リーダーシップとは、組織や集団の目標達成に向けて、メンバーに影響を与え、導く能力のことです。ただし、単に命令を下すのがリーダーの役割ではありません。
明確な目標と方向性を示してメンバーに共有したり、メンバーの意見に耳を傾けて適切なフィードバックを提供したりして、信頼関係を構築することもリーダーにとって重要な役割です。本記事では、リーダーシップの概要からマネジメントとの違い、リーダーシップの種類、リーダーシップを発揮する人の特徴などを詳しく解説します。
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目次
リーダーシップとは

リーダーシップとは、組織やチームの目標達成に向けて、メンバー一人ひとりの意欲を引き出し、適切な方向へと導けるようにリーダーが影響を与えることです。
効果的なリーダーシップを発揮するためには、自身の理念や価値観にもとづいた明確なビジョンをもち、それをメンバーと共有することが重要です。また、そのビジョンの実現に向けて、適切な実行体制を構築し、チームメンバーの成長をサポートしながら、直面する課題や障害を解決していく必要があります。
現代のビジネス環境では、市場の急速な変化や多様な価値観をもつメンバーの増加により、より柔軟で包括的なリーダーシップが求められています。リーダーには明確なコミュニケーション能力や的確な決断力、状況に応じた柔軟性、そして高い倫理観が不可欠です。これらの要素を適切に組み合わせ実践することで、組織の持続的な成功につながります。
リーダーシップとチームマネジメントの違い
組織運営において、リーダーシップとマネジメントは異なる役割を果たしています。リーダーシップは、メンバー各々が目指すべき方向性を明確に理解し、自発的に行動できるように環境を整え、必要に応じて業務改革・組織改革を行います。一方、マネジメントは具体的な目標達成のために、ヒト・モノ・カネといった実務的な管理機能を担うのです。
具体例として、新規事業の立ち上げの場面を考えてみましょう。リーダーは「3年後に業界トップシェアを獲得する」というビジョンを掲げ、チームの意欲を高めます。一方、マネージャーはそのビジョンを実現するために、月次の売上目標設定や必要な人材の採用計画、競合分析などの具体的な施策を展開していきます。また、プロジェクトの進捗管理やリスク対策の立案、業務効率化のための施策実施なども、マネジメントの重要な役割です。
リーダーシップの考え方のひとつ「PM理論」
PM理論はリーダーシップに関する理論のひとつで、1966年に日本の社会心理学者、三隅二不二によって提唱された考え方です。この理論は、リーダーがもつべき2つの主要な機能、「P機能(目標達成機能)」と「M機能(集団維持機能)」にもとづいています。
- P機能(Performance function):
リーダーが目標を達成するために必要な行動や能力のこと。具体的には、成果を出すための計画立案や実行、問題解決能力など。 - M機能(Maintenance function):
チームや組織のメンバーとの関係を維持し、良好なコミュニケーションを促進するための行動のこと。メンバーのモチベーションを高めたり、チームの結束を強化する役割を果たす。
効果的なリーダーシップを発揮するためには、これら2つの機能をバランスよく実践することが重要とされています。
6種類のリーダーシップのスタイル

リーダーシップには以下の6つのスタイルが存在しており、状況や組織の特性に応じて適切なアプローチを選択することが重要です。
- ビジョン型リーダーシップ
- コーチング型リーダーシップ
- 関係重視型リーダーシップ
- 民主型リーダーシップ
- ペースセッター型リーダーシップ
- 強制型リーダーシップ
それぞれ詳しく解説します。
ビジョン型リーダーシップ
ビジョン型リーダーシップは、組織の将来像を明確に描き、そのビジョンを通じてメンバーのモチベーションを高めていくリーダーのスタイルです。このスタイルのリーダーは、常に前向きな姿勢で組織の理想的な未来像を語り、メンバー一人ひとりがその実現に向けて自発的に行動できるよう働きかけます。
たとえば、新規プロジェクトの立ち上げ時には「3年後には業界をリードする革新的なサービスを提供している」といったビジョンを示し、そこに至るまでの道筋をメンバーとともに描いていきます。このアプローチは特に、変革期にある組織や新規事業の立ち上げ時に効果を発揮します。
コーチング型リーダーシップ
コーチング型リーダーシップでは、メンバー一人ひとりの個性や成長に重点を置きながら、組織全体の目標達成を目指します。このスタイルのリーダーは、定期的な1on1ミーティングを通じて各メンバーの課題や目標を把握し、その達成に向けた具体的なアドバイスを行います。
とくに若手社員が多い組織や、メンバーの能力開発が重要な組織において、このアプローチは高い効果を発揮します。
関係重視型リーダーシップ
関係重視型リーダーシップは、リーダーとメンバー、さらにはメンバー同士の関係性を重視するリーダーシップスタイルです。このスタイルでは、リーダーがメンバーと同じ目線で仕事に取り組むことで信頼を築き、チームの人間関係を良好に保ちながら目標達成を目指します。
リーダーは、メンバー一人ひとりの意見や感情を尊重し、チーム内の調和を保つことを重視します。これにより、メンバーは安心して意見を述べたり、協力し合ったりでき、結果としてチーム全体の生産性向上を目指せるのです。
民主型リーダーシップ
民主型リーダーシップは、リーダーがチームメンバー全員の意見を尊重し、意思決定プロセスに参加させるスタイルです。このリーダーシップスタイルでは、メンバーが自分の意見や提案を自由に表現できる環境が整えられ、組織内での協力やチームワークが促進されます。
このアプローチにより、メンバーは自分の意見が組織の意思決定に反映されていると実感でき、高いモチベーションを維持できます。また、あらゆる角度からアイデアが生まれる可能性があり、より質の高い意思決定が期待できるのです。
ペースセッター型リーダーシップ
ペースセッター型リーダーシップは、リーダーが自ら高いパフォーマンスを示し、メンバーにその姿を見せることで、チーム全体のパフォーマンス向上を図るスタイルです。このリーダーシップスタイルは、とくに成長意欲のあるメンバーが集まっている場合に効果的で、高い目標を設定して率先垂範することが求められます。
ただし、リーダーの基準が高すぎる場合、メンバーに過度なストレスを与える可能性があるため、基準レベルや目標は事前に共有し納得してもらうことが大切です。
強制型リーダーシップ
強制型リーダーシップは、リーダーがすべての意思決定を行い、メンバーはその指示にしたがって行動するスタイルです。緊急時や危機的状況において、迅速な意思決定と行動が求められる場面で効果を発揮します。
たとえば、災害時の対応や期限が切迫したプロジェクトの立て直しなど、状況によっては有効なアプローチとなります。しかし、長期的な運用においては、メンバーの自主性や創造性が失われる可能性があることに注意が必要です。
組織においてリーダーシップが必要とされる理由

近年のビジネス環境において、管理職やリーダーポジション以外のメンバーにもリーダーシップが求められるようになっています。
その背景には、ビジネス環境の急速な変化や、組織における多様性の推進が大きく影響しています。多様性は、新しいアイデアの創出や革新的な解決策の発見につながる一方で、従来型の一方的なリーダーシップでは組織をまとめることが困難になっているのです。
このような状況下で組織の力を最大限に引き出すためには、メンバー一人ひとりがリーダーシップを発揮し、相互に刺激し合いながら成長していくことが重要です。経済産業省の「未来人材ビジョン」でも指摘されているように、多様性はイノベーション創出の重要な要素となっています。(※)実際に、経営層の多様性が高い企業では、イノベーションによる売上高の割合が高いという調査結果も出ているのです。
このことからも、多様性のあるリーダーはもちろん、リーダーが多様性のある人材と協力して組織を作り上げていくことが大切であると考えられます。
(※)出典:経済産業省 未来人材ビジョン
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リーダーシップを発揮できる人の7つの特徴

リーダーシップを発揮できる人材には、以下のような特徴があります。
- 高いコミュニケーション能力を有している
- 自ら模範となって行動できる
- 強い精神力がある
- 決断力とやり遂げる力がある
- 誠実で相手を思いやる力がある
- 信頼関係を構築するのが得意
- 発想力に長けている
それぞれ詳しく解説します。
高いコミュニケーション能力を有している
リーダーシップの基盤となるのが、高いコミュニケーション能力です。自分の考えや思いを的確に伝えるだけでなく、メンバーの意見や感情を適切に理解する双方向のコミュニケーションを取ることが求められます。
たとえば、重要な方針変更を伝える際には、その背景や目的を明確に説明し、メンバーからの質問や懸念に丁寧に応えることで、チーム全体の理解と協力を得られます。また、日常的な対話を通じてメンバーの状況を把握し、適切にサポートすることが重要です。
自ら模範となって行動できる
頼られるリーダーは、常に自らの行動で組織の方向性を示します。たとえば、新しい取り組みをはじめる際には、リーダー自身が率先して挑戦する姿勢を見せることで、メンバーの行動変容を促せるでしょう。
また、困難な状況に直面した際も、前向きな姿勢で課題に取り組む姿を見せることで、チーム全体の士気を高められます。リーダーの行動は、組織の文化や価値観を形作る重要な要素となります。
強い精神力がある
リーダーシップを持続的に発揮するためには、強い精神力が欠かせません。日々変化する経営環境や予期せぬ課題に直面しても、冷静さを保ちながら適切な判断を下す必要があります。
重要なのは、批判や反対意見に直面した際の対応です。建設的な意見は真摯に受け止め、必要に応じて方針を修正する柔軟性をもちながら、組織としての一貫性も保つ必要があります。このバランスを取るには、強い精神力が求められます。
決断力とやり遂げる力がある
リーダーには、状況を的確に判断し、迅速に意思決定を下す能力が求められます。さまざまな選択肢のなかから最適な方向性を見出し、その実現に向けて組織を導いていく必要があります。
たとえば、新規事業の立ち上げ時には、限られた情報のなかで投資判断を行い、その決定に責任をもって取り組む姿勢が重要です。また、予期せぬ障害に直面しても、目標達成に向けて粘り強く取り組む実行力も必要不可欠です。
誠実で相手を思いやる力がある
リーダーシップには、誠実さと思いやりの心も大切です。約束を守り、正直に対応することは、メンバーからの信頼を獲得する上で不可欠な要素です。
困難な状況下でも責任逃れをせず、メンバーとともに解決策を模索する姿勢が求められます。また、個々のメンバーの状況や感情に配慮しながら、適切なサポートを提供することで、チーム全体の力を最大限に引き出せます。
信頼関係を構築するのが得意
効果的なリーダーシップの発揮には、メンバーとの強い信頼関係が不可欠です。この信頼関係は、日々の誠実な対応や、一貫した行動を通じて徐々に構築されていきます。
具体的には、メンバーの意見に真摯に耳を傾け、適切なフィードバックを提供することや、困難な状況でも率直なコミュニケーションを維持することが重要です。また、個々のメンバーの成長をサポートし、その成果を適切に評価することも信頼関係構築の重要な要素となります。
発想力に長けている
組織を新たな方向へ導くためには、革新的なアイデアを生み出す発想力が必要です。市場環境の変化や技術革新を的確に捉え、組織の成長につながる新たな機会を見出す能力が求められます。
たとえば、既存の業務プロセスの改善や新規事業の立案においては、従来の枠組みにとらわれない柔軟な発想で新たな価値を創造することが重要です。また、メンバーのアイデアを積極的に取り入れ、それを発展させていく力も求められます。
リーダーシップを効果的に発揮するにはAIツールの活用がおすすめ

現代のビジネス環境において、リーダーは多岐にわたる業務と責任を担っています。メンバーとの密なコミュニケーションを取りたいと考えていても、日々の業務に追われ、十分な時間を確保できないことが少なくありません。また、重要な意思決定を行う際には、できるだけ正確な情報にもとづいた判断が求められます。
このような課題を解決するひとつの手段として、日々の業務を効率化して営業の成果向上に役立てられる営業支援ツールの導入がおすすめです。
たとえば、Salesforceの「Sales Cloud」は、過去の商談データや顧客とのコミュニケーション履歴を一元管理し、営業活動の効率化と成果向上を支援します。また、SalesforceのAI「Einstein」を搭載しており、顧客とのやり取りを分析し、重要なインサイトを抽出することで、商談の進め方や価格設定などの戦略立案をサポートします。さらに、AI予測機能により、優先的に取り組むべき案件の特定や、成約率を高めるための効果的なアプローチ方法の提案も可能です。
このような支援ツールやAIツールを活用することで、リーダーとして組織やチームの目標達成に向けて、より効果的にメンバーを導けるでしょう。
関連記事:【Salesforce Einstein】Salesforceが開発するAI、Einstein(アインシュタイン)ってなんだ?
リーダーシップを発揮してチームの目標達成を実現しよう

リーダーシップは、組織の成長や事業の成功に不可欠な要素です。単なる指示や命令ではなく、各メンバーの能力を最大限に引き出し、組織全体として高いパフォーマンスを実現することが求められます。
効果的なリーダーシップの発揮には、高いコミュニケーション能力や決断力、強い精神力など、さまざまな要素が必要です。また、組織の状況や目的に応じて、適切なリーダーシップスタイルの選択と実践も求められます。
リーダーシップは日々の実践を通じて磨かれていく能力です。本記事で紹介した知識や技術を参考に、自身のリーダーシップスタイルを確立し、組織の成功に向けて積極的に取り組んでいきましょう。
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