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リテールメディアは「3.0」時代に突入。ブランドと小売業の新たな協働関係とは

今急成長しているリテールメディア。これによってブランドと小売業の関係が変わりつつあります。その背景とリテールメディアを通じた協働を支えるテクノロジーインフラのカギを、セールスフォース・ジャパンでインダストリーアドバイザーを務めるヤオ・ヤンが解説します。

Salesforce を利用すると、顧客と1対1の関係を築ことができます。

消費者から問い合わせにも迅速に対応し、消費者同士のつながりでロイヤリティを高めることもできます。

リテールメディアは2025年に世界で1500億ドル規模に

いま、リテールメディアが静かにマーケティング構造を変えています。店舗やECサイト、アプリの購買データをもとに、小売業が自ら広告枠を持ち、購買直前のショッパーにアプローチできる環境が急速に広がっています。


2000年代の店頭販促(リテールメディア1.0)、2010年代のEC上の広告事業(リテールメディア2.0)を経て、いまは“実店舗・EC・アプリ”を横断してデータを統合する「リテールメディア 3.0」の時代へと進化しています。

eMarketer(Insider Intelligence)の予測によると、世界のリテールメディア広告費は2025年に約1500億ドル(約22兆円)に達し、デジタル広告費全体の約4分の1を占める見通しです。日本でもイオン、セブン&アイ、楽天、Amazon、ファミリーマートなどが次々とメディア事業を強化しています。

この変化の中で、ブランド(メーカー)はこれまでのように「媒体に出稿する側」ではなく、小売業とデータを共有し、顧客体験を共に設計するパートナーへと進化することが求められています。


リテールメディアは、単なる販促チャネルではなく、ブランドと小売業が「どの顧客に、どの文脈で価値を届けるか」を再構築する場になりつつあります。

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ファミリーマートに見るリテールメディアの進化

日本国内でも、リテールメディアの概念は着実に広がりを見せています。中でもファミリーマートは、単なる「店頭販促メディア」を超え、多様な業界を巻き込む協働モデルを築きつつあります。

セールスフォース・ジャパンのオウンドメディア「Salesforce blog」のファミリーマート 足立光氏インタビュー記事でも語られているように、同社はリテールメディアを「広告枠」ではなく、顧客接点を共有し共通データで価値を生むプラットフォームと位置づけています。

現時点では主に消費財メーカーとの協働が中心ですが、足立氏は将来的に、こうした仕組みが金融・通信・エンターテインメントなどの他業界にも広がる可能性を示唆しています。

リテールメディアは「小売の広告事業」から「生活者データを軸にした共創エコシステム」へと発展しつつあり、ブランドにとっても、自社カテゴリを超えて顧客価値を共に創る新しい舞台となっています。

ブランドと小売の協働を促す共通言語は「データ」

リテールメディアの本質的価値は、購買データを活用できることにあります。従来、ブランド側は広告露出やクリック率、売上をそれぞれ別の指標で追っていました。


しかし、小売が保有するPOS・ID-POS・アプリデータと、ブランドが保有するCRM・キャンペーンデータを統合できれば、 “見られた”広告が“買われた”結果にどうつながったかを、共通のKPIで評価できるようになります。

これにより、ブランドと小売の関係は「発注と出稿」ではなく、 データを共通言語とした“協働チーム”へと変わります。小売は店舗・オンラインの行動データから顧客の関心を把握し、ブランドは自社のCRMデータと掛け合わせることで、「今、購買意欲の高い層」に最適なメッセージを配信できます。

この仕組みを支えるのが、データ統合基盤の「Data Cloud」です。散在するPOSデータやキャンペーン実績を一元化し、営業・マーケティング・リテール部門が同じ顧客理解に基づいて意思決定できる環境をつくります。

Data Cloudは、あらゆるエンタープライズデータに対応するインテリジェントなアクティベーションレイヤーです。

リテールメディアがもたらす新しい価値創造

リテールメディアの拡大は、広告手法の変化にとどまらず、ブランド側の組織のあり方も進化させています。

これまで別々に動いていた営業・マーケティング・トレードマーケティングの3部門が、 「小売とどう協働し、購買体験をどう設計するか」という共通テーマのもとで連携を強化し始めています。

部門役割の進化
営業チーム小売バイヤーとの価格交渉に加え、リテールメディアを活用した販促提案を担うようになる。
マーケティングチームブランド広告から購買文脈に沿ったクリエイティブ設計へと役割を拡張。
トレードマーケティングチームこれらをつなぐ“共創のハブ”として、データに基づく販促設計やROIの可視化をリードする存在へと進化。

つまりリテールメディア時代とは、広告を通じてモノを売る時代ではなく、
営業・マーケ・トレードマーケが一体となり、小売と共に価値を創る時代です。
この共創のあり方こそ、次世代トレードマーケティングの中心となっています。

Salesforceが実現する協働を支えるテクノロジー

この新しい共創モデルを実現するには、複数の部門や企業を横断したデータの可視化と共有基盤が不可欠です。

Salesforceでは、以下2つのプロダクトでそれを支えることができます。

  • Data Cloudがブランドと小売の双方のデータを安全に統合。
  • 「Consumer Goods Cloud」が営業・販促・小売提案活動をリアルタイムで連携させます。

これにより、ブランドは「誰に」「どのチャネルで」「どのタイミングに」アプローチすべきかを一元的に把握でき、小売はブランド提案の効果を数字で確認し、次の施策に反映できます。両者の協働をデータで支えることが、共創型マーケティングの基盤になります。

ブランドが主導する「共創の時代」へ

リテールメディアの拡大は、広告の形を変えただけではありません。それは、ブランドと小売が共に顧客を理解し、共に価値を生み出すための新しいエコシステムの始まりです。

これからのブランドは、リテールメディアを“出稿枠”ではなく、“共創のプラットフォーム”として活用し、データを軸に小売との信頼関係を築くことで、より持続的なブランド成長を実現していくでしょう。

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