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vol.1 Customer Company

ITのマーケティング投資における留意点

最近のIT投資は、コスト削減のための投資ではなく、もっと積極的な投資、つまり、売上や利益を上げるためのマーケティング投資に変わってきていま す。世界的にみても、某サービス会社が、ターゲットはCIOでなくCMOに、と宣言しました。日本でも、アベノミクス効果か、企業のIT投資が復活し、し かも、その目的は、コストカットからマーケティングにという流れです。

非常に喜ばしいことですが、この投資をするうえで、注意しなければならないことがあります。なぜなら、日本企業は、この種のIT投資に慣れていない からです。マーケティング分野で、欧米に水をあけられてしまった日本では、ITのマーケティング投資とは何か、何に投資をすべきかを合理的に説明できる方 は多くないのです。もし、ビッグデータの分析をすればいいとか、ウェブのリニューアルをすればいいとか、ソーシャルメディアの口座をつくればいいとか、と いう考えが浮かんだなら、それらはすべて枝葉末節な話だと思ってください。

では、留意点は何でしょうか?それが、マーケティングをする上での最重要課題で、反対に言えば、この言葉さえおさえておけば、後は、どれだけでも発想がついてくる言葉があります。それが「顧客体験」です。その言葉どおり、お客様によい体験をしてもらうということです。

最高の顧客体験がユーザーの態度変容を促す

おかしな例かもしれませんが、好きな人ができて、その人と付き合いたいと思ったら何をしますか?彼女は素晴らしい人ですが、その人は、僕のことを知 らないのです。まず、僕は、彼女に僕を知ってもらうために、あらゆる工夫をします。隣の課の子であれば、僕は隣の課にでかけていきます。友人たちと話なが ら、彼女と自然に目が合うように努力します。彼女の友人に好みのアーティストの名前を聞き出し、そのチケットを買いコンサートに誘います。彼女に好きに なってもらえるように、仕事の成績をあげようとします。はれて彼女と付き合うようになっても、彼女の不満や悩みをよく聞いてあげるようにします。こうし て、交際は発展し、僕は、彼女に長い間好かれています。なぜなら、僕は彼女に、そのときそのときで、彼女がほしいと思っている体験を提供してきたからで す。

図1:

クリックしてPDFを開いてください。

こんな話が企業と顧客の間に同じように成り立つはずです。まず、商品を認知してもらい、それに興味を持ってもらい、ライバルに差をつけるように、自 分を磨き、購買させ、さらに再購買をしてもらい、ロイヤルカスタマーになってもらう。これら顧客の態度変容を促すためによい顧客体験が必要なのです。

これら最高の顧客体験をITという道具を使って行なうのが、デジタルマーケティングであり、今、この分野のIT投資が伸びています。図1にあるの は、私たちがデジタルマーケティングプラットフォームと呼ぶ、いわば、企業にとっての顧客接点とその仕掛けであるメディアやデバイスの概略図です。ここに ある、先ほどの僕が彼女の態度変容を促してきた努力が、そのまま、マーケティングにおけるユーザーの態度変容になります。

Webマーケティングからデジタルマーケティングへ

ずいぶん前置きが長くなりましたが、今日の本題の「Webマーケティングからデジタルマーケティングへ」というのは、このITのマーケティング分野 への投資にも歴史があり、やっと私たちは、デジタルマーケティングを積極的に行なえるようなプラットフォーム作りができるようになったというのが今日の主 題です。

ネットイヤーグループというのは、デジタルマーケティングの会社でありながら、ウェブの制作で成長してきた会社です。なぜ、私たちが最初にウェブを 選んだかというと、実は、創業当時の1999年には、ウェブの需要しかなかったからなのです。インターネットが普及して、企業は、それなりの投資を始めま した。しかし、それは、Webマーケティングに限られていました。デジタルマーケティングとWebマーケティングの違いは、その網羅性です。

例えば、上記のユーザーの態度変容のうち、Webマーケティングは、コーポレートサイトやECなどの自社が持つメディアにおいて、欲求から購買への 態度変容を促進するソリューションです。当時は、ウェブへの誘導はTVなどのマスメディアが中心でした。Webマーケティングは、他のメディアから興味を 持って自社メディアに誘導されたてきた潜在ユーザーをいかに多く買わせるかが、施策の中心でした。欲しいものに行き着くサイト、迷わないサイト、などがそ の例です。

オンライン広告は、もちろん、Webへの流入施策として有効でしたが、Webに使われる検索エンジンの利用は始まったばかりでした。自社メディアの データを分析するツールも開発されて間もない頃で、オンラインのデータ分析も試行錯誤の時代でした。顧客体験というのは、当たり前ですが、顧客が起きてか ら寝るまで連続的なものです。でも、それをサポートするデジタルマーケティングは、非連続的であったのです。だから、私たちは、デジタルマーケティングで はなく、Webマーケティングという、ユーザーの態度変容のうちの、欲求から購買というところに限って行なうマーケティングを支援していたのであり、広告 は単なる認知をさせるツールであり、2012年頃から盛んになったソーシャルメディアマーケティングは、この態度変容のうち、ナーチャリングという、興味 を促進したり、比較・検討をする段階に強いマーケティング手段です。

要するに、連続的な顧客体験をサポートしたい私たちにとって、連続性を担保できるような技術もツールもデバイスも足りなかった時代がWebマーケ ティングの時代であり、そして、やっと、分析ツールが開発され、スマートフォンが登場し、検索エンジンが充実し、ソーシャルメディアが普及し始めた現在 が、顧客行動の連続性をサポートし、そのためにデータを使って統合的にマーケティングができるデジタルマーケティングの幕開け時代というわけです。

デジタルマーケティングプラットフォーム

デジタルマーケティングプラットフォームとは、顧客が利用するデバイスやメディアを使って、あらゆる顧客接点で、顧客に最高の体験を与えるためのシ ステム基盤です。顧客接点の多くがデジタル化されていますから、ここでは、最高の体験を与えるとともに、顧客の行動を分析することができます。改めて強調 したいことは、顧客接点がデジタル化することは、分析できるということと同義なのです。ちなみに、ネット業界では、現在、DMP(Data Management Platform)の構築が盛んですが、これも複数のデータソースからデータを集めて分析するプラットフォームのことです。デジタルマーケティングプラッ トフォームのほうが広義で、店舗などWebやデジタル広告だけで完結しないものも含めて、顧客体験をサポートしようとするものです。

このプラットフォームの裏では、様々なデータが分析され、顧客の状態や興味・関心を見える化していきます。この顧客行動を連続的にトラッキングする ことができれば、真の意味で、CRM(Customer Relationship Management)が完成します。顧客の今の状態、いつどこにいて何を考えているか、をリアルタイムに把握し、適切なコミュニケーションを行なうこと が、デジタルマーケティングの完成形です。

1)今までと比べ物にならないくらいのたくさんのデータが取得できるようになった:
データは単体でも相互の相関性を見るためには、数が多いほうがよいのです。アマゾンのサイトでリコメンデーションが効くのは、アマゾンのソフトウェアが優れているからではなく、アマゾンのユーザー数が多いからです。データはたくさん集めるほうがよいのです。
2)購買前のデータがとれるようになった:
企業サイトやECを分析すると、検索ワードや、サイト内の何をどのくらい長く見ているかがわかります。ソーシャルメディアを分析すれば、購買前の発言も入手できます。
3)購買という事実関係だけでなく、気持ちが把握できる:
同様な分析から、購買したという事実だけでなく、なぜ購買したのか、購買した結果、どう感じているかがわかります。
4)リアルタイムの分析が可能になった:
スマートフォンなどの普及や、リアルタイムの分析技術が発達したことで、まさに顧客の今の状態を把握することができます。

まさにデジタルマーケティングプラットフォームをつくれば、マーケッターの夢が実現できると言えるでしょう。

ビッグデータはスモールスタートで

最後に、データを繋ぐ例をひとつ挙げてみましょう。企業サイトを分析すると、クッキーという特有なIDを持つ人が、どんな検索ワードや広告を見てサ イトに流入してきたかがわかります。また、サイト内のどこをどれだけ長く見ていたかもわかります。しかし、それがどんな名前の人かはわかりません。サイト 内においたアプリケーションをソーシャルログインという技術を使って繋げば、そのクッキーIDは、FacebookやTwitterなどを利用している ソーシャルアカウント名に変換されます。これは、実名とサイト内行動が統合される例になります。他にも、複数のデータを融合する仕組みは数多くあります。

もちろん、これら顧客行動を網羅的にすべてトラッキングすることは、現在の技術をもってしても困難です。しかし、2つのデータを融合してみるだけでも、以前と比較にならないくらいに顧客行動を理解することができます。

有益なデータだけをまず繋げてみる。とれるデータから繋げてみる。あせらずじっくり。ビッグデータ時代のデータ分析は、まずスモールスタートからです。