フィールドサービスの業務は多岐にわたります。住宅メンテナンスや家電製品の設置を思い浮かべるかもしれませんが、フィールドサービスエンジニアの仕事はそれだけではありません。
インフラの点検・修理やリサイクル品の回収(英語)で、社会の持続可能性を維持し、人命救助を通じて人々の安全を守ることもあります。.
多くのフィールドサービスは、業務が増え続ける課題に直面しています。Salesforceの調査によると、モバイルワーカーの76%が、顧客の期待はかつてないほど高まっていると回答し、57%は増え続ける仕事量に疲弊し、燃え尽き症候群を経験しています。
Salesforceは、適切なツールを適切な業務に使用する方法を熟知するエキスパートであり、AIエージェント「Agentforce」によって、企業の従業員と顧客の両方をサポートできます。たとえば「Agentforce for Field Service」で労働力を拡張し、顧客を満足させ続け、ビジネスを成長させることができます。
ここからは、今日のフィールドサービス業務が直面している課題と、「Agentforce」がどのように対処できるかを説明します。
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目次
「エージェントファースト」なフィールドサービスが必要になる5つの兆し
【Point 1】 熟練労働者の人材不足と採用の難しさ
今日の労働力人口は、大きな人口構造の変化を目の当たりにしています。経験豊富な労働者が定年退職を迎え、熟練労働者の喪失がフィールドサービス業務を圧迫しています。驚くべきことに、キャリアの浅い人たちの間で、技能職への応募が50%近くも減少しているのです(英語)。
「Agentforce」は労働力を倍増させ、「新しい才能」の導入を支援します。
- 「Agentforce」は、作業が可能なエンジニアのスケジューリングと割り当てを最適化するので、より多くの作業を行えます。また、エンジニアが現場でトラブルシューティングを行うのを支援し、新しいエンジニアを迅速に育成するのに役立ちます。
- 新入社員は、AIを活用したナレッジマネジメントリソースにアクセスでき、経験の浅い作業員の質問に瞬時に回答できます。
- 「Agentforce」のスキルマッチング機能を使えば、各職務に必要な特定の資格を特定しやすくなります。これにより求職者を絞り込むことができ、必要な人材を見つけやすくなります。
「Agentforce」をフィールドサービスに統合することで、組織のインテリジェンス・ナレッジがエンジニアの頭の中に閉じ込められることはありません。
【Point 2】事務作業の負担
案件が複雑化し、顧客の期待が高まるにつれ、エンジニアの事務作業も増えています。Salesforceの調査によると、モバイルワーカーの時間の68%は事務作業に費やされ、顧客と接する時間はわずか32%に過ぎません。また、半数以上のモバイルワーカーが燃え尽き感を感じています。
「Agentforce」はエンジニアの時間を節約します。
- 「Agentforce」は生成AIを活用して、作業の前に最も関連性の高い情報を提供する「作業前ブリーフィング」を作成します。作業現場に向かう途中でブリーフを聞くこともできます。
- 「Agentforce」は、エンジニアが行った手順や使用部品、トラブルシューティング方法など、作業の詳細をまとめた「作業後サマリー」を作成し、顧客や本社に送信します。
- 「動的データキャプチャ」を使用して、フィールドサービスモバイルアプリで、タスクに適応するフォームを使用して、フォーム入力の負担を大幅に軽減します。
「Agentforce」は、リアルタイムのタスクトラッキングと優先順位付けにより、技術者がSLA(サービスレベルアグリーメント)を遵守できるよう支援します。
【Point 3】データのサイロ化
Salesforceの調査によると、企業の70%が連携が取れていないアプリケーションを使用しています。これはデータのサイロ化を引き起こし、コストの増大や作業の重複、生産性の低下につながります。また、データが統合されていなければ、十分な情報に基づいた適切な意思決定ができません。
「Agentforce」は、リアルタイムデータで全体像を把握するお手伝いをします。
- 「納入商品の健全性スコア(Asset Health Score)」と「納入商品のサービス予測(Asset Service Prediction)」機能を使用することで、「Agentforce」はテレメトリーデータを活用して、アセットがダウンする前にプロアクティブなサービスを提供します。
- 「Field Service Intelligence」は、「Agentforce」を使用して需要予測や予知保全、さらにはプロアクティブなアセットサービス管理(英語)を実現し、重大な問題の発生を事前に防ぎます。Agentforceは、資産のライフサイクル全体を把握できるため、サービスを最適化し、ビジネスの意思決定をより適切に行えるのです。
【Point 4】問題発生後の対応
メンテナンス系のフィールドサービスは多くの場合、何かが壊れた時に慌てて修理に向かいます。トラックに適切な部品が積まれていなかったり、サービス依頼が急増したりといった要因で、業務を限界に追いやる可能性があります。
「Agentforce」は、プロアクティブに顧客を支援し、ニーズが来る前にそれを予測できます。
「Agentforce」は、緊急対応を支援します。
リソース管理のための「Agentforce」は、ディスパッチャの業務フローに直接組み込まれたAIアシスタントであり、作業員の欠勤や車両故障のような突発的な事態に対応するのを支援します。
- 「Visual Remote Assistant」を使用すると、「Agentforce」によるインサイトを活用してリモートで顧客とリアルタイムにつながるため、あなたが手が回らないときでも、トラックの出動回数を減らしつつ、顧客満足度を向上させることができます。
- フィールドサービスには、常に受動的な要素、つまりエンジニアが緊急性を持って対処しなければならないケースがあります。「Agentforce」は、現場からのリアルタイムの情報を提供し、AIをワークフローに直接組み込みます。これにより、サービス提供のスピードが向上し、エンジニアは作業業務に集中することができます。
【Point 5】危険を伴う現場に対する懸念
フィールドサービスでの作業には固有のリスクが伴います。モバイルワーカーは、工場フロアのような、完璧に整備された環境で作業するわけではありません。時には厳しい自然環境や未知の状況で作業します。また、電柱に登ったり、猛暑の中で空調システムを修理したりと、危険な現場作業を伴います。
「Agentforce」は、安全を最優先に支援します。
- AIによって要約された「作業前ブリーフィング」は、エンジニアにあらゆる安全上の懸念事項を迅速に提供します。
- 「Data Cloud(データクラウド)」は、リアルタイムのテレマティクス(トラックやその他の資産から得られるライブデータ)に基づいて、アクションやアラート、またはワークフローを自動化します。これにより、潜在的な安全上の問題をエンジニアや顧客に自動警告し、安全性を向上させることができます。
顧客の安全のためには、予約アシスタント「Appointment Assistant」とスケジュール管理のための「Agentforce for Scheduling」が、現場エンジニアの到着予定時刻やサービス状況の情報をリアルタイムに提供します。こうした最新情報を提供することで、信頼を築き、顧客満足度を向上させることができます。
顧客対応の最前線 Field Service の価値を高める4つのポイント
フィールドサービスに関わる各担当者が抱える課題を解決する糸口を4つのポイントで紹介します。



AIエージェントの始め方
フィールドサービスにAIエージェントを導入することは、「大改革」だと身構える必要はありません。フィールドサービスにAIエージェントを導入するにあたって、以下のポイントを参考にしてください。
AIは万能ではない
AIエージェントは、すべての問題をを解決する汎用的手段ではありません。既存業務を評価し、具体的なニーズや直面している課題を特定してください。それぞれのビジネスには独自の課題があり、AIエージェント導入には、企業個別の事情を考慮したアプローチが求められます。
小さく始める
「Data Cloud」のような信頼できる場所にデータを統合することから始めましょう。まずは自動化に適しているエンジニアやディスパッチャーの反復的なアクションを探します。経験と自信がついてきたら、スケールアップしていきましょう。
チームのスキルアップ
Salesforceの無料オンライン学習プラットフォーム「Trailhead(トレイルヘッド)」のようなツールを通じて、チームメンバーにスキルアップを促しましょう。「Trailhead」では、AIエージェント活用に関する貴重なスキルを習得できます。
また、「Slack」の「Serviceblazer Community(英語)」のようなコミュニティへの参加を促し、業務を変革しているフィールドサービスのプロフェッショナルと交流する機会を作りましょう。「Agentforce」がフィールドサービス業務に与える影響に関するウェビナー(英語)も、チームの貴重なリソースとなります。
未来は「エージェントファースト」なフィールドサービス
「Agentforce」はすでに、セルフサービスやコンタクトセンター、オンサイトでのパーソナライズされたサポートを通じて、フィールドサービスに大きな変革をもたらしています。Salesforceの顧客は、「Service Cloud」と「Salesforce Field Service」の両方で「Agentforce」を使用することで、コスト削減と生産性向上を実現しています。
「Agentforce」は、真の「ワークフォースマルチプライヤー」です。自動化によってサービスプロフェッショナルチームのスケーラビリティを向上させます。「Agentforce」が提供するデジタル労働力は24時間365日常時稼動し、現場で無限の生産性を実現します。Agentforceによってフィールドサービスは、今日の業務支援と未来の成長を実現します。
今日の業務で何か課題に直面していましたら、「エージェントファースト」なフィールドサービスをご検討ください。エンジニアには専門的な作業をお願いして、それ以外は「Agentforce」にお任せください。
先進企業2社が語る!フィールドサービスDX成功への取り組み
Salesforce Field Serviceを活用し、作業効率の向上、自動化、ペーパーレス化など「フィールドサービス業務のDX」に成功した具体的な事例をもとにDX推進のヒントをご紹介します。

<注釈>
※本記事は米国で公開された “5 Signs You Need Agent-First Field Service” の抄訳版です。本ポストの正式言語は英語であり、その内容および解釈については英語が優先されます。