステナビリティ」の2つの領域で、世界各地で社会的に意義のあるインパクトの創出に取り組んでいます。
第4回の今回は、Salesforceの気候変動アクションの注力領域の1つであるネイチャーポジティブ戦略に基づいた取り組みを紹介します。
第1回:持続可能な社会の実現に向けた、セールスフォースの社会的インパクトの歩み
第2回:セールスフォースが創業時から取り組む統合型社会貢献「1-1-1モデル」とは何か
第3回:セールスフォースが描く持続可能なAI開発戦略。AIを社会のために活用する「AI for Impact」 と
Net Zero Cloud製品デモ動画
ESGや排出量データ管理基盤の実現
このデモ動画では、Net Zero Cloud の実際の操作と解説をまじえながら、以下のユースケースをご紹介します。
なぜネイチャーポジティブ戦略が必要なのか
ネイチャーポジティブとは、自然損失を食い止め、再生に貢献するための企業戦略における重要な考え方です。
自然は、私たちの生活、社会、そして経済活動を支えています。自然による経済的な恩恵は、地球全体で年間125兆ドルと推定されています。しかし、生態系と生物多様性の崩壊には歯止めがかからず、地球に生息する800万種の動植物のうちおよそ100万種がその脅威にさらされていると推定されています。
企業の意思決定において、自然を考慮することはリスクとコストを管理する以上の意味を持ちます。ネイチャーポジティブな経済への移行は、新たなイノベーションの源泉となり、従業員、お客様、コミュニティ、パートナーとより良い方法で協働する機会をもたらします。
企業がネイチャーポジティブ戦略を策定・公開することは、自らの自然への依存度を知り、リスクや貢献度を正しく評価・開示する第一歩です。さらには、ネイチャーポジティブな未来に向けたビジョンとアクションを表明する重要なコミットメントとなります。
Salesforceのネイチャーポジティブ戦略の3つの柱
Salesforce は、ネットゼロでネイチャーポジティブな未来へのビジョンと行動を共有するために、「ネイチャーポジティブ戦略」を公表しています。
この戦略の中心には、自然と気候は相互に依存しており、片方を無視して一方だけに対処することはできないという考えがあります。本戦略は気候変動アクションプランを支え加速させるための以下の3つの柱で構成されています。
1. 自然への影響を軽減
まずは、自社の事業活動やバリューチェーン全体が、自然にどのような負荷をかけているかを理解し、その影響を最小限に抑えることです。 データセンターやオフィス、バリューチェーン、人、製品を含む事業全体で、自然への影響と依存を削減するために計画を策定しています。具体的には、データセンターにおける水資源の管理の強化や、クリーンエネルギーの活用が含まれます。
2. 大規模な自然の再生をリード
私たちは、大規模な自然の保全と再生を促進するために、革新的な投資を行い、パートナーシップを構築しています。
2030年までに1兆本の樹木を保全することを目的に共同設立したグローバルイニシアティブ「1t.org」へのコミットメントを通じて、森林生態系の回復に重点的に取り組んでいます。また、高品質なカーボンクレジットの購入を通じ、自然を基盤とした解決策(NbS)への投資や、海洋保全の取り組みも推進しています。
3. お客様の成功とネイチャーポジティブのムーブメントを加速
私たちの最大の強みであるテクノロジーを活用して、お客様のネイチャーポジティブへの変革を支援します。
Salesforceが提供する「Agentforce Net Zero」を通じて、お客様は事業全体の環境データを可視化し、収集・分析したレポートを効率的に生成することで、迅速な意思決定を行うことが可能になります。
自然関連のリスクや影響、依存を特定・管理し、透明性のある報告を行うためのツールを提供することで、お客様とともにネイチャーポジティブな未来への歩みを加速させていきます。
日本における森林保全の取り組み
Salesforceのネイチャーポジティブ戦略に基づき、日本でも独自の取り組みを展開してきました。その象徴的な事例が、和歌山県での森林保全のプロジェクト「Salesforce Park Wakayama」です。
私たちは、音楽家の故坂本龍一氏が創立した森林保全団体である一般社団法人more treesへ約4000万円の寄付をコミットし、パートナーシップのもと5年間で5万本の植樹を目指しています。

日本は、国土の約7割が森林という世界有数の森林大国です。しかし、その内訳を見ると約4割が、戦後の復興期に人の手で植えられた人工林です。近年の担い手不足により、手入れが行き届かず本来あるべき豊かな生物多様性が失われつつあるのが、現状です。
この課題に対し、私たちは森林保全団体や現地の林業家、また地域コミュニティなどのパートナーと手を取り合い、解決に取り組んでいます。
本プロジェクトでは、一般社団法人more treesや地元の林業スタートアップ企業の株式会社中川と連携して、森林保全および地域活性化を目指しています。
紀州備長炭の原料として歴史もあり、地域を象徴する樹木「ウバメガシ」を中心とした多様性のある森を再生することで、生物多様性の回復や地域の経済的・文化的利益の確保を目指しています。
AIによるネイチャーポジティブの推進
Salesforceは、AIの持つ分析・予測・自動化の能力を活かし、ネイチャーポジティブを含む様々な環境・社会課題の解決を推進することにも注力しています。
その代表的な事例が、 非営利団体を支援する「Salesforce Accelerator – Agents for Impact」です。このプログラムを通じ、非営利団体がAgentforceを活用して自律的に行動できるAIエージェントを構築し、カスタマイズできるよう、テクノロジー、資金、専門知識を提供しています。私たちは、非営利団体が業務効率を向上させ、社会的インパクトを拡大することができるようサポートします。
このプログラムを通じて、森林管理協議会(FSC) は、国際的な森林認証制度のFSC認証をより利用しやすくすることを目標に、森林認証のためのAIエージェントを構築しています。AIエージェントの活用により、地域や個人による森林管理をサポートし、世界中で責任ある森林管理の拡大に貢献しています。
また、世界経済フォーラムは、森林保全のイニシアティブ「1t.org」のプラットフォーム上にセルフサービス型AIエージェントを開発しています。これにより、新規会員の増加や、会員企業の積極的な参加を促進し、世界的な森林保全の取り組みを加速させることを目指しています。
持続可能な社会の実現に向けて
Salesforceは創業以来、「ビジネスは社会を変える最良のプラットフォームである」という信念のもと、事業を通じて社会や環境にポジティブなインパクトを与え、全てのステークホルダーに還元する取り組みを続けてきました。
これからも私たちは、持続可能な社会の実現に向けて、全てのステークホルダーの皆様とともに、日本、そして世界各地で社会や環境に意義のあるインパクトの創出に取り組んでいきます。
Agentforceでシンプルに実現するサステナビリティ
CSRDを含むESG報告義務に対応し、信頼のSalesforceプラットフォーム上に構築された自動化レポート機能とAgentforceの力で最新の規制に対応します。
*この記事は、米セールスフォースの Sustainability担当者のブログなどを元に作成しています。下記が参考文献です。
・Where Nature Meets AI: Salesforce’s Model for Impact Innovation(英語)
・Unveiling Salesforce’s Blueprint for Sustainable AI: Where Responsibility Meets Innovation(英語)
Salesforceを利用しつつサステナビリティに貢献する方法
このガイドブックは日々の業務でSalesforceを使いながら、サステナビリティにも貢献したいと考える皆さまを対象としています。




