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Layer X、収益管理基盤をMAで構築。その狙いとは

「Account Engagement Trailblazer Award 2023」受賞企業インタビュー 株式会社LayerXバクラク事業部 様

「Account Engagement Award」を受賞した株式会社LayerX への取材記事。その受賞理由についてインタビューを通じて深掘りしていきます。

「最先端のテクノロジー × 最適な顧客体験・UX」 の組み合わせで、社会のデジタル化を促進する複数の事業を展開しているLayerX。その事業のうち「バクラク」シリーズを提供するバクラク事業部が、「Account Engagement TrAIlblazer Award 2023」を受賞しました。

受賞理由は、「Sales Cloud」と連携した情報管理を実現していることと、そのノウハウを外部に積極的に開示しようという姿勢です。それでは、なぜ「Account Engagement」を採用し、具体的にどのような活用を行っているのでしょうか。バクラク事業部 マーケティング部 マネージャー 松岡 遥歌 氏、バクラク事業部 マーケティング部 元木 雄介 氏、バクラク事業部 BizOps部 松本 福太郎 氏に話をお聞きしました。

事業開始時、一貫性のあるKPI管理が困難に

--このたびは「Account Engagement TrAIlblazer Award 2023」の受賞、おめでとうございます。まずは、貴社とバクラクの概要をご説明ください。

松岡 遥歌 氏(以下、松岡):
LayerXは「未来の希望を、実装しよう」を企業ビジョンに掲げ、すべての経済活動をデジタル化することを目指している企業です。そのために「最先端のテクノロジー × 最適な顧客体験・UX」で、社会のデジタル化を促進する複数事業を展開しています。

「バクラク」はその1つであり、企業活動のインフラとなる法人支出管理(BSM)の機能をSaaSで提供しています。すでにシリーズ累計導入社数7,000社(※注1)を超えており、2023年9月時点のサービス継続率は99%以上です。

※注1:*社数は取材当時。2024年2月5日付けで10,000社の突破が発表されています。

--そのバクラクで「Account Engagement」を採用した経緯をお聞かせください。

松岡:私達は、MAツールはマーケティングやナーチャリングのためだけのものではなく、リード取得から売上までをカバーした「Revenue全体」での振り返りのをデータ基盤構築の1つだと考えています。そのため、バクラク事業でも商談創出から受注、チャーン(解約率)防止やクロスセル/アップセルといった工程まで、一貫した流れの中で各種KPIを設定しています。しかし、バクラク事業がスタートしてしばらくの間は、これらの情報がきちんと連携しておらず、一貫性のある状態で管理できていませんでした。

サマリー

  • 課題:複数のツールを段階的に導入したため、ツール毎の部分最適に陥り、データもサイロ化されていた。
  • 解決策:メール配信機能など単なるMA機能の提供だけではなく、商談管理を行うSFAとのシームレスな連携も可能な「Account Engagement」へと移行した。すでに「Sales Cloud」を導入していたことも「Account Engagement」の採用を後押しした。
  • 効果:リードの流入から商談化、成約まで、一貫したデータ管理が可能になったことでリードの流入から受注までの各KPIが可視化され、Revenue全体(リード取得から売上まで)の振り返りが容易になった。

--それはなぜですか。

松岡:バクラクは、2021年3月頃をローンチターゲットとしてプロジェクトを進めており、情報基盤もそれに合わせて構築する計画でした。

しかし、年初の経営合宿で「2021年1月にローンチする」ことが決定、わずか10日で情報基盤を作り上げることになったのです。そこでまずは、ローコストで最低限の機能を実現できるものを取り急ぎ導入しました。その後、SFA/商談管理のためにSalesforceを導入し、契約/売上管理はExcelで行うことにしました。これによって複数のツールが乱立し、部分最適なシステムになってしまったのです。

--その結果、KPIも他社製品とSalesforceとの間で分断されることになった、と。

松岡:例えばデジタルチャネルから入ってきたリードは他社製品で管理され、フィールドセールスが担当する既存顧客や商談はSalesforceで管理されていました。

もちろんデータ連携はしていますが、どちらをオリジナルデータにするかはデータによって異なっており、どれが正しいデータなのかわからなくなっていったのです。

その結果、リードから商談までと、商談から受注までのデータの整合性が取れず、把握している案件数ですら、マーケティング/インサイドセールスとフィールドセールスとの間で異なっていました。そのため、Revenue全体での振り返りができない状況になっていたのです。

MAツール選定で重要なのは「思想」

--その問題を解決するために、「Account Engagement」の導入に至ったというわけですね。

松岡:そうです。2023年2月に元木が入社し、同じ課題感を感じていたこともあり、MAツールをどうにかしたいと考えるようになりました。

--ここで「Account Engagement」を採用した理由は何ですか。

松岡:私はこれまでも、「Account Engagement」以外の複数のMAツールを利用してきた経験がありますが、それぞれに利点はあるものの、「Account Engagement」
とは決定的に違う部分がありました。

それはいずれも、Salesforceや他の外部ツールとのデータ連携で不整合が起きやすい、ということです。実はMA自体に関する機能そのものは、製品ごとの大きな違いはありません。違うのはその根底にある思想です。そのため、私はMAツールは思想で決めるべきだと考えています。

先程も申し上げたように、当社にとってのMAツールは、Revenue全体の振り返りのためのものであり、商談管理から成約までを担うSFAと緊密に連携する必要があります。これはSalesforceの思想そのものです。またすでにSFAとしてSalesforceを使い始めていたことも、「Account Engagement」の採用を後押ししました。

--既存MAツールからの移行は困難でしたか。

元木 雄介 氏(以下、元木):正直に言えば、大変ではあったのですが、これをきっかけに「あるべき姿」を構築できたのは、とても良かったです。

--Revenue全体を振り返る基盤にするために、どのような工夫をしていますか。

元木:1つは、Webサイトのフォームで入力されたお客様情報を「Account Engagement」と連携する際、外部ツールとの連携で名寄せすると共に、法人番号や住所情報などを付与していることです。この際に、ユーザーがフォーム送信するまでにどの広告やメルマガを経由しているのか、といった情報も付加しています。

これらの情報はそのまま、「Sales Cloud」の顧客情報に反映され、フォームからの流入から商談化、成約に至るまで、一元管理されています。また、商談獲得に貢献したキャンペーン、初回CV(コンバージョン:Webサイトで得られる成果のこと)時のキャンペーン、最新CV時のキャンペーンなどの情報も入るように設計しています。

さらに、これらの情報を可視化することで、どの経路で初回CVした商談が受注に至ったのか、最後のどの経路でCVしたリードが商談・受注に進んでいるのかをモニタリングできるようにすると共に、入口・出口で効果の高いマーケティングチャネルがどれなのかもわかるようにしています。

営業を強くする マーケティングオートメーション

Account Engagementの代表的な機能や、導入することにより具体的にどのようなメリットがあるのかを10分間でわかりやすくお伝えします。

一貫した可視化でコストやLTVの算出が可能に

--これなら一貫性のある情報管理が可能ですね。

松岡:事業開始からずっと課題になっていたことが、ようやくこれで解決できました。情報の不完全性が解消されたため、関係者が同じデータを見て、何が不足しているのかを同じ視点から判断できるようになりました。

元木:以前はデータが分断されていたため、どの施策が商談に貢献しているかもわかりませんでした。しかし、今では1つのレポートですぐに把握できます。

松本 福太郎 氏(以下、松本):MAまで含めてSalesforceに一元化したことは、社内でも高く評価されていて、実際に多くの人から「以前よりも使いやすくなった」とフィードバックいただいてます。

--情報管理を一元化したことで、改めて見えてきたことはありますか。

元木:マーケティングの改善箇所が見えてきました。その1つが広告・宣伝費です。以前も各商談の広告・宣伝単価は見えていたのですが、受注単価まではわかりませんでした。今では受注まで一元的にデータを管理しているため、CAC(顧客獲得コスト)やLTV(顧客生涯価値)を容易に把握することができるようになりました。つまり施策のROIを、きちんと評価できるようになったのです。

--他に、MAの活用に関して取り組まれていることはありますか。

松岡:MAといえばシナリオなどの機能もありますが、それらよりも情報の可視化が可能になったことが、弊社に取っては大きな意味を持っています。これによってインサイドセールスがアプローチする際に、ユーザーの行動に即したリードの優先順位付けが可能になるからです。

バクラク事業では、半年に1回のペースで新プロダクトを出しており、どんどんプロダクトが増えています。そのためにプロダクト別の営業活動には、いずれ限界が来ます。すでにフィールドセールスは日々の活動でアップアップになっており、リードの優先順位付けが極めて重要になっているのです。

その優先順位付けが適切に行えれば、MQL(Marketing Qualified Lead)のクオリティが向上し、受注の確度も高まります。そもそも本質的には、プロダクトカットではなく「顧客課題軸」で営業を行うべきなのですが、今回の情報基盤の確立によってそれも可能になると考えています。

--営業スタイルそのものが変化していくと。

松岡:そうです。個々のプロダクトを売るのではなく、バクラクのトータルシリーズによって顧客の課題を解決するという、課題解決型の営業スタイルにシフトしていきます。そのためには、顧客の課題がどこにあるのかを、データから推測することが重要です。当社にはLLM(大規模言語モデル)に詳しいエンジニアも多いので、その知見と今回構築した情報基盤を組み合わせていくことも視野に入っています。

将来を見据えてのシステム選定が重要

--「Account Engagement」への投資は、十分な効果をもたらしているとお感じですか。

松岡:投資対効果を数値で示すことは難しいのですが、時間の使い方は間違いなく変化しました。以前は「正しいデータを見つけるため」に膨大な時間が必要であり、月次の締め会のデータを作るためだけでも、マネージャーやチームメンバーが各々2~3時間もの時間を費やしていました。

これが現在ではゼロになり、「より良い施策を生み出す」ことに時間を使えるようになりました。この時間の使い方の変化だけでも、十分な投資効果が出ていると思っています。

--今回得られた知見は、貴社のお客様にも提供する計画だと伺っています。

松岡:困っている人を助けられる知見があるのなら、それをオープンにして、日本全体の生産性を高めるべきだと考えています。これは、お客様にとっての当社の価値向上にもつながるはずです。

--最後に、MAにチャレンジしたい他の企業に向けて、何かアドバイスがあればぜひお願いします。

松本:これまで何度かMAを導入した経験をもとにお話すると、MAで何をやりたいのかを明確にしてから導入することが重要だとお伝えしたいです。

例えば、ステップメールの機能に多くの人が期待しがちなのですが、実際にはステップメールを送信するためのシナリオを整理し、必要な数のメールテンプレートを用意する部分で心が折れてしまったりするものです。導入を決める前に、やりたいことの解像度を上げる、という準備が不足しているケースですね。

なにか1つ、MAでやるべきことを決めてやり切ってしまえば、自然とMAのあらゆる機能を使いこなせるようになるでしょう。そういう意味で、MAの導入・活用がうまくいくかは、必要な準備をちゃんとしたかで決まります。

元木:私はMAツールよりも先に、SFAを導入すべきだと考えています。BtoBビジネスはまず営業ありきであり、その営業担当の手が回らないところを補完するのがMAだからです。つまりMAは営業を効率化するためのツールであり、まずSFAがあって、次にMAがあるという順番で考えるべきだと思います。

松岡:もう1つお伝えしておきたいのが、人に合わせてシステムを合わせるのではなく、システムに人を合わせていくほうが、生産性が高くなる可能性が高いということです。

ただし、システムを選ぶ際には自社の事業を今後どのように伸ばしていくのか、そのために必要なマーケティングプロセスや営業プロセスはどうあるべきかを、事前に想像した上で選定を行う必要があります。つまり、事業の将来像を想像し、それに合わせてシステムを選定し、さらにシステムに合わせて人が活動する、というアプローチをおすすめします。

--いずれも興味深いアドバイスをいただき、ありがとうございました。

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