生産性の向上やDXの実現に向けて、AIエージェントの導入をお考えの企業さまも多いでしょう。
AIエージェントにはさまざまな種類があるため、目的に合わせて適切な製品を選ぶ必要があります。
本記事では、おすすめのAIエージェント12選と活用目的、選ぶポイントを解説します。
どのようなAIエージェントがあるのかを広く知ったうえで、自社の目的に合わせて製品を絞り込みましょう。
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目次
自律型AIエージェントとは

自律型AIエージェントは、人間が細かい指示を出さなくても、AIが自律的に判断して動作するAIエージェントです。
人間による詳細な指示が必要な生成AIの進化型で、AIが自律的に判断・動作を行ないます。
たとえば、新規顧客と契約を結ぶとき、CRMから顧客情報を抽出して契約書テンプレートに自動入力するといった自律的なタスクの実行が可能です。AIの出力を確認して、問題がなければ承認依頼を出すといった流れで、担当者の業務を効率化できます。
このように、自律型AIエージェントは簡単な指示を出せば業務の流れを理解して、情報収集からデータ分析、レポート作成、コーディングなどのタスクを自律的に進めることが可能です。
なお、自律型AIエージェントとAIエージェントを厳密に区別しないことが多いため、以降はAIエージェントとして解説を進めます。
AIエージェントの詳細は以下の記事で解説しているので、あわせてご覧ください。
AIエージェントの活用目的と選ぶポイント

AIエージェントを導入する際は、活用目的に沿って適切な製品を選ぶことが大切です。
一般的なAIエージェントの活用目的と、製品を選ぶポイントを簡単に表でまとめたので、参考にしてみてください。
【AIエージェントの活用目的と製品を選ぶポイント】
| 活用目的 | 製品を選ぶポイント |
|---|---|
| 業務の自動化・効率化 | ・自動化できるフロー・対応できるタスクの範囲 |
| 営業・カスタマーサポートの支援 | ・顧客対応の精度・営業支援機能の有無 |
| データ分析・意思決定の支援 | ・データ解析の手法・意思決定支援のレポート機能 |
| 開発・プログラミングの支援 | ・自動化できる業務範囲・対応している言語 |
| コンテンツ制作の支援 | ・生成精度・マーケティングへの応用性 |
たとえば、カスタマーサポートの問い合わせ対応スピードの向上を目指す場合は、カスタマーサポートAIエージェントから探すと、目的に合致する製品が見つかりやすいはずです。カスタマーサポートAIエージェントなら、顧客からの問い合わせに対して、自然な文章を生成して対応が可能です。
ただし、対応精度が低いと顧客満足度の低下につながりかねないため、精度向上の手段や工数を確認したうえで、採算性を検討する必要があります。また、必要な機能がそろっているかどうかも重要なポイントです。
カスタマーサポートAIエージェントのように業種や職種に特化したAIエージェントだけではなく、あらゆる業務に対応できるマルチタイプのAIエージェントもあります。
そのため、複数の部門や業務を横断的に支援したい場合は、マルチタイプのAIエージェントも検討しましょう。
あらゆる業務に対応できるマルチタイプのAIエージェント

ここでは、あらゆる業務に対応できるマルチタイプのAIエージェントとして、代表的な2つの製品を紹介します。
- Agentforce
- Dify
マルチタイプのAIエージェントは、複数の部門のさまざまな業務をサポートできます。部門や業務を限定せずAIエージェントを活用したい場合は、導入を検討してみてください。
Agentforce

Salesforceが提供する「Agentforce(エージェントフォース)」は、自律的にサポートを行なうマルチタイプのAIエージェントです。特定の用途に限定されず、カスタマーサポートや営業、マーケティングなど複数の部門の幅広い業務をサポートできる柔軟性があります。
AIエージェントビルダーを使うことで、自社のニーズに合わせてAIエージェントを簡単に構築できる点も大きな特徴です。
Salesforceが提供するビジネスチャットツール「Slack」やSFA「Sales Cloud」などの各種製品からデータやナレッジを蓄え、設定したトリガーや指示にもとづいてタスクを実行します。
主な機能は次のとおりです。
| Agentforce Service Agent:顧客からの問い合わせに自然な言語で自律的に対応するAgentforce SDR:製品に関する質問への回答やアポイントの設定を自律的に行なうSales Coach:商談をロールプレイすることでセールストークや交渉を練習できるPersonal Shopper Agent:ECサイト上で買い物中の顧客に働きかけ提案やサポートを行なうCampaign Agent:マーケティングキャンペーンを自律的に構築する |
たとえば、FAQ対応やトラブルシューティングを「Agentforce」に任せることで、オペレーターの負担が軽減するとともに、対応スピードの向上につながります。その結果、オペレーターは複雑な問い合わせに集中でき、顧客満足度の向上を実現できます。
「Agentforce」の詳しい機能の説明に関しては、以下の動画をご覧ください。
▶デモ動画を見る:人材不足を解決し、労働革命をもたらす「AIエージェント」
Dify
LangGeniusが提供する「Dify(ディファイ)」は、プログラミングの知識がない人でも簡単な操作で生成AIを使ったアプリケーションを構築できるツールです。
「Dify」を使えば、さまざまなLLM(大規模言語モデル)に接続でき、業務特性に応じて適切なLLMを使ったAIエージェントを構築できます。
「Dify」を使って生み出したAIエージェントは、さまざまな業務に対応できるため、マルチタイプのAIエージェントといえるでしょう。
主な機能は次のとおりです。
| Web検索による情報収集: AIエージェントがWeb検索を活用し、ユーザーの質問に対して適切な回答を提供できるタスクの自動化: 特定の業務やニーズに合わせてエージェントをカスタマイズでき、タスクを自動処理することで業務の効率化を実現する |
たとえば、社内の情報検索や作業手順の案内を「Dify」に任せることで、従業員が必要な情報を素早く取得できるようになります。その結果、業務の効率化・迅速化が進み、生産性向上や社内の問い合わせ対応の負担を軽減可能です。
業務の自動化・効率化に特化したAIエージェント

ここでは、業務の自動化・効率化に特化したAIエージェントとして、代表的な2つの製品を紹介します。
- AutoGPT
- AgentGPT
業種や部門を限定せず、「業務の自動化を通じて人員数の不足を補いたい」「作業工数を削減したい」といった目的に適したツールです。
AutoGPT
「AutoGPT(オートジーピーティー)」は、Significant Gravitasの創設者であるToran Bruce Richardsによって開発されたオープンソースの自律型AIエージェントです。 OpenAIが提供するChat GPTに使われているLLMを利用しています。
ソフトウェア自体は無料で利用できますが、動作させるためには基盤となるOpenAIのAPI利用料が別途発生するため、注意が必要です。
最終目標を入力すると、目標達成のために必要なタスクを作成して、達成に向けて自律的にタスクを実行し、業務の自動化・効率化に貢献します。
主な機能は次のとおりです。
| タスクのスケジュール設定:事前に設定したリマインダーや期限にもとづき、手作業の介入なしでタスクを管理するデータの収集・分析と意思決定:データの収集と分析を自動化し、設定された条件にもとづいて自律的に意思決定を実行する |
たとえば、競合他社の情報収集やレポート作成を「AutoGPT」に任せることで、業務の効率化が進み、担当者はより高度な業務に集中できるようになります。
リソースを十分に割けるようになるため、現在の人員数のままで、戦略立案や意思決定の精度を向上させることが可能です。
AgentGPT
Reworkdが提供する「AgentGPT(エージェントジーピーティー)」は、ブラウザ上で自律型AIエージェントを構成・展開できるオープンソースツールです。さまざまな開発者が共有するソースコードを使って、簡単にAIエージェントを構築できます。
「AgentGPT」は目標を与えられると、タスクを考え実行し、結果から学習を重ねながら目標達成を試みます。
機能は、実際に構築されたAIエージェントによってさまざまですが、以下のような行動が可能です。
| タスクの自律実行:設定した目標にもとづいてタスクを考え、実行する学習機能:実行したタスクの結果を分析し、改善しながら目標達成を目指す |
たとえば、新しいアプリケーションの開発時に、エンジニアが基本的なコードスニペットを生成させたり、エラー修正のためのコード改善案を提案させるといった活用ができます。開発時間が短縮されることで、エンジニアの負担を軽減可能です。
営業・カスタマーサポートの支援に特化したAIエージェント

ここでは、営業・カスタマーサポートの支援に特化したAIエージェントとして、代表的な2つの製品を紹介します。
- SalesCloser AI
- LITRON Sales
「作業効率を上げて商談に集中したい」「簡単な顧客対応を自動化したい」などの目的に適したツールです。
SalesCloser AI
Wishpondが提供する「SalesCloser AI(セールスクローザーAI)」は、営業プロセスを自動化・最適化するAIエージェントです。テンプレートを活用して、自社に合わせた形にカスタマイズすることで、課題を解消できます。
主な機能は次のとおりです。
| リードエンゲージメント:24時間365日 の自動応答でリードを育成するパーソナライズされた営業デモ:顧客ごとに最適なプレゼンテーションを実施する契約締結の自動化:人間の介入なしに契約プロセスを進行するCRM統合:営業ツールと連携し、シームレスなワークフローを実現する |
たとえば、「SalesCloser AI」を活用することで、リード対応やフォローアップの手間を削減し、営業担当者は商談や戦略立案に集中できます。その結果、営業効率が向上し、売上の最大化に貢献します。
LITRON Sales
株式会社NTTデータが提供する「LITRON Sales(リトロンセールス)」は、営業・カスタマーサポートの支援に特化したAIエージェントです。データ入力作業や提案書準備、契約書・社内文書作成などのタスクを自律的に実行し、営業業務をサポートします。
| データ入力・活用: 議事録作成、SFA(営業支援システム)連携、活動記録の自動登録、データ統計・可視化を実行するアポ・提案準備: ターゲティングの自動化、経営課題分析、提案書作成を支援する営業力強化・指導: 営業トレーニング、レビュー・アドバイス、商談資料作成を支援し、営業スキルの向上を促進する営業事務処理機能: タスク管理の自動化、契約書作成・チェック、社内文書作成を効率化する |
たとえば、商談後の議事録作成をLITRON Salesに任せることで、会話内容を自動でテキストに起こし、SFAに反映できます。手作業が削減されることで、担当者は次の商談準備や顧客対応に集中可能です。
データ分析・意思決定の支援に特化したAIエージェント

ここでは、データ分析・意思決定をの支援に特化したAIエージェントトとして、代表的な2つの製品を紹介します。
- Fujitsu Kozuchi AI Agent
- Google Agentspace
「データ分析の専門家が社内にいない」「データにもとづく意思決定を促進したい」などの課題解消につながるツールです。
Fujitsu Kozuchi AI Agent
富士通株式会社が提供する「Fujitsu Kozuchi AI Agent(富士通コズチAIエージェント)」は、企業の生産性向上と創造性の拡張をサポートするクラウドベースのAIプロダクトサービスです。データドリブンな意思決定を強化し、幅広い業務を支援できます。
主な機能は次のとおりです。
| 予測AI:未来のトレンドを分析し、最適な意思決定をサポートするデータ統合・解析:大規模データの統合と高度な分析を実施する生成AI:レポート作成や文章生成などの業務を自動化するAIの安全性・信頼性:企業利用に適したセキュリティとガバナンスを提供する |
たとえば、会議中に「2024年の気象データ」という発言が出たら、複数のAIを使ってデータ分析を行ない、気象データを示します。また、データを提示するだけではなく、データの分析結果を自然な言語で提示するため、疑問を残さず会議を進行可能です。
このように、「Fujitsu Kozuchi AI Agent」の活用が、意思決定の迅速化と業務効率の向上を促進します。
Google Agentspace
Googleが提供する「Google Agentspace(グーグルエージェントスペース)」は、企業におけるデータのサイロ化を解消し、データ分析・意思決定を支援するAIエージェントです。
組織内のすべてのデータやアプリケーション、Googleを通じたインターネット上の最新情報にアクセスすることで、データにもとづく意思決定を促進します。
| アプリケーション連携:企業でよく使用されるアプリケーションとの既成コネクタを活用し、データを統合するリアルタイム知識検索:インターネット上の最新情報を収集し、意思決定に必要なデータを提供する |
たとえば、市場データの分析を「Google Agentspace」に任せることで、社内外のデータをもとにしたリアルタイムの解析が可能です。データの収集や分析の手間が省けるため、意思決定の迅速化と業務の最適化を実現できます。
開発・プログラミングの支援に特化したAIエージェント

ここでは、開発・プログラミングの支援に特化したAIエージェントとして、代表的な2つの製品を紹介します。
- Devin【無料】
- Cline【無料】
「エンジニアの作業負担を軽減したい」「開発を迅速化したい」などの目的に適したツールです。
Devin【無料】
Cognition AIが提供する「Devin(デヴィン)」は、開発・プログラミングの支援に特化したAIエージェントです。単純作業から大規模なコードリファクタリングまで、幅広い業務をサポートできます。
主な機能は次のとおりです。
| 自律的なコードリファクタリング:大規模なコードベースを解析し、最適な修正を自動で提案するエンジニアのコラボレーション支援:自然言語での指示に対応し、タスク進行を共有するエラー検出・修正:シェル環境でコードをテストし、自動でエラーを修正する新規プロジェクトのセットアップ:リポジトリのクローン、依存関係の設定、サンプルアプリの構築をサポートする |
たとえば、「Devin」にコードのリファクタリングを任せることで、大規模なコードの改修を短期間で実施し、開発の効率化とコスト削減を実現できます。
Cline【無料】
Microsoftが提供する「Cline(クライン)」は、開発・プログラミングの支援に特化したAIエージェントで、Visual Studio Code(VS Code)に対応した拡張機能です。コード生成やエラー修正、プロジェクト管理、ターミナル操作などをサポートします。
主な機能は次のとおりです。
| コードの作成・編集:ファイルの新規作成、修正、エラーの検出・修正を自動化するターミナルコマンドの実行:開発環境でのコマンド操作をAIが支援し、ビルド・デプロイを効率化するブラウザ操作の自動化:Web開発時にサイトを解析し、エラーやUIの問題を特定・修正する |
たとえば、「Cline」を使ってVS Code上でコードの修正を行ない、ターミナルからビルドやデプロイを自動化することで、エンジニアの負担を軽減し、開発スピードを向上させることが可能です。
コンテンツ制作の支援機能があるAIエージェント

ここでは、コンテンツ制作の支援に役立つ機能を持つAIエージェントとして、代表的な2つの製品を紹介します。
- Jasper AI
- JAPAN AI AGENT
「コストをかけずナレッジ記事を作成したい」「多様なデザインのラフが欲しい」などの目的に適したツールです。
Jasper AI
「Jasper AI(ジャスパーAI)」は、マーケティングに関連したコンテンツ制作を支援できるAIエージェントです。広告コピーやブログ記事、SNS投稿などのコンテンツを効率的に生成できます。
主な機能は次のとおりです。
| コンテンツ生成の自動化:ブログ記事、ランディングページ、SNS投稿などを自動で生成するブランドボイスの最適化:企業のトーンやスタイルを統一し、一貫性のあるコンテンツを提供するコンテンツの多様化:生成した記事を異なるフォーマット(記事、動画スクリプト、ポッドキャストなど)へ変換する |
たとえば、企業のマーケティングチームは「製品の新機能紹介記事」や「キャンペーン告知のSNS投稿」を数分で作成できるため、作業負担を大幅に削減できます。
その結果、マーケティング部門のリソースが最適化され、より顧客に寄り添った戦略の立案に時間を割くことが可能です。
JAPAN AI AGENT
JAPAN AI株式会社が提供する「JAPAN AI AGENT(ジャパンAIエージェント)」は、市場調査、画像生成、動画作成、ライティング支援など、多様なコンテンツ作成をサポートするAIエージェントです。
主な機能は次のとおりです。
| 画像生成:広告バナーやSNS投稿用の画像を自動作成する動画生成:マーケティングやプレゼン用の映像を作成する記事・LP作成:高品質なブログ記事やランディングページのコンテンツを生成する営業提案資料作成:営業データをもとに自動で提案資料を作成する |
たとえば、「JAPAN AI AGENT」を活用することで、企業はSNS投稿や記事作成、動画コンテンツの制作を短時間で行えるようになり、マーケティング業務の負担を軽減できます。
AIエージェントの活用事例

富士通株式会社は、サポート対象範囲の拡大に伴い、問い合わせ数の増加とオペレーターの負担が課題 となっていました。オペレーターを緊急度や難易度の高い問い合わせへ集中させるために、AIエージェントによる業務支援が必要だったのです。
そこで、富士通SalesforceサポートデスクにSalesforceのAIエージェント「Agentforce」 を導入。その結果、従来8回もやり取りが必要だった問い合わせに対して、1回で解決できるといった成果が見られました。
これにより、従来の課題が解消され、顧客対応の迅速化や顧客満足度の向上が期待できます。
参考:富士通のSalesforceサポートデスク対応にAgentforceを採用 AIエージェントの支援によるハイブリッドな労働力で顧客満足度を向上
まとめ:AIエージェントを導入して企業の成長を加速させよう

AIエージェントは、あらかじめ設定したトリガーや簡単に指示に従って自律的にタスクを実行できるAIです。そのため、さまざまな業種や部門の業務効率化に活用できます。
AIエージェントには、多様な使い方ができるマルチタイプや、業種や部門に特化したタイプなどさまざまな種類があるため、自社に合った製品を見極めることが大切です。
AIエージェントの導入目的や解消したい課題を整理したうえで、製品を絞り込みましょう。
社内全体の業務効率化を統一した製品で進めたい場合は、マルチタイプのAIエージェントがおすすめです。
「Agentforce」なら、目的に合わせてAIエージェントを構築できるため、あらゆる業務や部門の業務に対応できます。使い方の提案からサポートいたしますので、気軽にお問い合わせください。
また、AIエージェントのほかにも、生産性の向上に役立つツールはさまざまあります。以下の資料では、生産性の向上につながるAI活用のコツを解説しているので、あわせてご覧ください。
AIを活用して業務の生産性を向上させる資料3点セット
AIを活用して業務の生産性を向上させたい方に向けて、すぐに活用できるヒントをまとめた資料をご用意いたしました。ビジネスにおけるAIの活用方法を幅広く知りたい方は、ぜひご覧ください。












