Key Takeaways
ビジネスの現場では、取引先情報や案件ステータスといった構造化データだけでなく、提案書や見積書、契約書、証跡書類などの非構造化データの活用も欠かせません。
Boxは、非構造化データを中心とした企業のコンテンツを安全に一元管理するプラットフォームを提供。この分野のリーディングカンパニーですが、AIの進化によって「非構造化データをより活用できる環境」が整い、その存在感が増しています。
今回、Salesforceが展開するAIエージェントのマーケットプレイスでありパートナーとのエコシスステムでもある「AgentExchange」に参画しました。その理由と狙いをBox Japanの安達徹也・上席執行役員パートナー営業本部長兼アライアンス・事業開発部部長に聞きました。
“コラボレーション”の特徴を生かし利用企業は2万社超
──2013年に日本法人を立ち上げてから順調にビジネスが推移しています。安達さんは約10年前にBox Japanに入社し、その道程をほぼ経験してきていますが、振り返ってどのように感じていますか。
安達: おかげさまで、現在約2万2000社・団体のお客様に利用をいただいており、中でも大企業のお客様が多く、日経225のうち85%に採用いただいています。販売形態としては100%パートナーを経由した間接販売で、パートナーの数もこの10年で飛躍的に増えました。

株式会社Box Japan 上席執行役員パートナー営業本部長兼アライアンス・事業開発部部長
1995年から国内通信会社でネットワークサービスの企画・開発・協業などに従事。2009年から日本ベリサイン/シマンテックにてセキュリティ製品のプロダクトマーケティングなどを担当。2015年からはBox Japanで事業開発責任者としてアライアンス、製品連携パートナーの開拓、パートナーシップ強化を推進し、2020年からチャネル営業本部の責任者を兼務。
──確かに業種や企業規模に問わず広く使われているイメージがあります。
Boxが“コラボレーション”で使われることがその理由として大きいと思います。
まず前提として、企業はファイルやデータ管理においてとても高いセキュリティレベルをお求めです。Boxは、操作性や先進技術を取り込むスピードも強みですが、高い信頼性も武器。コンテンツのライフサイクル全体で、マルウェア検出や保存期間管理、記録管理、きめ細かな権限管理など、エンタープライズレベルのセキュリティを提供しています。
そのうえで、コンテンツを自社内だけでなく外部の企業や人と共有しようとした時、その相手も自然とBoxを利用していただくことになります。社内外で取引する機会が増えるなか、1社の大企業に導入いただければ、その取引相手にもBoxを知っていただく機会が生まれる。「お客様がお客様を呼ぶ仕組み」がありがたいことに構築できているわけです。
──安達さんが在籍しているこの約10年で、Boxはどのように進化してきましたか。
この10年間で取り組んできたのは、散在するコンテンツの一元化と、それに伴う利便性の向上とセキュリティ・ガバナンスの強化です。
そこに、最近ではAIが急速な進化要因として加わってきました。Boxは自社LLMを持つのではなく、LLMを提供している複数の企業と連携しながら、Box内コンテンツを安全に活用できるAIを提供しています。
コンテンツが一元化され、アクセス権や参照すべき情報を管理できるからこそ、AIが何を参照するかをコントロールしやすく、ハルシネーションの最小化にもつながると考えています。

Salesforceとは10年以上協業。「構造化」と「非構造化」をつなぐ
──BoxはSalesforceと10年以上、協業関係にあります。
おっしゃる通りで最初にグローバルで協業を発表したのは2009年になります。象徴的なのが「AppExchange」で提供している「Box for Salesforce」。取引先の売上やコンタクトなどの構造化データはSalesforceに、提案書や見積書など非構造化データはBoxに──。Salesforceの画面上にBoxを埋め込み、ワンビューで追える体験を提供しています。

この価値を提供できることが、Salesforceと協業することによる大きなメリットです。加えて、SalesforceはAppExchangeやイベントなどを通じて、発信の場を積極的に提供してくれるパートナーフレンドリーな存在ですので、マーケティングにおいても心強く、協業する理由です。私が入社した10年前はほぼ知名度がありませんでしたから、とても助かりました。
──2025年からはAIエージェントのマーケットプレイスでありパートナーエコシステムである「AgentExchange」でも協業しています。その狙いを教えてください。
以前から協業体制を敷いていたので、AIエージェント領域においてのアライアンスも自然な流れでした。AgentExchangeでは、具体的に「Box for Agentforce」というソリューションを展開しています。
これは一言でいえば、Salesforceが得意な“業務のオーケストレーション”と、Boxが得意な“コンテンツの一元管理とガバナンス”の融合。
SalesforceのAIエージェント「Agentforce」が業務の流れをオーケストレーションし、必要なときにBox AIが安全にコンテンツを参照して答える。これによって、現場は「探す・確認する・転記する」などを減らし、より早い意思決定と顧客対応に集中できるようになります。

具体的に言えば、AgentforceとBoxのAIを連携させて、Salesforceの構造化データとBoxの非構造化データをお互いのソリューションを意識することなく、ワンビューで安全に扱わせて、データの検索や抽出、コンテンツの整理や生成、署名などを自動化するためのソリューションです。
AIエージェントを活用するにしてもツールが分かれて、別のAIエージェントを使うとなればそれはそれで手間ですよね。この連携はエージェントが必要なときに必要な情報を簡単に取りにいけるので現場の手間を大幅に減らすことができます。
<Box for Agentforce活用イメージ>
Box AIで質問/要約/抽出
文書から必要情報を抜き出したり、テキスト生成をしたり(例:フォームや発注書からメタデータ抽出)
文書生成(Box Doc Gen)
Salesforceレコードのデータを使ってテンプレートから文書を作る
Box Sign
電子署名:生成した契約書を署名依頼まで回す
フォルダ作成・紐づけ
Salesforceレコードに紐づくBoxフォルダ構造を自動で作る/関連付ける
共有・権限(コラボ)操作
コラボ招待・編集・削除などのBox操作をAgentforceから実行

また、別の側面からみると、ターゲットの拡大も大きなメリットです。
私たちはこれまで、情報システム部門に向けてコンテンツ管理の基盤やセキュリティ、情報ガバナンスを中心に価値を訴求してきました。一方、Salesforceは長年、営業や経営企画といった現場に寄り添い、現場の業務改善や生産性向上の文脈で価値を提案してきたと思います。
AgentExchangeに参加することで、これまで接点が薄かったDXコンサルやSIerなど、業務・DX寄りのパートナーともつながりやすくなる。結果として、非構造化データ活用の価値を“現場の言葉”で届ける力が上がると期待しています。

──最後に、Salesforceに対する期待をお聞かせください。
私は、「1つのAIエージェントが全部やる」のではなく、「役割分担して連携するマルチエージェント」の世界になると思っています。だからこそ「エージェントもエコシステムで」という方向性を早い段階で打ち出したSalesforceの世界観に共感しています。
Boxとしても、Salesforceやパートナーの皆さまと一緒に、AI時代に日本企業の価値をどう高めていくか、単なるソリューションの連携にとどまらない連携を期待しています。
Box Japanと同様にAgentforceExchangeに参画しているパートナー、株式会社ユーザベースのインタビュー記事も掲載していますので、合わせてご覧ください。記事はこちらです。
取材・執筆:木村剛士
撮影:大橋友樹










