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自動車業界に学ぶ8Dレポートなどを用いた品質管理手法

自動車業界に学ぶ8Dレポートなどを用いた品質管理手法

年々厳しくなる安全対策への規制と激化する市場争いの要求にこたえるために、自動車業界ではどのような品質管理が行われているのでしょうか。今回は、8D レポート(Report)などのセールスフォースのシステムを用いた品質管理の問題解決の手法・プロセスを解説。【Salesforceブログ】

多層構造のサプライヤーに対応、自動車業界に学ぶ品質管理手法

人命を預かっているゆえに、品質管理への要求が高い自動車業界。近年自動車に関するリコールで、一つあたりの不具合が 発生するにつき、リコールしなくてはならない対象台数が増加傾向にあるのです。例えば 2000 年度は 1 件あたりのリコールにつき、対象となる台数は約 13,700 台だったのに対し、2010 年には 22,960 台、2014 年には 26,920 台*となっています。

1 件あたりのリコール対象台数が増加している背景には、各車種の部品共通化の影響があると見られています。コストダウンと開発期間短縮のために、今や多くの 車は様々な部品を共用していますが、共用部品に不具合が発生すると多くの車種に問題が起きるため、これまで以上の品質管理が求められるようになっていま す。リコールは自動車メーカーの信用低下に加え、修理対応などに莫大な費用がかかります。

*出所:国土交通省 自動車リコール届出件数及び対象台数。国産車・輸入車を合計した対象台数を発生件数で割って算出。

完成品メーカーから部品メーカーまで、不具合情報報告義務が拡大

これまで不具合情報の報告義務は、自動車の完成品を扱うメーカーと、チャイルドシートやタイヤメーカーのみでした。しかし 2015 年 6 月の法改正で、報告義務が部品メーカーにまで拡大され、国土交通省が部品メーカーに対して調査や報告指示を行えるようになりました。以前は自動車部品に問 題が発生した場合でも、国土交通省が一度自動車完成品メーカーに報告指示を出し、その後部品メーカーに完成品メーカーから問い合わせが入る形になっていた ため、情報伝達に時間がかかっていました。しかしこれからは、国土交通省が直接部品メーカーに指示を出すことができるため、リコール実施の短期化が期待さ れています。

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問題解決のための 8D プロセスの活用と課題

年々厳しくなる安全対策への規制と激化する市場争い、この二律背反する要求にこたえるために、自動車業界ではどのような品質管理が行われているのでしょうか。

フォード・モーターは問題解決のプロセスとして「8D プロセス」を考案し、これを元にして品質管理向上への取り組みを行っています。このプロセスは、自動車業界を中心に徐々にコンセプトが浸透していっている ようです。8D プロセスでは以下の 8 つ+ 1 つのプロセスを踏んで問題解決が行われていきます。

  1. 計画と前提条件、スケジュールの線引きなど
  2. チームの編成(必要なスキル、権限を持ったメンバーの招集とチームビルディング)
  3. 問題の客観的事実の詳述(5W2H、5Why などを用いた問題の詳述)
  4. 応急処置(特に顧客へのインパクトを最小限とするための応急措置)
  5. 根本的な原因解明(特性要因分析や特性要因図(石川ダイアグラム)の活用)
  6. 原因根絶及び問題解決措置の定義
  7. 対策の実施及び監視
  8. 後続品質向上措置の定義(適応した解決策の標準化)
  9. チームの祝福(チームの貢献の明文化と組織全体からの貢献度合いの認知)

問題の複雑化・高度化に対応するためのコラボレーションの必要性

問題解決の 8D プロセスは非常に有用なフレームワークですが、昨今の品質管理を取り巻く環境が厳しさを増していることもまた事実です。自動車業界をはじめとして、多くの 製造業でサプライヤー同士の関係は多重階層構造となっており、部品メーカーの先にさらに複数の部品メーカーがいて、その下にもさらに部品メーカーが……と 複雑な関係を持っています。サプライヤーをたどっていくと日本国外にたどり着くことも多々あり、トレーサビリティや部品に問題が発生した際のコミュニケー ションは大変難しくなっています。そのため、情報共有や問題の可視化を強力にバックアップする専用のコラボレーションプラットフォームは、不具合の迅速な 対応やそもそも問題を未然に防止するためにぜひとも導入を検討したいツールです。

従来型のシステムでは、複雑なサプライヤー関係に対応するためには、莫大なコストをかけたシステム開発か、ある程度機能を犠牲にして導入することも 少なくありませんでした。しかし Salesforce を活用することで、クラウドの利点を活かして、多層構造になっているサプライヤーも容易に一括管理を行うことができます。また英語をはじめとして多言語対 応しているため、海外のサプライヤーへの導入も簡単です。さらに自動車業界向けにカスタマイズされた「8D Report」の作成も行える品質改善機能も持っています。問題が発生した際のリアルタイムの情報共有と、将来的に問題を未然に防ぐためのナレッジ共有が 簡単に行えるようになります。

メーカーの品質管理への要求は高まるばかりですが、一方でその活動を強力にサポートする IT システムも日進月歩で進化しています。メーカーの品質管理に携わられている方は、ぜひ最新の IT システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

【参考文献】

  • 国土交通省 各年度のリコール届出件数及び対象台数
  • 車部品会社にも不具合情報報告義務 改正法成立:日本経済新聞(2015 年 6 月 17 日)
  • Quality-One International Discover the Value – 8D Eight Disciplines of Problem Solving

お客様成功事例:クラウド化した品質管理業務で自動車部品メーカーが挑むグローバル最高品質

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