Skip to Content

ワークショップで実践!新潟県の職員が取り組む“県民起点”のDXとは?

ワークショップで実践!新潟県の職員が取り組む“県民起点”のDXとは?

新潟県が策定した「新潟県職員デジタル人材育成計画」の一環として、セールスフォース・ジャパンが支援する「DX実践ワークショップ」が実施されました。5つのグループが県民サービスの課題解消に向けたDX施策を発表。その模様をレポートします。

実践的なDX施策をワークショップ形式で検討・立案

本州の中北部、北陸地方に位置する新潟県。20市・6町・4村からなる全国では5位の広さとなる土地に、約210万の人々が暮らしています。同県では、現在全国の自治体が共通して直面している人口減少、それに起因する少子高齢化や競争力の低下といった課題に対し、デジタル技術・データの活用による暮らし・産業・行政の変革を目指しています。

とくに行政面においては、これまでの業務をデジタル活用の視点から抜本的に見直し、大幅な効率化や県民サービスの品質向上を図ることが不可欠であるという認識のもと、2023年3月27日に「新潟県職員デジタル人材育成計画」を策定。デジタル人材の計画的な育成を目指した取り組みを加速させています。

この計画の一貫として、新潟県は2023年7月からセールスフォース・ジャパンが支援する「DX実践ワークショップ」を実施しました。

児童相談所における児童支援・相談受付ソリューション

職員の業務時間をより多くの児童と向き合える時間に変える、児童相談所における相談窓口のためのソリューション「児童支援・相談受付ソリューション」をご紹介します。

県の発展と県民のため、県職員たちが考え抜いた施策

このワークショップでは、参加した県庁内の職員を原課ごとにA~Eの5つのグループとして編成。攻め/守りといったDXの類型やベースとなるデジタル技術、デザイン思考を活用した現状課題の洗い出しなどの実践策を習得。8月31日の最終日に「アクション検討会」と銘打って、一連のワークショップを通じて作成してきたDX企画書の内容と、その推進に向けての今後のアクションを発表しました。

“県の経済の持続的な発展と県民の幸福な生活の実現”というコンセプトをもとに、各グループが発表したDX施策の概要を順に紹介しましょう。

※これから紹介するDX施策は各グループの見解であり、新潟県の正式な施策ではありませんのでご留意ください

Aグループのテーマは「ノンストップ!これからの就学支援金」。発表は教育庁財務課の佐藤辰哉氏が担当しました。高校等に通う生徒の授業料を実質無償化する「就学支援金」制度について、文部科学省が運営する高等学校等就学支援金オンライン申請システム「e-Shien」を活用し、新たなポータルサイトを立ち上げ利便性を向上させる施策を提案しました。

手続きにかかわる問い合わせや必要な連絡なども、このポータルサイトを通じてやり取りします。これにより、保護者や学校の利便性を高めるとともに、受け付け処理を担当する教育庁財務課の業務負担の軽減を目指します。

佐藤氏は「利便性と業務効率化だけでなく、個人情報の漏えいといったセキュリティリスクを排除します。また、申請者に必要な手続きを随時促し、支援金受給に向けたプロセスを遺漏なく完了させることにも貢献すると期待しています」と語ります。

Aチームの教育庁財務課 佐藤辰哉氏
Aチームの教育庁財務課 佐藤辰哉氏

アナログな業務でありがちなミスや非効率性を排除

続くBチームが発表した施策は「スイスイ進む船舶申請」です。船舶が港湾を利用する際には、港湾事務所と利用者の間で電話による空き状況の確認や予約などを頻繁にやり取りしています。また、利用申請では利用者が所定の書類を複数提出しなければならないなど、手続きが煩雑です。予約を受け付ける港湾事務所側の負担も大きく、また利用料金の算出などもExcelに手入力して算出しているため、常にミスによる誤算出の懸念を抱えています。

この課題に対し、ポータルサイトを開設して、予約をチャットボットで受け付けする仕組みを整備するとともに、利用申請書類の提出や利用料金の算出に至る一連のプロセスを、エンドツーエンドで電子的に完結できるかたちを考案しました。

発表にあたった新潟港湾事務所の渡辺啓介氏は「港湾利用者が24時間いつでも予約や申請ができ、申請から許可に要する時間も短縮。港湾事務所の職員にとって、電話応対にかかわる作業工数の軽減し、料金算出に際してのミスも確実に防止できるなど、さまざまなメリットが生まれます」と期待します。

Bチームは3名で発表しました
Bチームは3名で発表しました

Cチームは「デジタルで生まれ変わるシン・少年自然の家」と題し、県が胎内市で運営する新潟県少年自然の家の予約手続きに関する事務処理の変革を目指した施策を発表しました。新潟県少年自然の家の草間淑之氏は「デジタルネイティブ世代が増えている状況で、事務処理プロセスもそれに追随し得るものにしていくことが、公共施設に求められています」と強調します。

電話やメール、FAX、そして電子申請システムと分散している予約受け付けチャネルを、Webによる電子申請システムに一本化。利用者がWeb上で施設の空き状況を確認するだけで、申請に必要な書類を自動作成するといった仕組みを整え、利用申し込み手続きを簡素化します。予約状況や申し込みの進捗を施設職員がいつでもシステム上で確認できれば、利用者からの問い合わせにも即座に対応できるようになります。さらに「利用者の情報をCRMに蓄積することで、新規利用者の拡大に向けた企画、広報活の展開にも生かしていければ」と草間氏は言います。

DX施策を発表する新潟県少年自然の家 草間淑之氏

県、県民、事業者の三者へ価値を提供するDXを目指す

Dチームが発表したのは、「楽々介護初任研修申請システム」の実現に向けたDX施策です。福祉保健部 高齢福祉保健課では、県内で実施される介護員養成研修事業の適正性を審査する業務を担当。この業務における事業者が研修の認可を得るための申請や、県側での審査の効率性向上を図る狙いです。

現在は事業者がExcelとWordのファイルを併用して提出している申請様式をExcelに統一。誤った入力に対するエラー表示や、科目数や研修時間といった定量情報を自動計算する仕組みをシートに組み込むことで、適正な申請書類作成を支援して県側でのチェック作業を簡素化します。また、電子申請システムの整備によって、進捗管理の一元化や見える化を実現して申請から審査に至るプロセスの円滑化を図るとともに、これまで郵送していた審査結果の通知書についても、申請者がダウンロードして受け取れるかたちを目指しています。

Dチームに所属する高齢福祉保健課の田原大樹氏は「研修事業者の申請に関する作業負荷が軽減されるほか、県側での審査の円滑化、スピード化を実現。審査結果通知書の送付に要していた、宛名ラベル作成や封入の作業工数削減に加え、郵送費のコストが不要となるというメリットもあります」と語ります。

Dチームの高齢福祉保健課 田原大樹氏

最後のEグループは「七面倒な免税書面はお役御免」と題して、県税の1つである軽油引取税の免税事務に関するDX施策について発表しました。法令では、特定の用途に使用する軽油は軽油引取税の課税が免除される旨を定めています。免税軽油の使用にあたり事業者は、県に申請して免税証の交付を受け、それを販売店に引き渡すことで免税軽油を購入。その後、免税証と免税軽油の使用実績を県に報告します。また、販売した特約業者などは、特別徴収義務者として免税証を集計。県に対し軽油引取税納入申告及び課税免除承認申請書を提出します。

この一連のプロセスを改善するために考案したのが、免税証にQRコードを付すことで、特別徴収義務者における集計、申告・申請作業、および県側での確認作業を効率化するというものです。あわせて、免税証交付申請にかかわる業務で電子申請システムを利用し、免税軽油を使用する事業者での申請作業、および県側での受け付け、審査業務についても省力化していきたい考えです。

Eグループの新発田地域振興局 県税部の赤塚亮介氏は「県では免税証の交付を受けた事業者が適正に免税軽油を利用しているかをチェックするための現地調査も実施していますので、Web会議システムなどを活用した遠隔による対応も実現していければと考えています」と言います。

Eグループの新発田地域振興局 県税部 赤塚亮介氏

横の連携の強化でさらに最適化が図れる

5つのグループが発表したDX施策は、いずれも今回のワークショップのコンセプトである“県民起点”にしっかりと立脚するかたちでビジョンが描かれている点が大いに注目されます。

今回のアクション検討会に臨席し、講評に臨んだセールスフォース・ジャパン 常務執行役員の田村英則は、「今回のワークショップによる達成は、皆さまにとってあくまでもスタート地点」と前置きし、今後の実践を通じて、施策をいかに継続的に進化させていくかがカギである旨を強調します。

セールスフォース・ジャパン 常務執行役員の田村英則

田村は続けて「各所で共通して用いているポータルサイトや電子申請の仕組みなどを見ても、本日発表していただいた各施策を鳥瞰的に捉えたとき、そこには横のつながりというものが見えてきます。連携や統合を通じて、さらなる最適化を図れる部分が、実はたくさんあるというわけです。ここも、将来に向けた進化の1つのアプローチになるはず。セールスフォース・ジャパンとしては、引き続き新潟県を強力にサポートしていきたいと考えています」と語りました。

セールスフォース・ジャパンは、自治体のDX推進に貢献する一連のソリューションを提供しています。なかでも各種許認可にかかわる管理業務を支援する「Salesforce Public Sector Solutions License & Permit Management, Inspection Management(PSS LPI)」 、またシステム開発の内製化推進に役立つローコード/ノーコードアプリケーション開発基盤「Lightning Platform」、あるいは職員によるデータ活用を加速させるビジュアル分析プラットフォーム「Tableau」といった製品はすでに見てきた新潟県のDX施策の展開にも、有力なオプションを提供するものとなるはずです。

Astro

ビジネスに役立つコンテンツを定期的にお届けします