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【連載:Salesforce営業組織の今を知る】テレアポではない本質を追求した業務のかたち

【連載:Salesforce営業組織の今を知る】テレアポではない本質を追求した業務のかたち

世界最高レベルのパフォーマンスを誇るSalesforceのインサイドセールス。その現場でSenior BDRとして活躍中の宮原 奈央が、インサイドセールスの極意を明かします。

シリーズ: Salesforce営業組織の今を知る #1-2 Salesforceのインサイドセールスとは?テレアポではない本質を追求した業務のかたち

こんにちは、セールスフォース・ドットコム(以下、Salesforce)にて、セールスディベロップメント本部でBDRを務めている宮原奈央です。BDRとはBusiness Development Representativeの略称で、お客さまの新規開拓を行うアウトバウンド型インサイドセールスチームのことです。私はそのチームの一員としての業務に併せて、SeniorBDRとしてメンバーの立ち上がりフォローにおけるプロジェクトや、マネージャーと連携したチームのマネジメント、ウェビナーへの登壇など、組織全体に貢献する活動も行っています。今回はその経験をもとに、インサイドセールスで最大限に成果を上げるための極意についてご紹介いたします。

Salesforceが誇るインサイドセールス部門の特徴とは

Salesforceのインサイドセールス部門は、常に成果を出し続けることのできる土壌が整っています。

その大きな特徴は、前回の「Salesforceのインサイドセールスを知り尽くした人」でも登場したSalesforceの「The Model」に則って日々の活動を展開している点です。

インサイドセールスや外勤営業の部門は、自身や自身が属する組織のみのKPIに付随する数字(目先の目標値や見込み顧客にアプローチした件数など)を追い求めがちです。それに対して、The Modelに則った当社のセールス活動では、マーケティング、インサイドセールス、外勤営業、カスタマーサクセスの各部門が共通のKPIを持ち、お客さまの成功を第一に考えた提案を行うため、精度の高い連携体制があり、ステークホルダー全員の意識がブレることなく、達成を目指すことができています。そうした、お客さま目線でありながら受注の意識を強く持ったインサイドセールス組織は、他にはなかなか例を見ないものだと自負しています。

そしてもう一つ、「V2MOM」の手法によって組織の意思統一を徹底して図っている点も、私たちの特色です。

V2MOMとは「ビジョン(Vision)」「価値(Values)」「方法(Methods)」「障害(Obstacles)」「基準(Measures)」の頭文字をとった言葉で、この手法の原点には「成功の基盤は、継続的なコミュニケーションと、完全な意思統一である」という、マーク・ベニオフ(Salesforce会長兼CEO)の考え方があります。

図1:Salesforceが掲げるV2MOM。すべての行動基盤となっている

当社すべての部門・部署・従業員がV2MOMを毎年作成し、それぞれの目標を設定しています。これによって組織の意思統一は、インサイドセールスの現場でも実践され、引いては「The Model」にも通じています。

Salesforceのインサイドセールス部門が強い理由① 「Why You Now」の明確化

「Salesforceのインサイドセールスは、なぜハイパフォーマンスなのか。なぜ強いのか?」─ こうしたご質問をいただくことがよくあります。

その理由を一言で説明するのは難しいのですが、まず言えるのは「Why You Now(なぜ、あなたに、いま?)」が明確にできていることです。

例えば、私たちがアポイントを獲得する際には、お客さまの課題に関する情報を聞き取り、お客さまにとって「いま、何が必要か」を明確にします。それに対する提案や当日のテーマを、お客さまと合意し、外勤営業に余すことなく引き継いでいきます。

このようにして「Why You Now(なぜ、あなたに、いま?)」を明確にすることで、初回商談では、お客さまにとって有益な内容をお届けすることができます。外勤営業に共有される情報は、商談に関する基本情報だけではありません。お客さまの課題の分析結果や、課題の解決方法、その方法に対する客観的な評価データなどが、インサイドセールスと外勤営業との間で共有され、双方がお客さまの課題を正しく理解し、具体的な戦略を持って初回商談に臨むことができるため、お客さまは解決手段を見い出せ、我々はスピード感を持って案件を推進させることができます。

Salesforceのインサイドセールス部門が強い理由② お客さまとの徹底したコミュニケーション

弊社のインサイドセールス部門では、コネクトした案件を商談化させるべきか見極めた上でアポイントを獲得した段階を「01」とし、その案件化が決まる(課題を特定ができ、顧客のニーズを把握し合意する)と「02」の段階へとフェーズアップすると定めています。

図2:アポイント獲得の「01」から案件化の「02」、そして受注成約完了まで salesforce内で共通認識として定められているフェーズ定義

「01」から「02」に進む案件を増やすためには、インサイドセールスがどれだけお客さまの課題やニーズを引き出せているか、課題の解決策をしっかりと提示できているかがカギとなります。言い換えれば、単にアポイントの件数を稼ぐのではなく、商談につながるアポイントを獲得するために、お客さまとのコミュニケーションを徹底して行い、お客さまへの理解を深めることが大切であるということです。また、そこにインサイドセールスがマーケティングと外勤営業の間に介在する価値があります。

私はその価値を「インサイドセールスの介在価値」と呼んでいます。そして、弊社のインサイドセールス部門の強さは、部門の誰もが、その介在価値を高めることに力を注いでいることにもあると言えます。

Salesforceのインサイドセールス部門が強い理由③ プロセスとデータのオープンな情報共有

もう一つ、弊社のインサイドセールス部門の強さを生んでいるのがSalesforceを使ったオープンな情報共有です。各種ダッシュボードを通じて、インサイドセールス、マーケティング、外勤営業、カスタマーサクセスの各部門・各部署の実績データから、各個人の成果に至るまで、仕事に関連するあらゆる情報が可視化されています。

このデータドリブンな環境を活用することで、さまざまな軸でインサイトを得ることができます。

例えば、自分に関することであれば、営業プロセスごとの目標とその達成度を簡単に把握できます。

図3:Salesforceのインサイドセールスが活用する個人のダッシュボードの例

定められたKPIに対して、pipelineやアポイント獲得件数などの当月の進捗がどのように推移しているのか、その状況に対して獲得できている残商談で達成できる見込みがあるのか、もし補填しなければならないと判断できた場合は、単にアポイント獲得率を上げるためにアクティビティーを増加させるだけでよいのか、それとも同時並行で案件のフェースアップを意識し、前に進むためのフォローにリソースを投下した方が良いのか、そして、当月の状況が来月に継承されるとしたら来月に向けてどんな案件を何件用意しておく必要があるのか、など、可視化された情報を元に達成までのシナリオ明確に描き、自身の活動をコントロールすることができます。

このように、今日、明日、これからの一週間、さらには翌月、四半期、半期、年間で何をしなくてはならないかを明確にできます。同様のダッシュボードは自身が属するチームや組織単位でも存在しており、個人はもちろん、チームとして達成するためにどのような協力の元で自身がパフォーマンスを上げるべきかを可視化できる体制にもあります。

さらには、Monthlyの指標を、様々な軸(Activityや案件化商談の獲得率 等)による自身の前月の結果や過去数ヶ月の傾向値から、毎月逆算の上でFunnel管理を行い、達成へのPlanningも徹底的に行います。

図4:個人の傾向値分析ダッシュボード
図5:個人のKPI達成に向けたFunnel管理の図

このように弊社ではインサイドセールスしかり、全組織で、Salesforceの一元化により「課題の特定」を容易に行えるため、解決に向けて何をすべきか思案することに時間をかけることができるのです。

Salesforceって何がすごいの?

営業、サービス、マーケティングやITにSalesforceはさまざまな効果を発揮します。あなたの業務にも。

インサイドセールスでの行き詰まり、停滞の解消法

インサイドセールスを行っていると案件で行き詰ることもあります。

例えば、先に触れた「02」の段階に進んだにもかかわらず、その案件に1カ月以上何の進展も見られないことがあります。

そのような場合には、Salesforceから自動的にアラートが発せられますが、アラートを受け取った際には、案件が止まっている理由を突き止めて、どうすればその問題が解決できるかを検討しなければなりません。

相当な時間を要するような問題が発生していたとしても、弊社の場合は、Salesforceから必要な情報をすぐに集められるため、情報を探したり加工したりする手間もなく解決策の検討がスムーズです。

例えば、案件を担当する外勤営業の動きや、その外勤営業とお客さまとのコミュニケーションの履歴などをすぐに調べて、そこにある問題を確認できます(図2)。また、案件が止まっているお客さまと同じ業界の案件を調べ、成果を上げているものを参考にするのも簡単です。

このほか、「Chatter」や「Slack」「Quip」などのコミュニケーションツールを使って上司や同僚に相談をもちかけ意見を聞いたり、インサイドセールスと外勤営業間で戦略の共有を行っています。私のチームの場合、案件毎にSlackチャンネルを作り、適宜関係者を巻き込み、そこにセールス活動に役立ちそうな情報を自由に書き込んでもらっています。

特に大手のお客さまの場合、弊社がアプローチする部署が多数になり、システム導入の意思決定者も複数になるのが通常です。そこで、お客さまの会社のパワーチャート(組織図のようなもの)を作り、そこにインサイドセールスと外勤営業、双方のアプローチ状況やコンタクト履歴を書き込んで、現状と今後アプローチをしなければならない先を可視化し、あまりコンタクトが取れていない部署やご担当の方と接点を持つための戦略を練ることも行います。

図6:Quip内で構成されたパワーチャート内での インサイドセールスと外勤営業の戦略的なコミュニケーション

こうしたコラボレーションの取り組みにより、インサイドセールスと外勤営業の両者から戦略の発案がなされ、週1回のペースで行われる1on1でアプローチ方針の認識が擦り合わさり、両者が常に同じ目線で営業活動に尽力できるようになります。これは、インサイドセールスと外勤営業が共通のKPIを持ち、互いの目標の達成には相互の協力やそれぞれの成功が不可欠であるという意識と環境があることから成り立ちます。そのため、部門間の心理的な垣根もまったくなく、日々前向きな意見が飛び交っています。

Salesforceで開かれたナレッジが組織を育てる

Salesforceには、案件に関する記録を可能な限り多く残しておくという習慣があります。しかも、これらの記録のすべてがSalesforceで一元管理されています。例えば、インサイドセールスが案件を獲得した際に、お客さまからヒアリングした内容を外勤営業へ共有する「ピッチメモ」も、Salesforce上で長年にわたって運用されています。

このように仕事に関係する情報がSalesforceに全てまとめられているので、必要な情報を探し当てる手間はほとんどかからず、他者の成功体験から自分の仕事に役立つヒントも得られます。

Salesforce、それに連携したChatterやSlack、Quipなどのおかげで、インサイドセールス部門では、ほぼリモートで各自の仕事をこなし、部門を跨いだコミュニケーションやコラボレーションも問題なく行えています。

Salesforceを使った高効率なインサイドセールス運営にご興味がある方は、ぜひ、資料をダウンロードの上、参考にしていただければと思います。

次回は「Salesforceのインサイドセールスが実践するヒアリング術」をお届けします。是非そちらも読んでみてください。

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合わせて読みたい!【シリーズ: Salesforce営業組織の今を知る】

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#1-1 Salesforceのインサイドセールスを知り尽くした人

#1-2 Salesforceのインサイドセールスとは?テレアポではない本質を追求した業務のかたち

#1-3 最初の1分が勝負。Salesforceのインサイドセールスが実践するヒアリング術

#1-4 オンライン時代での社員オンボーディング秘話~トップパフォーマーを育てる育成方法とは?~

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