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チャットボットとAIエージェントの違いとは?役割や選び方を解説

チャットボットとAIエージェントの違いとは何か

Gartnerは、2028年までに企業内の生成AI利用の1/3がAIエージェントとの対話になると予測しています。チャットボットとAIエージェントの違いを解説し、その仕組みをわかりやすく説明します。

「チャットボットとAIエージェント、最近よく耳にするけど、その違いがよくわからない…」
「業務の効率化のために導入したいけれど、自社にはどちらが合っているんだろう?」

業務改善のために新しいツールの導入を検討していても、それぞれの特徴や違いを正確に理解していなければ、最適なものを選ぶのは難しいですよね。

本記事では、そんなお悩みを持つご担当者様に向けて、チャットボットとAIエージェントの基本的な違いから、AI非搭載(シナリオ型)とAI搭載型の特徴、そして自社の目的に合わせたツールの選び方まで、ITの専門家でない方にも分かりやすく解説していきます。

この記事を最後までお読みいただければ、両者の違いを明確に理解し、自信を持ってツール選定の第一歩を踏み出せるようになるでしょう。

3分で分かるコンタクトセンターでのAIエージェント活用シーン

SalesforceのAIエージェント『Agentforce』がコンタクトセンターやカスタマーサービス業務においてどのように活用できるかをご紹介します。

チャットボットとは

唐突ですが、まずは自動販売機を想像してください。

あらかじめ商品がセットされ、ユーザーが選択肢を選べる入力装置があり、ユーザーがリクエストした商品を提供する手順を思い浮かべましょう。

チャットボットは、この自動販売機に似ています。

チャットボットは、あらかじめ応答が事前にセットされ、ユーザーが尋ねることができる質問選択肢があり、ユーザーの質問にスクリプト化された応答を返します。

従来のチャットボットとは、事前定義されたルールや決定木、スクリプト化された応答などを駆使して人間と対話するプログラムです。

主に情報検索や基本的な対話の処理、一般的なカスタマーサポートの質問への回答などに使用されています。特にこうしたよくある質問に対して、迅速かつ一貫した回答を提供できるため、問い合わせ処理に対してコストパフォーマスが高いです。ある程度会話の内容を制御したい場合にも向いているでしょう。

ボットと言ってもいくつかの種類があり、ルールベースで回答するチャットボットや、AIを搭載し、より複雑な問い合わせクエリを理解し応答するものもあります。

Salesforce の「Service Cloud(サービスクラウド)」 に搭載されている AI 搭載チャットボットは、「Einstein ボット」という名称で提供されています。

Einsteinボットを活用した事例は続々と登場しており、例えば WILLER MARKETING 株式会社では、Einstein ボットを活用して解決率を50%まで高め、有人対応率を1/3まで削減することに成功しています。

パーソナライズされた問合せ対応にEinstein ボットを導入、 回答チャネルの多様化で解決率上昇へ

WILLER MARKETING株式会社 パーソナライズされた問合せ対応にEinstein ボットを導入、 回答チャネルの多様化で解決率上昇へ

チャットボットの主な2種類

チャットボットと一言で言っても、実は搭載されている技術によって大きく2つの種類に分けられます。それぞれの特徴を知ることが、自社に適したツールを選ぶための第一歩です。

シナリオ型チャットボット

あらかじめ人間が設定したルールやシナリオに沿って、決まった回答を返すタイプのチャットボットです。シナリオ型チャットボットのメリット・デメリットは下記のとおりです。

メリット・AI搭載型に比べて、導入や運用のコストを低く抑えられます。
・シナリオさえ準備できれば、比較的短期間で導入を開始できます。
・決められた回答しかしないため、企業として意図しない回答をするリスクがありません。
デメリット・シナリオに登録されていない質問や、少しでも言い回しが違う質問には答えることができません。
・新しい質問に答えられるようにするには、手動でシナリオを追加・修正する手間が発生します。

シナリオ型チャットボットは、こんな用途に向いています。

  • 「営業時間は?」「定休日は?」といった、よくある質問(FAQ)への自動応答
  • 社内ヘルプデスクでの定型的な問い合わせ対応

AI型チャットボット

AI(人工知能)が搭載されており、寄せられた質問の意図をAI自身が解釈して、最適な回答を返すタイプのチャットボットです。AI型チャットボットのメリット・デメリットは下記のとおりです。

メリット・「休み」「休暇」「休日」のような、同じ意味を持つ言葉の揺らぎをAIが吸収し、柔軟に応答できます。
・お客様との対話データを蓄積・学習することで、対応できる範囲が広がり、回答の精度も自動で向上していきます。
デメリット・シナリオ型に比べて、導入や運用のコストが高くなる傾向があります。
・導入の初期段階で、AIに会話のパターンを学習させるためのデータが必要になる場合があります。

AI型チャットボットは、こんな用途に向いています。

  • お客様からの多種多様な問い合わせが発生するカスタマーサポート
  • ユーザーの状況に合わせて、おすすめの商品などを提案するマーケティング活動

AIエージェントとは

「チャットボットが自動販売機である」とすると、「AIエージェントはシェフ」と想像すると分かりやすくなります。

具体的なメニューは決められないが、その日の気分で料理をリクエストする。シェフは、豊富なレシピをもち、複雑なリクエストを理解することができ、好みに合わせた新しい料理を学習して提供できるのです。

これと同じで、AIエージェントは膨大な知識ベースをもち、自然言語処理能力を通じてリクエストを理解し、履歴データから学習して適した応答や生成結果を返すことができます。

つまり、AIエージェントは事前に定義づけた回答を用意するチャットボットとは異なり、LLMによって自然言語を理解(推定)し、大量の情報を処理・分析し、文章やコーディング、問題解決や複雑なタスクを支援できます。

特に自社のデータベースやスプレッドシートなどの構造化データ、加えてメールやPDF、チャットログなどの非構造化データをビジネスデータに基づいて強化されたAIエージェントであれば、その企業に最適な分析結果や生成結果、複雑なタスクの自動化等を提供することがで可能になるでしょう。

カスタマーサービスの領域では、AIによる顧客対応 (インテリジェントアシスタントとしての期待値) が、70%と最も高く期待されている領域です。

SalesforceのAIエージェント「Agentforce

自律型AIエージェントを構築・カスタマイズして、従業員とお客様を24時間365日サポートします。どんな場面で活躍するのか、詳しくは製品ページでぜひご確認ください。

目的・課題別!自社に適したチャットボット選び方ガイド

チャットボットの種類と特徴がわかったところで、「結局、うちの会社にはどのタイプが合っているの?」という疑問にお答えしていきます。

ここでは、よくある3つのケースをご紹介します。

ケース1:社内からの定型的な問い合わせ対応を効率化したい

抱えている課題の例・総務や情報システム部が、社員からの同じような質問に追われ、本来の業務に集中できない。
・「経費精算の方法」「有給休暇の申請手順」「PCトラブルの一次対応」など、マニュアルを見ればわかる質問が多い。

こういった社内からの問い合わせに対応したいケースにおすすめのタイプは、シナリオ型(ルールベース)チャットボットです。

なぜなら、社内からの問い合わせは、内容がある程度限定されていることがほとんどだからです。そのため、質問と回答のパターンをあらかじめ設定しておくシナリオ型チャットボットが、費用対効果の高い選択肢となります。

チャットボットが担当者に代わって24時間365日対応してくれるため、従業員はいつでも疑問を解決でき、担当者はより重要な業務に時間を割けるようになります。

ケース2:多様な顧客からの問い合わせに、24時間体制で対応したい

抱えている課題の例・WebサイトやECサイトに、お客様から多種多様な問い合わせが寄せられ、オペレーターが対応しきれない。
・営業時間外の問い合わせに対応できず、機会損失や顧客満足度の低下につながっている。

こういった顧客からの問い合わせに対応したいケースにおすすめのタイプは、AI(機械学習)型チャットボットです。

なぜなら、お客様からの問い合わせは、言葉遣いや表現が一人ひとり異なるからです。このような定型化しにくい質問の意図をAIが汲み取り、柔軟に回答できるAI型チャットボットが適しています。

人手不足を補いながら24時間対応を実現し、顧客満足度の向上に貢献します。複雑な質問はオペレーターにつなぐなど、有人チャットと組み合わせることで、さらに効果的なサポート体制を築けます。

ケース3:Webサイト訪問者を逃さず、商談や購入の機会を増やしたい

抱えている課題の例・Webサイトへのアクセスはあるものの、資料請求や問い合わせにつながらず、訪問者が離脱してしまっている。
・より積極的に見込み顧客を獲得する打ち手を探している。

こういったWebサイト経由の問い合わせに対応したいケースにおすすめのタイプは、AI(機械学習)型チャットボットです。

なぜなら、Webサイトの訪問者を「待つ」だけでなく、チャットボットから積極的にアプローチすることで、商談化率を高められるからです。

たとえば、料金ページを長く見ている訪問者には「料金プランについてご不明な点はございませんか?」とAIが自動で話しかけたり、導入事例ページを見ている訪問者には関連する資料を提案したりします。

このような能動的な働きかけで、見込み顧客の獲得に大きく貢献します。

AIエージェントはチャットボットより優れているのか

チャットボットとAIエージェントは、人間とのやりとりを行うインターフェースは似ていると言えますが、現段階で比較して優劣を定めるものではないと言えます。確実かつ制御された状況や、シンプルな処理で一定の結果を一貫性を持って提供したいのであればチャットボットの方が優れたソリューションです。

ですが、より対話型で、テキストや音声、視覚メディアを介したマルチモーダルで直感的な情報でやりとりを行いたい場合、または関連性の高いインサイトや生成結果を得たいと考える場合にはAIエージェントが向いているでしょう。

カスタマーサービスや従業員の分析など、ビジネスにおけるユースケースに応じてハイブリッドに組み合わせることが現段階では合理的になると推測されています。
AIエージェントを検証し、チューニングして信頼している組織では、顧客対応そのものをエージェント型にする挑戦も起こり始めるでしょう。Salesforce が最近発表した Einstein Service Agent は、その世界を実現するための世界で初めてのCRM搭載 AI エージェントなのです。

顧客対応変革のためのAIエージェント
導入検討ワークシート

カスタマーサービス部門やコンタクトセンターでAIエージェントの導入を検討するために、導入検討ワークシートを作成しました。ぜひダウンロードしてご活用ください。

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