40年後には労働力が40%減少する。そんなショッキングなニュースを聞いたことはありませんか。

これは2014年に総務省が発表した「平成26年版情報通信白書」によるもので、2013年には7,883万人であった生産年齢人口(15〜64歳の人口)が、2060年には4,418万人にまで落ち込むというもの。少し前の資料に思えるかもしれませんが、この資料では2020年の生産年齢人口を7,341万人と予測しており、ほぼ資料通りに減少しているのが現状です。(総務省の統計によると、2019年3月の15~64歳人口は7519万9千人)

IT技術の発展や業務形態の変化などもあるため一概にはいえませんが、それでも現在の業務を40%少ないリソースでこなさなければならないと考えると、戦々恐々たる思いの方も多いのではないでしょうか。この先加速の一途をたどると考えられるリソース不足に対して、企業が取るべき戦略について考えてみましょう。

 

外部リソースを有効活用する「アウトソーシング」

社内のリソース不足になったとき、解決策として真っ先に思い浮かぶのは外部委託でしょう。子会社や協力会社、業務請負会社、人材派遣会社などの外部組織から労働サービスを購入することで、これまで社内で行っていた、もしくは新しく発生した業務に対応することを指します。

従来は他の社員と同様に、同じオフィス空間の中で業務を行う形態が主流でしたが、最近は地方や海外など遠く離れた場所にいる相手に業務を発注するケースも増えてきました。ビデオ会議システムや業務共有ツールなど、ビジネス関連のITツールが一般化してきたことで、今後アウトソーシングはますます広がりを見せることになるでしょう。

アウトソーシングのメリット

1. 専門性の高い人材を有効活用できる

プロジェクトによっては、専門性の高い人材が一時的に必要になるケースも珍しくありません。一般的に人材のコストは専門性やスキルの高さに比例するため、プロジェクトのたびに新しい社員を雇用していたのではコスト増加を招くことになります。特にその人材(スキル)が必要なのが一時的であれば、アウトソーシングすることで効率的にプロジェクトを回すことができるでしょう。

2. 社内リソースを本業に集中できる

一口にリソース不足といってもさまざまで、単純労働力が必要なケースもあればプロジェクトの根幹に関わるマネジメントができる人材が必要な場合もあります。業務内容によりアウトソーシングを使い分けることで、社内のリソースを注力すべき業務に専念させることができます。

アウトソーシングのデメリット

1. 内部リソース以上のコストがかかることも

アウトソーシングは業務請負会社、人材派遣会社に支払うマージンが発生するため、社内リソースよりもコスト高になりやすい傾向にあります。特に専門性の高い人材を雇用する場合、必要な期間を踏まえたうえで、インソーシングとアウトソーシングのどちらがコスト削減につながるかをしっかりと見極める必要があります。

2. 知見やノウハウが蓄積されない

アウトソーシングは一般的に有期雇用になるため、契約期間が終了したあとはスキルや知見が企業に残りません。新しいプロジェクトに挑戦してもノウハウが蓄積されるわけではないため、社員のスキルという意味では企業力の向上につながらないことを認識しておく必要があります。

 

人材採用や社員教育による「内部リソースの強化」

労働力を外部に求めるのではなく、社内のリソースを強化するのも重要な戦略の一つです。高いスキルを持った人材を雇用したり、社員教育によりスキル向上が見込めればリソース不足を解決する一手になるでしょう。

特に最近は社内セミナーの開催やスキルアップ制度の拡充など、社員教育に注力している企業も多く、人材育成の重要性が再認識されています。ビジネススキル研修やコーチング研修などの研修サービスも活用しながら、社員一人ひとりに合った社員教育を実施していくことが重要です。

 

 

内部リソース強化のメリット

1. 現状に合わせた専門性の高い人材が登用できる

企業にとって必要な人材は、その企業がどのステージにあるかによって異なります。例えば、創業して間もない企業はとにかく業務を続ける必要があるため、開発・生産のサイクルをしっかりと回せる技術力の高い人材が欠かせません。また、成長期にある企業では業務の汎用化や組織構築に長けた人材が重宝されるでしょう。こうしたステージに合わせ適切なスキルを持った人材が採用できれば、企業の成長にとって大きな利益をもたらしてくれることになります。

2. 長期的に企業力の強化につながる

社員教育はただ従業員のスキルを向上させるだけでなく、企業力そのものの強化にもつながります。社員一人ひとりがスキルアップすれば、生産性の向上が見込めるため長期的には業績伸長につながる可能性があります。また、マネジメント層のコーチングスキルが向上すれば、社員のモチベーションを高く保つことにもつながるでしょう。こうしたサイクルが企業にもたらす影響は決して小さくありません。

内部リソース強化のデメリット

1. 短期的には即戦力人材の採用は難しい

採用活動を始めてすぐ即戦力の人材が獲得できれば理想的ですが、実際にはスムーズに進むケースはほとんどありません。スキルの水準は満たしていても条件面で合意できなかったり、業界経験はあってもスキルの方向性が異なっていたりと、企業にピタリと合う人材を探すのは至難の業です。人材の発掘には時間もコストもかかるため、長期的にじっくりと取り組む必要があります。

2. 社員教育に時間がかかる

即戦力の採用が難しければ社員を教育する方法も考えられますが、残念ながらこれも即効性のある方法とはいえません。これはその社員にもよるため一概にはいえませんが、一般的に社員育成とは少しずつ業務経験を積ませながら段階的に行っていくもの。社内セミナーを受けたからといって、翌日からスーパープレイヤーになれるわけではありません。新しい人材採用も社員教育も、すぐにリソースの強化にはつながらないことを認識しておく必要があります。

 

生産性向上を目的とした「企業のIT化」

リソース不足問題に対するソリューションの一つとして、近年注目を集めているのが企業のIT化です。一つひとつの作業をITの力で効率化できれば、過剰なマンパワーを投入することなく生産性を向上することができます。特に最近はSFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係管理)に代表されるような営業支援ツールも登場し、少ないリソースでも数多くの顧客をきめ細やかにフォローできるようになりました。

企業IT化のメリット

1. プランによっては低コストで導入可能

以前はITツールやアプリケーションといえば買い切り型が多く、導入コストが高いというイメージが強くありました。しかし、最近はサブスクリプション型のクラウドサービスが登場したことで導入コストが下がり、初めてのツールでも手軽に試すことができるようになっています。こうしたサービスの中には使える機能によりプランを分けているケースもあり、自社に必要なプランを選択することで、さらにコストを下げることもできるでしょう。

2. 従業員のスキルアップにもつながる

ビジネス関連のツールやアプリケーションはこの数年で増加の一途をたどり、すでに私たちの業務に欠かせないものとなりつつあります。この流れが今後ますます加速することは間違いなく、いずれITツールを使いこなせないと他社との競争の舞台にすら上がれない時代が来るでしょう。できるだけ早い段階でITツールを導入し使いこなすことは、社員のスキルアップにもつながるのです。

企業IT化のデメリット

1. 目的と役割を明確にしないとツール選定に失敗する

ビジネス関連のITツールにはさまざまなものがあり、それぞれ得意とする分野は異なります。例えばSFA(営業支援システム)は見込み客や案件の管理には適していますが、顧客の見込み度をはかるツールとしては必ずしもベストな選択肢とはいえません。見込み度をはかるだけならMA(マーケティング・オートメーション)のほうが、また一度契約が成立した顧客との関係管理にはCRM(顧客関係管理)のほうが適しているでしょう。IT化による効果を最大化するためには、それぞれのツールの強みをしっかりと理解して選定することが重要です。

2. ツールの習熟には一定の期間がかかる

SFAやCRM、MA、アクセス解析ツール、CMS(コンテンツマネジメントシステム)など、ビジネス関連のITツールにはさまざまなものがありますが、いずれも使いこなすためには特有の概念を理解し、用語レベルから習得していく必要があります。そのため導入してすぐに効果を期待するのは難しく、一定の習熟期間が必要となることを認識しておきましょう。場合によっては社内研修やセミナーなどを実施する必要もあるため、そのためのコストも必要となります。

 

IT化による企業力の向上は、今後避けては通れない課題に

企業が成長していくためには、優秀な人材の確保や社員教育によるスキル向上、またIT化による業務の効率化などが欠かせません。特に今後、生産年齢人口が減少しリソースが不足する時代に突入するとその傾向は顕著になるでしょう。

こちらのE-bookでは、企業をIT化することで業務はどう変わるのか、ITと人が融合することで大きな効果を発揮する11のシーンを具体的な事例とともにご紹介します。これからの時代、避けては通れないIT化を推進するための参考事例として、ぜひご一読ください。

 

 

出典:

  • 平成 26 年版情報通信白書」(総務省)
  • 「人口推計」(総務省統計局)(https://www.stat.go.jp/data/jinsui/pdf/201908.pdf)(2019年12月3日に利用)