誰もがAIエージェントの革新性を語るようになってきました。しかし、その関連用語はあなたの未読Slackメッセージよりも早いスピードで増え続けています。それらを効率的にキャッチアップしないと、時代に取り残されてしまいます。
本記事で解説する用語集を読めば、基本的なことが理解でき、自信を持って導入戦略を進められるでしょう。
Agentforceの頭脳「Atlas推論エンジン」の仕組み
Agentforceの中心的な役割を担うのが、自律的でプロアクティブなAIエージェントです。AIエージェントはどのように機能するのでしょうか?詳しく解説します。

- AIエージェント(AI agent)
- エージェント型AI(Agentic AI)
- マルチAIエージェントシステム(Multi-Agent System)
- マルチモーダルAI(Multimodal AI)
- ポリフォニックAI(Polyphonic AI)
- ヘッドレスAIエージェント(Headless AI Agent)
- オントロジー(Ontology)
- AIエージェント型ワークフロー(Agentic workflow)
- AIエージェントから人へのハンドオフ(Agent-to-Human Handoff)
- 推論エンジン(Reasoning Engine)
- 確率的推論(Probabilistic Reasoning)
- 決定論的推論(Deterministic reasoning)
- 強化学習(Reinforcement Learning)
- 感情分析(Sentiment Analysis)
- 意図認識(Intent Recognition)
- コンテキスト認識(Context awareness)
- 発話(Utterance)
- 説明可能性と透明性(Explainability and transparency)
- 長期的一貫性(Long-term Coherence)
- デジタル労働力(Digital labor)
- 動的リソース割り当て(Dynamic Resource Allocation)
- 複雑性の閾値(Complexity threshold)
- デジタルワーカー(Digital worker)
AIエージェント(AI Agent)
AIエージェントは、大規模言語モデル(LLM)を活用し、何をどのように行うかを状況に応じて自律的に判断し実行するソフトウェアです。機械学習と自然言語処理(NLP)を用いて、単純な質問への回答から複雑な問題の解決まで、幅広いタスクに対処します。
エージェント型AI(Agentic AI)
AIエージェントを使用して自律的に行動するAIです。
マルチAIエージェントシステム(Multi-Agent System)
複数のAIエージェントが連携して複雑なタスクを処理するシステム。マルチエージェントシステムでは、単一のエージェントが単独で動作するのではなく、異なるビジネス領域間で連携を取りながら、よりインテリジェントかつ効率的に自動化や意思決定を行います。
マルチモーダルAI(Multimodal AI)
テキスト、画像、音声、動画など、異なる種類の入力データを処理し、それに基づいて行動するAIシステムです。マルチモーダルAIエージェントは、音声コマンドを分析し、画像を解釈し、文書を同時に読み込むことで、より質の高い応答を提供したり、人間の介入なしに問題を解決することができます。
ポリフォニックAI(Polyphonic AI)
それぞれが専門知識を持つ、複数の専門AIエージェントが連携して動作するシステムです。例えば、サービスエージェントが返品リクエストを受け付け、在庫エージェントが在庫状況を確認し、物流エージェントが配送の詳細を処理するといった具合です。そして、オーケストレーターエージェントがこれらすべてをまとめて、1つのスムーズなやり取りとして提供します。
ヘッドレスAIエージェント(Headless AI Agent)
従来のUIを持たずに動作するAIのこと。人間の操作なしに、完全にバックグラウンドでタスクを実行し、意思決定します。チャットボットやダッシュボードと連携するのではなく、既存システムとAPIを介して連携し、リアルタイムでワークフローを自動化したり、トリガーに応答します。
オントロジー(Ontology)
コンピュータがデータを理解し、そのデータを使って出力に関する意思決定ができるように、情報を体系的に整理するためのシステム。オントロジーは、ナレッジグラフのデータモデルを形成し、データの一貫性と理解度を保証します。
AIエージェント型ワークフロー(Agentic Workflow)
単一もしくは複数のAIエージェントがタスクを遂行するAI主導のプロセスです。
AIエージェントから人へのハンドオフ(Agent-to-human handoff)
AIエージェントから人間へ対応を引き継ぐこと。顧客が同じことを繰り返す必要がないように、コンテキストや会話履歴、そしてすべての関連データがシームレスにエスカレーションされます。
生成AIからAIエージェントと世界モデルまで。AIの現在地とその可能性
AIの研究で20年以上のキャリアを持ち、博報堂DYホールディングスでCAIO(最高AI責任者)を務める森正弥氏に、今改めてシンギュラリティを考察してもらいました。現在進行中のAIの最前線を解説します。

推論エンジン(Reasoning Engine)
推論エンジンは、特定のルールやデータ、ロジックに基づいて、人間のような意思決定と問題解決を模倣するAIです。エージェントがどのような行動を取り、その行動に必要なデータは何かを判断する際に重要な役割を担います。
このシステムは、人間の3種類の推論(演繹的推論:事実から結論を導き出す、帰納的推論:パターンから可能性の高い結論を導き出す、仮説的推論:最善の推測を行う)を模倣して実行します。
確率的推論(Probabilistic Reasoning)
異なる結果の起こりうる確率を推定する蓋然性(がいぜんせい)に基づき、結論を導き出し予測を行う推論の一種で、ある程度の不確実性や変動を許容します。
応答に多少のばらつきがあっても許容されるため、情報が不完全または曖昧な場合でも、AIエージェントが予測を行うことが可能です。例えば、確率的推論は「このソリューションは中規模のチームに有効ですか?」といった質問に対して、業界や使用事例が不明であっても、最も可能性の高い意図を推測します。
決定論的推論(Deterministic Reasoning)
ルールに基づいたロジックのみを使用して、同じ入力に対して常に同じ出力を保証する推論の一種です。AIエージェントは非決定論的であり、同じプロンプトが与えられても異なる出力・行動を取る可能性があります。複雑なワークフローを自動化するツールである「Salesforce Flow」は、決定論的推論を使用しています。
強化学習(Reinforcement Learning)
強化学習とは、AIエージェントが環境と相互作用し、アクションを実行し、その出力の完全性や正確性に関するフィードバックを受け取ることで学習する機械学習の一種です。AIエージェントの意思決定の精度を上げるために有効です。
感情分析(Sentiment Analysis)
顧客の言葉の背後にある感情的なトーンをAIエージェントが検出し、解釈する能力です。これにより、感情がポジティブ(熱意や満足など)、ネガティブ(不満や緊急性など)、あるいは中立のいずれであるかを理解するのに役立ちます。言葉遣いや句読点、さらには絵文字に隠された手がかりを探し、顧客の感情を測ります。
意図認識(Intent Recognition)
ユーザーの入力の背後にある目的や目標など、意図をAIが理解する能力のことです。例えば、カスタマーサポートにおいて、顧客が請求に関する問題や、製品に関するヘルプ、または注文状況のいずれを尋ねているかを区別でき、AIエージェントが最適な応答を提供できるようになります。
コンテキスト認識(Context Awareness)
過去のやり取りとリアルタイムのデータを利用して、ユーザー固有の環境や状況(例えば、働く時間帯や自宅にいるか職場にいるかなど)を理解し、それに応じて応答するAIの機能のこと。これにより、AIエージェントはより適切でパーソナライズされた応答を可能にします。
発話(Utterance)
ユーザーがAIエージェントに提供するコマンドや質問といった単一の入力のことです。これは、AIエージェントがユーザーのニーズを理解するための特定情報であり、それに基づいて応答やアクションを実行します。
説明可能性と透明性(Explainability and Transparency)
説明可能性は、AIシステムがなぜそのような決定を下して行動したのか、その背後にある根拠を明確に伝えること。一方、透明性は、AIがそのプロセスとデータソースについてユーザーに明確なインサイトを提供する能力を指します。説明可能性が「なぜ」そうなったのか、透明性は「どのように」動作しているか、を示すものです。
長期的一貫性(Long-term Coherence)
AIエージェントが、長期間にわたるやり取りやワークフロー全体を通して、一貫性とコンテキストを維持する能力です。例えば、ソフトウェアのサブスクリプション管理を支援するAIエージェントは、顧客が更新について数か月前に問い合わせたものの、その後の手続きを進めなかったことを記憶しています。長期的な一貫性を持つAIは、過去のやり取りをすべて参照し、関連性の高い行動や判断を積極的に提案します。
デジタル労働力(Digital Labor)
AIによる自動化やAIエージェントなど、人間の意思決定能力や認知能力を模倣するテクノロジーを指します。これにより、人間だけの労働力では達成できないスピードと規模でタスクを完了。人間の能力を拡張するものです。
大規模言語モデルで顧客データをより有効に活用する4つの方法
新たなビジネスチャンスを生み、仕事を効率化する生成AIを支える技術である大規模言語モデル(LLM)ってご存じでしょうか。その基本から今後のビジネスでの活用場面4選まで、分かりやすくご紹介します。

動的リソース割り当て(Dynamic Resource Allocation)
コンピューティング能力やメモリといったリソースを、最も必要とされる場所にリアルタイムで配分するテクノロジーです。
すべてのタスクに同じ量のリソースを使用する代わりに、AIシステムは状況に応じて柔軟に調整し、優先度の高いタスクにはより多くの能力を割り当て、優先度の低いタスクには少ない能力を使用します。これにより、AIはより効率的かつ高速になり、エネルギーを浪費したり処理速度が低下することなく、複雑なタスクを処理します。
複雑性の閾値(Complexity threshold)
タスクや問題がAIの能力を超え、より高度なAI、または人間の担当者への引き継ぎが必要となる限界点を指します。この閾値を超えると、タスクの完了や質問への回答には人間の介入が求められます。
デジタルワーカー(Digital Worker)
人間の能力を模倣し、複雑なタスクを処理するAIアプリケーションのこと。これらは仮想的な従業員として機能するAIエージェントであり、これまで人間の労働者によってのみ達成可能だったさまざまな役割を果たします。
Agentforce:強力なAIエージェントを作成
自律型のAIエージェントを構築してカスタマイズして、Salesforceエコシステムとの完全な統合も含め、従業員とお客様を24時間365日サポートできます。

※本記事は米国で公開された “23 Agentic AI Terms Every Business User Needs To Know” の抄訳版です。本ポストの正式言語は英語であり、その内容および解釈については英語が優先されます。
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